離婚問題

夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(9)ー証拠準備にかけられる時間は?

2020.09.21更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかりと戦って、しっかりと勝つ」をモットーに、以下詳しく解説していきます。

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1.そもそも「監護者」って何だ?


 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

 親権とひとくくりに申しましても、親権には①身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)だけではなく、②お子様の財産管理権、③身分行為の代理権も含むとされています。
わかりやすく言いますと、監護権は、このような①から③の権利のうち、①だけを切り出した権利ということになります。

 

 

2.そもそも、証拠集めって?


(1)監護者指定で重要な証拠とは?
 一般的に監護者指定については以下の6個の項目が重要視されると言われています。
1)監護実績
2)別居の違法性
3)現在の監護状況
4)過去の児童虐待の有無・程度
5)子供の意思
6)面会交流への姿勢

特に裏付けが重要な項目は上記のうちでも以下のものになります(他の項目は、こちらからの裏付けではなく、調査官が別途調査するため、特に積極的な証拠は必要ないことが多いです)
1)監護実績
2)別居の違法性
4)過去の児童虐待の有無・程度

(2)裏付けの重要性
 監護者指定事件では、的確な裏付けが少ないケースも多いのですが、上記の3つの項目についてしっかりとした裏付けを提示できるようであれば、優位に立つことも可能です。
 審判の手続きの中では、しっかりとこちらが認識している過去の事実を示す必要があるのですが、そのような言い分に対してはしっかりと裏付ける必要があります。そうでないと、裁判官は中立な立場なので、どちらの言い分を信用していいか判断ができないからです。
 私の方からはご依頼者様に「裏付け勝負ですよ」とお伝えすることもあるのですが、それぐらい裏付けは重要なのです。

 

 

3.そうはいっても証拠集めの準備期間は?


 監護者指定審判事件は通常保全処分とともに申し立てられることが多いため、手続きは迅速に進められることが多いです。
 一般の審判ですと、調停が先行し、調停だけでも何か月間かかけたうえで、ようやく正式な審判に移行するというケースも多く、至急裏付けを準備する必要はないことが多いです。

 これに対して、監護者指定審判は、このような進行ではなく、通常は第1回期日に調査命令が発令されますので、それまでに一通りの証拠は準備しておく必要があります。
 そして、こちらが審判を起こされたことを知ってから第1回期日までは1か月程度しか期間がないことが多いため、1か月程度の間に証拠を準備しなければなりません。

 

4.厄介なのは過去のLINEやメール、写真の整理


 旦那様側による児童虐待の証拠として、LINEやメールでの表現が的確な証拠になるケースもあります。ただ、最近であればよいのですが、かなり昔のメールだったりしますと、そもそもまだとってあるのかというところから始まり、膨大な量のメールの中から対象メールを探さなければならなくなりますので、時間と労力が必要になることもあります。

 また、お子様との親密さを示すために、お子様との写真が重要になることも多いのですが、スマートフォンなどに保存してありますと、これも探すのが大変だということもあります。

 いずれにしましても、限られた時間の中、お子様の育児をしながら、証拠の準備をしなければなりませんので、相当手際よく準備しませんと間に合いません。

 そのため、私の方からは、まずは母子手帳と保育園等の連絡帳原本を送ってもらうことが多いです。これを拝見しますと、あなたのお子さまとのかかわり方が端的にわかることが多いからです。もちろん、お子様が小学校高学年以上になっている場合には、あまり連絡帳に詳しい内容を記載することもなく、保育園時代の連絡帳も古くなってしまっており、証拠の価値が落ちてしまうことはやむを得ないのですが、それでも参考資料にはなります。

 このようにして、これまでの監護実績についての裏付け固めをしたうえで、相手からの申立書への反論の中で、必要な証拠を準備していくというのが現実的な作業になることが多いです。
 ちなみに、モラハラのケースですと旦那様の暴言をいくつも録音できているケースもあるのですが、あまり長時間の録音は文字起こしに時間がかかってしまうことが多く、監護者指定審判の証拠としては使い勝手があまりよくないです。

 

 

5.まとめ


・言い分だけでは裁判所はどちらの言っていることが正しいか判断できないので、裏付け証拠はとても重要である。
・監護者指定審判での証拠準備ができる期間は1か月程度と心得ておいた方が良い。
・そのため、まずは保育園の連絡帳や母子手帳といった最重要な証拠から証拠集めを進めたほうが良い。
・次いで、旦那様の申立書への反論という視点で補足して証拠を準備していくのが現実的である。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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