【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?④】皆さんモラハラの証拠はどのくらい持っているのでしょうか?
2024.10.14更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
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1.モラハラとは何だ?
「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。
モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。
2.結論から言うと、決定打になるような証拠は乏しいケースが大半
私がモラハラ離婚の事件を扱っている中で、決定打になるような証拠があるケースはむしろ稀で、証拠が乏しいケースの方が大半です。
具体的には以下のように大別できます。
(1)そもそもほとんど証拠を残せていない
夫のモラハラ行為は唐突に始まるため、録音のスイッチを押すタイミングがなかったとか、そもそも、夫のモラハラ行為が無視や監視などなので、証拠化そのものが難しいといったケースもあります。
これらの場合にも、当時の状況を綴った日記が少しは残っているという方はいるのですが、ノートやリングファイルに日付と出来事を書いただけの日記ですと、あまり有力な証拠にはなりません。このような形式の日記ですと、本当にその日に記載したかが分かりませんし、日記ですと、その時のあなたの感情などを反映していることもあって、客観性に欠ける面があるからです。
日記アプリでの記録につきましても、日記アプリの内容は一度記載しても、後から修正や編集が可能なものが多いため、それだけでは、残念ながら、あまり有力な証拠にはならないことが多いです。
(2)2,3個録音などの証拠はあるが、決定打として使いにくい
このケースは、夫の発言を録音として記録できてはいるけれども、不十分だというケースです。
例えば、夫が怒鳴り始めたので録音のスイッチを入れたが、結局怒鳴っていたのは最初の部分だけで、肝心の怒鳴り声の部分の録音ができなかったとか、録音はできているけれども、周りの音などがうるさくて夫の声が殆ど聞き取れない(お子様が泣き出してしまい、その泣き声にかき消されてしまっているとか)といったケースです。
また、夫の怒鳴り声は聞き取れるものの、妻側もかなり強く言い返していて、夫のモラハラというよりも、夫婦喧嘩の音声に聞こえてしまうというケースもあります。
LINEなどについても同様でして、確かにモラハラ夫のモラハラ発言はLINEに残っているのですが、妻側もかなり強めの反論をしていて、どちらか一方だけを悪いと評価することが難しいというケースもあります。
(3)録音は10個とか、それなりの数があるが、決定打として使いにくい
このケースは、奥様の方で何かのために沢山録音を取っておいたものの、夫の怒鳴り声をあまり拾えていないとか、夫の怒鳴り声は聞き取れるものの、妻側もかなり強く言い返していて、夫のモラハラというよりも、夫婦喧嘩の音声に聞こえてしまうといったケースです。
3.モラハラの証拠が乏しいという前提で戦い方を考えることの方が多い
前述の通り、モラハラの証拠がほとんどないというケースの方が多いので、私としては、①モラハラの証拠がほとんどない状態でどのように戦うか、または、②少ししかないモラハラ証拠をどう活用して戦っていくかという発想で準備、立ち向かっていくことが多いです。
以下では、モラハラの証拠がほとんどない状態で、私の経験上、どのように戦っているのかをご紹介します。なお、下記の対処方法は代表的なものでして、実際には、事案に応じて、対応策を考えるようにしています。
4.【対処方法1】別居期間を稼ぐ
相手が自分のモラハラを認めればよいのですが、証拠がない場合には、そのことを認めないケースも多いです。
そうなった場合、証拠がない事実ばかりを主張していても離婚の道筋を付けることは難しいです。
このような場合の直接的な方法としては「別居期間を稼ぐ」ということが最も有効な手立てと言えます。
モラハラ等の明確な離婚原因の証明ができない場合であっても、別居期間が長期間に及ぶ場合には、このような別居生活の方が夫婦としての同居生活よりも安定しているという考えになりますので、離婚が認められやすくなるのです。
どの程度の別居期間が必要かという点は、これまでの同居生活でのやり取りによりますので、一義的なことは言いづらいのですが、3年、4年が一つの目安と言われています。
あなたとしては、早くモラハラ夫との縁を切りたいと考えているので、3年とか4年の期間は「非常に長い」と感じるとは思いますが、手堅く手続きを進めるという観点から、一定の別居期間を置いてから離婚裁判に打って出るという進め方をすることもあります。
5.【対処方法2】早めに婚姻費用の支払いを開始させる
先ほど説明した「別居期間を稼ぐ」という方法は、いわゆる手堅い手段ではあるのですが、離婚成立までに時間がかかってしまうというのが大きな難点です。
そこで、次に考えられるのが婚姻費用を支払わせるという方法です。
モラハラ夫は、自分の気に入らないことに対してはお金を払わないという態度の人間が多いため、「勝手に出ていった人間には生活費は渡さない」と言ってくる人は多いです。
ただ、正式に離婚が成立する前であれば、あなたは婚姻費用(生活費)を請求する正当な権利がありますので、相手の「支払わない」という言い分が認められる可能性は極めて低いです。
そのため、この権利を早めに行使し、早めに先方に婚姻費用の支払いを開始させることが重要です。
なぜなら、相手に毎月生活費を支払わせていくと、相手としては納得が行かないお金を毎月支払わなければならなくなりますので、このこと自体がストレスに感じるでしょうし、実際上も毎月婚姻費用を支払うことで自身の収入が減っていきますので、「早く離婚してしまった方が、負担が少なくなる」という発想に結びつきやすくなるからです。
そのため、早めに婚姻費用の問題に着手すると言うことは重要ですので、相手が支払いを拒むようであれば、早めに調停を起こして、支払いを早めに開始させる手順を踏むことが多いです。
6.【対処方法3】離婚裁判も辞さないという強い姿勢を示す。
離婚の問題は協議が決裂した場合、いきなり裁判を起こすことはできず、まずは調停を申し立てる必要があります。
離婚調停の中で、こちらは離婚したい、他方、相手は離婚したくないと言うことで意見が対立してしまいますと、離婚調停も決裂して終了してしまいます。
ただ、調停も終盤に差し掛かりますと、調停委員から、今後どのようなことを考えているのかを質問されますので、こちらとしては、裁判も辞さないという強い覚悟を持っている旨を示していくことになります。
「裁判」となりますと、夫側も「裁判までやって夫婦関係を修復することなんて流石に無理だろう」と考える人も相当数いますので、調停で話をまとめようとしてくることも多いのです。
7.まとめ
・実際のところ、モラハラの証拠がほとんどないとか、証拠がないわけではないが、あまり有効打ではないというケースは多い。
・そのため、私はモラハラの証拠が少ないという前提で戦い方を考えることが多い。
・別居期間を稼ぐと言うことが一番端的な対応策である。
・早めに夫側に婚姻費用の支払いを開始させることが重要である。
・離婚調停の席では、裁判を辞さない旨のしっかりとした強い覚悟を示すことも重要である。
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