【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑨】夫側に何も伝えずに別居を始める人は多いのでしょうか?
2024.12.02更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
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1.モラハラとは何だ?
「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。
モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。
2.実際に何も伝えずに別居を始める人は多いのか?
結論から申しますと、事前に何も伝えずに別居を開始する人はかなり多いです。
特に離婚調停の席で、この話題が出ると、調停委員は、「事前に何も話さずに家を出る人はかなり多いですよ」と答えてくることが多いです。
事前に話をすることでこれまで以上にモラハラ被害を受ける危険性があると感じたとか、事前に話をすると別居を妨害されそうだと感じたというようなことで、事前に話をせずに別居を開始しているようです。
3.夫や調停委員から責められないのか?
(1)モラハラ夫は責めて来ることが多い
まず、モラハラ夫から責められないのか?という点ですが、お察しの通り、モラハラ夫からは、「突然妻が出て行ってびっくりした」「こんなひどい仕打ちはあんまりだ」という言い方をしてくることが多いです。
ただ、事前に話をしていれば責められないのかと言いますと、「多少妻から話はあったが、しっかりとした話し合いをする前に出て行かれた」とか「何回か話をしたというけど、こちらはいつも反対していた。はっきりとした理由も言わないし、こちらは別居に同意していない」などと言ってきて、結局こちらが責められることは変わらないというケースも多いのが実情です。
後述の通り、私は、モラハラDVがひどいケースでなければ、事前に話をすることを推奨してはいますが、事前に話をしても、結局別居後にモラハラ夫が責めてくることが多いのも事実です。
(2)調停委員は?
前述の通り、離婚調停になっているケースですと、事前に何も話をしないとかほとんど話をせずに別居を開始するケースの方が多いので、調停委員があなたを責めて来ることはほぼありません。
そのため、「調停委員から責められるかしれない」という心配はありません。
4.弁護士としては、モラハラDVがひどくないようなら事前に話をすることを推奨している
モラハラ離婚のケースで一番悩まれるのは、離婚することや別居することを事前に相手に伝えるべきかという問題だと思います。
何も言わずに別居してしまうと、後から何を言われるか分からないし、他方で、事前に話してしまうとその際にどのような暴言・態度を受けるか分からないと言うことで、悩まれている方が多いです。
基本的に、モラハラの内容がDVの一歩手前といえる様な深刻な内容の場合には、事前に離婚や別居を切り出さずに別居を開始した方が良いことが多いと思います。事前に話をすると重大な被害につながりかねないため、自分の身の安全を守るためにも、事前に話をしないのです。また、度重なるモラハラで精神的に不調を来しているというような場合にも、無理に事前に話をしない方がよいと思います。
他方で、モラハラ被害がそこまで大きくはないという場合には、事前に離婚や別居を切り出した方が良いケースの方が多いかと思います。ただ、この場合にも、相手がどのような行動に出るか予測できないという場合には、事前に別居話や離婚話をするか慎重に検討する必要があります。
事前に何も相談せずに別居を開始してしまうと「悪意の遺棄」になってしまい、後から離婚しづらくなるのではないかと考えている方もいます。しかし、モラハラ被害防止というきちんとした理由がある場合、事前に相談せず別居したからと言って離婚にあたって不利になることはほとんどありません。
ただ、事前に何も伝えておかないと、①こちらの真意がいつまでもモラハラ夫に伝わらない、②離婚協議を始めても、先方の反発が強くて手続が大きく遅延していってしまうというリスクもありますので、事前に話ができるようなら、極力話はしたほうが良いと思います。
以下では、基本的な注意点について詳しく解説していきます。
5.最低限置き手紙は残す
(1)何も残さずに別居することは混乱のもとである。
まず、置き手紙も何も残さずに別居を開始してしまいますと、モラハラ夫は、あなたの職場や実家、親族、果ては警察など様々なところに電話をかけまくったり、直接訪問してくることもありますので、混乱を避けるためには、少なくとも置き手紙くらいは残したほうが良いと思います。
(2)置き手紙には何を書くか?
置き手紙のボリュームをどの程度にするかは、あなた自身の考え方にもよるのですが、大きく分けると以下のようなことを盛り込むことが多いと思います。以下、詳しく解説していきます。
①離婚を前提とした別居であることの明記
②別居を決意した理由の説明
③子ども達と一緒に家を出るが元気にしている旨
④くれぐれも探さないでほしい旨
⑤今後の連絡先(担当弁護士の電話番号等)
詳しく説明していきますと、①については、離婚を前提としていることはしっかりと伝えることが多いです。一旦冷却期間を置くための別居だと誤解されては困りますので、この点を明記するのです。
次に、②につきましては、どこまで細かく記載するかはあなた次第です。ただ、あまり細かい事情を書いても、モラハラ夫がそのことを理解するとはとても思えませんので、簡潔に記載することが多いと思います(短い場合には、2,3行で済ませるケースも多いですが、しっかりと気持ちを伝えておきたいということで何十行も書く人もいます)。私としては、モラハラ夫が反発してくることを想定して、簡潔に書くようアドバイスすることが多いです。
上記の③については、モラハラ夫側が、妻は置いておくとしても、子供達が安全なのかが心配ということで騒ぎ立てることを防止するために、この点を記載することも多いです。
また、④については、前述の通り、納得いかないとモラハラ夫はあなたを探し回る人もいるため、くれぐれも探さないよう伝える文言です。
なお、実際にはあなたは浮気などしていないのに、同居中から、妻があなたの浮気を執拗に疑っていたケースとか、あなたの居場所を伝えないと職場に迷惑がかかりそうだといったケースですと、④の箇所で「今後は実家で暮らします」というように、あなたの居場所を伝えてしまうケースもあります。
ただ、このように書いてしまうと、モラハラ夫が実家に乗り込んでくることも多いので、どこまで書くかは慎重に検討したほうが良いと思います。
最後の⑤については、あなたの別居先住所を伝えるという意味ではありません(ケースによっては、あなたの住所は絶対に伝えないほうが良いというケースも多いかと思います)。担当の弁護士が決まっているようでしたら、弁護士の連絡先を書いたり、「追って近日中に弁護士から手紙が届きます」と書いたりします。また、あなたのご実家のお父様に間に入ってもらう場合には「今後は父の携帯電話までご連絡下さい。私宛の直接の連絡はお控えください」と書いたりします。
6.まとめ
・実際上、事前に話をせずに別居を始める人は多い。
・事前に話をしないとモラハラ夫は後から責めて来ることが多い。
・ただ、事前に話をしてもモラハラ夫は後から責めて来ることが多い。
・調停委員から責められることはほとんどない。
・モラハラDVがひどいケースでない場合、弁護士としては事前に話をすることを推奨している
・最低限置き手紙は残して家を出たほうが良い。
・置手紙には最低限書いておいた方が良い事項がある。
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