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【絶対に離婚したくない(38)】どうしてお互いの言い分がこんなにも食い違うのでしょうか?

2024.12.09更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.離婚で争っている場合には、言い分が食い違うケースは非常に多い


 相手の弁護士の書面や離婚調停での相手の言い分など、離婚したい理由が示される場面はいくつかありますが、あなたの認識と大きく食い違っていることも多いです。

 実際に起きた過去の事実は同じなのに、夫婦の間でこれだけ言い分が食い違うのも奇異な話なのですが、実際に離婚調停などでは、「言い分が全く正反対」ということも多々あります。

 あなたとしては、「相手が嘘ばかりを言っている」と感じる事でしょうが、このように言い分が全く食い違うことにも理由や経緯があります。

 以下では、どうしてこのような言い分の食い違いが生じるのかについて、詳しく解説していきます。

 

 

2.相手の言い分が事実と異なる原因

 実際に私が担当した事件で、どうして言い分がここまで食い違うのか、その理由を探ってみましたので、詳しく解説していきます。

 

(1)【食い違う理由①】特に離婚したい理由に特化して言い分をまとめるから

 相手は離婚したい以上、離婚したい理由だけを述べて、離婚しなくても良い理由は一切述べません。そのため、例え夫婦生活の9割がた円満でも、残りの険悪なときの状況や場面、言動のみを切り取って、あの時こういった、あの時こうされた、という形で言い分をまとめてきますので、実態とは印象が大きく異なる言い分になるのです。

 

(2)【食い違う理由②】経緯や状況が異なっている

 最も分かりやすい例が、実際には夫婦喧嘩での言い合いなのに、相手は、自分の言葉を全てきり捨てて、あなたの酷い発言だけをピックアップして主張してくるケースです。

 夫婦ですので、時に口喧嘩になることもあると思いますし、その時には、きれいな言葉を発することなど難しいと思います。

 ただ、実際には売り言葉に買い言葉なのに、相手が、「自分がこう言われた」という言われた言葉だけを取り上げたらどうでしょうか。当然あなたの一方的な暴言のように捉えられてしまいます。

 これは極端な例ですが、これ以外にも、実際の経緯やシチュエーションが全く異なるということもあります。

 このようなことでお互いの言い分が全く異なるというケースもあります。

 

(3)【食い違う理由③】色々と調べるうちに記憶が混同してしまっている

 今は、インターネットで必要な情報を簡単に検索できる時代です。

 そのため、似たような境遇で困った経験がある人がいないかとか、似たような言動で苦しんできた人がいないかということで、インターネット上で検索すると様々な情報に接することが可能です。

 このように色々と調べている中で、「そういえば、私もこのように言われたことがあるかも」とか「よく思い出してみるとこのような発言に苦しめられていた気がする」などと記憶が混同して行ってしまうこともあるようです。

 

(4)【食い違う理由④】相手弁護士の表現方法の問題

 相手が弁護士を雇っている場合、離婚理由などについても、相手の弁護士が書面などをまとめて主張してきます。

 そうしますと、弁護士は、有利に立てるような事情などをピックアップ、強調して主張してきますので、実態と異なる書面が出来上がっていくというケースも多いです。

 例えば、何年も前の出来事とか、もうかなり前に夫婦の間では解決している問題であっても、それが、離婚にあたって有利になるような事情であれば、強調して主張してくるのです。

 

(5)【食い違う理由⑤】相手は離婚するために必死なので、一定範囲で虚偽や誇張を含んでしまう。

 相手は離婚したいという思いがあって弁護士を雇ったり、離婚調停を起こしているわけですから、有利に離婚を勧めようという心理が強く働きます。

 そのような中で、実際の過去の事実よりもオーバーに表現したり、過去の実際の事実に関連する事情などとして虚偽を織り交ぜてくるということも往々にしてあります。

 

 

3.嘘をついても罰せられないのか?


 離婚調停で問題になるのは、これまでの夫婦の関係性や出来事のことですから、相手が言っていることが事実なのか虚偽なのかは、あなた自身がよく分かっているということになります。

 そのため、相手の主張を見て、「こんなに嘘ばっかり言って良いんですか?」「何か罰せられたりしないんですか?」というご質問を受けることも多いです。

 しかしながら、法律上、離婚紛争中に相手が虚偽を述べたことをもって処罰するような規定等はありませんので、「処罰する法律はないんです」というご回答になります。

 そもそも、あなたの記憶としては、相手の言っていることが「全くの嘘だ」という場合でも、それを証明することは難しいことが多いです(それこそ録音でもしておかないと証明ができない)。

 

 

4.それでは「言ったもん勝ち」にならないか?


 上記の解説をご覧になった方の中には「それでは言ったもん勝ちじゃないのか?」とか「嘘をついた方が得をするようなもので、おかしくないか?」とお感じになったかもしれません。

 実際の離婚調停と離婚裁判でどのように取り扱われるのかについて以下で解説していきます。

 

(1)離婚調停の場合

 まず、離婚調停の場合、調停委員も、両当事者の意見が食い違うというケースをかなりの数扱っていますので、どちらが言っていることが正しいと断定的に決め付けるようなことは基本的にしません。

 そのため、相手が様々な主張をしても、調停委員はそれを鵜呑みにはしません。

 ただ、相手から裏付け証拠が提出された場合には、調停委員は、裏付け証拠の範囲で相手方の言い分を認めるということはあります。

 

(2)離婚裁判の場合

 離婚裁判の場合、より一層、裏付け証拠の有無、内容が重要視されます。

 何の裏付けもなく相手が主張していたとしても、裁判官は、その内容を信用することは基本的にありません。

 そのため、私の方からも、「離婚裁判は裏付け勝負になりますよ」とお話することが多いです。

 

 

5.安易な方針転換は禁物である


 もちろん、私は、あなたが夫婦関係の修復を希望する限り、全力でそれを応援します。

 ただ、相手が嘘ばかりついている様子を見て、「こんなことならもう離婚したい」という考えが頭をよぎってしまう方もいらっしゃいます。

 今後のことは、あなたの人生にとってとても大切な決断になりますので、もし多少離婚が頭をよぎったとしても、離婚に切り替えるかどうかは慎重に検討した方が良いと思います。

 

 

6.まとめ


・お互いの言い分が食い違う原因としては以下のようなものが考えられる。

  • 特に離婚したい理由に特化して事情をまとめているため
  • 経緯や状況が異なっている
  • 色々と調べているうちに記憶が混同してしまっている
  • 相手が雇った弁護士の表現方法の問題である
  • 離婚するために必死なので虚偽や誇張が含まれる

・調停などで虚偽を述べても、そのことを罰する法律はない

・調停でも裁判でも、裁判所側は相手の言い分をそのまま鵜呑みにはしないため「言ったもん勝ち」にはならない。

 

 

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