離婚問題

【絶対に夫に親権を渡したくない(41)】子供に手をあげてしまったのだが、敗訴確定なのか?

2023.06.02更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
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1.私は子供に手をあげてしまったので、もう許されないのでしょうか?


 どんな理由があろうとお子様に対して手をあげてしまうことは、決して望ましいものではありません。
 ただ、お子様を傷つけたくて暴力を振るうというケースはむしろ稀で、やむを得ない事情や状況等を伴うことも多いです。
 暴力を振るってしまったという事情は、こちらにとってかなり不利な事情であることは間違いがありませんが、それでもケースによっては戦い方はありますので、諦めずに対応していく必要があります。

 

 

2.どのような作戦で臨むのか


 このようなケースでの対策は大きく3つあります。一つ目が①監護実績等、こちらに有利な点をクローズアップするという作戦、二つ目が②暴力の悪影響を最小限に抑える作戦、3つ目が③改善としてどのようなことをしているのかという作戦になります。
 具体的な対策は、事案や状況によって大きく違ってくるのですが、概要を以下の通り解説します。

 

 

3.【作戦1】こちらに有利なところ(特に「監護実績」)で優位に立つ


 暴力という事情は、こちらにとって不利な事情ですが、親権者は、暴力という一つの事情だけで決まるわけではありません。特に、過去の監護実績については、裁判所も重要視する項目ですので、この「監護実績」で優位に立てるのでしたら、優位に立てるだけの必要十分な資料を提出して行くことになります。
 要するにこれまでの子育てをこちらが頑張って担ってきたということを証拠とともに提出して行くのです(暴力という事情がこちらにマイナスに働いてしまっていますので、そのマイナスを他の項目のプラスで取り返していくというようにイメージして頂くと分かりやすいかもしれません)。

 

 

4.【作戦2】暴力の悪影響を最小限に抑える


 暴力の悪影響を最小限に抑える作戦というのは、暴力に至る経緯にやむを得ない事情があったとか、暴力の態様等、こちらがこれ以上悪く見られないようにしっかりと説明するということです。
 夫側は、こちらの暴力について、強く主張してくると思いますので、そんなに日頃から暴力を振るっていないとか、むしろ夫が育児に無関心だったのでストレスが限界まで貯まって暴力を振るってしまったとか、詳しく事情を説明していくのです。
 暴力の悪影響を最小限に抑えていくためのキーポイントになるのは大きく以下の点です。

① 暴力の態様や強度

② 怪我の有無・程度

③ 暴力の頻度

④ その経緯

⑤ その動機

⑥ 暴力がお子様に与えた影響の程度

⑦ あなた自身の反省の程度

 これらのポイントの中から、自身に有利なものを徹底的に探して、指摘していく作業が重要です。そのことに加えて、そのような指摘に裏付け等があるようであれば、しっかりと裏付けの提出をしていく必要があります(例えば、夫側とのLINEやメールのやり取り等)

 なお、たまに「私は小さいころ父親から殴られて育ちましたから、このくらいのことを大げさに言われても困ります」とか「あまりに子供が言うことを聞かない場合には、実力行使(暴力の行使)をしないと収まらないのですから、必要悪です」などとおっしゃる方もいますが、このようなスタンスは、裁判所から「反省していない」「また暴力を繰り返す危険性がある」とみなされてしまうリスクが高いので、今後暴力は絶対厳禁というスタンスが良いかと思います。

 

 

5.【作戦3】改善計画の作成


 お子様への暴力について深く反省した上で、再発防止のためにどのようなことをしていくのかの計画を立てるということです。
 例えば、①アンガーマネジメントの講習やカウンセリング等を受けて、突発的に感情的にならないよう努力していくとか、②今後のお子様の育児等にあたっては、ご実家のご両親にも同居してもらって、ご両親にも監督してもらうといったことが考えられます。

 

 

6.早めに弁護士を見付けて依頼すること


 あなたがお子様に暴力を振るってしまったという事情は、かなり不利な事情になりますので、これを打ち消すだけの主張、証拠集めを早急に実施する必要があります。その際には、弁護士の適切な助力がないと対応が難しいと思いますので、早めに信頼できる弁護士を見付け、準備していくようにして下さい。

 

 

7.まとめ


・暴力を振るってしまったという事情は、こちらにかなり不利な事情ではあるが、ケースによって戦いようはある。
・大きな作戦は、①他の項目で優位に立つ、②暴力の悪影響を最小限に抑える、③しっかりとした改善計画を立てるということである。
・難しいケースになると思うので、早めに弁護士を見付けて依頼した方が良い。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(40)】子供が「パパとママ3人で暮らしたい」と言い出しそうだが大丈夫か?

2023.06.02更新

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1.お子様の意向確認


 親権紛争では、お子様が就学年齢以上の場合には、その意向確認を実施するケースが大半で、就学年齢未満の場合でも、お子様の理解力によっては、その意向確認を実施するケースも多々見受けられます。
 お子様の意向確認は、まだ年齢が小さい子の場合には、家庭訪問時にご自宅で行うこともありますが、年齢が上がっていくにつれて、裁判所の一室で行うことが多いです。
 このような意向確認は、家庭裁判所調査官が行います。
 お子様の年齢が小さい場合、過去の経緯等について詳しく事実確認をすることはほとんどないのですが、現在の生活についてどう考えているのか、今後の生活についてどうしたいのかといったことは質問することが多いです。
 そういった時に、お子様の口から「パパとママ家族3人で暮らしたい」という言葉が出ることもあります。

 

 

2.こういう発言って多いの?


 あなたにとって良き夫でなかったとしても、お子様にとっては良き父親であるということもあります。
 そのため、お子様が素直な気持ちとして家族全員で暮らしたいと主張することはやむを得ないことだとも言えます。
 また、私もこのような仕事をしていますと、お子様が家族全員で暮らしたいという意見を述べることも相当数あります(全体的な傾向としては、お子様の年齢が小さい場合の方が、お子様がこのような意見を述べやすいように感じます)。

 

 

3.そのことで直ちに夫に有利にはならない


 このようなお子様の発言があると、夫側は、妻であるあなたよりも夫の方がお子様の意思に沿っていると主張してくることが多いです。
 つまり、夫は妻との復縁、家族全員での暮らしを希望しており、子どもも同じ気持ちである、これに対して、妻だけが、夫とバラバラの生活を希望しているというように主張してくるのです。
 ただ、あなた自身が夫が待つ自宅に戻る意思が全くないことを裁判所に伝えると、裁判所としても、家族全員での暮らしは難しいという前提で、夫と妻どちらが親権者としてふさわしいかを判断して行くことになりますから、夫の希望と子供の希望が合致するからと言って、夫側に有利にはなりません。

 夫側は、あなたの別居が「わがままである」とか「子どものことを考えていない」と主張してくることも多いですが、あなたにとっては、やむを得ない理由があって別居を始めているのですから、このことを責められる理由はありません。

 

 

4.面会交流への対応


 上記のようなお子様の発言は、夫に対する親しみ等を表現しているものとも言えますので、お子様が夫との面会交流を希望しているような場合には、極力、そのようなお子様の意思は尊重した方がプラスになります。
 いざ面会交流させるとなると様々に検討しなければならない点があるのですが、お子様が希望するのであれば、交流を実現する方向で検討したほうが良いと思います。

 

 

5.まとめ


・家庭裁判所調査官によるお子様の意向確認の中で今後の生活の希望も尋ねることは多い。
・お子様が家族全員での生活を希望するケースは相当数ある。
・夫側とお子様の意向が合致するからと言って、夫側に有利になるわけではない。
・ただ、お子様が父親との面会交流を希望するようであれば、実現した方がプラスに働く。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(39)】夫は、こちら(妻)の飲酒や喫煙を指摘してきそうだが大丈夫か?

2023.06.02更新

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1.親権紛争の特徴


 親権を強く主張してくる夫は、本気で親権者になることを目指しているというケースや、そうでなくとも、あなたがお子様と別居したことに対して「やられっぱなしでは気が収まらない」という人が多い印象を受けます。
 そのため、夫側は「自分に有利な事情は何でも主張してくる」というのが親権紛争の一つの特徴と言えます。

 

 

2.飲酒・喫煙その他こちらの行動について細かく指摘してくるパターンも多い


(1)飲酒等の何が悪いの?
 家事や育児に差し支えない範囲で晩酌を楽しむことや、仕事のお付き合いでたまに飲み会があるといったことは、特にこちらに不利になる事情ではありません。
 また、喫煙についても、お子様の横で喫煙することはお子様の健康との兼ね合いで望ましくはありませんが、ベランダで喫煙するといったことは、特に大きな問題として取り上げる事情でもありません。
 しかし、親権紛争では、飲酒や喫煙は育児怠慢といった主張に結び付けやすいこともあって、実態よりも誇張した主張が展開されることも多いです。

(2)飲酒について
 飲酒については、晩酌等の家庭内での飲酒と、職場の飲み会などの外での飲酒の2パターンがありますが、家庭内での飲酒については、①晩酌を始めると子供への対応が杜撰になる→②そのうちリビングで寝てしまう→③子供の入浴や寝かしつけ、それどころか、夕飯の支度までしないで寝てしまうことが度々あったといった主張が展開されるのです。
 また、外での飲酒については、①妻は普段は時間短縮勤務だが、部内の飲み会には必ず出席しなければならないということなので許容してきた→②どんどん部内の飲み会というものの頻度が多くなっていった→③飲み会の時には日付が変わってからとか翌朝帰宅することも多かったといった主張が展開されるのです。

 このような主張については、あなたが夫側に対して飲み会参加のお願いをしているLINEやメール等が証拠提出されることが多いです。
 このように、夫側は「何でも有利になる事情を言ってくる」というスタンスなので、主張してきているのですが、あなたが「頻繁に」飲酒していたという証明は非常に難しいため、「そのような事実はない」と反論しておけば、大きな問題となるケースはほとんどないと思います。

(3)喫煙について
 最近は喫煙スペースもかなり減ってきており、喫煙者にとっては風当たりが強い社会時勢になっている面があります。ただ、あなたが女性として喫煙していたとしても、そのことだけで裁判所から悪印象を受けるということは基本的にありません。
 ただ、夫側は、①妻は、ベランダで喫煙していたが、何本も吸うので一度ベランダに出ると1,2時間は部屋に戻ってこない→②その間はこちらが家事と育児を一手に担っていたといった主張をしてくることがあります。

 夫側は、あなたがたばこを購入したレシート等を証拠として提出してくることもあります。
 ただ、これも、飲酒と同様で、1,2時間もベランダで喫煙していたとか、頻繁に喫煙していたということを直接証明することは非常に難しいため、「そのような事実はない」と反論しておけば、大きな問題となるケースはほとんどないと思います。

(4)エステや美容院
 飲酒や喫煙と並んで、これも主張されることがあるのが、エステや美容院です。
 要するに、夫側の方から、妻は頻繁にエステや美容院に行くので、週末家を留守にすることが非常に多かったというような主張をしてくるのです。
 なお、エステや美容院については、そのお店のカード等があって、施術日等が記載されているため、それを先方が提出してくると、施術の頻度を争うことは難しくなります。ただ、その頻度が月1回や2回のことでしたら、親権紛争の中で特にこちらに不利になることは少ないと思います。

(5)夫側は印象操作を狙っている気もするが…
 飲酒や喫煙は、素行があまり良くない女性という印象操作、エステや美容院は、華美であったり散財する女性という印象操作を狙っているケースもあります。
 ただ、多少の飲酒・喫煙やエステ等は、そのことだけで、裁判官や家庭裁判所調査官の印象を大きく害するということはありませんので、あまり気にする必要はないかと思います。

 

 

3.夫の行動を指摘してもよいが、そこに重点を置き過ぎない


 前述のように飲酒や喫煙の習慣が、親権紛争にあたって大きく重視させることはあまりないと思います。

 ただ、妻の飲酒や喫煙を厳しく追及してきている夫張本人が実は飲酒好きだったりヘビースモーカーだったりするケースもあります。また、飲酒や喫煙ではないが、趣味のスポーツをしていたり、スポーツ観戦に行ってしまったり、外出機会が多いという夫もいます。

 これらの事情は、素行不良といった形で大きく重視される可能性は低いですが、「夫はほとんど育児をしてこなかった」という事実の裏付けになり得る事情ですので、これらの事情も一応指摘した方が良いと思います。

 ただ、これらの事情があったからと言って、直ちに育児参加が不十分だと言いきれない所でもありますので、この点に重点を置き過ぎない方が良いと思います。

 

 

4.夫を言い負かすことがゴールではない


 前述のように、激しい親権紛争ですと、夫側は、必要以上にこちらを責め立ててきますので、こちらもついつい夫側を言い負かせたくなる気持ちに駆られることが多いです。

 しかし、現在の親権紛争で最も大切なのは、「しっかりと親権を獲得する」ということでして、「夫を言い負かす」ことではありません。あくまで親権を獲得するというゴールに向けて、こちらの言い分も準備すべきですし、そのための裏付けを準備するという姿勢が非常に大事になります。

 

 

5.まとめ


・夫側は自分に有利になるように主張できることは何でも言ってくることが多い。
・飲酒や喫煙については頻繁なものだと夫が証明することはほぼ無理なので、あまりに気にしなくて良い。
・エステや美容院については頻度を争うことが難しいケースもあるが、頻繁なものでなければ、あまり気にする必要はない。
・印象操作という点もあまり気にする必要はない。

・逆に、夫側の行動等を指摘してもよいが、そこに重点を置き過ぎない方が良い。

・夫側を言い負かすことがゴールではないことを意識したほうがよい。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(38)】子供の学校は転校した方が良いのか?

2023.06.02更新

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1.子供の強い希望で以前の小学校に登校しているんですが…


 お子様が別居に承諾したとしても、小学校の友達も増えていて転校したくないと強く希望する場合はあります。そのような場合には、学区が同じ地域で転居することもあります。
 ただ、このことは、逆に言うと、夫側もお子様が通う小学校がどこかを知っているということになります。
 特に、夫側が親権を強く主張してくるということは、お子様を自分が育てていきたいという強い意志を持っているということですから、転校等対策が必要なのではないかと不安に思う方も多いかと思います。
 以下、お子様が通う小学校との関係で、どのように対応した方が良いかを解説していきます(※今回の解説は、お子様の小学校を夫に知られているか、知られている可能性が高いというケースでの解説になります。そのような前提でお読みください)。

 

 

2.学校側への情報共有


 別居後、別居に至る事情等について学校との情報共有をしておかないと、学校側からお子様の情報が洩れるといった心配があります。
 そのため、別居前から学校に対して事情を説明し、①今回の別居のこと等でお子様が悩んでいたり異変等がある場合には、学校の方でも声掛け等をし、こちらにも情報共有してもらうこと、②夫側から学校に問い合わせがあっても答えないでほしいこと、③学校で夫を見かけたような場合には情報共有して欲しいこと等を伝えておく必要があります。

 

 

3.転校した方が良いのか?


(1)連れ去りのリスクは?
 夫側が本気で監護権を取りに来ているという場合、登下校の際にお子様を連れ去ってしまうのではないかと不安に感じる方も多いと思います。
 ただ、親権争いの手続き進行中に強引に連れ去り行為をすると夫側にとって不利になるので、連れ去り行為に及ぶ可能性は、そこまで高くはないと思います。

(2)お子様の自発的意思での家出
 ただ、夫側が黙ってお子様を学校に通わせているかというと、連れ去りではなく、お子様の自発的家出を誘発しようとする人もいます。
 お子様が小学校高学年というような場合には、自身の判断能力もそれなりにありますので、お子様自身の判断で、母親であるあなたではなく、父親である夫側のところに住みたいと強く希望した場合、それを止めることは難しいです。
 夫側は登下校の際などに待ち伏せをして、そのように働きかけてくるのです(夫側は、待ち伏せではなく、偶然遭遇したと言ってくることが多いです)。

 このような夫側の働きかけに対する対策としては、登下校の際にあなた自身が見送りをするとか、登校時には登校班での登校や登校班がない学校ですとお友達との登校とする、下校時には学童の先生に直接迎えに来てもらうなどの対応をすることもあります。
 合わせて、お子様自身にも、お父さんと会ったら、どんな話をしたのか等について、情報共有するように伝えておくこと、今後どうしていくかは裁判所で相談中なので、お父さんについていっちゃ駄目であることを伝えるといった対応が必要になります。

(3)待ち伏せへの対策
 前述のような待ち伏せが起きた場合には、すぐに弁護士を通じてクレームを入れることが大切です。
 夫側はお子様に対して「パパと会ったことは、ママには内緒でな」と伝えることが多いのですが、実際にはお子様があなたに事情を話しているということを伝えていくことが待ち伏せ行為の一番の抑止になります。
 このように地道にクレームを入れることで、夫側も待ち伏せを繰り返しにくくなります。
 このようにクレームを繰り返していると、夫側の待ち伏せも減っていくケースが多いのですが、それでも待ち伏せを完全にはやめないという人もいます。
 そのような場合には、クレームを入れる際に、警察への通報も考えている旨を伝えていくことになりますし、それでも待ち伏せする場合には、実際に警察へ通報して対応していくことになります。

(4)転校までは要しないことが多い
 前述の通り、夫側の待ち伏せに対しても、弁護士を通じてのクレームや警察の対応で撃退できることが多いため、転校までは要しないケースが多いです。

 

 

4.まとめ


・別居の前に学校には事情を説明しておく。
・夫側は、連れ去りはしてこなくとも、家出を誘発してくる人はいる。
・登下校時に夫側が待ち伏せしてくるケースも多いので、その都度対応が必要である。
・弁護士を通じてクレームを入れても待ち伏せが続くようであれば、警察に通報して対応していくことになる。
・このように対応することで、転校までは要しないケースが多い。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(37)】別居直前、夫の子供へのご機嫌取りが凄かったが大丈夫か?

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1.夫のご機嫌取り


 特に夫側に何も伝えずに別居を開始したという場合には、あまり問題にならないことが多いのですが、別居の前に夫婦喧嘩などがあり、その中で、あなたの口から「別れたい」とか「離婚したい」という発言があると、それに夫側が準備するというケースは相当数あります。
 要するに、夫側としても離婚には応じるけれども、お子様の親権は渡したくないというケースです。
 そのような場合、夫側は、あなたに対しては「出ていくなら一人で出ていけ」とか「親権は譲らない」などと発言していることも多いと思います。

 そんな時に夫側がよくとる手段が、お子様へのご機嫌取りです。
 週末勝手にお子様を連れ出して、遊園地に連れて行ったりするなど、お子様の好きなところに連れて行って、お子様の歓心を買うのです。

 

 

2.親権紛争での夫側の作戦


 前述のように、実際には夫側が親権の紛争で有利になるようにお子様を利用しているのですが、裁判所では「子どもがどうしてもパパと行きたいというから連れて行っていた」とか「妻は、『休日くらいゆっくりさせて』というのが口癖だったので、毎週末、こちらが子供の世話をしていた」といった主張をしてくるのです。
 果ては「子どもは妻とは出かけたがらなかった」といったことまで主張してくることがあります。
 また、夫側は親権を主張するために準備しているので、週末出かけた時の写真を大量に証拠提出してくるケースもあります。

 

 

3.対抗策は大きく二つ


 前述のように夫側が相当に準備してきている場合には、大量の写真が提出されるなど、印象操作をしようとしてくるため、注意が必要です。
 このようなケースでの対抗策は大きく二つあります。一つ目は、週末連れまわされることでお子様が振り回されてしまうという点、もう一つは、週末も含めた家事・育児はあなたが全面的に担ってきたというものです。

(1)お子様が連れまわされているという点
 具体的には、週末夜遅く帰ってくるので、翌日の宿題や課題が終わっていないといった問題点です。
 この点を指摘するLINEやメールを夫側に送っていたとか、小学校へ提出する連絡帳に記載していたといった場合には、重要な証拠になりますので、裁判所の目に触れる形にしていく必要があります。
 また、週末慌ただしいので、お子様が体調を崩してしまったといったことも、重要な証拠になります。
 要するに、連れまわされることで、お子様に悪影響が出ているという点を、証拠とセットで提出していくというのがポイントになります。

(2)普段の家事・育児
 前述のように週末夫がお子様を連れて出るという場合、少なくともその間は、夫は家の中のことをしていないことを意味します(外出中に自宅の掃除等を出来るはずがありません)。
 そのため、その間、あなたが平日の食事の下ごしらえをしたり、掃除・洗濯をしていた場合には、そのことをしっかりと裁判所に訴えていくことになります。

 

 

4.面会交流への対応


 夫にとってはご機嫌取りの側面があったとしても、お子様にとっては「父親との楽しい思い出」になっている側面は否定できないと思います。
 そのため、お子様がまた夫側と出掛けたいと希望するようであれば、極力、そのようなお子様の意思は尊重した方がプラスになります。
 いざ面会交流させるとなると様々に検討しなければならない点があるのですが、お子様が希望するのであれば、交流を実現する方向で検討したほうが良いと思います。

 

 

5.まとめ


・別居が近いと分かると夫側は必死に子供のご機嫌取りをしてくることがある。
・夫が写真を大量に提出してくるなどした場合には、こちらも対抗策を練る必要がある。
・具体的には、①そのことでお子様が振り回されっていたということ、②家事や育児はあなたが全面的に担っていたということを指摘していく必要がある。
・お子様の意向によっては、面会交流にも対応していく必要がある。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(36)】夫側は「子どもは妻側に洗脳されている」と言い出しそうだが大丈夫か?

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1.お子様の意向確認


 親権紛争では、お子様が就学年齢以上の場合には、その意向確認を実施するケースが大半で、就学年齢未満の場合でも、お子様の理解力によっては、その意向確認を実施するケースも多々見受けられます。
 お子様の意向確認は、まだ年齢が小さい子の場合には、家庭訪問時にご自宅で行うこともありますが、年齢が上がっていくにつれて、裁判所の一室で行うことが多いです。
 このような意向確認は、家庭裁判所調査官が行います。

 

 

2.洗脳されていると指摘されるのはどのような場面か?


 前述のような裁判所での意向確認の際のお子様の発言について、洗脳されているとか、洗脳されている可能性があるので注意して子供から話を聞いて欲しいと言われることが多いです(これを、【ケース1】とします)。
 それ以外には、同居中のお子様の音声などが録音データとして証拠提出された際、それがお子様の本意ではないとか、洗脳されていると指摘されるケースもあります(これを【ケース2】とします)。
 最後が、事後的にお子様の手紙等が出されるケースです(これを【ケース3】とします)。

 このように夫側の主張のタイミング等によって位置付けが異なりますので、上記の【ケース1】から【ケース3】に分類した上で、それぞれ解説していきます。

 

 

3.【ケース1】の場合


 前述の通り、【ケース1】とは、裁判所で行われるお子様の意向確認の際に、妻から洗脳されている可能性が高いので慎重に子供の発言を見極めて下さいといった話が、予め夫からなされるケースです。
 なお、お子様の意向確認の程度は、お子様の年齢によって異なってきます。
 就学年齢に達している場合には、事情確認をすることが多いですが、まだ小学1年生になったばかりというような場合には、難しい質問をしてもお子様は回答できませんし、過去のことを聞いても、まだお子様の年齢が小さい頃の話なので、記憶していないというケースも多いです。

 そのため、お子様が小学1年生もしくは、来年小学校に上がるといった年齢の場合、事情は聴くけれども、詳しくは聞かないということも多いです。
 逆に、お子様がもう中学生だといった場合には、より踏み込んで事情を確認することの方が多いです。
 このように、夫側が主張する「洗脳」といっても、お子様の年齢が小さい場合には、そもそも、調査官はあまり詳しくお子様から話を聞きませんので、あまり洗脳を問題にする必要がないということもあります。

 逆に、お子様の年齢が大きい場合には、ときには1時間以上の時間を取って事情を確認することもありますので、あなたからの影響の有無についても、家庭裁判所調査官は、ある程度は注意して見極めることが多いです。
 ただ、あなたがお子様に対して、「しっかりと話してくるんだよ」と伝えて、話をさせているのであれば、特に、そのことで「洗脳だ」といった形で言いがかりをつけられる謂れはありません。

 

 

4.【ケース2】の場合


 【ケース2】の場合とは、夫とも同居中のお子様の音声等が録音データとして証拠提出されたような場合に、その音声が、あなたに「言わされている」などと夫が指摘してくるケースです。

 通常は、夫が暴言を吐いた「後」の場面などをこちらが録音していたような場合に、お子様が夫側に対する反感を示す発言をしているときに、夫側は「うちの子供はこんなことは言わない」とか「妻に言わされている」などと主張してくるのです。夫の暴言も録音で残っていれば良いのですが、夫の暴言は録音できず、その直後のお子様の声や泣き声などだけが録音できているというようなケースで問題になりやすいです。

 このような場合には、裁判官によっては、どのような場面、配置状況で録音を取ったのかということを気にしてくることもありますが、特に録音時の状況におかしな点がなければ、その録音は、当時の状況を示す重要な証拠と評価してもらえることが多いです。
 このような過去の音声は、夫も一緒に生活している中で録取されたものですので、あなたからの影響はより少ないはずだからです。

 

 

5.【ケース3】の場合


 【ケース3】の場合、というのは、例えば、家庭裁判所調査官によるお子様の意向確認が終了した後に、お子様がしっかりと気持ちを調査官に伝えきれなかったので、後から、お子様の気持ちを補足すべく手紙を書かせて提出するといったものです。
 なお、このような手紙を出すことについて、私は、基本的に反対しています。
 このような手紙を出したいという場合には、その手紙の内容が調査官の前での発言と異なる内容の場合が多いからです。

 例えば、お子様が調査官の前では「たまにはお父さんに会いたい」と言っているのに、あなたがお子様に確認したところ、会いたくないと言っているから「本当は会いたくない」という手紙をお子様に書かせるといったケースです。
 このような手紙を事後的に作成しますと、裁判官からは、このようなものを書かせること自体が不適切だと指摘されてしまうことも多いので、オススメできないのです。

 

 

6.「うちの子に限ってそんなことを言うはずがない」という指摘は非常に多い


 前述のような「洗脳」という表現は極端な表現でして、夫側も弁護士を付けている場合には、「洗脳」という表現は避けることも多いです。
 ただ、夫側から見ると、「うちの子に限ってそんなことを言うはずがない」と反論してくるケースは非常に多いです。
 しかし、実際にお子様から事情を伺ってみると、父親には遠慮して本当のことが言えなかったとか、本当のことを言うと怒られることが分かっているので怖くて言えなかったと発言するお子様も非常に多いです。
 いずれにせよ、お子様が本当にそのように思っているのであれば、思っていることをしっかりと家庭裁判所調査官に伝えさせるということが最も重要になってきます。

 

 

7.まとめ


・夫側が「洗脳」だと指摘してくるのは、調査官によるお子様の意向調査の場面が多い。
・それだけではなく、同居中のお子様の発言など過去の資料に対して指摘してきたり、事後的なお子様のお手紙について指摘してくることもあり、大きく3つのケースに分けて考えることができる。
・調査官による意向調査の場面では、調査官もお母様であるあなたの影響がどの程度及んでいるのかについての見極めは行うことの方が多い(但し、お子様の年齢が小さい場合には深く話を聞かないことも多い)。
・過去の資料については、資料の採取方法に不自然な点がなければ、重要な証拠になることが多い。
・事後的な手紙等は書かない方が良い。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(35)】夫側は「妻が子供を虐待していた」と主張してきそうだが大丈夫か?

2023.06.02更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
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1.同居中も散々そのように言われていた


夫が神経質なので、妻から子への虐待ということを言われることが多かったというケースもあります。私が直接担当した事件でも以下のようなものがありました。

・こちらは何もしていないのに、子どもが泣き出すと「また泣かせたのか?」と詰め寄られる。

・子供がいけないことをしたので注意をしていると、夫が「虐待だ」と騒ぎ出す。

・子供が公園で転んで怪我をすると、夫から「お前が怪我させたのか」と騒ぎ出す。

・子供が外で怪我をすると、夫から「一瞬でも目を離したお前が悪い」と責められた。

・子供に片付けを促すべく、後ろから軽く子供の肩を押したところ、子どもが倒れてしまい、夫が虐待だと騒ぎ出す。

 

 

2.言いがかりに近い主張は、ほとんど影響しない


 前述の例で記載したように、夫側の言い分が、「言いがかり」に近いようなレベルの場合、そのことが親権争いに影響を与える可能性は低いです。
 同居中、前述のように言われてしまっていると、あなたも自信を無くしてしまっているかもしれませんが、安心して下さい。

 

 

3.ただ、反論は必要


 前述のように、夫側の言い分が言いがかりに近いようなものだったとしても、親権紛争の中で争われる場合には、夫側も弁護士を付けてきますので、上手い言い方をしてくることが多いです。要するに、簡単に「言いがかり」とは思えないように言い分を組み立ててくるのです。
そうすると、裁判所側も重大な関心を抱くケースもあります。実際に虐待行為が繰り返されていた場合には、あなたを親権者に選んで大丈夫なのか、裁判所もしっかりと見極める必要があるからです。
 そのため、夫側の言い分が事実無根なものである場合には、事実無根であることをしっかりと指摘・反論していく必要があります。

 

 

4.躾の範囲でも暴力はNG


 たまに、子どもがあまりに言うことを聞かないので手をあげることは多かったです、とか、言っても聞かない子は叩いても許される、というようなことを奥様側から言われることもあります。
 ただ、いかなる理由があろうとも、お子様の身体に危害を加えることは、裁判所から見ると問題行動と評価されるリスクが高いです。
 そのため、仮に、事実としてあなたが暴力を振るったことがある場合には、そのことの影響を極力小さくしていくために、どのように裁判所にアピールしていくのかといった点をしっかりと弁護士と入念に準備していく必要があります。

 

 

5.逆に「虐待」と騒ぐ夫の発言は脅迫じゃないのか?


夫側の言い分が「言いがかり」に近い場合、頻繁に「虐待」と責め立てて来ることは、あなたに対する心理的虐待という側面も持ちます。
 ただ、裁判所に対して、このような点をクローズアップしても、裁判所の反応は薄いことが多いです。親権争いの中では、対お子様との関係の問題が重要であって、夫婦間の問題は重要性が落ちるからです。
 そのため、先方からの「言いがかり」に対しては、そのような事実がないこと、もしくは、過去の実際の出来事等を正確に裁判所に伝えるという対応に徹した方が良いことが多いです。

 

 

6.夫も子供に手をあげていたので「お互い様だ」という主張は?


 たまに、私にご相談に来られた方から、多少子供に手をあげてしまったことは事実だが、夫も手をあげることがあったのでお互い様だとおっしゃる方もいます。

 ただ、「お互い様」という点を強調し過ぎてしまいますと、裁判所から見ると「この夫婦はどっちもどっちなので、この人たちにお子さんを預けて大丈夫なのか?」とか「むしろ児童相談所に預けてもらった方が安全なんじゃないか?」という発想を持ちかねません。

 

 そのため、いずれにしましても、あなたが多少お子様に手をあげてしまったことが事実だとしても、その影響は最小限にとどめる必要が出てきます。

そして、お互い様というよりも、夫の側がお子様に対して何度か手をあげたことがある場合には、その虐待の点をしっかりと強くクローズアップしていく必要があります。

「お互い様」というと、あなた自身が行ったお子様への行動について、反省もなく「開き直っている」という印象を裁判所に与えかねませんので、注意が必要です。

 

 

7.まとめ


・夫が神経質だと、頻繁に虐待だと責められる事態もある。
・夫の言い分が「言いがかり」に近いような場合、影響は少ない。
・ただ、「虐待」の有無については裁判所も関心を持つことが多いので、しっかりと反論する必要がある。
・躾の範囲でも暴力はNGなので、そのことを頭に入れて準備する必要がある。
・夫の虐待発言は、あなたに対しる心理的虐待の側面もあるが、監護者指定事件では、あまりそこをクローズアップしないことの方が多い。

・夫婦お互い様という視点は、裁判所に悪印象を持たれるリスクがあるので注意が必要である。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(34)】夫側はこちらの家事の不十分を指摘してきそうだが大丈夫か?

2023.06.02更新

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1.同居中、家事不十分を指摘されることは多かった


 特に夫が潔癖症だとか、異常に几帳面という場合には、一緒に生活しているときに、家事不十分を指摘されるケースは多くあります。例えば以下のようなものです。

・お前が作る食事は薄味過ぎて食べられない。

・お前が作る食事は栄養バランスが偏ってる。

・子供にお菓子ばかり与えるな、普段の食事が食べられなくなる。

・どうして合成調味料・化学調味料を使って食事を作るんだ。

・家中埃だらけで汚い。

・週末オレが掃除しなければ、ゴミ屋敷になっていたぞ。

・(掃除が行き届いていないので)ルンバの方がお前よりも役に立っている。

・専業主婦なんだから毎日洗濯くらいしろ。

・(子供が少し服を汚しただけなのに)どうして汚い服を着させているんだ、子供が可哀想だろう。

・大したことをしていないのに、どうして毎日子供を寝かしつける時間が遅いんだ

このような発言そのものがモラハラ気質を含んでいるのですが、様々に言われるので、あなたも自信を無くしてしまっているというケースも多いと思います。

 

 

2.毎日の家事・育児をしていれば特に問題がない


 夫側からの指摘では、「家事が雑」「あまりに不器用」など、あなたの家事の仕方等について不満を述べられることも多いのですが、よほど特殊な家事の仕方をしているのでなければ、特に、そのように指摘されたからと言って、こちらが不利になるということはありません。
 また、お子様が病気にかかってしまい、その看病があったとか、事情があって一時的に家事や育児が行き届かなくなることもあると思います。そのようなケースでも、事情があってのものであって、一時的なものであれば、そのことであなたが不利になるケースはほとんどありません。

 さらに、洗濯や掃除なども、毎日必ず実施しなければならないというものではありませんので、例えば、洗濯物が貯まりっぱなしで、それが何日も何日も続くといった特別な状況に至っていなければ、それほど気にする必要はありません。

 

 

3.より重要なのは、夫と妻とで比較した場合に、「どちらの方がより家事や育児に関わってきたのか」という視点


 たまに、親権の争いでは、より分かりやすくするために、裁判官自身が「直近1年間でのお子様の育児の割合は夫と妻で何対何くらいの割合でしたか?」と質問してくることもあります。
夫側は、こちらの家事不十分をしきりに指摘してきますが、それよりも、夫と妻とでどのくらいの作業分担をしていたのか、どちらの方がお子様に関わっていたのかということの方が重要です。

 

 

4.家事不十分の証拠


 親権の争いでは、よく、こちらの家事不十分の証拠として、リビングの散らかった状態の時の写真などが提出されることもあります。
 ただ、お子様が小さい年齢の時などには、どうしてもお子様の動きに気を取られて、片付けが後回しになってしまうこともありますし、そもそも、片付けなどは夫婦で分担すべきものであって、夫の側に対しても「写真を撮っている暇があったらあなたが片付けて下さい」というレベルの話と言えます。

 

 

5.家事を十分やった証拠


 よく私がご相談に乗っていると、「夫は私の家事が不十分だったと強く主張してくると思いますので、それに対抗するために、こちらがちゃんと家事をしてきた証拠を出せないものでしょうか?」と質問を受けることも多いです。

 日々の生活の中で毎日育児日記をつけて来たとか、お子様がまだ保育園に通っていて、その連絡帳を克明につけ続けてきたといった場合には、それらの育児日記や連絡帳は有力な証拠になります。

 ただ、それ以上に毎日家事をしっかりやってきたことの証拠を集めるということは難しいと思います(きちんと夕食を手作りしてきたということで毎日夕食の写真を撮影すると言っても、その写真全てを裁判所に提出するのはボリュームが多くなり過ぎてしまいますし、昼食や朝食の写真まですべて撮影するのかというとキリがないと思います)

 前述の通り、家事や育児については、あなたと夫のどちらの方が多く担当していたのかという視点の方が大事ですので、家事を十分やった証拠を必死に集めるという必要はないと思います。

 

 

6.たまに夫のモラハラ気質を示す証拠を提出して対抗することもある


 

 そもそもの、夫側のこちらに対する指摘が、夫の神経質やモラハラ気質を理由とするケースもかなりの数あります。

 つまり、こちらの家事・育児が不十分だったわけではなく、夫の方が神経質であまりに気にし過ぎているとか、こちらを精神的に支配したいがために細かく家事・育児の指示をしてくるといった具合です。

 この場合には、夫がこちらに送ってきたメールやLINEなどから、夫の神経質な点やモラハラ気質を浮き彫りにして対抗するケースもあります。

 こうすることで、こちらの家事・育児が不十分ではなかったことを証明できるとともに、夫の神経質やモラハラ気質でこちらが苦労していたということも証明できるため一石二鳥です。

 

 

7.まとめ


・同居中、几帳面な夫から様々な指摘がなされているケースは相当数ある。
・だからと言ってあまり自信を無くさなくても良い。
・より重要なのは、家事・育児で夫と妻を比較してどっちの方が分担してきたのかという視点(分担割合)である。
・自宅の散らかった写真などはあまり有力な証拠にはならない。

・逆に、こちらが家事をしっかりとやったという証拠を集めることも難しいことが多い。

・たまに、夫のモラハラ気質等を示す証拠を提出して対抗することもある。 

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(33)】夫の方が経済力があるが大丈夫か?

2023.06.02更新

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1.夫の方が経済力があるというケースは非常に多い


 夫婦共働きというケースでも、奥様の方が収入が高いというケースは少数で、旦那側の収入の方が高額だというケースの方が多いと思います。
 また、結婚を機に、仕事を辞めて、専業主婦をしているという場合には、あなた自身の収入はゼロ、もしくは、パート勤務なので、大した収入がないというケースも多いと思います。
 このように、夫側の方が経済力が高い場合、特に、あなたが専業主婦で、ほとんど収入が無いような場合、親権者を決める時に、どのように影響するのでしょうか。

 

 

2.同居中、夫から散々言われていたので不安


 特にあなたが専業主婦の場合には、同居中に、夫側から「生活力がないから、お前が育てていけるはずがない」とか「仕事を辞めてこんなに立っているんだから、誰もお前のことを雇ってくれるはずがない」とか、散々に言われているケースもあります。
 そもそも、あなたが専業主婦になったのは、結婚や出産といった出来事があって、夫側とも相談しての結果なので、これを責められる謂れはなく、夫の発言そのものがモラハラ発言と言えるものです。
 ただ、夫からそのように言われていると、今後のことが不安になるのもよく分かるお話ですので、専業主婦であることが不利に働くのかという視点も踏まえて解説していきます。

 

 

3.キーポイントは家計が維持できていること


 監護者指定事件で重視されるのは、別居後の家計が維持できていることです。
 例えば、実家に転居し、実家の支援を受けることで、お子様の生活費も含めて家計を維持できているようでしたら、そのことで、不利に扱われることはほとんどありません。
 また、今は、貯蓄を切り崩して生活しているという場合でも、貯蓄が少なくなった段階で生活保護を申請して、生活保護費で暮らしていく予定だということでも、そのことで家計を維持できるのであれば、それほど大きく不利になるケースは少ないです。

 

 

4.家計維持にあたっては、婚姻費用も考慮して良い?


(1)夫側から婚姻費用が支払われている場合
 現在夫側から任意に婚姻費用の支払いがあり、今後の支払も期待できるような場合には、このような婚姻費用も家計維持にあたって考慮して差し支えありません。
 ただ、あなたが、夫との離婚を希望する場合、離婚した後は、養育費しかもらえなくなりますので、養育費しかもらえなくても家計を維持できるのか、といった点は考慮しておく必要があります。その際、児童扶養手当や児童育成手当等、行政の支援が期待できるような場合には、どのような支援が期待できるのか、いくらぐらい貰えるのかといった点を確認しておくと、より安心かと思います。

(2)夫側から婚姻費用が支払われていない場合
 これは、夫側の勝手な言い分ですが、「勝手に出て行ったやつには一銭も払わない」といったことを言ってくる夫もいます。
 そうやって婚姻費用がなかなか支払われない場合には、一旦は、婚姻費用の支払いが期待できないことを前提に家計を維持できるかを確認する必要があります。
 もちろん、婚姻費用は夫側に支払い義務がありますし、いずれは支払わなければならないものなのですが、現段階で支払われていないという場合には、「今は、今月分の婚姻費用も入ってきていませんが、いずれ、今月分も後から払われるから、その後払い分も考慮して下さい」と主張しても、現実に「今」あなたの手元に入ってきていない収入なので、家計維持にあたって考慮することは難しいです。

 

 

5.いつまでに就職すればよいか?


 たまに監護者指定等で有利に話を進めたいということで、就職活動に熱心に取り組んでくださる方もいます。
 もちろん、あなた自身がしっかりと稼いで、家計の状況がもっと良くなるようであればプラス材料にはなります(但し、前述のように現状でも家計を維持できているのであれば、あまり無理をする話ではありません)。しかし、一つ気を付けなければならない点があります。
 それは、就職活動や仕事をすることによって、お子様の世話や家事が疎かにならないかという点です。
 親権の争いでは、現在のお子様に対するケアが行き届いているかどうかという点を重視することが多く、あなたが就職しているかどうかという点よりも重要性が断然高いです。
 そのため、就職活動や業務開始に伴って、お子様へのケアが疎かにならないようにして下さい。

 

 

6.将来の教育の充実等は、そこまで重視されない


 夫の方が経済力がある場合には、夫側から、「自分が育てていくのであれば、私立の小学校に入学させ、小学校時代から、遠足で海外に行かせたり、小学校高学年からは英語学習にも力を入れ、グローバルな教育を受けさせられる」というように、教育面で充実させられるといったことが主張されることがあります。逆に、あなたの元では、小学校受験や中学校受験をするだけの費用も出せないといったことを批判してくるのです。
 確かに、経済力の差がある場合、ある程度教育を受けさせる資金面での差は否定できません。
 ただ、裁判所が重視するのは、これまで誰がお子様の面倒を見て来て、今後もお子様のケアをしっかりと行っていくことができるのか、という点でして、教育を充実させられるかどうかといった点は「二の次」というように考えることが多いです。

 

 

7.お子様も充実した教育に期待してしまっている場合


 同居中、あまりに夫側がバラ色の教育のように話をするので、お子様の方も、詳しいところは分からないまでも、そのような「バラ色の教育」に期待してしまうというケースもあります。
 ただ、お子様の年齢からして、その「バラ色の教育」の詳しい内容が分からないまま、「なんとなくパパが言ってたから、そっちの方が良いと思っていました」という程度の話であれば、そのことが影響することはほとんどありません。
 また、お子様がもう中学生や高校生で、そのような教育に期待している面があったとしても、普段の生活面では、母親であるあなたとの生活でないと、生活が成り立たないと考えているのであれば、やはり、教育面よりも普段の生活面の方が重視されます。

 

 

8.まとめ


・妻側よりも夫側の方が経済力があるケースの方が多い。
・だからと言って、それだけで夫側が有利になるというわけではない。
・むしろ、普段の生活のケアを夫と妻どちらの方が担えるのかということの方が重要なので、経済面は「二の次」とされることの方が多い。
・経済面で重視されるのは、こちらの家計が維持できているかどうか、である。
・あまり就職を焦って、お子様へのケアが疎かにならないよう注意が必要である。
・現に婚姻費用が支払われているのであれば、婚姻費用が支払われることで家計が維持できていれば、それで差し支えない。
・お子様が将来の充実した教育に期待していても、普段の生活の方が重要性が高い。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(32)】関係機関調査って何だ?

2023.06.02更新

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1.関係機関調査って何だ?


 関係機関調査とは、お子様の監護状況を確認する一環として、現在または過去に関係していた機関に対して、家庭裁判所調査官が調査をかけることを言います。通常は、家庭裁判所調査官がその関係機関まで直接足を運んで話を聞くという形をとります。
一般的に関係機関調査の対象になるのは、①現在お子様が通っている保育園・小学校、②お子様がメンタルケアなどを受けている場合には、通院している病院、③児童相談所が関わっている事件の場合には、児童相談所等となります。

(1)関係機関調査の位置付け
 児童相談所が深く関わっている事件の場合、お子様への虐待の程度や頻度、虐待親の危険性等の判断にあたって、児童相談所の見解は非常に重要になりますが、①児童相談所が関わってはいるが、かかわりが薄い場合や、②児童相談所が全く関わっていない場合などでは、関係機関調査の重要性は、そこまで高くないことが多いです(家庭訪問やお子様の意思確認の方が、格段に重要性が高いです)。
 要するに、普段の学校での生活に問題等がないかを確認するといったものですので、あまり関係機関調査の結果を心配し過ぎない方が良いと思います。

(2)各関係機関調査ごとの特徴等
ア 保育園・小学校の調査
 保育園や小学校の調査は、現在お子様が通っている保育園・小学校の調査を行うことが多く、別居直前の保育園(転園前の保育園)・小学校(転校前の小学校)の調査までは行わないことの方が多いです。
 一般的には、家庭裁判所調査官が、その保育園・小学校まで足を運び、保育園ですと担任の保育士と園長先生から話を聞く、小学校ですと担任教師と教頭先生(又は校長先生)から話を聞くという形がオーソドックスかと思います(但し、保育園によっては、「うちは書面での回答しかしない」という方針のところもあって、その場合には、調査官が書面で質問事項を送り、保育園から書面で回答が来るということになります)。
調査の際、調査官は、お子様の普段の保育園・学校生活の様子(積極性や普段の態度、他の児童とのトラブルの有無・内容、宿題など提出物や授業準備の状況)や、小学校の場合、学校成績等を尋ねることが多いです。
 このような調査に先立って、あなたまたは夫側から保育園の連絡帳コピーや小学校の通知表コピーなどを事前に裁判所宛に提出し、調査官もある程度も事前に情報を得た上で、調査に臨むことが多いです。

イ 病院の調査
 ここでの病院の調査というのは、お子様が現状もメンタルケア等で病院に通院している際に、その病院医師から調査官が事情を聴くというものです。
 たまに、夫が過去に心療内科等への通院歴がある際に、こちらから、その病院への調査を希望する場合もありますが、裁判所側は、まず、夫側から診断書を提出させ、診断書で症状等が把握できるのであれば、それ以上に調査まではしないケースがほとんどだと思います。
 お子様の病院への通院期間が長い場合、調査の事前準備として、カルテを提出したり、または、主治医の意見書を提出するケースが多いと思います。このように事前にある程度の情報を把握した上で、調査を実施するのです。
 その後の対応は、主治医がどこまで協力してくれるかにもよるのですが、多忙な医師の場合、調査官が来訪して直接話をする時間をとることが難しいということで、電話での事情確認にとどめるケースもあります。
 なお、病院への調査の場合、カルテのコピー、主治医の対応、いずれも、費用が発生するケースも多いです(要するに、その医師に対して手間賃を支払うということです)。費用負担について両当事者間で話し合いが円滑に進めばよいのですが、円滑に進まない場合には、病院への調査(専門用語では「医療機関調査」などと言ったりします)をどこまでどのように実施するかに影響を及ぼすケースもあります。

ウ 児童相談所への調査
 お子様の関係で児童相談所が関係している場合、基本的には、家庭裁判所調査官の調査を実施していくことになります。
 ただ、あなた又は夫側が児童相談所に事情を話して相談しただけ(要するに、児童相談所としては調査等を一切実施していない)といった場合には、調査官の調査までは行わないこともあります。
 児童相談所は、調査官からの質問をまとめた書面を受け取り、書面で回答するという対応が多いですが、各児童相談所で対応が統一されているわけではないようで、調査官と直接面接して事情を話してくれることもあります。
 また、調査に先立って、あなた又は夫側から児相側に個人情報の開示申請を行い、その資料を事前に提出するよう裁判所から求められることもあります。

 

 

2.関係機関調査の順序


 関係機関調査を実施する場合、同時期に実施してしまうことが多いのですが、家庭訪問との先後では、①関係機関調査を早急に実施する場合と②家庭訪問と同時期に実施する場合とがあります。
①の進め方にするか、②の進め方にするかは、裁判官によっても異なるのですが、一般的には、②のパターンが多いかと思います。

 

 

3.まとめ


・関係機関調査とは、お子様の監護状況を確認する一環として、現在または過去に関係していた機関に対して、家庭裁判所調査官が調査をかけることである。
・関係機関調査としては、保育園・小学校、病院、児童相談所などが対象になることが多い。
・虐待の事案の場合、児童相談所への調査の重要性は非常に高いが、そうでない場合、関係機関調査はそこまで重要ではないことの方が多い。
・関係機関調査は、関係機関ごとに特徴がある。特に医療機関調査は、費用が発生する可能性がある点で注意が必要である。
・関係機関調査のタイミングは家庭訪問と同時期に行うケースが相対的に多い。

 

 

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