離婚問題

【絶対に夫に親権を渡したくない(10)】夫が親権にこだわる思惑は何か?

2022.02.07更新

弁護士秦

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかり勝つ」をモットーに、分かりやすく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

 

1.離婚の際に親権のことが一番心配


 夫婦喧嘩の中などで離婚や別居を口走ったとき、旦那側から「お前ひとりで出ていけ」とか「親権は絶対渡さないからな」と言われる経験をしたことがある方も多いと思います。
 そうでなくとも、旦那側の普段の様子から、簡単に親権を諦めないと強く予想されることもあります。
 旦那との普段の生活を顧みるとこれ以上一緒に生活できない、離婚は覚悟しているという場合でも、親権のことが非常に心配に感じるという方は多いと思います。
 今回は親権のことで、特に、夫側の思惑にスポットライトを当てて解説していきます。

 

 

2.大半のケースは、夫側のお子様への愛情の強さの表れというケースである


 今回のブログのタイトルが「夫が親権にこだわる思惑」としているため、実際にはお子様への愛情以外の理由で親権を主張する夫が多いという印象を与えてしまったかもしれません。
 ただ、実際、私が様々なケースを担当しておりますと、親権問題について激しく対立するケースでは、夫側がお子様への愛情の強さがゆえに争っているケースが大半だと感じます。いわゆる「夫が子供を溺愛している」というケースが多いということです。

 しかし、この「溺愛」というのが、あなたの方でも理解できるような形であったり、方法であれば、家庭内の不和には結びつかないのですが、理解しにくい形であったり、その方法に違和感を覚えるようなものだと、そのこと自体が離婚理由になることもあります。
 いずれにしましても、夫側がお子様を溺愛し、親権について一歩も譲らないというような場合には、離婚紛争について裁判まで視野に入れなければならないケースも多いです。

 

 

3.少数ながら「お子様への愛情」とは言えないケースとは?


 前述の通り、夫側が親権を激しく争ってくるケースでは、夫がお子様を溺愛しているケースの方が多いとは思いますが、そうではないケースも相当数あります。
奥様の目から見ていても、同居中に夫側がほとんどお子様の面倒を見たことがないとか、お子様と週末一緒に遊ぶこともほとんどなかったというようなケースですと、とても、お子様への愛情から親権を主張しているとは考えにくいです。
そのような場合、夫側の思惑としてはどのようなものがあるのでしょうか。

 私が取り扱った事件では、以下のようなケースがありました。

(1)【夫側の思惑1】とにかく勝ち負けで主張しているというケース
 男性心理として、何としても妻よりも優位に立ちたい、負けたくないという発想の男性は相当数います。その場合、とにかく勝ち負けで物事を考えますので、親権だけではなく、離婚すべきかどうかについても争ってくるケースが多いです。要するに、自分が悪くないということを証明したいと考えるのです(自分が悪くないので、離婚する理由がないし、自分が悪くないので、子供も自分の手元で育てるという発想のようです)
 このような発想が非常に強い人物ですと、「離婚に応じる」イコール「自分に悪いところがあったことを認める」という考え方になりますので、離婚を断固拒否してくることも多いです。親権を譲ることについても、「これを譲る」イコール「自分が子供に悪いことをしたことを認める」という考え方になり、激しく親権を争ってくることも多いです。

(2)【夫の思惑2】後継者としての期待
 特にお子様が男の子の場合、自分の後継者として自分の手元で育てていきたいと考えるのです。
 このケースは、夫側の両親も同じような意向を持っているケースが多く、むしろ、夫本人よりも夫の両親が、孫の親権を手放したくないと強く考えているケースもあります。
 夫側が会社を経営していたり、家業を営んでいる場合には、その仕事を子供に引き継がせたいというのもあるのでしょうが、特に家業のようなものがないケースでも、自分の名前を残しておきたいとか、昔ながらの家督承継のように、いわゆる家を継がせたいという発想で親権を主張してくるケースもあります。

(3)【夫の思惑3】夫の利己的な考え
 最後にご紹介するのは、夫側の利己的な考えによるものです。
 例えば、奥さんやお子様達が全員別居してしまいますと、夫側は広い部屋にたった一人取り残されることになっていますので、単純に寂しいので、子供と一緒に暮らしたいとか、老後の心配等があるので、子供に身の回りの世話を期待しているといったケースが該当します。

 

 

4.夫の思惑は、親権紛争に影響するか。


 親権者指定のポイントは実際には多岐に渡るのですが、その中でも特に重要なポイントは以下の7つの点に集約できると思います。
1)現在の監護状況
2)(別居前の)監護実績
3)連れ去りの違法性
4)過去の児童虐待の有無・程度
5)子供の意思
6)今後の監護計画
7)面会交流の姿勢

 そのため、夫側の思惑は、親権の判断にあたって直接影響を及ぼす事情ではありません。
 ただ、事前に夫側の思惑を予測できれば、例えば、面会交流の回数を多少融通することで、離婚裁判を避けられるとか、対応に幅を持たせることもできます。
 そのため、今後の手続の選択や対応方針を決定するにあたっては、夫側の思惑が分かるようならわかっていた方がベターと言えます。

 

 

5.まとめ


・夫が親権を強く争うケースの大半は、お子様への愛情の強さによるケースである。
・少数ながら、以下のような理由で親権を争ってくるケースもある。
 ①勝ち負けで物事を判断するがゆえに争ってくる
 ②後継者として期待している
③利己的な考え方で主張している
・ある程度夫側の思惑が分かると、今後の対応等の判断の参考になる。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(9)】こちらの体調はどこまで考慮されるか?

2022.01.31更新

弁護士秦

 

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1.離婚の際に親権のことが一番心配


 夫婦喧嘩の中などで離婚や別居を口走ったとき、旦那側から「お前ひとりで出ていけ」とか「親権は絶対渡さないからな」と言われる経験をしたことがある方も多いと思います。
 そうでなくとも、旦那側の普段の様子から、簡単に親権を諦めないと強く予想されることもあります。
 旦那との普段の生活を顧みるとこれ以上一緒に生活できない、離婚は覚悟しているという場合でも、親権のことが非常に心配に感じるという方は多いと思います。
 今回は親権のことで、特に、こちら(妻側)の体調面にスポットライトを当てて解説していきます。

 

 

2.妻側の体調はどこまで重視されるか?


(1)旦那側からどのような言い分が述べられるのか?
 旦那側が親権にこだわりを見せる理由は様々なのですが、親権を争っている以上、その理由付けをしていく必要があります。簡単に言いますと、旦那のもとでお子様を育てたほうが良いという理由付けをしなくてはいけませんので、裏を返すと「妻のところで育てていくことは不適当だ」という主張を展開してくるのです。
 概要ですが以下のような主張がなされたりします。
① 同居中から妻は飲酒量が多く、酔ってしまうと子供の面倒がおろそかになっていた
② 妻は疲労のためかボーっとしていることが多く、調理している食材を焦がしてしまったり、キッチンでボヤ騒ぎになってしまったこともある
③ 妻は持病持ちで、症状が出ているときは数日寝込んでしまうこともあったので、その間子供の面倒を見られるはずがない
④ 妻は精神疾患を患っており、感情の制御が利かないので、子供にきつく当たっていないか心配である
⑤ 妻は元々朝が弱く、専業主婦をしているときから朝食の準備をしたことがないし、子供の通学準備等をしたことすらも一切ないくらいである
⑥ 妻は元々体が弱く、そのため、一度も社会に出て働いた経験がないので、子供を一人で育てていけるとは思えない。
 上記をご覧いただくと分かりますように、半ば言いがかりに近いような主張もありますが、裁判所が、あなたの体調面で不安を感じてしまいますと不利に扱われる可能性もありますので、十分注意する必要があります。

(2)体調面はどこまで重視されるか?
 大まかに言いますと、あなたの体調面で医師の正式な診断が出ているかどうか、その症状が日常生活にどの程度の支障を及ぼすのかが大きなポイントになります。
 逆に言いますと、あなたが日常生活で多少体調を崩すことがあったとしても、「病院に行くほどではない」ということであれば、体調面が親権争いで悪影響を及ぼすことはほとんどありません。
 他方で、医師の診断が出ており、現在も通院中であるといった場合には、慎重に臨む必要になります。特に裁判所の手続きの中で、裁判所側からあなたのカルテの開示を求められるような場合には、裁判所もあなたの体調について不安を持っているという証拠ですので、必要に応じてカルテの詳細をしっかりと説明するなど、十分な準備を整えていく必要があります。

(3)体調不安を払しょくするには、働いてしまうことが端的ではある
 あなたが夫と離婚しお子様との生活を希望している場合には、遅かれ早かれ仕事に就くことが必要になってくると思います。
 そして、例えばフルタイムで週5日働いているようであれば、裁判所もあなたの体調について不安に感じることは少ないと思います。
 ただ、お子様がまだ幼いような場合には、とても週5日も働くことができないということも多いでしょうし、「働く」ということを優先した結果、お子様の育児がおろそかになってしまっては本末転倒です。
 また、専業主婦をしていた期間が長い場合には、急に週5日も働くということは一般的に難易度が高く、長続きしないこともあります。そのことであなた自身が大きく体調を崩してしまっては元も子もありません。
 そのため、実際に働き始めるということは、体調不安を払しょくする切り札になり得るものの、お子様の年齢や状況、あなた自身の体調も考慮しながら慎重に検討する必要があります。

 

(4)夫からのモラハラ等が体調不良の原因だという主張は有効か?
 私は、親権争いの事件だけではなく、モラハラ・DV離婚のケースも数多く手がけますので、「夫と一緒にいると滅入ってしまうが、別居して生活するとかなり安心して体調も良くなってきています」とおっしゃる方も多いです。
 ただ、あなたの主治医が、あなたの体調不良の原因を夫からのモラハラと明確に断言してくれれば良いのですが、なかなかそこまでは断言してくれないケースの方が多いと思います。
 そうすると、いくらモラハラ被害を数多く訴えても、そのことが体調不良につながっているということを裁判所に理解してもらうことは難しいと思います。
 もちろん、そのモラハラの内容が暴力にまで発展しているなど程度が重いケースであれば、あなたの体調不良に直接関係すると判断される可能性も高いのですが、そこまでに至らないような場合には、あまり過去の経緯を体調面と絡めて主張することは有効ではないかもしれません。

 

3.神経質になり過ぎて余計体調を崩さないことの方が大切


 旦那側も親権獲得にあたって決定打になるような言い分がない場合には、こちらの体調面を執拗に責めてくるケースもあります。ただ、その内容が言いがかりに近いような内容の場合、そのことに神経質になり過ぎてしまいますと、余計にこちらは体調を崩してしまうと思います。
 詳しい内容は弁護士にご相談されたほうが良いとは思いますが、相談している弁護士から「旦那側の言い分は言いがかりに近いですよ」といったお話があるようなら、あまり夫側の言い分を真に受けずに、粛々と手続きを進めていったほうが良いと思います。

 

 

4.まとめ


・あなたの体調面が重要視されるかは、あなたの体調について正式な医師の診断が出ているかどうかが重要である。
・正式な病名がついているような場合には、その症状が日常生活にどのような支障を及ぼしているのかという点も重要になってくる。
・体調不安を払しょくするには、あなたが働き始めてしまうのが端的だが、お子様の年齢や状況、あなたの体調面にも十分配慮する必要がある。
・あなたの体調面に絡めて同居中のモラハラを主張することは、そのモラハラ等が重い場合には有効だが、そうではない場合有効とは言いにくい。
・神経質になり過ぎて余計体調を崩さないことの方が大切である。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(8)】親権紛争で子の心情調査は避けられないのか?

2022.01.17更新

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1.離婚の際に親権のことが一番心配


 夫婦喧嘩の中などで離婚や別居を口走ったとき、旦那側から「お前ひとりで出ていけ」とか「親権は絶対渡さないからな」と言われる経験をしたことがある方も多いと思います。
 そうでなくとも、旦那側の普段の様子から、簡単に親権を諦めないと強く予想されることもあります。
 旦那との普段の生活を顧みるとこれ以上一緒に生活できない、離婚は覚悟しているという場合でも、親権のことが非常に心配に感じるという方は多いと思います。
 今回は親権のことで、特に、お子様の心情調査にスポットライトを当てて解説していきます。

 

2.子の心情調査って何だ?


 子の心情調査が不可避なものかについて解説する前に、まずは、「心情調査」というのがどのようなものなのかについて解説します。
 子の心情調査とは、お子様の意向を家庭裁判所調査官が直接顔を合わせて確認する手続きのことを言います。
 「心情調査」と堅苦しい言い方をしますと、何かの脳波検査等をするのかとか、うそ発見器をつけられて話をするのか、とか色々と心配になってしまうかもしれませんが、要するに、お子様と調査官が面接をして、その内容を調査官が聞き取る・書き取るという手続きになります。

 私もこのような事件の担当をしておりますと、ご依頼者の方からいろいろとご質問を受けるものですから、その中から特によく質問を受ける内容等について、解説していきます。

 

(1)何歳くらいから心情調査を行うのか?
 実務の様子を見ておりますと、手続きが調停中と裁判中とでは、心情調査を行う年齢に開きがある印象です。
 東京家庭裁判所の調停事件での運用を見ておりますと、就学年齢(既に小学校に通っている年齢)に達した後ですと、一般的に心情調査を行っていると思います。
 これに対して、東京家庭裁判所の訴訟事件での運用を見ておりますと、10歳以上に達した後ですと心情調査を実施することが多くなっているという印象です。
 なお、お子様が15歳以上の場合には、必ず、そのお子様の意思を確認することが法律上義務付けられています。

 

(2)どのように行うのか?
 一般的には、お母様とお子様とで裁判所に来てもらい、家庭裁判所調査官とお子様の二人だけで話をして確認するケースが多いです(つまり、お母様はその場に立ち会えず、お母様だけ裁判所の待合室等で待っているという形をとる)。なお、お子様の様子の確認等の目的で調査官補が一緒に立ち会うこともあります。
 お子様がお二人、三人というケースでも、心情調査は、個別面接で行うことが多く、兄弟姉妹全員が一緒に調査官と面談するということは基本的にしません。

 

(3)どんなことを聞かれるのか?
 一般的には現在の生活状況のこと、別居の経緯とそのことについてのお子様の認識、別居前の生活状況、今後のこと等を尋ねられることが多いです。
 調査官はご夫婦のお互いの言い分を踏まえたうえで、お子様に確認したい事項をその場で全て確認することになりますので、所要時間は1時間程度になることが多いです(但し、心情調査の直前に交流場面調査を行っている場合や別居経緯等について夫婦の意見対立が少ないなどの事情がある場合には、30分程度ということもあります。一般的にはお子様の年齢が小さいほど調査時間を短めにしようと努める調査官が多い印象です)。

(4)学校を休まなくてはいけないのか?
 一般的には、①長期休暇(夏休みとか)が近い時期に心情調査を実施する場合には、長期休暇中に心情調査するという形が多いですし、②夕方の時間に心情調査を行うという形にして、極力通学に影響しない形で日程調整することが多いです。なお、裁判所は土日祝日は開いていませんので、平日での日程調整ということになります。

(5)事前にレクチャーしておいたほうが良いのか
 たまに、どのようなことを聞かれるのかを事細かに想定して、「こう聞かれたらこう答えて」というようにきめ細かく準備しようという方もいらっしゃいます。
 ただ、このようにきめ細かい準備をすると、お子様は調査官に対して「事前に決まっていること、覚えていることを話そう」と必死に考えてしまいますので、そのことを調査官に見破られてしまうことの方が多いです。
 心情調査は、お子様の面接試験ではありませんので、①今お父さんがあなたと一緒に暮らしたいということで裁判所の手続きになっている、②そのことで調査官という人があなたの気持ちを聞きたいと言っているので、思っていることを話してね、という程度の伝え方のほうが良いと思います。

(6)家庭訪問の時に一緒にやるのか?
 一般的には家庭訪問とは別日に、裁判所の一室で実施するケースの方が多いです。
 お子様もいきなり初対面の家庭裁判所調査官に対して、率直な意見を述べることは難しいと思いますので、家庭訪問の時に、いわゆる「顔合わせ」をし、その後に「別日」で改めて詳しい事情を確認するという形を取るということです。

 

3.子の心情調査は避けられないのか?


 前述の通り、お子様が既に小学校に通う年齢(または、10歳以上)に達している場合には、通常心情調査を行います(逆に、未就学(又は10歳未満)という場合には、お子様も自分の意思等を正確に表明できないことも多いので、心情調査は行わないということの方が多いです)。
 ただ、「お子様が調査官と面接する」と聞くと、面接試験を受けるようにイメージしてしまうかもしれませんが、特に調査官もお子様を問い詰めたりはしませんので、面接試験というのとは異なります。
 お子様にとっては心理的負担となる手続きではありますが、親権者が決まると、お子様は父親と母親どちらかと一緒に暮らしていかなければならず、このことは、お子様にとっても非常に大事なお話になります。そのため、裁判所も、お子様の意向を確認しておきたいということになるのです。

 

4.まとめ


・お子様が就学年齢に達していると、通常心情調査が実施される。
・心情調査は、お子様の面接試験というのとは性格が異なる。
・心情調査は、裁判所内の一室で調査官とお子様の二人が面接して行う形がオーソドックスである。
・心情調査の所要時間は1時間から1時間半程度のことが多い。
・心情調査の日程は学校の予定等にも極力配慮してくれる。
・心情調査はお子様の面接試験ではないので、細かいレクチャーはしない方が良い。

 

 

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【絶対に夫に親権を渡したくない(7)】親権紛争で家庭訪問は避けられないのか?

2022.01.10更新

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1.離婚の際に親権のことが一番心配


 夫婦喧嘩の中などで離婚や別居を口走ったとき、旦那側から「お前ひとりで出ていけ」とか「親権は絶対渡さないからな」と言われる経験をしたことがある方も多いと思います。
 そうでなくとも、旦那側の普段の様子から、簡単に親権を諦めないと強く予想されることもあります。
 旦那との普段の生活を顧みるとこれ以上一緒に生活できない、離婚は覚悟しているという場合でも、親権のことが非常に心配に感じるという方は多いと思います。
 今回は親権のことで、特に、家庭訪問にスポットライトを当てて解説していきます。

 

 

2.家庭訪問は避けられないのか?


 夫側が親権獲得に強いこだわりを見せる場合、ほとんどのケースで家庭訪問を実施します。
 但し、例えば、夫側が実際には面会交流の交渉を有利に進めるために親権を争ってきていることが明らかなケースで、あなたの方でも面会交流で多少は妥協するという場合には、話し合い又は調停で解決して、家庭訪問まで進まないケースもあります。

 

3.実際の家庭訪問は?


(1)誰が来るのか?
 家庭訪問と聞くと、「実際誰が来るの?」というのが一番の疑問かと思います。
 家庭訪問は家庭裁判所調査官が訪問します。この家庭裁判所調査官とは、家庭裁判所の手続きで必要な調査を行うことを主な業務とする裁判所職員のことを言います。
 家庭裁判所調査官は、心理学といった人間科学の知見を持っていますので、そのような知見を活かした調査を実施していくことになるのですが、その調査の一環として家庭訪問も実施するのです。

 通常は、家庭訪問の前に、調査官面接を実施するのですが、その調査官面接を担当した調査官が家庭訪問するケースが多いです。

(2)何をしに来るのか?
 イメージとしては、お子様の生活環境や普段の生活ぶりを確認しに来るということになります。
 いわゆる小学校の先生が自宅訪問に来た際には、母親であるあなたやお子様と話をして帰るというイメージだと思いますが、家庭裁判所調査官の調査は、現在の生活環境がお子様の福祉にかなうものかという観点から行いますので、より分かりやすく言いますと、より突っ込んだ調査になります。

 このように言いますと、「いろいろと根掘り葉掘り質問されるのか?」と身構えてしまいそうですが、たくさん質問されるというよりは、家庭訪問の際のお子さまの様子やあなたとお子様との接し方等について細かくチェックしているというイメージになります。
 実際の家庭訪問にはチェック項目があり、事前に対策を行っておく必要がありますので、詳しくご確認になりたい方は弁護士秦(はた)までお気軽にご相談ください。

4.家庭訪問の回数は1回だけ?


 通常、一つの離婚事件については、家庭訪問は1回というケースが多いです。
 但し、お子様に関して複数の事件が提起されていて、一回目の家庭訪問からかなり期間が空いているようなときには、再度家庭訪問が行われることもあります。
 例えば、旦那側から監護者指定審判の申立が行われ、その手続きの中で家庭訪問が行われ、その手続きは一旦終了したとします。その後、あなたの方から離婚調停を起こし、調停手続きを進めていたが、財産分与の整理に時間がかかってしまって2年ほどが経過、結局調停では決着がつかず、離婚訴訟で本格的な親権紛争に至った場合、その訴訟手続きの中で再度の家庭訪問が行われるということもあります。

 再度の家庭訪問が実施されるかどうかは、①1回目の家庭訪問からどれだけ期間が空いているか、②1回目の家庭訪問後のこちらの家庭環境の変化の程度(例えば、1回目の家庭訪問時には都会で暮らしていたが、この間実家での地方暮らしになったとか)、③旦那側が指摘するこちらの監護状況の問題点の内容、④1回目の家庭訪問でどこまでの調査を実施したかといった点を総合して検討されますので、詳しくは弁護士に相談してみて下さい。

 

5.家庭訪問が行われてしまうとこちらの所在がバレてしまう?


 あなたが旦那様に対して現住所を秘密にしている場合、家庭訪問を行うことで現住所がバレてしまうことを心配すると思います。
 ただ、実際こちらの住所を秘密にしている場合、家庭裁判所調査官も、調査報告書に盛り込む内容等をこちらに相談してくれることが多いので、家庭訪問をしたからと言って、こちらの住所がバレる可能性は非常に低いとお考え下さい。

 

6.まとめ


・旦那側が親権に強いこだわりを見せる場合、ほとんどのケースでは家庭訪問を実施する。
・家庭訪問は家庭裁判所調査官が訪問してくる。
・家庭訪問は、お子様の生活環境や生活ぶりを調査しに来る。
・同じ離婚事件で行う家庭訪問は1回きりのことが多い。

 

 

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