離婚問題

夫が突然監護者指定審判を起こしてきた(34)―夫から浮気を疑われていることはどこまで影響するか

2022.11.14更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋(神田至近)の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
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1.そもそも「監護者」って何だ?


 

(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

(4)監護者指定審判とは?
 離婚が正式に成立するまでは、お子様の親権は夫婦の共同親権になるのですが、このような共同親権の中でも監護権のみを切り出して、監護権を取得するものを夫婦どちらかに指定して欲しいという審判が監護者指定審判の手続きになります。
 「審判」というと聞き慣れないかもしれませんが、調停のように話し合いの手続きではなく、裁判官が強制的に監護者を指定する手続きになります。

 

2.夫から浮気を疑われている


 夫から浮気を疑われているという場合、その浮気が事実なのかどうかによって対応が異なってきます。
 なお、ここでの「浮気」というのは、法律上の不貞行為を意味する言葉として使っておりまして、要するに夫以外の男性と肉体関係に及ぶことを意味します。他の男性と二人で食事に行くこと等は含まないという前提で解説していきます。

 

3.【ケース1】浮気は事実ではないし、それを疑われる事情もないケース


 例えば、こちらが別居を開始したことについて、夫側が、「浮気しているに違いない」などと勝手に想像しているケースなどです。
 その場合には、あなたが浮気しているという事実がありませんし、そのような事実がない以上、疑わしい証拠や事実もないため、夫側が「浮気している」と主張していたとしても、当然監護者指定事件への影響は全くありません。

4.【ケース2】浮気は事実ではないが、疑わしい事情はあるケース


(1)どんなケースか?
 浮気が事実ではないので、それが疑われるということが分かりにくいかもしれませんが、例えば以下のようなケースなどです。
 例えば、別居後、知人を含めた4,5人でシェハウスに住んでいるが、その中に男性も含まれている。特にその男性と関係はないが、その男性と二人で食事に行っているところを夫側の探偵に写真を取られてしまったとか、その男性と日帰りで遊びに出かけたことがあって、その時のメールのやりとりが証拠で提出されてしまったといったケースになります。
 浮気の確たる証拠はないのですが、普段の生活がその男性も含めたものでして、そのことに加え、男性と出かけた証拠もあるとなると、浮気が「疑わしい」状況ではあると思います。

(2)そもそも浮気と監護者は関係があるのか?
 そもそも、浮気の問題と監護者の問題が関係あるのか?という点ですが、基本的には、浮気の問題は、夫婦の間の問題でして、監護者の問題とは切り離されて取り扱われることが多いです。
 要するに、浮気の確たる証拠があるならば、夫側はあなたに対して慰謝料請求をすることができるなど、夫婦としての紛争にはなっても、お子さんを育てていくにあたって的確なのかどうかとは基本的に別問題だということです。
 しかし、浮気との関係であなたの夜間の外出が頻繁だとか、あなたとその男性との外出にお子様も同行させていて、お子様の就寝時間がかなり遅くなることが多いという場合には、それは、お子様の育児にも関わってくる問題になります。
 このように「浮気を疑われる状況がある」ことそのものは監護者選びに直接関係しませんが、そのことでお子様の育児が疎かになったりする場合、その限度では問題になることもあるのです。

 

5.【ケース3】浮気は事実だが、夫側が全く証明できていない場合


 仮に浮気が事実だとしても、そのことを夫側が全く証明できていない場合には、敢えてご自身に不利な対応をする必要はないかと思われます。
 証拠がない以上、裁判所も、浮気の事実はないものとして、監護者指定の問題を審理していくことになります。

 

6.【ケース4】浮気は事実で、夫側にかなりの証拠を握られてしまっている場合


 実際にあなたが浮気をしていて、夫側にかなりの証拠を握られてしまっている場合でも、前述の通り、浮気そのものは、監護者選びには直接影響しません。
 ただ、この場合、大きく2点問題となることが多いです。

(1) 浮気を認めるか
 夫側は、あなたが浮気しているという事実を強く主張してきて、「そのような不健全な親に監護者を任せることはできない」と強く責めてくることが多いです。
 このケースでは、浮気の証拠を握られてしまっているため、浮気そのものを否定することは得策ではないことが多いです。なぜなら、浮気の証拠がある以上、裁判所は、浮気があることを前提に審理を進めますし、あなたが「浮気は事実ではない」と言い張ると、裁判所から見て「嘘をつく人」と見られてしまうリスクがあるからです。

(2) 住居の問題
 浮気をして別居しているケースの場合、新居に浮気相手が関わっているケースが多いです。
 別居先が正に浮気相手の家で、お子様とあなた、浮気相手の3人で暮らしているケースとか、一緒に住んではいないけれども、新居は浮気相手が経営する会社名義の部屋であるといったケースです。
 そのような場合には、新居がお子様の福祉にかなう生活環境と言えるのか、その住居の安定性が保たれているのかという観点から審査が行われることになります。

 このように夫側に浮気の証拠を握られている場合には、監護者指定との関係でどのように対応すべきかの判断が難しいケースも多いため、早めに弁護士に相談した方が無難かと思います。

 

 

6.まとめ


・浮気を疑われていると一口に言っても複数のケースが想定されるので、ケース分けが必要である。
・実際には浮気の事実などなく、疑わしい事情もないなら何も心配はいらない。
・実際には浮気の事実がないとしても、それが疑われる事情があるのであれば、そのことがお子様の育児面で影響がないかの確認が必要になる。
・実は浮気しているが、夫側に確たる証拠がないならば、敢えてこちらから不利になる対応をする必要はないものと思われる。
・実は浮気していて、夫が確たる証拠を持っている場合、浮気は認めた上で、育児面への影響の検討が必要になる。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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