離婚するかしないか

粘り勝ち!離婚断固拒否のDV夫と離婚したケース

2016.03.25更新

弁護士秦

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1.DV夫の考え方には共通点がある?


 

 

  私が離婚事件のご依頼を受けて、DV暴力をふるう夫側に対して離婚を切り出す場合、夫側から離婚を拒否される比率が圧倒的に高いように思われます。

 

では、夫側はどうして離婚を拒否するのでしょうか。

 

  私が担当した数々のケースを見ていますと、DV夫は、以下のような傾向をお持ちの方が多いように思えます(勿論いろいろな方がいらっしゃいますので一括りにできない部分もあります)。

 

・相手の痛みを理解できない、理解しようとしない。 

・夫本人のこだわりがあって、こだわる部分に反する意見や行動が許せない。

・言うことを聞かない相手や約束を守れない相手には暴力をふるっても問題ないと考えている。

・(飲酒時に暴力をふるう方の場合)飲酒すると気が大きくなる。

・(飲酒時に暴力をふるう方の場合)飲酒すると非常に短気になる。

 

 このような利己的な考え方を持っているため、奥様の方から離婚を切り出されたということそのものに反発してくる夫もいます。

 

 いずれにしましても、DV夫と離婚するにあたっては、慎重に手続を進めて行く必要がありますので、早めに弁護士等の専門家を入れることをオススメします。

 

 

2.私が担当した事件        


 

 

①ご依頼者様 : 30代後半の女性(Uさんとします)

②ご依頼内容 : 旦那様からのDV暴力に耐えられないので、離婚したいが、当事者同士で話をしても進展しないので早期に離婚したいとのご依頼内容でした。

 

③関係者概要等

この事件の相手方: 40代前半の旦那様 、 お子様: ご依頼者様の連れ子お二人と、実子(ご長男様)お一人 、 婚姻期間: 5年程度 、 家庭環境: ご依頼時同居、その後別居開始というケースでした。

④DVの概要 

こちらに当たる様に物を投げつけてくる。引っ張り倒す。壁に押しつけてきた上で首を絞める。蹴りつけてくる等々

 

 

3.まずはUさんからしっかりお話を聞くこと


 

 まずは、DV被害の実態の確認をしました。Uさんからは診断書といった証拠をお持ちいただき、そのときのDV被害はもちろん、いつ頃からDVが始まったのか、どの程度の頻度でDVが行われてきたのか、特にDVのひどかった時期はいつ頃で、どのようなDV暴力が行われたのかについて詳しく聞き取りをしました。

 

 DV被害を受けられた方にとって、過去のDV被害をお話しいただくことはつらい作業になりますが、その全容を知っておかなければキチンとした弁護活動は行えません。そのため、時間をかけてゆっくりと被害の全容をお話しいただきました。

 

 このようにUさんからじっくりとお話を聞くと、DV夫の人柄を多少なりとも理解できますので、ある程度旦那様の反応を見越したうえで弁護活動を行うこともできます。

 

 

 

4.相手からの調停申立        


 

 私は、Uさんのご依頼を受けて、離婚調停の申立を準備していたのですが、逆にDV夫の方から先に調停の申立がなされました。

 

 夫側が申し立てた調停は、夫婦の円満解決を求めるものでした。夫側の言い分では、Uさんとぎくしゃくしたことはあったが、仲直りできた、仲直りにあたってはお互い今後の生活上の約束事があるので、約束事を裁判所にも立ち会って約束してもらうために調停を申し立てたというものでした。

 

 

5.調停の場でのやり取り      


 

 夫側は上記のように、Uさんと仲直りできることを前提として話を進めていましたので、こちら側としては、DV夫と一緒に生活して行く気持ちが全くないことを強く訴えました。

 

 これに対して、夫側の反応は、Uさんのことを愛しているので何とかヨリを戻したい、今離婚することは小さいお子様にとって可哀想過ぎるというもので、絶対に離婚には応じたくないというものでした。

 

  このように、夫側が復縁にこだわる場合には、夫側から、今後の生活の改善点を提案してくることが往々にしてあります。

 たとえば、今回のケースでも「仕事が忙しいとストレスが貯まってイライラして、Uさんに対してきつくあたってしまうこともあったので、今後は上司と相談して仕事の分量を減らす様にする」とか「仕事が忙しく、Uさんやお子さんとしっかりと向き合う時間がなかったので、今後は仕事の量を減らしたことで積極的に家族サービスする」といった提案がありました。

 これに対しては、これまでの結婚生活を振り返ると、今後そのような約束が実行される可能性は低いこと、仮に約束を守ったとしても夫側に対する愛情は残っていないので、復縁の道はないことを、しっかりと調停委員に伝えました。

 

 また、Uさんとしては、調停がうまくいかなかった場合には、裁判も辞さないという強い気持ちを持っていると言うことも伝えました。実際、Uさんは、夫側からの暴力に随分悩まされておりましたので、裁判をしてでも離婚したいという強いお気持ちを持っていました。 

 

 第1回目の調停でDV夫は離婚拒否の姿勢を示し、第2回目も全く同様の姿勢で変化がありませんでした。しかし、DV夫の言い分に対して逐一しっかりと反論を繰り返し、また、こちらが粘り強くヨリを戻す意思がないことを強く訴え続けました。

 すると、おっとがわも第3回目の調停には離婚も致し方ないとの意見に変わっていました。

 

 事前に調停委員からは、第3回目の調停で夫側が全く離婚の意思がない場合には、その日に調停を不成立にする予定であるとのお話がありましたので、ギリギリ離婚の方向性を決めることができた形になります。

 

 

6.解決                 


 

 その後DV夫側はお子様の親権を主張するなど抵抗を続けたため、調停でのやり取りが続いたのですが、最終的にはUさんが親権を取得して離婚することができました。

 

 

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