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【絶対に離婚したくない(37)】いきなり離婚調停って、どうしてこんな目に遭わなければいけないのでしょうか?

2024.11.18更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.いきなり離婚調停の案内が来た


 相手が弁護士を立ててきたので、話し合いをするのかと思いきや、いきなり離婚調停の案内が来ることもあります。相手の弁護士から手紙が届き、その手紙の中に、離婚調停を起こすことにした旨と、追って裁判所から連絡が来るのであなたの言い分はその調停で述べてくださいといった旨が書かれているといったケースです。

 相手が急に出て言って驚いているところに、相手の弁護士は話し合いの余地すら認めないような態度で、二重に驚いたという感覚に陥ってしまうと思います。

 

 

2.暴力や浮気ならまだ分かるけど…


 あなたが相手に暴力をふるって怪我をさせてしまったとか、浮気をしてしまったということなら、相手にこのような対応を取られても、ある程度はやむを得ないと割り切れるかもしれません。

 しかし、あなたの方としてこのような重大な離婚原因を作っていないような場合には、割り切れませんし、私に対しても、「暴力をふるったり、浮気をしたわけでもないのに、このような仕打ちはあんまりだと思います」とおっしゃる方も多くいます。経緯に鑑みますと、このように感じてしまうことは当然のことだと思います。

 

 

3.どうしていきなり調停なのか?


 いずれにせよ、あなたとしては、どうしていきなり調停なのか、相手が何を考えて調停を起こしてきたのかについては非常に気になるところかと思います。

 実際、どのようなパターンが多いのかという観点から解説していきます。

 

(1)【大前提】いきなり裁判は起こせない

 最も強硬な手段としては、いきなり離婚裁判を起こすという進め方になるのですが、日本の法律は調停前置主義を取っていますので、離婚調停をせずにいきなり離婚裁判を起こすということはできません。

 そのため、まずは、離婚調停を起こす必要があります。

 

 

(2)【相手弁護士の思惑①】自身の言い分にかなり自信を持っているのか?

 前述のように、いきなり相手の弁護士から離婚調停を予告されたので、びっくりしてしまうという方が大半ではないかと思います。
 私のところにも、このように驚いて、ともかく事態を把握したいので相談にいらっしゃるという方も多くいます。
 このようにご相談に来られた方がよく口にするのが「これは、よほど自信があるからいきなり調停を起こしてきたんですよね」というご質問です。
 要するに、相手が自身の言い分にかなり自信があるから、離婚協議等を経ずにいきなり調停を起こしても大丈夫だと考えた、という発想のようです。

 

 しかし、離婚調停手続きは、裁判所を利用しますが、あくまで話し合いの手続です。

 そのため、自身の主張に自信があるかどうかとはあまり関係がないというケースの方が多いと思います(要するに、裁判の手続でしたら、普通はかなり自信がないといきなり裁判は起こしてこないと思いますが、裁判と調停は別の手続ですから、同じようには考えられないということです)。

 

 

(3)【相手弁護士の思惑②】相手弁護士の普段のスタイルなだけ

 実際の相手弁護士の様子を見ていると、何か特別な思惑があってやっているというよりも、相手弁護士の普段のスタイルなだけであるということがかなり多い印象です。
 つまり、弁護士には、それぞれ自分なりの仕事の進め方がありますが、今回相手が雇った弁護士は、離婚事件を処理する際には、離婚協議等はせずにいきなり調停を起こすという進め方をしているということです。

 

 そのため、相手弁護士としてみれば、特に特別な進め方をしているという認識はないのです。
 私がご相談を受けている印象ですと、最近は、このようにいきなり調停を起こすという進め方をする弁護士がかなり増えてきているよう印象です。
 そのため、いきなり調停を起こされたからと言って、それほど不安に感じなくても良いと思います。

 

 

(4)【相手弁護士の思惑③】相手の言い分がDV等の場合

 前述のように、相手弁護士が普段からいきなり調停を起こすというスタイルの弁護士もいれば、そうでない弁護士もいます。「そうでない弁護士」の場合でも、今回でけは理由があって、いきなり調停を起こしてきているというケースもあります。
 このような理由としてよく挙がるのが、DVのケースです。
 要するに、相手の言い分だと、「夫からのDVがひどい」とか「妻はヒステリックで暴れ始めると手が付けられない」というものなので、弁護士も、話し合いによる解決は難しいだろうと判断して、いきなり調停を起こしてきているのです。
 もちろん、離婚協議が順調に進んで、協議離婚によって解決できれば、その方が時間の短縮になるというメリットがあります。しかし、話し合いの可能性が低い場合、協議離婚にかけている時間は、かえって早期解決の妨げになることもあるのです。
 また、調停という裁判所の手続中であれば、こちら側の行動を一定程度牽制できると、相手が考えているケースもあります。

 

 

4.それほど「まずい」と考えない方が良い


 前述の通り、いきなり調停が起こされたとしても、それが相手弁護士の普段のスタイルなだけであるとか、相手本人の言い分に引きずられて、いきなり調停を起こしてきているなど、特段大きな意味合いはないということの方が多いと思います。

 いきなり調停を起こされてしまいますと、あなたとしては「本当にまずいことになった」と感じてしまうかもしれませんが、前述のようにそこまで重大な意味はないことの方が多いため、まずは落ち着いて冷静に対応した方が良いと思います。

 

 

5.まとめ


・いきなり調停を起こされたからと言って、一概に、相手が自信満々というわけではない

・いきなり調停を起こすことが相手弁護士の普段のスタイルということも多い。

・相手弁護士が相手本人の言い分に引きずられて、いきなり調停を起こしていることもある。

・いずれにせよ、いきなり調停になったからと言って「本当にまずいことになった」と思う必要はない。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(36)】仲良くしたいのに闘わないといけないのでしょうか?

2024.11.18更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.「離婚したくない」と主張することそのものが相手の癇に障るんじゃないのか?


 相手が強く離婚を要求してきている場合、こちらが「離婚したくない」と主張すること自体が、相手の癇に障るのではないか、ということは一つの問題と言えます。

 ただ、離婚に応じると法律上「他人」になってしまうわけですから、離婚に応じるかどうかはあなたの今後の人生にとって非常に重大な決断になります。

 そのため、例え、相手の癇に障ることになっても、あなた自身が夫婦関係修復を強く希望するのであれば、「離婚したくない」と主張することになりますし、そのことを責められる謂れはありません。

 

 

2.こちらは仲良くしたいのに「闘わざるを得ない」のでは?


 そうはいっても、あなたとしては、相手との夫婦関係を修復したいわけですから、「闘いたい」わけではありません。

 しかしながら、相手から離婚調停を起こされるなどした場合、全て相手の言いなりになってしまうと、離婚に応じざるを得ないということになってしまって、自己矛盾が生じます。

 そのため、相手が弁護士を立てて責めてきた場合や、調停に持ち込まれた場合など、対応を慎重に検討しなければならないことも多いです。

 以下では、実際に私が担当した事件で、どのように対応しているのかといった点について解説していきます。離婚の問題は、離婚協議→離婚調停→離婚裁判という順番で手続きが進んでいきますので、それぞれの段階で、どのように対応するのが良いかを解説していきます。

 

 

3.実際の交渉段階での対応方法は?


 まず、相手が弁護士を立ててあなたにコンタクトを取ってきた場合には、相手の離婚意思が固いことを伝えられて、あなた自身の考え方を聞かれるのが一般的です。

 相手が離婚を決意した理由については、あまり詳細を伝えてこないケースが多い気がしますが、あなたの方から詳細を尋ねると回答してくれることもあります。

 あなたの方で、気持ちの整理がつかない場合には、気持ちの整理がつかないので十分な検討期間がほしい旨打診することもありますし、離婚したくないという意思が固い場合には、離婚したくない旨を伝えていくことになります。

 

 協議離婚の段階で、私が代理人に就くケースは稀なのですが(相手を刺激しないために、弁護士を立てないケースが多いため)、私が交渉段階から調停に入る場合にも、基本的な対応方法は同じです。

 なお、離婚に応じたくない旨を伝えると、その理由を尋ねられますので、相手への愛情を失っていないとか、お子様達のことを考えて離婚したくないといった簡単な説明をすることが多いです(あまり詳しい説明をすると相手との対立構造に陥ってしまうので、避けるという意味です)。

 

 

4.実際の調停段階での対応方法は?


 前述のように、交渉段階で離婚したくない旨を伝えると、比較的早い段階で相手側が離婚調停を申し立ててくることが多いです(なお、弁護士によっては、離婚協議をほとんどしないで、いきなり調停を起こしてくる弁護士もいます)。

 調停段階での対応方法は、交渉段階の時よりも多少複雑で、①調停委員から事情を聞かれるので、どのように答えるかをある程度想定しておく必要がある、②改善計画を述べる必要がある、③説明文書の提出をすべきかというのが大きな違いとなります。

 

(1)調停委員から事情を聞かれた際の答え方

 調停委員から事情を聞かれた際の答え方は、基本的には、あなたの記憶に基づいて回答していくことになりますが、相手が虚偽を述べている場合や誇張をしている場合には、実際の事実を丁寧に説明していくことになります(特に、相手を批判するわけではなく、調停委員の誤解を解くように説明をしていくことになります)。

 実際には、あなたが弁護士を雇っている場合には、調停の席で相手がどのように言ってくるのかをある程度想定して、どのように回答するのかを事前に検討しておくことが多いと思います。

 なお、調停の席で夫婦の認識が大きくずれるというケースは多いため、調停委員も、そのことで強い違和感を覚えるようなケースは少ないです。

 

(2)改善計画を練る

 事前にしっかりと準備ができているようでしたら、答弁書に改善計画を記載してしまうことの方が多いです。

 改善計画には、相手が離婚したいと主張する理由に対して、あなたがどのように改善していくのかを記載することになります。例えば、相手が、あなたの深酒を気にしている場合には、今後は禁酒するとか、仕事上の付き合いの飲み会以外は一切飲まないといったことを改善計画に書き込むことになります。

 なお、相手の離婚理由がまだ不明確な段階の場合、調停の席などで、相手の離婚理由がはっきりとしてから、改善計画を立てていくというケースもあります。

 

(3)説明文書を提出すべきか

 私がご相談を受けていると、「調停委員にも詳しく事情を知っておいて欲しいので、20ページくらい説明文書を作成しました」といったご相談を受けることがあります。

 ただ、長文の説明文書を提出することはリスクが大きいので、避けるようアドバイスすることが多いです。

 長文の説明文書を提出すると、相手が弁護士を付けていた場合に、その弁護士から揚げ足取りなどに使われてしまうというのが最も大きなリスクです。このリスクは、こちらが長文の説明文書を書けば書くほど高くなってしまいます(それだけ揚げ足取りの材料を提供することになってしまうため)。

 また、長文にするとあなたの気持ちが調停委員に伝わりにくくなってしまうという面もあります(率直に「私はまだ妻のことを愛しているんです」の方がストレートに思いが伝わります。

 そのため、私の方からは「一旦そのような説明文書は提出しない方が良いですよ」とか「あなたが今後改善していきたいというところに絞って提出した方が良いですよ」とアドバイスすることが多いです。

 

(4)結局、調停委員は、あなたの修復意思の固さを一番気にする

 離婚するかどうかは、あなたの人生にとっても重大な決断ですので、あなたが強く夫婦関係の修復を希望しているのに、調停委員が離婚を強要してくるようなことはありません。

 実際にも、調停委員は、あなた自身の関係修復の意思がどれくらい固いのかについて強い関心を持つことが多いです(逆に、あなたが離婚にしようか悩んでいるような様子を見せると、調停委員は、離婚を勧めてくることもあります)。

 そのため、あなたが夫婦関係を修復したいという揺るぎない意志を持っていると示すことができれば、調停委員も、あまり細かく過去の事実を確認等せずに、調停手続きを進めることができることが多いです。

 

(5)あくまで調停は話し合いの場

 あくまで調停は、話し合いの場ですから、あなたの関係修復意思の強さを示して、後は、過去の事実に関する細かい議論を避ければ、調停の場で相手と必要以上に闘うことは避けられることが多いです。

 前述のように、最低限、相手の主張の虚偽や誇張については、「私の認識はこうなんです」というように否定すれば良く、そのことで相手との「闘い」を避けて対応する進め方が賢い進め方になります。

 

 

5.実際の裁判段階での対応方法は?


 相手が離婚裁判まで起こしてきた場合、相手の主張に対してしっかりと反論しないと敗訴してしまいますので、しっかりとした対応が必要になります。

 ただ、相手の言い分一つ一つに事細かに反論していくのかと言いますと、イメージとしましては、「相手の証拠に対して反論していく」という作業になります。

 何を言っているのかと言いますと、例えば、相手が、あなたからこういう風に言われたとか、こういうことをされたという言い分を述べていても、実際、その裏付けはほとんどないということも多いです(口頭でのやり取りなので、裏付けがほとんどないのです)。そのような場合、相手の言い分には裏付けがほとんどないのですから、簡潔に反論して済ませるようにするのです。

 このようにすることで、必要以上に相手の反感を買うことを避けることができます。

 

 なお、裁判官は、相手の言い分をそのまま鵜呑みにすることはなく、相手がどのような証拠を提出してきているのか、その証拠からどのような事実を認めることができるのかという点に強い関心を持ちます。

 そのため、私は、裁判については「裏付け勝負ですよ」と説明することが多いのですが、相手の裏付けの内容を注視して、こちらの反論を組み立てていくようにしています。

 また、裁判序盤では、あなたの「本当は争いたくない気持ち」を書面にも明記して、関係修復を切に願う気持ちを書き記すことが多いです。

 

 

6.まとめ


・「離婚したくない」と主張することそのものが相手の癇に障る可能性は高いが、そこはあなた自身の人生に関わる重大事なので、あなたの気持ちで結論を出すべきである。

・【離婚協議の段階】離婚協議の段階では、あなたの関係修復意思を強く示せば、相手の弁護士もあまり深入りしてこないことが多いので、大きな対立を生じさせずに済ませられることが多い。

・【離婚調停の段階】最低限、相手の主張の虚偽や誇張に関してはコメントする必要があるが、事細かに反論する必要はない。

 あなたの関係修復意思の強さを示すのが胆である。

・【離婚裁判の段階】敗訴を避けるためにはしっかりと反論しなければならないが、相手の裏付けに対して反論するという視点が大事である。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(35)】こんな闘いをいつまで続けないといけないんでしょうか?

2024.11.04更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.別居や離婚は人生の中で精神的ストレスが特にかかりやすい出来事とされている


 一般的に、別居や離婚は、人生の中でも特に精神的ストレスがかかりやすい出来事されています。

 そのため、相手配偶者が突如別居してしまい、そのことで大きな精神的ストレスを感じることは、通常の反応と言えます。

 そして、このように強い精神的ストレスを抱えているからこそ、「出口はいつ頃に見えてくるのか?」ということが気になる方も多いと思います。

 もちろん、このような争っている期間は短いに越したことはないのですが、今後の人生に関わる大事なお話でもありますので、時間がかかってしまうということも多いのが実情です。

 以下では、こんな闘いをいつまで続けないといけないのか?という点について、具体的に解説していきます。

 

 

2.実は結論は大きく3パターンある


 皆さん、相手から離婚を迫られていますので、離婚に応じるか、円満に関係を修復するのかの2択だとお考えの方も多いと思いますが、実際には、大まかに3パターンに分かれます。

 

(1)【パターン①】円満に関係を修復できたパターン

 一番理想的なパターンでして、一度出て行った相手が戻ってきて、家族全員で同居して生活を再開するというパターンです。

 なお、後述の通り、最終的に同居再開に至るものの、それまでにかなりの期間を要した、というケースもあります。

 

(2)【パターン②】こちらも離婚に応じることにしたパターン

 こちらの不貞行為が相手にバレてしまった場合や、離婚裁判をするとなると負担が大きいため調停で離婚に応じた場合など、あなた自身の決断で離婚に応じることにしたというパターンです。

 この場合にも、仮に離婚が争点ではなくなったとしても、親権や財産分与などが問題になり、その調整で時間がかかるというケースもあります。

 

(3)【パターン③】別居婚が長期化するパターン

 相手が弁護士を立てていない場合、弁護士を立てて争うことや調停を起こすことにためらいがあって、別居状態が長期間続く、というパターンもあります。

 また、相手が弁護士を立ててきた場合、通常は、離婚協議→離婚調停→離婚裁判という経路をたどるのですが、離婚裁判でこちらが勝訴すると、相手がそれ以上に何もしてこなくなるというケースもあります(実際には、2度目の離婚裁判を起こしてくる人も多いです)。更には、相手が弁護士を立てて離婚調停を起こしたものの、調停が決裂し、そのままの状態が長期的に続くというパターンもあります。

 

 

3.最終的に修復したケースでかかった期間等


 私が直接担当したケースや、私が相談を受け、ご本人が対応することで修復に結び付いたケースなどを見ておりますと、修復までに要する期間は、「かなりばらつきが大きい」というのが率直な感想です。
 ただ、手続きがどの程度進んでしまったのかに応じて、一定の傾向などをお示しすることはできますので、以下解説していきます。

 

(1)【ケース1】相手が弁護士を立てずに対応したケース

 相手が突如別居を開始してしまったり、調停を起こしたりなどしたが、結局弁護士を立てなかったケースです。
 このケースですと、夫婦関係修復までにあまり期間を要しないケースも多い印象です。
 本当に短期間のケースですと、①妻の短期間の家出ということで1か月くらいで解決しました、とか、②夫の海外出張に同行するという大きな決断をすることになりましたが、同行して生活していくと円満な家庭を築けていますといったお話を伺うことも多いです。
 他方で、夫婦関係の軋轢が深く、①一旦はこのまま別居させて欲しいと言われてしまい半年は別居期間が続きました、とか、②調停委員からもあまり焦らない方が良いと言われてしまい、1年別居を経ての同居再開という条件になってしまいました、といったお話を聞くこともあります。

 

(2)【ケース2】相手が弁護士を立ててきたケース

 相手が弁護士を立ててきたケースですと、残念ながら、夫婦関係修復の可能性が下がる傾向が強いです。
 相手も弁護士を立てているくらいですから、離婚の意思が強いことが多く、どうしても夫婦関係修復に向けての話し合いに進まないことが多いのです。
 私が実際に担当したケースでも、夫婦関係修復までの期間は様々という印象でして、①半年ほどの調停期間を経て無事に同居にまで結びつけられたというケースもあれば、②調停自体は4か月ほどで終了したのだけれども、そのあと2年ほどが経ってようやく家族同居にこぎ着けたというケースもあります。

 

(3)【ケース3】相手が弁護士を立てて離婚裁判を起こしてきたケース

 はじめにお話しておきますが、離婚事件についてはいきなり裁判を起こすということはできません。特別な事情がない限り、まずは、離婚調停という手続きを踏んだ後でないと、離婚裁判を起こすことはできないのです。
 このようにして、相手が離婚調停を起こし、その後、離婚裁判まで起こしてきたという場合でも、相手の離婚請求棄却、要するに、裁判所から「現時点では離婚不相当」という結論を得たことはあります。
 ただ、その場合でも、夫婦関係の修復に結び付いたのかと言いますと、残念ながら、冷却期間が長引いているだけとなってしまうことが多いかと思います。
 離婚裁判はそれ自体がお互いにとって負担が大きく、結論として「現時点では離婚不相当」という結論を得ても、なかなか夫婦関係修復の道筋を描くことが難しいのです。

 

 

4.残念ながら離婚で決着させることにしたケース


前述のように、こちらの不貞行為が相手にバレてしまった場合や、離婚裁判をするとなると負担が大きいため調停で離婚に応じた場合など、あなた自身の決断で離婚に応じることにしたというパターンです。

この場合でも、あなたが離婚に応じることにした後に、お子様の親権や財産分与についての議論をしなければなりません。

このような議論にあまり時間をかけずに決着できる場合には、あなたが離婚に応じることに決めてから半年程度で手続きが終わるケースもありますが、長引くと1年や1年半程度がかかってしまうケースもあります。

また、親権についての対立が激しいと、実質親権者を決めるために離婚裁判をすることになりますので、やはり、裁判だけで1年とか1年半かかってしまうこともあります。

 

 

5.決着までに長くかかるから、という理由で関係修復を諦めないで欲しい


 前述のように、決着までには時間がかかってしまうケースも多いです。

 このようなことを聞くと「そんなに長い期間争うのは大変なので離婚に応じることにしようかと思います」という反応を示す方もいます。もちろん、あなた自身がそのように覚悟したのでしたら、私は止めることはしません。

 ただ、離婚に応じるか応じないかは、今後のあなたの人生にとって非常に大事な決断です。そのため、その決断を、後から振り返ったときに後悔するようなことはしないで欲しいと強く思います。

 

 

6.まとめ


・離婚紛争の決着の付け方としては、同居再開、離婚以外にも、別居婚の長期化というケースもある。

・同居再開に至るケースでも、結論に至るまでの期間はさまざまである。

・残念ながら離婚に応じると決断した場合でも、親権や財産分与の議論などで長期化するケースもある。

・決着までに時間を要するからと言って関係修復を諦めないで欲しい。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(34)】どうして相手は急に「モラハラ」なんて言い始めたのでしょうか?

2024.11.04更新

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1.突如突き付けられた離婚理由


 離婚理由を突き付けられる場面としては、相手配偶者(妻又は夫)から直接突きつけられる場合と、その弁護士から突き付けられる場合とがあります。

 いずれであろうと、離婚したい理由が、「あなたのモラハラ発言に耐えられなくなったから」というものである場合、あなたとしては、「モラハラってどういうこと?」と困惑してしまうと思います。

 あなたとしては、普段通りの夫婦の関係で、他愛ない会話しかしていないと考えてきたわけなので、突如「モラハラ」と言われても驚いてしまうのです。

 

 これまで何年も夫婦として一緒にやってきたのに、急に「あなたの発言はモラハラだった」と言われても納得できないのは当然のことだと思います。

 以下では、相手ががどうして「モラハラ」などという言葉を使い始めたのか、そのきっかけ等について、実際に私が担当したケースなどを元に解説していきます。

 

 

2.そもそもモラハラって何だ?


 「モラハラ」、最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含め得る概念です。

 

3.相手がモラハラという言葉を使い始めたきっかけ


 相手が急に「モラハラ」という言葉を使い始めている以上、そのことにはきっかけがあります。

 そもそも、前述のように、モラハラの概念は非常に広いため、「何でもかんでもモラハラと言ってしまえば該当してしまう」という側面があるのも事実です。

 以下では、どのようなものがきっかけとされることが多いのかを解説していきます。

 

(1)友人や知人から聞いて知った

 ママ友やパパ友、または、友人・知人等と雑談をしていた際に、ふとしたことから、このような用語が出たということがきっかけの場合があります。

 特に、離婚経験があるママ友やパパ友の場合、自らの離婚経験から、「モラハラ」といったことを身をもって知っているという方も多いため、そのような友人経由で話を聞いた、自分が相手から受けてきた発言が「正にモラハラ発言だと気付いた」と言い始めるケースも多いです。

 

(2)テレビなどから情報を得た

 モラハラという用語も以前よりはテレビなどでも取り上げられるようになりました。

 その関係で、ニュースやドラマ、情報バラエティーなどで、「モラハラ」という概念や、それがどのようなものなのかについて見聞きすることも増えてしまっています。

 そのような経緯で一度「モラハラ」という言葉を知ると、後はインターネットで検索すると、情報はいくらでも出てきますので、自分がモラハラ被害者だったんだと誤解してしまう人も多くいます。

 

(3)行政機関への相談

 今では行政機関でも「モラハラ」や「DV」についての周知活動を行っています。

 そのため、違和感を感じた際に、行政機関(身近なところで言うと区役所など)に相談すると、「それはモラハラなので、すぐに逃げたほうが良い」とか「モラハラは治らないから、改善を期待しない方が良い」といった回答をするケースが非常に多いです。

 一方の話だけを聞いて、このようにアドバイスすることもどうかと思いますが、行政機関からこのように言われると、「やっぱり自分はモラハラ被害者だったんだ」と誤解してしまう人も多いです。

 

 

4.熟年離婚の場合


 熟年離婚の場合には、「これまでずっと相手からのモラハラに耐え続けてきましたが、やっと子供も成人したので、離婚したいです」とか「子供が大学を卒業したので、離婚したいです」というように、お子様の成長を待って、離婚を切り出してくるというケースも多くあります。

 

 

5.今後の手続きの中で重要になってくるものは何か?


 モラハラの問題は、言った言わないの水掛け論になるケースが非常に多いです。相手は離婚するために、あなたから「このように言われた」といったことを主張してくることが多いのですが、ニュアンスが大きく異なっていたり、経緯が全く違っているといったことも多いです。

 いずれにせよ、相手が「こういわれた」、あなたが「そうは言っていない」と言い合っていても議論は錯綜するばかりで、問題の決着は遠のくばかりです。

 

 少なくとも、離婚調停の段階では、モラハラについてどういう証拠があるのか?といったことを細かく突き詰めていくというケースはほとんどないのですが、少なくとも、離婚裁判になった場合には、どのような証拠がどの程度あるのかという点が非常に重要な意味を持ってきます。

 そのため、相手が「モラハラ」を主張してきた場合には、相手がどのような証拠を持っているのかを推測しながら対応していく必要があります。

 

 

6.相手は不倫している?


 これはよく出る話題なのですが、私の経験上、不倫の証拠は出てこないケースの方が大半です。

 あなたとしては、相手配偶者から突如離婚を突き付けられ、また、身に覚えのないモラハラが理由なので、相手の不倫を疑う(他の人のことが好きになったので、私を捨てようとしていると疑う)ことも、心情的に理解できなくはないですが、その証明ができないことの方が多いのが実情です。

 そして、相手の不倫の証拠が全くないか、もしくは、ほとんどないという場合、調停や裁判の席で不倫を主張することは難しいです。

 

 

7.まとめ


・相手がモラハラを言い始めるきっかけとしては、友人や知人から知識を得たというケースも多い。

・他にも、テレビから情報を得たという人もいる。

・「モラハラ」ということで行政機関に相談すると、別居や離婚を勧めるケースも多い。

・熟年離婚の場合、お子様の成人等を待ったというケースもある。

・今後の手続きの進め方の検討に当たっては、相手がどのような証拠を持っているのかがカギになる。

・相手の不倫を疑う気持ちは分からなくもないが、証拠をつかめないケースが大半である。

 

 

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