実際の解決事例

離婚調停途中から弁護士を雇って納得の離婚ができたケース

2018.05.22更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

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1.私が担当した事件


①ご依頼者様: 40代前半男性(Yさんとします)

②依頼内容: 突如家内が弁護士を立てて離婚調停を起こしてきた様なので、こちらも弁護士をつけて対応したい。

 

③関係者概要等

相手方: 40代前半の奥様 、 お子様:成人した長男・高校生の次男・中学生の三男と中学生の長女の合計4名 、 婚姻期間: 約20年 、 依頼時の家庭環境: すでに別居中

④相手が主張してきたモラハラ概要

飲酒するとくどくどと愚痴を言ってくる、長女に対する叱責が度を超している、無職の期間があり経済的に困窮させられた等々

 

 

2.ご依頼時の状況


 

Yさんの奥様が弁護士を立てて離婚調停を起こしてきたので、1回目の期日は自分一人で出席した。しかし、相手が弁護士を立てているからなのか、調停委員が相手の肩ばかり持っている様子がある。離婚した後に後悔したくないので、こちらも弁護士を立ててしっかりと対応したいということでした。

既に調停期日の1回目は終了してしまっていましたので、私が調停期日に出席したのは2回目の期日以降と言うことになりました。

 

 

3.離婚に応じるかどうか


 

Yさんと話をしたところ、モラハラと言われる様なことはしていないつもりだが、飲酒の際に愚痴ってしまったことは事実であるし、長女にきつくし過ぎてしまったことも事実である。既に別居して1年が経つが、特に家内と一緒にいたいという気持ちもわき上がってこないので離婚の方向で構わないという話でした。

念のため私の方からは、お子様に対して離婚のことをどこまで話をしたのか、どのように受けとめているのか等を確認しましたところ、子供達に対しては既に離婚のことも話しており、しっかりと受けとめてくれていると言うことでした。

 

そのため、離婚については争わずに対応する方針に決まりました。

特にこのケースでは、別居の際には夫婦で冷静な話し合いが行われており、別居についての感情のしこり等はなかったため、Yさんも離婚について冷静に受けとめている様子でした。

 

 

4.争点は面会交流と財産分与


 

(1)面会交流について

 第1回調停期日において、Yさんが次男と三男の親権者となり、奥さんが長女の親権者となることは合意ができており、実際にも現在次男と三男はYさんが育てており、長女は奥さんが育てている状況でした。

 奥さんが二男・三男との面会交流を強く希望していたのですが、Yさんとしては、奥さんが面会の際に、Yさんを誹謗中傷する様な発言をしないのか、また、調停でのやりとりなど詳しい内容を話してしまわないのか等について悩んでいました。

 

 といいますのも、当初の奥さんの言う「モラハラ」というのも、実際のYさんの発言を随分誇張して主張されており、一緒に住んでいた際にも、むしろ奥さん側のYさんへの悪口の方が多かったと言うことでした。そのため、面会交流の際にもYさんの悪口等が出てくるのではないかと不安視していたのです。

このような面会交流の条件については、相手にも弁護士が就いていますので、私の方から書面にてしっかりと提案をし、相手と交渉を行いました。奥さん側は、悪口を言わないと言うことは当たり前のことなので、わざわざ約束する話ではない、こんな話を受けること自体心外であるということで抵抗していましたが、Yさんの方から聞いておりました具体的エピソードなども交えながら話をして、相手にも納得してもらいました。

 

(2)財産分与について

この事件では、ご夫婦の資産はあまりなかったのですが、お子さんの学費の支払いのためにお子さん名義の預金として貯蓄しているものが多くありました。奥さん側がお子さん名義の預金を隠そうとしたため、その所在の把握がまず問題になりました。また、Yさんが無職の際に、Yさんの父親から生活費の借り入れをしており、その金額を財産分与額から差し引くべきかどうかが問題になりました。

 

まず、奥さんが管理するお子さん名義の口座については、こちらの方でも銀行名等は把握しておりましたので、調停の席で開示させることに成功しました。

次に、Yさんの父親からの借入れ分に関しては、全額生活費に支払われたと証明することが難しかったため、その半額を財産分与に組み込むことで妥協しました。

 

 

5.調停の雰囲気


 

前述の様にYさんは、調停委員が相手の味方をしている様で不満があるとのことでしたが、私が調停の席に出席する様になってからは「随分調停委員の対応が良くなった」とのことで満足している様子でした。

実際私が出席した様子を見る限り、調停委員が一方的にこちらに話を向けてくることもなく、円滑に調停を進めることができたと思います。

 

 

6.約半年間の調停での決着


 

相手が調停を申し立ててきて半年が経過した頃に、離婚調停が成立しました。

Yさんは、調停を抱えながらだと、育児に集中できないと言うことを言っていましたので、しっかりと離婚できて、これからは子供達のために時間を使ってやりたいと話していました。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

保護命令を受けたが慰謝料ゼロ円で切り抜けた離婚のケース

2018.05.21更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

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1.私が担当した事件


①ご依頼者様: 50代前半男性(Dさんとします)

②依頼内容: 妻が突如別居を開始した上で、弁護士から離婚を要求する書類が届いたが、納得が行かないので、相手の弁護士と話をして欲しい。

③関係者概要等

相手方: 50代前半の奥様 、 子供: いらっしゃらない 、婚姻期間: 5年未満 、 家庭環境: ご依頼時別居中 

 

 

2.DV保護命令事件の概要


 

私が離婚問題の弁護士に就いてから2,3週間もしないうちに、裁判所からDV保護命令の呼出通知が届いてしまいました。

私がDさんから聞いていた話では、DVといわれる様な暴力をしたこともなく、今一離婚理由がはっきりしないという話でしたので、まさに寝耳に水という様な話でした。

 

この保護命令の申立は、客観的証拠としては写真(肩を強く掴まれたと言うことで少しアザができた写真)とLINE(Dさんから多少強迫めいた内容のコメントをしてしまっていました)のみでした。

このように客観的証拠が乏しいことや、相手が主張する事実で虚偽の事実については逐一丁寧に反論をしたのですが、残念ながら裁判官にこちらの主張を受け入れてもらえず、保護命令が発令されてしまいました。

 

この保護命令に対して不服申立をすることも検討したのですが、Dさんとしても、自分から積極的に近づくつもりもないとのことでしたので、保護命令に対しては不服申立をしないこととしました。

 

 

3.そもそも離婚に応じるか

 


 

 

依頼を受けた当初、Dさんは離婚した方がよいのか悩んでいる様子でした。結婚から5年も経ていないため、離婚することがベストな選択なのか決めかねていたのです。

私の方からは、離婚というのは人生に一度や二度しかない重要な問題なので焦らずに結論を出して欲しいこと、悩んでいるのであれば、相手の弁護士にはとりあえず離婚に応じられないという返答をしておこうとお話ししました。

しかし、上記の通り突発的に保護命令の申立を受け、その申立書等には、明らかに虚偽と思われる記載も多数ありましたので、Dさんとしても、「こんな嘘つきと元の生活に戻ることはできない」という気持ちを強くし、こちらも離婚に応じる方向に梶を切ることにしました。

 

 

4.離婚問題については調停からスタートした


 

同時並行して奥さん側の弁護士が離婚調停を申し立てており、離婚の話し合いの場はすぐに調停の席に移りました。

Dさんも離婚の決意を固めておりましたので、私の方からは離婚について交渉での話し合いを要請したのですが、相手の弁護士が一切協議をしないというスタンスでしたので、協議離婚の議論は一切行われませんでした。

 

 

5.調停での先方の言い分


 

離婚調停では、奥さん側から慰謝料300万円の要求がありました。また、奥さん名義の自宅リフォーム代をDさんが負担しているのに、その部分の財産分与は一切しないということで、奥さん側の要求は非常に一方的なものでした。

先方はDVの保護命令が認められているため、慰謝料はもらって当然という態度で、金銭を要求してきました。

また、DVだけではなくモラハラ被害も受けているため、同情して欲しいという様な姿勢でした。

 

 

6.こちらが調停に臨む際に立てた作戦


 

 確かに、先方が言うとおり保護命令が発令されてしまっていることは、こちらにとって不利な事情になりますので、そのことも踏まえた上で作戦を組み立てる必要があります。そこで、調停に臨む際にはDさんとも綿密に打ち合わせをして、以下の様な作戦で臨むことにしました。

 

①Dさんが調停の席で感情的にならないこと

 調停委員は目の前のDさんの様子を見ながら調停を進めますので、Dさんが調停の場で感情的になってしまいますと、調停委員から「乱暴な人間」と評価されてしまう危険性が非常に高いです。

 そのため、私から事前にDさんに対して、調停の席で声を荒げないこと、感情を顔に出さないことを強く指導しました。合わせて、相手はこちらを挑発する様に無理な要求をぶつけてくる可能性が高いので、そのような挑発に乗ると相手の思うつぼであることを伝えました。

 

②保護命令が実質写真1枚だけで発せられたものであること等を丁寧に説明すること

 前述したとおり、保護命令の存在がこちらにとって一番不利な材料ですので、調停委員にも保護命令発令の経緯を丁寧に説明する様に心がけました。

 具体的には、先方の裏付けとして有力な証拠としては写真1枚だけであること、その際にもDさんが奥さん側に挑発されて多少手を出したに過ぎないこと、暴力をふるったのはこの1回のみであることなど詳しくかつ冷静に説明する様にしました。

 

③調停は白黒つける場所ではないこと

 さらに、調停はあくまで話し合いの場であって、夫婦のどちらに否があるのかを決定する場所ではないので、一方的にDさんが悪いというレッテルを貼る様な慰謝料請求には応じられないという論法を展開しました。

 

 

7.調停委員の反応


 

Dさんが調停の席で終始落ち着いて冷静に話をしていることについて、調停委員の印象はかなりよかったようでした。逆に、奥さん側は感情的になって調停委員に話をしていた様子で、印象を落としている様でした。

 

 

8.相手が調停を申し立ててきてから7か月後の決着


奥さん側は慰謝料の要望が強くなかなか妥協してこなかったのですが、途中裁判官が調停の席にはいるなどして説得してくれたおかげで、奥さん側も慰謝料の要望を取り下げました。

ただ、財産分与の話し合いの中で、多少こちらも譲歩する形で折り合いがつきました。

 

調停中、先方は早期離婚に向けて焦っている節がありましたので、逆にこちらは時間をかけてじっくりと臨む姿勢を見せたところ、先方がしびれを切らせて妥協してくるようになったのです。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

家内が要求するモラハラ・DV慰謝料の金額はどのように決まるのか。

2018.05.18更新

弁護士秦

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1.家内から高額な慰謝料の請求が来た


 

 奥様が突如別居を開始したと思ったら、今度は奥様の弁護士を名乗る人物から離婚とともに高額な慰謝料を請求する書面が届いた。

 残念ながら、奥様があなたとの直接の話し合いを強く拒否する姿勢の場合には、上記のような場面が現実に起こり得ることになります。

 その様な書面を見ると、あなたがモラハラ行為やDV行為を繰り返してきたということで、高額な慰謝料額が記載されていることがあります。例えば、1000万円やそれ以上の慰謝料額を要求してくるようなケースもあります。

 

 

2.どうやってこのような高額慰謝料額を算出したのか


 

 それでは、奥様はどのようにしてこのような高額慰謝料を算出したのでしょうか。

 あまり高額な場合には、奥様の要望額がそのまま書面に反映されているケースが非常に多いです。

 

 つまり、奥様が付けた弁護士は、弁護士ですから、通常は破格な高額慰謝料を得ることは難しいと分かっていますし、通常は奥様本人にもその様に話をします。

 しかし、奥様が弁護士の説明に納得せず、「その金額では私の気持ちが収まらないので、絶対に1000万円よりも低い金額は書かないで下さい」と言ってきた場合、弁護士としてもその様な数字を記載せざるを得ません。

 

 あなたが受け取った書面には弁護士の印鑑が押されていますので、「相手の弁護士は1000万円が妥当な金額と考えている」と誤解されやすいですが、そうではなく、奥様の要望額という意味合いが強いです。

 そのため、相手の請求額を極端に怖れる必要はありません。ただ、このような金額の要求があると言うことは奥様が強く感情的になっていることは明らかですから、慎重な対応が必要になります。

 

 

3.具体的には何を目安にすることが多いか。


 いずれも法律の根拠はないのですが、破格な高額慰謝料は以下のようなものを目安にして請求されていることがあります。

①あなたの年収額(年収額と同額ぐらいは請求したいとか、年収が高額なので、1000万円くらいなら払えます、といった話がなされることがあります)

②奥様が婚姻期間中稼ぐことができた収入(特に結婚を機に奥様が仕事を辞めている場合に、仕事を辞めずに婚姻期間中ずっと働いていれば相当稼げていたはずだが、夫のDVで結婚が台無しになったので、それを取り返して欲しいという理屈)

③あなたに対する制裁という意味合い

④あなたに対する反省や謝罪をさせるという意味合い

 

 

4.実際の慰謝料額はどのように決まるの?


 

 慰謝料の金額についての当事者間の考えの違いが大きく折り合いがつかない場合には、最終的には裁判所が適正な慰謝料の金額を判断することになります。そして、その際には以下のような事情が考慮されます。

 

①暴力やモラハラ行為の悪質性の程度

②奥様が受けた肉体的苦痛や精神的苦痛の程度

③婚姻期間の長さ

 

より具体的に解説していきます。

(1)DVやモラハラ行為の悪質性

  悪質性という場合には、以下のような要素が考慮されます。

 ①暴力やモラハラ行為の内容

  暴力やモラハラ行為についてはその内容自体で悪質性・危険性が大きく異なります。

  一口に暴力といっても凶器を使用する場合と凶器を使用しない場合とでは危険性が異なりますし、暴力が首を絞めるとか頭部を殴るという場合にも一般的に危険な行為となります。

  また、モラハラ行為にも危険性に大きな差があり、奥様の耳元で長時間怒鳴りつける行為と単純に無視続けるというケースでは危険性の程度が異なります。

②その行為の行われた期間

 もちろん、その様な行為が長期間行われたという場合には悪質と評価される可能性が高くになります。

 ③頻度

  もちろん、その様な行為の頻度が頻繁という場合には悪質と評価されやすくなります。

 

(2)奥様の受けた肉体的苦痛や精神的苦痛の程度

  奥様が苦痛を受けたという場合、通常は診断書が提出されることになりますので、その診断書の診断名、完治までの期間が重要になります。

 

 

5.相手が破格な慰謝料を要求してくる場合、早めに弁護士に依頼するのがオススメ


 相手が破格な慰謝料を要求してくる場合、通常相手も弁護士を立てて請求してくるケースが多いです。

 その様な場合に、あなたがご本人で対応してしまいますと、不利な扱いを受けてしまうリスクがあります。

 そのため、相手が弁護士を立てている場合には、こちらも弁護士を立てた上で、慎重に対応するのがオススメです。

 

 

6.まとめ


・破格な慰謝料額は奥様の要望額であるケースが多い

・奥様が感情的になっている可能性が高いため、慎重な対応が求められる。

・裁判になった場合には、①モラハラ・DV行為の悪質性、②奥様が受けたという肉体的苦痛等、③婚姻期間の長さなどを考慮して裁判所が慰謝料額を決定する。

・相手が弁護士を立てている場合には、こちらも弁護士を立てるのがオススメである。

 

 

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家内が「モラハラ!」と叫ぶと全部夫が悪者になるのか?

2018.05.18更新

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1.家内が突如「モラハラ」なんて用語を使い始めた


 

 あなたにとっては普段通りの生活をしてきたつもりなのに、奥様が急にあなたに対して「それってモラハラじゃない?」だとか「この前のあなたの態度はモラハラみたいよ!」といった用語を使い始めることがあります。

 

 最近はインターネットで簡単に情報を入手することができますので、インターネット情報をもとに、多少の夫婦の行き違いやすれ違いを「これってモラハラじゃない?」だとか「正しくモラハラにあたる」と考え始めてしまう奥様がいるのです。

 奥様が多少情報をかじった程度ならまだ良いのですが、詳しく情報を検索し始めてしまいますと、事態は思わぬ方向に向かってしまうことがあります。

 

 

2.家内が「モラハラ!」と叫ぶと全部夫が悪者になるのか?


 

 奥様があなたに対してモラハラと叫べば、そのことで、あなたが即座に悪者になるということではありません。その意味では、「言った者勝ち」ということはありませんのでご安心下さい。

 ただ、奥様がその様な言葉を発し始めたときの対応を誤ってしまいますと、離婚に向かって大きく話が進み始めてしまうリスクがありますので、この点は十分に注意する必要があります。

 そこで、奥様がモラハラだと決めつけた発言をした場合の対処方法について以下で解説していきます。

 

 

3.初期の段階の対応


 

 奥様がモラハラという言葉を口にし始めた初期の段階では、奥様自身がモラハラの意味を十分に理解していないこともあります。

 そのため、通常の夫婦の間で生じるような多少の行き違い等の話であれば、奥様の話を聞くだけで奥様も気持ちが晴れるということも多いと思います。

 

 ただ、奥様がこのように言い始めることには何らかの発端があるのが通常ですから、奥様の話をないがしろにすることは厳禁です。

 「疲れているから今はそんな話聞きたくない」

 「重要な仕事のプロジェクトのことで頭がいっぱいだから、このタイミングでそんな話をするな」

 「そんなことを言っている暇があったら家事をしっかりしろ」

 といった返答は避けた方が良いでしょう。

 

 奥様とのコミュニケーションが円滑に取れている場合には、奥様の言い分がもっともだという場合には、あなたも多少の範囲で改善等をする必要も出てくると思います。

 確かに、あなたとしては、急に奥様から「モラハラ夫」と悪者扱いされたようで、納得できないという面もあると思いますが、感情的になってしまうことは得策ではありません。

 

 

4.家内が離婚を強く要求してきた


 

 これまで奥様が離婚と言った言葉を口にしてきたことはないのに、急に「別居したい」「別れたい」「離婚したい」といった言葉を口にし始めた場合、あなたもしっかりと対応していく必要があります。

 

(1)基本姿勢は、冷静にメリハリを付けて対応すること

 奥様がどのようにしてモラハラなどと言い始めたのかは分かりませんが、自分がモラハラ被害者であるということで気持ちが盛り上がってしまっている場合があります。

 こちらとしては急に喧嘩を売られたようなものですが、喧嘩を買ってしまいますと夫婦関係はぎくしゃくしていき、いずれは離婚という方向に話が進んでしまいます。

 

 他方で、相手が理不尽な要求をしてきたのに、その全てに付き合ってもいられません。

 そこで、奥様からの離婚要求に対する基本的な姿勢は、「冷静にメリハリを付けて対応すること」ではないかと思います。あなたが奥様よりも一歩大人になって、冷静に対応するというのが夫婦円満の秘訣ではないかと思います。具体的には以下の通りになりますので、参考にされて下さい。

 

(2)まずは、奥様の言い分をしっかりと聞く

 奥様が離婚したいがために、事実と異なる話や事実を誇張した話をしてくることがあります。

 その様な場合、あなたとしてはすぐさま反論したくなると思いますが、すぐには反論せず、まずはしっかりと奥様の話を聞くようにして下さい。

 奥様の言い分が複数に上るような場合には、こちらもメモを取るなどした方が良いでしょう。

 

 何故、先に奥様に一通り話をさせるのかというと、後から奥様に以下のように言われることを防止するためです。

 ①モラハラ夫が最初から喧嘩腰だったのでほとんど話をできなかった。

 ②少し話し始めた途端モラハラ夫が長々と言い訳を始めたので、「この人には何を言っても無駄」だと思って、話すのをやめた。

 ③こちらが真剣に相談しているのに、モラハラ夫に怒鳴りつけられて、もう離婚するしかないと決断した

 

 もちろん、「奥様の話を一通り聞く」ということは、あなたが反論してはいけないと言うことでは決してありません。一通り聞いた後に、あなたの方で必要な反論をするようにして下さい。奥様が誤った認識を持っている場合には、しっかりと誤解を解く必要があります。但し、その際にもあまり感情的にならずに、冷静に話をするように努めて下さい。

 

(3)奥様が隠し録音をしているかもしれないということに注意

 最近はスマートフォンの性能が良いため、簡単にスマートフォンで夫婦間の会話を録音することができます。

 奥様が真剣に離婚を決意している場合には、あなたとの会話を録音している可能性もあります。

 

 そのため、録音されている可能性も考慮して以下の点には最低限注意して下さい。

 ①感情的になって話をしないこと(怒鳴ったり、大声を出すことは厳禁)
 ②相手が言うモラハラを安易に認めないこと(後で、奥様から「あの時の会話で夫はモラハラを認めていた」と揚げ足を取ってくる危険性があります)
 ③こちらが離婚に応じても良いというような発言は控えること

 

(4)あなたとしても否があるようなら、その点だけは改善する

 奥様の言い分のうち、虚偽や誇張に関しては、あまり真剣に取り合う必要もないと思いますが、事実としてあなたが反省すべき点があるようなら、時には謝罪し、時には改善していく必要もあると思います。

 奥様の方も、あなたが誠実に対応するようならば、離婚に突き進むのではなく、考え直す可能性もあるのではないでしょうか。

 

(5)改善が難しい点は不可能であると伝える

 残念ながら、モラハラに関するインターネット情報には「モラハラは治らないから、すぐに離婚した方が良い」とか「モラハラ夫と離婚して自由な生活を手に入れた」といった書き込みもあり、奥様がその様な情報を鵜呑みにしてしまいますと、離婚したいがために、こちらに無理な要求をしてくることがあります。

 例えば、仕事の関係で平日早く帰宅することがほぼ不可能なのに、「週に1日は必ず18時までに帰宅して育児を手伝うこと」とか、接待ゴルフを禁止しろと言ったものです。

 

 そこで、あなたの仕事の関係上応じることが難しい事項等については、しっかりと「改善できない」と相手に伝える必要があります。

 なお、奥様からの要求が理不尽なもののため、ついあなたも感情的になってしまいそうですが、冷静になって落ち着いた口調で話をした方が良いと思います。

 

(6)奥様が離婚話に固執し冷静な話し合いができない場合

 奥様が感情的になって、離婚以外の選択肢がないような発言を繰り返す場合、夫婦2者間での話し合いには限界があるかもしれません。

 その様な場合には、奥様も冷静になって話ができるような身内の方や友人の方を間に入れる方法を検討してみて下さい。

 

 

5.夫婦なので「お互い様」が基本的な考え方


 

 夫婦関係には通常波がありますので、関係が非常に良好なときもあれば、多少険悪化してしまうときもあります。ただ、険悪化した原因が全てあなたにあるのかというと、通常は様々な経緯や状況・環境があってのことだと思います。

 そのため、夫婦の間で何かがあったとしても通常は「お互い様」ということが多いでしょう。

 

 ただ、あなたが一方的に悪者扱いされていることに対して感情的に対立してしまっては、円満な夫婦生活を送っていくことは難しくなります。

 そこで、前述のように、冷静にメリハリを付けて対応することが肝要かと思われます。

 

 

6.まとめ


・奥様が「モラハラ」と叫んでもあなたが全部悪者になるということではない。

・奥様が離婚を切り出し始めたような場合には慎重な対応が必要になる。

・基本姿勢は、冷静にメリハリを付けて対応する姿勢が大事

・まずは、奥様の言い分をしっかりと聞くこと

・あなたに否がある部分は改善し、対応困難な点は対応できないとしっかりと伝えること

・冷静な話し合いが難しい場合には、身内や友人を間に入れることも検討する。

 

 

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【弁護士が解説】モラハラ夫は弁護士の言うことは聞くのか?

2018.05.16更新

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1.モラハラ夫は「あなた」の言うことはなかなか聞いてくれない


 

 モラハラ夫は、あなたのことを下に見ていることが多いため、あなたが意見しても、「そんな話聞いたことがない」とか「常識がない」といった回答をしてくるケースも多くあります。要するに、あなたの意見に聞く耳を持たないのです。

 

 あなたが離婚を切り出した場合もそうで、モラハラ夫は、断固反対してくるケースが多いように感じます。一緒に生活している中で、モラハラ夫は自分の機嫌が悪くなると、「もうお前なんかとは離婚だ」といった発言をするのに、こちらから離婚を切り出すと、断固反対してくるのです。非常に矛盾しているように見えますが、モラハラ夫としては、自分の発言については「そんなことは言っていない」とか「本気で離婚したいなんて言っていない」といった形で誤魔化すことが多いです。

 

 

2.弁護士の言うことは聞くのか。


 

 それでは、あなたが弁護士を立てて、モラハラ夫と交渉した場合、モラハラ夫はすんなりと離婚届にサインするのでしょうか。

 残念ながら、私の経験上は、モラハラ夫はすんなりと離婚届にサインしないケースの方が多いです。

 たまに「弁護士にお願いすれば簡単に離婚できる」と考えている方もいらっしゃいますが、残念ながら、そう簡単ではないことが多いです。

 

 

3.言うことを聞かないんだったら弁護士に頼む意味ってあるの?


  前述のように、モラハラ夫が、弁護士の言うことをあまり聞かないのでしたら、「弁護士に頼む意味って何なの?」と感じるかもしれませんので、以下で解説いたします。

(1)こちらの話を聞くには聞いてくれる

 前述の通り、モラハラ夫がすんなりと離婚届にサインするケースは少ないです。

 ただ、モラハラ夫は通常内弁慶な反面、外では立派な社会人であろうとすることが多いため、私からの話にしっかりと耳を傾けることが多いです(こちらの言うことに従わないまでも、正面から耳は傾けてくると言うことです)。

 即ち、あなたがいくら離婚したい理由を話しても、モラハラ夫は通常その言葉に耳を傾けないことが多いのですが、弁護士が話をすると、モラハラ夫も、その話は聞くことが多いと思います。

 

 もちろん、モラハラ夫としても納得できない点については反論してきたり、経緯を説明してくることもありますが、こちらの話に耳を貸すことが多いです。

 モラハラ夫は、こちらの離婚理由について納得しないことが多いため、こちらの話を全て理解し納得させることは不可能ですが、まずは真面目に話を聞いてもらわないと離婚の話を進めて行く事が難しくなります。そのため、弁護士が就くことで、その様な離婚に向けての第一歩を踏むことはできると思います。

 

(2)感情的な議論を避けられる

 モラハラ夫も弁護士の前では強く感情を前面に出してくることは少ないため、感情的な議論を避けることができます(この点は個人差がありますので、最初から最後まで怒鳴りっぱなしというモラハラ夫もいますが…)。夫婦で直接話をした場合、どうしてもモラハラ夫が感情的になって、話を途中で打ち切らざるを得ないとか、モラハラ夫が逆上して、こちらが説教を受ける場に変わってしまうということもあり得ますが、弁護士が間に入ると、その心配を軽減できます。

 

(3)無用な法律議論を避ける

 法律に関する議論を避けることもできます。といいますのは、モラハラ夫はどこから知識を得てきたのか、あなたに対しては、「法律はこうなっている」とか「知り合いの弁護士に聞いたらこう言っていた」といった話をしてくることがあります。ただ、弁護士を目の前にしますとモラハラ夫も「自分の方が法律知識が詳しい」ということはできませんので、このような法律的な議論を避けることができます。

 もちろん、モラハラ夫も弁護士を立ててきた場合には、弁護士間で法律解釈の議論になるケースはありますが、少なくともモラハラ夫の誤った法律議論に付き合う心配はなくなります。

 

(4)以上は、弁護士がモラハラ夫と直接会話することのメリットでして、他にも、実際に弁護士に依頼した場合には、法的手続きに精通している安心感や、今後の手続きのステップのタイミング等をうまく見極めることができること、ご自身でお話をして不利になってしまう危険性を避けるといったメリットもあります。

 

 

4.モラハラ夫が離婚に応じない理由の分析が大事


 

 モラハラ夫が離婚に応じない理由が予め分かっていれば、それに対する対策を練ることもできますので、対応方法を考える際に重要になります。

 

(1)【よくあるモラハラ夫の離婚拒否理由1】あなたのことを生意気だと思ってただ反発している

 モラハラ夫は心の底では離婚しても良いと考えていても、あなたの方から離婚を切り出してきたことに対して、いわゆる生意気だと感じているケースがあります。モラハラ夫はあなたのことを下に見ていることが多いため、このような発想を持つモラハラ夫は多くいます。

 このような場合には、モラハラ夫も心の中では離婚に応じても良いと考えていますので、極力モラハラ夫と直接会って話をする機会を多く設けることで、モラハラ夫にも「何度も法律事務所に行かなくてはいけないのは面倒である」と思わせて離婚させるという方法を取ることもあります。

 

(2)【よくあるモラハラ夫の離婚拒否理由2】あなたが話す離婚理由を理解していない、理解しようとしない

 これもモラハラ夫によくある思考なのですが、モラハラ夫は自身のモラハラ行為が「大したことではない」と考えているケースが非常に多いです。

 そのため、こちらが離婚理由を話しても、「家内は随分話を盛っている」とか、「モラハラと言うけれども、やむを得ずこのような行為をしたのであって、原因を作ったのは家内の方だ」といった言い訳を並べて、こちらの離婚理由を理解しない、理解できないということもあります。

 

 また、モラハラ夫の中は、DVとか浮気があった訳じゃないんだから離婚に値しないといった発言をする人も多く、結局あなたの離婚理由を理解できないということもあります。

 このような場合には、離婚調停に切り替えた上で、調停委員から、こちらの強い離婚の決意を伝えてもらうという場合もあります。

 

(3)【よくあるモラハラ夫の離婚拒否理由3】子どもを盾にする

 「離婚すると子どもが可哀想だ」と言うことを離婚拒否理由にするモラハラ夫もいます。

 モラハラ夫は外で自分がどのように見られるかについて気にする人も多いので「自分の我が儘で離婚したくない」と思われないように、「子どものために離婚したくない」という言い方をしてくるのです。

 その様な場合には、私の方からは「あなた自身、随分と奥様への不満をおっしゃっているように感じるのですが(本当に離婚したくないんですか?)」とか「お子さん・お子さんとおっしゃいますが、今お子さんは奥様のもとで自由に暮らしているようですよ」言った伝え方をすることもあります。

 

(4)【よくあるモラハラ夫の離婚拒否理由4】モラハラ夫の母親の意向が強い

 モラハラ夫はマザーコンプレックスを抱えていることも多いため、このような重要な話には母親の意見をそのまま反映させて来るという人もいます。

 その様な場合には、離婚協議をしていても話が前に進まないことが多いため、早めに離婚調停に切り替えることの方が多いように思えます。離婚調停の席にはモラハラ夫の母が直接出席することはできませんので、調停を申し立てるのです。

 

(5)以上は、モラハラ夫が私に対して直接口にする離婚拒否理由でして、実際内心で考えている理由は異なることも多いです。例えば、本当は結婚を一つのステータスだと考えていて、離婚するとステータスが失われるから離婚したくないというのが本音だとか、熟年離婚の場合には、老後の世話を見て欲しいから離婚したくないといったケースです。モラハラ夫はプライドが高い人が多いので、このような本音は口にしないことが多いのですが、私が直接話をしていると、相手の仕草などから本音を予測できることもありますので、それをもとに対策を立てることもあります。

 

 

5.モラハラ夫に離婚理由を納得させることはほぼ不可能


 よくご相談を受けておりますと、弁護士を通じてモラハラ夫に離婚理由を納得させたいとか、せめてこっちの苦しみを少しは理解させたいとおっしゃる方は多いです。

 ただ、私の経験上、残念ながら、モラハラ夫が離婚理由を理解するケースは非常に少ないです。

 そのため、私が弁護活動を行う際にも、相手にこちらの離婚理由を理解させる、という視点ではなく、離婚に応じざるを得ない状況を作るという視点で活動することが多いです。

 例えば、モラハラ夫が調停を非常に嫌がっている場合には、調停を一つの交渉カードとして早期の離婚を目指すといった具合です。

 このようなお話をしますと、あなたの無念を晴らせなくなるとお感じになるかもしれませんが、そのことであまり時間がかかってしまうよりは、早期に離婚してしまった方が、あなたにとっても早めに次のステップに進むことができますので、結果的には良いのではないかと感じます。

 

 

 

6.まとめ


・モラハラ夫が弁護士の言うことを聞いてすんなり離婚届にサインするケースは非常に少ない。

・弁護士が話をすると以下のような効果が期待できる。

 ①こちらの離婚理由に耳を傾ける。

 ②感情的な議論を避ける。

 ③法律議論を避ける。

・モラハラ夫との協議離婚にあたっては、モラハラ夫が離婚を拒否する理由の分析が大事である。

・モラハラ夫に離婚理由を理解させることはほぼ不可能だと考えておいた方が良い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

ズバリ!!弁護士から見たモラハラ夫の共通点

2018.05.16更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、モラハラ情報盛りだくさん!弁護士秦のモラハラ総合サイトは>>こちら<<になります。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.モラハラ夫の共通点って?


 

 あなたが、モラハラ夫と生活している中で感じるモラハラ夫の性格(キャラクター)については、以下のブログをご参照いただき、あなたのモラハラ被害の深刻度を検討してみてもらえればと思います。

関連記事>>これってモラハラ?(夫婦の間でどこまでが許されるか?))

 

 ただ、私も数多くのモラハラ離婚事件を担当しておりますと、モラハラ夫と直接会って、離婚を説得することも数多くあり、その中で感じるところがありますので、私がモラハラ夫と対峙している際に感じる共通項についてご紹介させていただきます。

 もちろん、共通点・特徴とは言いましても、その様な特徴は、あるモラハラ夫にはあるけれども、あるモラハラ夫にはほとんど見られないというように、個人差がありますが、大半のモラハラ夫で見受けられる点として、以下でご紹介致します。

 

 

2.【弁護士から見たモラハラ夫の共通点1】自分の考え方に固執する・絶対正しいと考える


 

 私がモラハラ夫と直接話をしてきた中で一番よく感じる特徴の一つと言えます。

 私の方からモラハラを指摘すると、大体のモラハラ夫は、「世間一般から見ておかしなことはしていない」とか「経緯があってのことなので悪いことはしていない」という言い訳をすることが多く、自分の非を認めない人が多いです。

 

 特にあなたとの同居生活での言動や行動の中に顕著でして、家事や育児、果てはあなたの働き方などについてまで「俺の言うとおり(方法)にやれ」「間違ったやり方をするな」「そんなやり方は聞いたことがないから、逆らわずにやれ」といった強要をしてくることが多いです(いわゆるマイルールの強要です)。モラハラ夫側があまりに自信満々で話をしてくるため、奥様の側も、「そうなのかな?」と思ってしまうことも多く、いつの間にかモラハラ夫の言う通りに行動等してしまっているということも往々にしてあります。

 なお、このモラハラの特徴については、弁護士の前では明確に示して来ないというパターンもあります。と言いますのは、後述のように、モラハラ夫は外面が良い、というよりも、「他人からどのように見られているのかを非常に気にする」という人も多いので、「弁護士の前では大人しくしている」というパターンもあるのです。ただ、私が直接話をしておりますと、表情等から「何かを言いたげである」とか「全く納得している様子がない」という姿勢を読み取れることが多いです。

 

 

3.【弁護士から見たモラハラ夫の共通点2】内弁慶で外面が良い


 

 あまりよい表現ではないかもしれませんが、「内弁慶で外面(そとづら)がよい」と言う点もモラハラ夫によく見られる共通点・特徴と言えます。

 このような表現は、むしろモラハラ被害を受けている奥様からおっしゃられることが多いのですが「うちの夫は内弁慶で外面が良いんです。」とか「内と外の切り替えが本当にすごいんです」といった説明を受けることが多くあります。

 

 私は、モラハラ夫が家庭でどのように振る舞っているのか直接見ることはできないのですが、奥様から詳しくモラハラ被害の状況を伺っている限り、家庭の中と家庭の外ではかなり使い分けていると感じることが多くあります。

 奥様の話を聞く限り、「このモラハラ夫は社会に馴染んで仕事をできるのだろうか?」と不安に感じることもあるのですが、実際には高キャリアというケースも多くあります。ちなみに、このようなケースで奥様がご苦労されていることが多いのは、共通の友人等に話をしても、友人側の理解を得られにくいというところです(「全然そんな風に見えない」といった返事が返ってきてしまうのです)。

 

 このように内弁慶の人が多いからでしょうか、私がモラハラ被害を伝えても、モラハラ夫はその様なモラハラそのものを否定してくる場合も多いです。

 また、私がモラハラ夫と話をしていると最初のうちは夫側も冷静に話をしているのですが、何度も話をしていると、段々モラハラ夫も本性を現してきて、語気が荒くなる、不合理な要求をしてくる様になるといった傾向が見られることもあります。

 

 なお、極端なDV夫などでは、家庭内だけではなく、職場や外出中でも頻繁にトラブルを起こしているというケースもあります。その場合には、「内弁慶」というのは当てはまりません。

 

 

4.【弁護士から見たモラハラ夫の共通点3】言い逃れ・こちらに責任転嫁することが上手い 


 

 これも、モラハラ被害を受けている奥様からよく聞かされるお話なのですが、言い逃れが非常にうまく、話しをしている間にうまく話をすり替えて、奥様の方が悪かったとか、奥様の方が原因になっているからモラハラ夫側は悪くないという方向の話になってしまうということも多いという話が出ることも多いです。これは、モラハラ被害を受けている奥様側に共通する点でもあるのですが、モラハラ夫に責められ続けてきたので、自信を無くしてしまっている方が非常に多いと感じます。これも、モラハラ夫側の責任転嫁の結果と言えます。

 

 私がモラハラ夫と直接話しをしていても、モラハラ夫側が急に全く違う話題を持ち出してきて、妻のこのような態度はどうだったんでしょうか?といった形で切り返してきたり、こちらの危機感を煽り、自分に優位に話を進めようとしてくることもあります。

 前述の通り、モラハラ夫は高キャリアのことも多く、弁が立つので、上手く言い逃れしたり、いつの間にか奥様側に責任転嫁しているということも往々にしてあるのです。

 もちろん、弁護士として話をする場合には、モラハラ夫側の話には流されませんが、このような特徴はモラハラ夫に共通する部分が多い項目といえます。

 

 

5.【弁護士から見たモラハラ夫の共通点4】(なぜか)被害者意識が強い


 

 これもモラハラ夫と話をしていると思うことが多いのですが、(なぜか)モラハラ夫側の方が強い被害者意識を持っていることも多いです。

 こちらが、切々と奥様のモラハラ被害のことを話しているのに、モラハラ夫側は「妻の話はそうなのかもしれないのですが、私は妻が勝手に出て行ってしまって本当に精神的に苦しくてやりきれないんです。どうか妻と直接会って話をさせて下さい」とか「突如子供とも会えなくなって、仕事も手につかなくなっています。私はそこまでのことをしてしまったんでしょうか」といった返答が返ってくることも多くあります。

 奥様のお話とモラハラ夫側のお話を総合しても、明らかにモラハラ夫側の方が加害者だと感じても、モラハラ夫側は自分がされたこと・言われたことの被害者意識が非常に強いため、「むしろ迷惑をかけられているのは自分の方だ」という考え方の人が非常に多いです。

そのようなこともあって、奥様の方も、「同居中も、夫の被害者意識が強くて話が噛み合わないことが多かったです」とおっしゃることも多いです。

 

 

6.【弁護士から見たモラハラ夫の共通点5】急に怒り始めるため、怒り始めた原因が分からない


 

 これも、私がモラハラ被害を受けている奥様からよく聞く話なのですが、「うちの夫は、急にスイッチが入ると、こちらに罵声を浴びせ始めるのですが、どうしてスイッチが入ったのかが分からないんですよ」という相談を受けることが多くあります。そのため、モラハラ夫の一つの特徴と言えると思います。

 

 モラハラの最も深刻な問題の一つともいえるのですが、このようにモラハラ夫が何時怒り始めるかが分かりませんので、奥様としては、常に緊張感を持って生活していかなければならず、それが大きなストレスの原因になることも多いです。しかも、それが後から聞いてみると本当に些細なことであることも多く、奥様からしてみると「そんな些細なことであれだけ怒っていたの?」と困惑してしまうことも往々にしてあります。

 

 ただ、モラハラ夫によっては、こちらに罵声を浴びせる際に、自分が怒っている原因を告げてくることもあり、その内容で、相手が怒っている理由が分かるというケースもあります。しかしながら、前述のようにモラハラ夫は独自の考え方を持っている人も多いため、モラハラ夫の説教を聞いていても、こちらとして、何故その様なことで怒るのかが理解できないというケースも多くあります。

 なお、弁護士に対しても同様で、モラハラ夫の説得のために何度か話をしていると、モラハラ夫が急に怪訝な顔をし始めるとか、こちらの話を誤解して急に憤慨し始めるという人もいます。ただ、弁護士の手前ということもあるのか、モラハラ夫が私に対して直接罵声を浴びせてくるという事態はケースとしては少ないです。

 

 

7.【弁護士から見たモラハラ夫の共通点6】急にやさしくなることがある


 

 これも、私がモラハラ被害を受けている奥様からよく聞く話なのですが、モラハラ夫の態度が豹変するという話になります。

 

 極端なケースですと、昨夜は、こちらを殺すとまで怒鳴ってきていた人が、翌朝には、和気藹々と話しかけて来るというケースもあります。

 最初のうちは、奥様の方も、モラハラ夫の機嫌がよい分には助かると考えるのですが、モラハラ夫の機嫌があまりにコロコロ変わるので、段々と心理的に疲弊してしまう人も多くいます。

 

 なお、モラハラ被害を受けている方の中には、このようにモラハラ夫が急に優しくなることがあるため、モラハラ被害を受けていても「また優しい夫に戻ってくれる」と考えて、ズルズルと離婚を先延ばしにしてしまう方もいます。

 ただ、このように問題を先延ばしにしてしまいますと、モラハラ行為がエスカレートしていき、深刻な被害につながりかねませんので、「また優しい夫に戻ってくれる」という幻想は捨てた方が良いと思います。

 

 このようなことは、弁護士である私の目の前でも行われることがあります。例えば、モラハラ夫がお子様の運動会への参加を強く希望しており、そのような希望が叶った後は、私に対しても異常に上機嫌であるといったこともあります。

 

 

8.【弁護士から見たモラハラ夫の共通点7】絶対に自分から謝らない


 

 これも、奥様からよく話が出る事項の一つなのですが、モラハラ夫は謝らない、ということが言えます。

 実際に、別居を開始したり、弁護士を介して離婚を切り出す場合には、離婚を逃れるために、形式的に謝罪の言葉を述べてくることもあるのですが、そうでもしないと「絶対に謝らない」というモラハラ夫は多いです。

 なお、モラハラ夫も言い過ぎたと思ったときなどには、翌日プレゼントを買ってくるとか、急に家事を手伝ってくるとか、一定の態度の変化が出てくることはあるのですが、絶対に言葉では謝らないということを貫くことも多いです。また、夫婦喧嘩になった時にも、いつも奥様の方から謝って終わるとか、あやふやなまま終わらせて、結局モラハラ夫は謝らないということも多いようです。このようなことが続くことで奥様の方もどんどんと自信がなくなっていくとか、違和感が心のうちに徐々に積もっていくといった悪循環に陥っていくことも多いです。

 

 

9.【弁護士から見たモラハラ夫の共通点8】妻や子供のことを監視・制限したがる


 これもモラハラのケースを扱っているとよく聞く話なのですが、奥様の行動等を制限したり、監視・支配したがる、もしくは、お子様の行動を制限等したがるモラハラ夫は多いです。

 このような制限の態様は大小あるのですが、極端なケースですと、妻に携帯電話を持たせてくれないというケースもありました(もしかしたら男性と会話するかもしれないから、携帯電話は持たせないと言うのです)。また、お子様との関係では、お子様の習い事や部活動などに事細かく指図してくるというようなケースも多いです。

 

 このような監視・制限の厄介なところは、モラハラ夫側が、妻や子供に対する愛情だとか、妻や子供のためを思ってやっていると誤解していることも多いという点です。こちら側が不満を述べると、夫側は「妻や子供達のためを思ってやっているのに」と感じて逆上してくるケースが多いのです。

 なお、私がモラハラ夫と対峙していて、この「監視・制限」については、人によって個人差が非常に大きいと感じる項目でもあります。前述の奥様に携帯電話を持たせないというのは最たる例ですが、非常に監視が厳しいご家庭もあれば、監視が緩いご家庭もありまして、「程度の差が大きい」と感じるのです。

 

 

10.【弁護士から見たモラハラ夫の共通点9】離婚理由を理解しようとしない


 

 これは正確には「理解できない」という方が正しいかもしれませんが、こちらから奥様が離婚したがっている理由を説明しても、相手が理解できないケースが多くあります。これは、モラハラ夫の方も多少は理解しているのですが、離婚するほどの話ではないと考えるケースと、そもそもこちらの話にピンと来ていないというケースがあります。

 

 なお、モラハラ夫が相手の場合、こちらが離婚したいと考える理由をきちんと正確に理解させることは難しいことが多いため、奥様の方でやり直すつもりが全くないということを伝えて離婚の説得をすることが多いように感じます。 また、「妻の言うことも分かりますよ」といいながら「だけど、…」と自分の言い分を主張して、結局問題の根本を全く理解していないというケースも数多くあります。

 奥様のご要望としては、せめて最後くらいはこちらが苦しんできたことを理解して欲しいとおっしゃる方も多いのですが、モラハラ夫が相手ですと、非常に残念ながら、ほとんど伝わらずに終わるというケースが多いです。

 

 

 

11. モラハラ夫の共通項を活かした対策


 

 これまで紹介してきましたとおり、モラハラ夫の弁護士に対する態度は上記の様になります。そして、一番の鍵になるのは、モラハラ夫が暴言を吐いてくる様な場合には、その証拠を押さえておくことになります。

 録音テープ等きちんとした証拠がありますと、モラハラ夫も言い逃れができなくなり、スムーズに離婚できるケースも多いです。

 

 そのため、まだ、あなたの方でモラハラの証拠を取得していない様な場合には、極力モラハラの証拠を確保する様に努めることをオススメします。もちろん、モラハラの形態によっては、証拠化しにくいというケースも数多くありますので、そのような場合には、どのような手順、手続で別居や離婚を進めるのがよいかは、弁護士に相談してみると良いでしょう。

 

 

12.上記が「全て」ではない


 今回は、私がモラハラ夫と直接対峙してよく感じる共通項について解説いたしましたが、モラハラの範囲は非常に広いため、上記の解説に含まれないような話も多々あります。上記の解説に含まれていないと、「自分の被害はモラハラに当てはまらないんじゃ」とか「マイナーな話なので、話をしても理解してもらえないかも」と不安に感じるかもしれませんが、私自身、上記以外での被害のお話を聞くことも多いので、是非そのような不安は抱かないで頂きたいと思います。

 私がモラハラ被害を受けている方からお話を聞いておりますと、上記のようなお話以外にも特殊なモラハラ被害を受けていて「こんなやり方をする人がいるんですね?」と驚いてしまうこともあります。これは、私が知らない被害だから「モラハラにあたらない」ということでは決してありませんので、勇気を持って話をしてもらえればと切に願っています。

 

 

13.まとめ


〇弁護士から見たモラハラ夫の共通点は以下の通り

 ・自分の考え方に固執する・自分の考えが絶対に正しいと考える。

 ・内弁慶で外面が良い。

 ・言い逃れ・こちらに責任転嫁することが上手い。

 ・(なぜか)被害者意識が強い

 ・急に怒り始めるため、怒り始めた原因が分からない。

 ・急にやさしくなることがある。

 ・絶対に自分から謝らない。

 ・妻や子供のことを監視・制限したがる。

 ・こちらの主張する離婚理由を理解できない・理解しようとしない。

〇このようなモラハラ夫の特徴を考慮し、先回りして証拠を集められるとベストである。

〇これらがモラハラの「全て」ではないので、安心して話をしに来て欲しい。

 

 

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