離婚問題

「旦那様(奥様)は離婚に応じないとはっきり言っていますよ」―離婚を諦めなければならないのか?

2016.09.26更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.調停手続での調停委員の発言


 

 ご自身で家庭裁判所の離婚調停手続を申し立てた場合、通常はあまり足を踏み入れたことがない裁判所に足を踏み入れて手続をしなければなりませんから、最初は緊張してしまうことが多いと思います。

 ただ、いざ調停手続が始まりますと、調停室は、テレビドラマの法廷のような厳粛な場所ではなく、膝詰めの話しやすい環境ですので、次第に緊張もほぐれていくと思います。

 とは言っても、家庭裁判所内という特殊な環境で、慣れない離婚について話し合うことになりますので、即座に的確な判断をして行くことは簡単ではありません。

 

2.調停委員から「旦那様(奥様)は離婚に応じないとはっきり言ってますよ」と言われてしまった


 

 あなたは、相手方と離婚をしたくて離婚調停を申し立てたのに、調停委員から「旦那様(奥様)は離婚に応じないとはっきり言ってますよ」と言われてしまうことがあります。その発言の真意については、どのように理解すればよいのでしょうか。

 

(1)調停委員は相手方の意向は、そのまま申立人に伝えなければいけない。

調停委員は中立の立場にありますので、あなたの離婚の意向を相手方に伝えた結果については、そのままあなたにお伝えしなければなりません。

つまり、あなたの離婚の意向を相手に伝えたところ、相手が「絶対に離婚したくない」という返事をした場合には、そのままあなたに伝えなければいけないのです。

従って「旦那様(奥様)は離婚に応じないとはっきり言ってますよ」と言われたとしても、調停委員が離婚に後ろ向きであると言うことではありません。

 

(2)調停では復縁より離婚の方が、圧倒的に件数が多いという実態

離婚協議が上手く行かず、離婚を求めて調停を起こしても、なおも相手が頑固に離婚に応じない姿勢を示すと言うことは多くあります。しかし、調停手続を進めていくうちに相手も離婚で致し方ないと考えて、離婚調停が成立するケースの方が復縁よりも圧倒的に多いのが実態です。

そのため、上記のような調停委員の言葉があっても、直ぐに離婚を諦める必要はありません。

 

3.まずは相手が離婚に応じない理由を詳しく確認する


 

 まずは相手が離婚に応じないという理由をしっかりと確認していく必要があります。

その理由によって、今後のこちらの取るべき対応が異なってくるからです。

 

(1)別居の経緯について反発しているケース

 相手が反発する理由としてよくあるケースですが、あなたが別居を開始した経緯について反発しているケースです。

 一緒に生活していた際離婚するかどうかについて真剣な話し合いが持たれていなかったり、特に相手に断りなく別居を始めたケースなどで問題になりやすいものと言えます。

 この場合、相手が別居の経緯等について誤解している場合もありますので、こちらからは別居の経緯を詳しく正確に調停委員に伝える必要があります。

 また、相手がやり直すつもりがあるのかについても調停委員にしっかりと尋ねる必要があります。このように相手がこちらに対する不平不満を述べている場合には、やり直す意思があるようには見えませんので、この点を突くのです。

 

(2)安易にやり直せると考えているケース

 相手がよく言ってくるのは「このようなことは普通の夫婦ではよくあることだ」とか「こんな些細なことで離婚する人はいない。申立人がもう少し我慢すれば済むことだ」といったことになります。

 このような反論がなされた場合には、あなたが離婚を決意した理由をしっかりと調停委員に説明して行くことになります。

 なお、私が相談に乗っておりますと、「旦那の暴言がひどい」とか「旦那が生活費を渡さない」という抽象的な説明をする方が多く見られます。暴言という場合には、どのようなひどいことを言ってくるのか、具体的なフレーズについてお話しいただく必要がありますし、その頻度やタイミングについてもご説明していただく必要があります。また、生活費を渡さないという場合にも、いつ頃から渡さなくなったのか、渡さなくなる前はいくらもらっていたのかと言った点を詳しく説明して行く必要があります。

 いずれにせよ具体的な理由を述べて、どれだけ相手のことを嫌っているのかという点をしっかりと具体的に説明して行くことが肝心です。

 

(3)子供に会えないことに反発しているケース

 別居を機にお子様に会う機会を与えていないというケース、または会う頻度について相手に不満があるといったケースです。

 この場合、お子様に会わせられない理由をキチンと調停委員に説明する必要がありますが、合わせてお子様との面会を認める方向の検討も必要になります。

 相手にお子様を会わせることで相手の態度を軟化させる可能性がありますので、その様なメリットも考慮して、面会を認めるかどうかを判断して行くことになります。

 

4.相手方の側に明確かつ重大な離婚原因がある場合


 

 相手方の側に明確かつ重大な離婚原因がある場合、それによって夫婦関係がうまくいかなくなっているのですから、強気の姿勢で臨んでも良いと思います。

 相手方の側に明確かつ重大な離婚原因がある場合というのは、相手方が浮気をしており、そのことが原因で夫婦仲が冷え切ってしまったとか、相手方が暴力をふるってきて病院に入院するほどのけがをしてしまったので、さすがに愛想が尽きて離婚したいといったケースになります。

 ただ、あまり高額な慰謝料など離婚条件を高くし過ぎてしまいますと、そのことが原因で離婚の話が進まないと言うこともありますので、この点は注意する必要があります。

 

5.どうしても相手が意固地になっている場合


 相手の意思が固く調停での話し合いが上手く行かなくなりそうな場合には、今後離婚裁判も検討しなければならなくなりますので、早めに弁護士に相談されることをオススメします。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【弁護士が解説】「奥様(旦那様)の離婚意思は固いようですよ」―どのように復縁と向き合うべきか

2016.09.19更新

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1.調停手続での調停委員の発言


 

 ご自身で家庭裁判所の離婚調停手続を申し立てた場合、通常はあまり足を踏み入れたことがない裁判所に足を踏み入れて手続をしなければなりませんから、最初は緊張してしまうことが多いと思います。

 ただ、いざ調停手続が始まりますと、調停室は、テレビドラマの法廷のような厳粛な場所ではなく、膝詰めの話しやすい環境ですので、次第に緊張もほぐれていくと思います。

 

 とは言っても、家庭裁判所内という特殊な環境で、慣れない離婚について話し合うことになりますので、即座に的確な判断をして行くことは簡単ではありません。

 特に、自ら調停を起こしたのではなく、調停の相手方になってしまった場合、より緊張して手続に臨まなければならないことが多いと思います。

 

2.調停委員から「奥様(旦那様)の離婚意思は固いようですよ」と言われてしまった


 

 離婚調停では、離婚するかどうかがご夫婦の間で争いになるケースも多くあります。もちろん、離婚調停を申し立てている方は、離婚したくて調停を起こしていますので、離婚を希望していますが、相手は離婚したくないというケースになります。

 その様なケースでは、相手方となったあなたに対して、調停委員が「申立人である奥様(旦那様)の離婚意思は固いようですよ」と話してくる場合があります。

 

 では、調停委員から、その様に言われてしまった場合、どのように考えればよいのでしょうか。

(1)調停では復縁より離婚の方が、圧倒的に件数が多いという実態

 「奥様(旦那様)の離婚意思は固いようですよ」という言葉を真正面から受け止めると、奥様(旦那様)は一切やり直す意思がないように聞こえます。ただ、調停の申立人が調停委員の前で「離婚したい」という話をしている場合、調停委員は、相手方に対して「奥様(旦那様)の離婚意思は固いようですよ」と発言することは多くあります。

これは、調停の成立件数のうち復縁よりも離婚の方が圧倒的に多いと言うことも多少なりとも影響しているのではないかと思います。調停委員も人間ですから、離婚で調停を成立させる件数が非常に多い中で、積極的に復縁を進めてくる割合はどうしても少なくなりがちだと思います。

 

(2)申立人にとっての調停手続の位置付け

 調停手続は、家庭裁判所内で行われる手続ですから、裁判所外での話し合いとはやはり位置付けが異なってきます。そのため、奥様(旦那様)が「調停手続を取っている」ということは、本気で離婚したがっているんだ、と思われる方もいらっしゃいますが、必ずしもそうではありません。

 

 すなわち、弁護士が離婚の相談を受ける場合、通常は、以下の段取りをアドバイスすることが多いです。

①ご夫婦での直接の話し合い

②ご夫婦での話し合いが難しいとか、上手く行かなかったという場合、ご両親やご兄弟、共通の友人などに間に入ってもらって話し合う

③上記②も上手く行かない場合、ご自身で調停手続きを取るか、弁護士が間に入って話し合いをする。

 

 この場合に気を付けなければならないのは、たまに、最初から①の方法も②の方法も難しいと考えて、調停という手続を利用される方がいると言うことです。つまり、調停手続の場が、本格的に離婚の話し合いをする初めての場であるというケースです。

 このように一口の調停手続と言いましても、申立人個々人によって捉え方は様々ですから、奥様(旦那様)が調停手続きを取っている以上「本気で離婚したがっている」と考えるのは早計かもしれません。

 

(3)申立人が弁護士を付けている場合

 申立人が弁護士を立てている場合、調停の席で、申立人が離婚するかどうか悩んでいる仕草をすることはほぼありません。

 

3.まずは、自分の気持ちを最優先に道筋をキチンと決めること


 

 調停委員からの「奥様(旦那様)の離婚意思は固いようですよ」という言葉を真正面から受け止めてしまいますと、離婚以外の選択肢は浮かばなくなってしまいます。

 そもそも、調停は、裁判所を利用するとは言いましても、当事者間の話し合いの席ですから、調停委員の発言に拘束力はありません。

 そのため、申立人の話も参考にしながら、ご自身がどのようにしたいのかをしっかりと考える必要があります。

 

 その際には、調停の席では緊張してしまい、的確な判断ができない場合もありますので、一度結論を持ち越した上で、じっくりと考えて結論を出すことをお勧めします。

 

4.申立人に明確かつ重大な離婚原因がある場合には強気に出ても良い


 離婚を要求してくる申立人の側に明確勝重大な離婚原因がある場合には、様相が変わってきます。

 旦那様が浮気をしており、浮気相手と再婚したいので離婚を申し入れてきたケースや旦那様が身体的暴力をふるっており、こちらが病院に通うほどのけがをしたといったケースになります。

 このようなケースでは、旦那様からの離婚要求が認められると、こちら側としては「踏んだり蹴ったり」だと思いますので、強気に出ることも考えて良いと思います。

 ただ、離婚するかしないかという問題については、旦那様が離婚の原因を作りながら分かれたいというのは理不尽だという言い分もあるでしょうが、このような身勝手な人と長い夫婦生活を送っていくことがあなた自身のためになるのかという視点からの検討もして下さい。

 

5.復縁を選択した場合の基本姿勢


 

 仮に、悩んだ末に復縁を希望する場合、調停での基本姿勢は、「申立人が不満を持っている部分には可能な限り譲歩するので、復縁したい」という姿勢で臨むのが効果的と言えます。

 繰り返しになりますが、申立人は離婚したくて調停手続きを踏んでいるのですから、復縁を希望するのであれば、申立人がこちらに振り向いてもらう必要があるからです。

 

 なかなかそこまで思い切れないという場合には「申立人の不満は離婚するほどのものではないので、絶対に離婚するつもりはない」と言い続けるという方法もあります。この場合には、調停は不成立で終わってしまう可能性が非常に高くなりますので、調停後を見据えておく必要があります。

 すなわち、申立人が離婚裁判を視野に入れているという場合には、こちらも裁判を戦い抜く覚悟を決める必要があるかもしれませんし、他方、申立人が直ぐ裁判に移行する意思がないという場合には、調停不成立の後に、間に入ってくれる親族や知人等がいるかどうかを検討しておく必要が出てきます。

 

 なお、前述の様に旦那様の側に明確かつ重大な離婚原因があるケースでは、旦那様の離婚要求は理不尽であると主張してもよく、復縁のためにあまりこちらが譲歩すべきではないことが多いと思います。

 

6 実際のところ復縁の難易度はどのくらい?


 

 申立人がどのような理由で離婚を申し入れてきているのか、どのような段取りで離婚調停の手続きを踏んだのかと言った点に大きく左右されますが、一般的に復縁の難易度は高いと考えた方がよいと思います。

 

 ただ、このような難易度の高さと、あなた自身が離婚に納得できるのかという問題は別問題だと思います。あなた自身の今後の生活に深く関わる問題でもありますから、あなた自身が今後どうしたいのかという点をじっくりと考え、結論を出すのが一番だと思います。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

面会交流事前準備の4つのポイント

2016.09.05更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.面会交流実施にあたっては事前準備が肝心


 

 面会交流とは、現在お子様を養育されている親御様が、他方の親御様にお子様を会わせて、お子様と接触する機会を与えることを言います。

 

 面会交流は、お子様を会わせるだけと誤解されている方が多く見られますが、注意すべき点が何点かありますので、注意深く進めて行く必要があります。

 

 事前準備として肝心なのは、以下の点をキチンと取り決めておくことです。

①面会交流開始時刻

②面会交流終了時刻

③お子様の受け渡し場所

④お子様との面会交流の場所

⑤面会交流の注意事項(食事やおやつの回数、プレゼントの許否等)

 

 特に離婚についてのご夫婦の意見が激しく対立している場合には、キチンと条件を取り決めておきませんと、面会交流実施時に思わぬアクシデントが生じかねません。

 そのため、私が弁護士として関与している事件では、上記の①から⑤の点を綿密に取り決めた上で面会交流を実施します。

 

以下、具体的にご説明致します。

 

2.【1つめのポイント】終了時刻の指定・厳守は不可欠


 

 例えば、「こちらの夕ご飯前までには帰して欲しい」という取り決めはよいのでしょうか。

 これまでかなりの回数面会交流を繰り返しており、旦那様との信頼関係が築けているのであれば結構ですが、そうでない場合には、キチンと「○時終了」といった形で明確に終了時間を取り決めておいた方がよいと思います。

 

 このように終了時刻を定めたとしても、旦那様側からすると久しぶりにお子様と面会することになりますので、つい約束の面会交流時間を過ぎてしまうということが起こり得ます。

 一度や二度なら仕方ないと考える方もいらっしゃいますが、終了時刻を過ぎてしまうことに慣れてしまいますと、どんどん約束した時間が守られなくなっていってしまいます。

 

 事前に面会交流のルールを決める意味がなくなってしまいますので、特に始めのうちは、終了時刻厳守で面会交流を実施して行くのが望ましいと言えます。

 なお、面会交流時間は、これまでの旦那様がお子様と面会交流で接してきた時間や面会交流の場所に応じて若干余裕をもって取り決めるのが望ましいと言えます。

 

3.【2つめのポイント】実際の面会交流の場所の取り決め


 

 上記の開始時刻や受け渡し場所を決めないと言うことはないと思いますが、実際の面会交流の場所もキチンと事前に決めておく必要があります。

 例えば、お子様をお預けする場所は奥様のご自宅と取り決めるだけでは、旦那様がその後お子様をどこに連れて行くのか分かりませんので、緊急時の対応に困ってしまうと思います。

 

 また、面会交流時間が長い場合には、遠出の可能性もありますので、キチンと面会終了時刻までに帰ってこられる距離の場所にしてもらう必要があります。

 

4.【3つめのポイント】面会交流中のやりとりに関する注意点


 

 面会交流の時間や時期、旦那様の普段のお子様への接し方等に応じて、面会交流時の約束事などを決めておく必要があります。よく問題になる事項としては以下のようなものがあります。

 

(1)食事やおやつ

 面会交流時間が30分や1時間など短時間の場合はあまり問題にならないと思いますが、面会交流時間が伸びてきますと、昼食時や3時のおやつの時間を挟むケースもでてきます。その場合には、こちらで昼食を取らせてから面会交流に向かわせるのか、昼食は旦那様と取ってもらうという形にするのかといった点も取り決めておく必要があります。

 なお、長期間お子様が旦那様と会っていなかったというケースでは、旦那様の前ではお子様の食が進まないというケースも多いので、その点への配慮が必要になることもあります。

 

(2)プレゼント

 これまでの旦那様の性格等からプレゼントに過敏になる必要がないということでしたら、あまり心配する必要はないと思います。

 ただ、たまに久しぶりにお子様に会えるということで大量のプレゼントを毎回渡してくるという方もいらっしゃいますので、その様な危険性がある場合には、事前に「プレゼントの受け渡しは基本的にナシ」にするなど取り決めておく必要があります。

 また、お子様の誕生日やこどもの日、クリスマスなど特別な行事の際には、こちらが渡すプレゼントと旦那様が渡すプレゼントが同じものにならないよう事前に調整するなどの配慮も必要になります。

 

(3)面会交流時の発言

 今回の離婚問題の前から、旦那様がお子様に対して、奥様の悪口を頻繁に言っているような場合には、面会交流時に、その様な発言に及ばないよう事前に伝えておく必要があります。

 また、場合によっては現在の離婚係争中の状況を伝えないように事前に取り決めておくこともあります。もちろんお子様が離婚の意味を理解できるような年齢にあり、既に奥様の方から離婚係争中であることを伝えている場合にはよいのですが、そうでない場合、旦那様が不用意な発言をしないよう釘を刺しておくべきケースもあります。

 離婚係争が長引きそうなケースでは、キチンと決着がついてからお子様にお話しをすると考えている奥様も多くいます。その様な時に旦那様の不用意な発言でお子様の情緒が不安定になることは極力防止する必要があります。

 

(4)こちらの生活を執拗に聞き出してくる可能性

 奥様と旦那様が別居中の状態なので、旦那様は、奥様の生活状況について詳しくお子様に質問してくるケースがたまに見られます。

 よくあるのは、以下のような質問です。

・ママは仕事から帰ってくるのが夜遅くなったりしてない?

・ママは仕事が忙しいみたいだけど保育園・小学校の行事にちゃんと来てくれてる?

・ママは仕事が忙しいみたいだけどちゃんと食事を作ってくれてる?

・ママがヒステリックになってイライラしたりしていない?

・ママは仕事が忙しいみたいだけど学校の宿題の面倒を見てくれてる?

 特にご夫婦のいずれを親権者とするかについて激しく対立しているケースですと、お子様の発言を利用して、「母親は親権者にふさわしくない」などと言ってくる場合もありますので、注意が必要です。

 

5.【4つめのポイント】場合によっては奥様ご本人が立ち会う


 

 旦那様がどのような行動、言動に出るか予測しにくいという場合には、奥様ご本人が面会交流に立ち会うというケースもあります。

 このようにすれば旦那様の不用意な発言をかなり抑制することもできます。

 ただ、奥様が立ち会いますとお子様が奥様の方ばかりに寄ってきてしまい旦那様との面会交流が円滑に行かないというケースも多いため、立ち会いをするかどうかは慎重に検討する必要があります。

 

 なお、奥様ご本人が立ち会った場合、旦那様が面会交流の回数等を増やすべく画策する場合がありますので、この点は注意が必要です。

 例えば、旦那様の方からお子様に対して「再来週運動会にパパも見に来て欲しいよね。応援に行くからね」といった話をしきりにして、お子様の方から「パパも来て」という発言を引き出すといったケースです。

 このようなケースでは、奥様ご本人も、目の前での会話のやり取りを目撃していることになりますので、旦那様は面会交流の回数を増やす作戦として利用してきます。

 この場合の奥様の対応としては「この場では決められないので、帰宅してから子供ともよく話して決めます」と返事をしておけばよいです。

 

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夫に隠れて風俗店に勤めていた場合、慰謝料を払わなければいけないの?

2016.08.29更新

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神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.婚姻中夫に隠れて風俗店に勤務することは慰謝料原因になるか


 

 一般に慰謝料発生の原因とされる「不貞行為」とは、第三者と性交渉を持つことを意味するとされています。

 そうすると、風俗勤務は、直ちに性交渉に結びつくわけではありませんので、厳密には「不貞行為」とは言えなさそうです。

 

(1)性交渉を持ってしまった場合慰謝料責任は避けられない

 風俗店に勤務していると、特定の客から何度か指名を受けているうちに懇意になり、性交渉に至ってしまうというケースも多くあります。

 このように関係を持ってしまった場合には明らかに「不貞行為」に該当しますので、慰謝料を支払う責任は避けられません。

 

(2)性交渉を持たなくとも慰謝料責任が発生する危険性は高い

 風俗店において、客との性交渉を禁止する旨の規則が定められていることが多くあります。このような規則の存在を理由にして風俗嬢も客からの性交渉の要求を拒否するケースも多くあります。

 しかしながら、風俗店での業務は、性交に類似する行為が多分に含まれるため、婚姻中にこのような業務についていることを旦那様が知った場合には、大きなショックを受けることも多いと思います。

 

 そのため、風俗店で勤務したことは、慰謝料の発生原因になり得ると思われます。

 

2.慰謝料の金額はどの程度になるか?


 

 風俗店勤務のみを理由とする慰謝料請求のケースはあまりないため、相場のようなお話しをすることは非常に難しいです。

 

 ただ、一般の不倫慰謝料については、200万円程度が一つの目安と言われておりますので、多少は参考になると思います。

 

 また、慰謝料の金額を決定する要素についても、不倫慰謝料額決定の要素が参考になりますので、具体的には以下のような事情が考慮されるものと思われます。

大きく分けますと、以下のような事情になります。

 

①風俗店勤務の態様等

 

②被害配偶者が受けた精神的苦痛や肉体的苦痛

 

③風俗店勤務が発覚したことによって婚姻関係にどの程度ヒビが入ったか

 

④婚姻期間の長さ

 

⑤風俗店勤務配偶者の収入

 

これだけではピンと来ないと思いますので、詳しくご説明致します。

 

①の風俗店勤務の態様については、以下のような要素が考慮されます。

 

・風俗店勤務の発端(旦那様がどの程度の生活費を渡しており、風俗店勤務をしなければならないほどの生活費確保の必要性・切迫性がどの程度あったのか、逆に、奥様の嗜好品や化粧品購入等の私的な目的での勤務なのかといった点が考慮されることになります)

・風俗店勤務の期間や頻度

・顧客の人数

・被害配偶者を裏切った回数等(例えば、一度目の風俗店勤務発覚時に今後一切このような仕事をしない旨誓約したのに何度もその誓約に違反した等) 

・風俗店勤務配偶者による関係修復の努力の有無(客観的証拠上風俗店勤務の事実が明らかなのに、これを否定し続けたり、風俗店勤務を認めたのに開き直って今後もこの仕事を続ける旨発言した場合などは慰謝料額は増額される傾向にあります)

 

②の被害配偶者の精神的苦痛や肉体的苦痛としては、例えば、うつ病その他の精神疾患を患うようになったとか、胃潰瘍になってしまったといった事情が、風俗店勤務と直接関係しているような場合には、慰謝料の増額要因になり得ます。 

 

③③風俗店勤務が発覚したことによって婚姻関係にどの程度ヒビが入ったか

 

④の婚姻期間の長さは、入籍してからの期間が考慮され、原則として交際していた期間は考慮されません。 

 

⑤風俗店勤務配偶者の収入は、源泉徴収票等が重要な判断資料になります。なお、たまに「家内はお金を持っていないけれど、家内の親は資産家だから、親からお金を取って欲しい」という相談を受けることがありますが、奥様と親御様は別人格になりますので、法律的には親御様に対して金銭請求することはできません。

 

3.冷静な話し合いが難しい場合には早めにご相談下さい


 

 風俗店勤務などの機敏な問題についてはご夫婦間での冷静な話し合いが難しいというケースも数多くあります。

 そのため、ご夫婦間での冷静な話し合いが難しいという場合には、なるべく早めに弁護士にご相談されることをおすすめします。

 

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デリバリーヘルス嬢の離婚慰謝料を限りなくゼロに近づけたケース

2016.08.15更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

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1.婚姻中夫に隠れてデリバリーヘルスの仕事をすることは慰謝料原因になるか


 

 一般に慰謝料発生の原因とされる「不貞行為」とは、第三者と性交渉を持つことを意味するとされています。

 そうすると、デリバリーヘルス業務は、直ちに性交渉に結びつくわけではありませんので、厳密には「不貞行為」とは言えなさそうです。

 

(1)性交渉を持ってしまった場合慰謝料責任は避けられない

 デリバリーヘルス業務を行っていると、特定の客から何度か指名を受けているうちに懇意になり、性交渉に至ってしまうというケースも多くあります。

 このように関係を持ってしまった場合には明らかに「不貞行為」に該当しますので、慰謝料を支払う責任は避けられません。

 

(2)性交渉を持たなくとも慰謝料責任が発生する危険性は高い

 デリバリーヘルスについては、デリバリーヘルス店において、客との性交渉を禁止する旨の規則が定められていることが多くあります。このような規則の存在を理由にしてデリバリーヘルス嬢も客からの性交渉の要求を拒否するケースも多くあります。

 しかしながら、デリバリーヘルス業務は、性交に類似する行為が多分に含まれるため、婚姻中にこのような業務についていることを旦那様が知った場合には、大きなショックを受けることも多いと思います。

 

 そのため、デリバリーヘルス業務を行ってきたことは、慰謝料の発生原因になり得ると思われます。

 

2.私が担当した事件


 

・ご依頼者様:30代後半の女性(Yさんと言います)

・ご依頼内容

 旦那の暴言がひどいため離婚したいが、婚姻中デリバリーヘルス業務をしていたことを旦那が気付いてしまい、「慰謝料を請求する」と言われてしまっている、円滑に離婚できるように弁護活動を行って欲しい、というご依頼内容でした。

 

 なお、Yさんの旦那様:40代前半の男性、お子様:小学校に通う男の子2名、ご家庭環境:ご依頼時別居中、婚姻期間:10年程度というケースでした。

 

3.私の弁護活動


 

 まずは、Yさんからデリバリーヘルス勤務の期間や態様、その経緯などについて詳しくお話を伺いました。Yさん自身旦那様から追及された際に、デリバリーヘルス勤務をしていたことは認めてしまっていましたので、一切慰謝料を払わないと言うことは難しいと思いましたが、その金額をできる限り減額する事情がないかを詳しく聞くことにしたのです。

 

 この事件では、旦那様がYさんのデリバリーヘルス勤務に強く立腹しており、旦那様の方から家庭裁判所に対して離婚調停の申立がありました。

 

 この調停の中でも、旦那様はYさんに慰謝料400万円を支払わせるといったことを強く主張していました。

 

 これに対しては、デリバリーヘルス勤務の経緯を詳しく説明すると共に、デリバリーヘルス店の店内規則にて客との性交渉が明確に禁止されていることを説明しました。

 具体的には、このケースでは、旦那様が頻繁に高級品を購入していたため、そのことで生活費が圧迫され、Yさんとしても育児をしながら高額の収入を得るためにデリバリーヘルス業務に従事しなければならなかったという事情を説明しました。

 

 また、旦那様は、Yさんがデリバリーヘルスの客の○○さんと性交渉があったはずだということを強く疑っていましたが、濡れ衣でしたので明確に否認しました。

 

4.調停委員の風当たり


 

 上記の通り、当方としては、「不貞行為」はないと繰り返し主張しましたが、デリバリーヘルス業務自体が性交に類似する行為を含んでいることもあって、調停委員の理解を得ることは難しい状況でした。

 

 そのため、Yさんの現在の収入がパート収入のみで、ほとんど収入がないという点を積極的に押し出す形に作戦を変更しました。Yさんにはほとんど収入がないという点については、昨年度の課税証明書なども提出し、調停委員にも理解してもらいました。

 

5.1万円に満たない慰謝料を支払って離婚


 

 当方としては、Yさんにほとんど支払能力がないという点を全面的に押し出し、慰謝料の支払いが現実的に不可能であるという点を繰り返し強調したところ、旦那様の方も長期的な紛争は避けたいという意向に変化していきました。

 

 ただ、旦那様の心情として慰謝料ゼロと言うことには納得が行かないとのことでした。そこで、最終的にはYさんが1万円にも満たない少額を支払うという形で合意にこぎ着けることができ、調停が成立しました。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

不倫誓約書「今後連絡を取った場合罰金を払う」の有効性が問題になったケース

2016.08.01更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.不倫の誓約書


 

 

 旦那様の不倫が発覚した場合、奥様としてはまず、今後の夫婦関係をどのようにするのかについて真剣に考えなければなりません。

 旦那様が今後もこのようなことを繰り返す可能性が高いという場合には、離婚、もしくは、離婚しないまでも一定期間別居をするという選択肢もあり得るでしょう。逆に、小さいお子様がいるなどの事情で離婚に踏み切れないという場合、夫婦関係の修復を試みるということもあり得るでしょう。

 

 では、夫婦関係の修復を試みるという場合、今後同じようなことが繰り返されないために、旦那様に誓約書を記載させる必要があります。

 このような誓約書を書かせることは、旦那様自身の反省・謝罪の気持ちをきちんと書面に残しておくことに加え、旦那様自身にとって、その様な気持ちをきっちりと自覚させることにも繋がります。

 

 そして、不倫相手の女性についても、奥様がよく知る人物であるといった場合には、その不倫女性にも同様に誓約書を提出させるのが効果的です。

 

2.私が担当した事件


 

 

・ご相談者 40代前半の女性(Zさんと言います)

・ご相談内容

 妻子を持つdさんと浮気をしてしまったが、そのことがdさんの奥様に発覚して、一度誓約書を書いて提出している。この誓約書には今後dさんと連絡を取った場合には1回につき200万円を払うと書かれているが、これは有効なのか、というご相談でした。

 このケースでZさんは結局dさんと2度目の浮気をしてしまい、そのことでdさんの奥様から200万円を請求されているということでした。

 

 なお、dさんは40代前半の男性、dさんのご家庭は、奥様30代後半、小学校に通う男の子がお二人いる家庭でした。

 

3.「1回の違反に対して」200万円という約束の有効性


 

 誓約書にサインをしてしまった場合でも、その内容が当然に全て有効になるわけではなく、その内容が圧倒的に不倫被害者側に有利であるといった場合には、効力が一部制限されることもあると思われます。

 今回のケースで問題となった「連絡1回につき200万円」という約束も圧倒的に不倫被害者側に有利な定めになりますので、文面通りの効力は認められないものと思われます。

 

4.結局はケースごとの不倫慰謝料額が物差しになると思われる


 

 上記の通り一方的すぎる内容の誓約書の効力は制限されますが、問題は、どこまで制限されるのかという点です。

 

 一方的過ぎる内容であっても、全部無効ということにはならないと思いますので、具体的にZさんはいくら払えばよいのかが問題となります。

 

 この点は、このケースでの不倫慰謝料をいくら払うのが妥当かという金額が物差しになるのではないかと思われます。具体的には不倫慰謝料は以下のような点を考慮して定まります。

 

①不倫の悪質性

②被害配偶者が受けた精神的苦痛や肉体的苦痛

③不倫をきっかけにして夫婦関係が破綻したかどうか

④婚姻期間の長さ

 ⑤不倫女性の収入

 

5.このケースでの解決


 

 私は、上記のような相談を受け、合計の支払額が200万円ということであれば、不当に高額とも言えないのではないかとのお話しをさせていただき、Zさんも、その金額を支払うということで、私が間に立たずに問題は解決しました。

 

6.お金を支払う際の注意点


 

①可能な限り、200万円の支払いで終わりであると言うことを約束させること

 200万円を支払う際には、dさんの奥様にも、200万円を受け取ることで問題が解決済みであることを署名押印してもらうのが望ましいです。

 

 そうでないと、今後dさんの家庭が正式に離婚することになったとか、お子様がショックで体調を崩したといった事情の変化があった時に、その都度追加で慰謝料を請求される危険性が残るからです。

 具体的には、dさんの奥様に「200万円を受領したことに伴い、Zさんとの間に何らの権利義務がないことを確認する。」といった内容の合意書に署名押印してもらうとよいでしょう。

 

②dさんへの求償の問題も考慮すること

 不倫というのは男女が共同して行う不法行為のため、Zさんだけが200万円を支払ったという場合には、本来dさんに対して100万円程度のお金を請求しても良いことになります(これを法律用語では「求償」などと言います)。

 

 Zさんとdさんは共同で違法行為をしたことになるので、一方のみが金銭負担をするのは不公平だから、内部で調整を図るということです。

 

 ただ、実際にZさんがdさんに連絡を取ると、dさんの奥様からしてみると、「また疑わしい関係が続いている」と見られかねませんし、再度dさんの家庭を混乱させることにもなりかねません。

 そのため、このような求償を行うかどうかはZさんが慎重に考えていかなければなりません。

 

 ちなみに、今回のケースでは、Zさんはdさんへの求償はせずに終わらせました。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

5年後退職予定の旦那から退職金分を考慮して財産分与したケース

2016.07.25更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

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1.退職金は財産分与で見落としがちな財産


 

 財産分与においては、相手の財産の在処(ありか)を事前に把握しておくことが重要になります。

 離婚で夫婦間の対立が激しくなりますと旦那様は少しでも財産を分けたくないと思い、財産を隠す傾向があるからです。

 

ただ、相手の財産の在処の把握と言いますと、通常の方は、旦那様の預金がどこにあるのか、株式をやっているがどこの証券会社でやっているのかといった点に目が行きがちですが、退職金を忘れてはいけません。

 

一口に退職金と言いましても、既に旦那様が定年退職して退職金を既に受け取っているという場合には、預金残高等に退職金が含まれますので、預金残高を考慮すれば実質退職金分が考慮されることになります。

 

他方、まだご夫婦ともに若く、退職まで30年以上あると言った場合には、定年退職という事情は不確実性が高いため、退職金は財産分与の対象としないことが多いように見受けられます。

 

2.私が担当した事件


 

・ご依頼者様:50歳代後半の女性(Oさんとします)

・ご依頼内容:旦那様が十分な生活費を渡さないので離婚したい、ついてはできるだけ多くの財産分与を受けたいとのご依頼内容でした。

 

 なお、この事件の旦那様:50歳代後半、お子様:既に成人されたお子様お二人、婚姻期間:25年程度、家庭環境:ご依頼時別居中というケースでした。

 

3.私の弁護活動


 

 Oさんのお話では、旦那様が婚姻期間中生活費を渡さなかったとのことでしたので、婚姻期間のうちいつ頃までいくらを渡していて、いつ頃から生活費を渡さなくなったのか、また、生活費を渡さなくなったきっかけについて詳しくお話を伺いました。

 

 このようなOさんのお話を踏まえて、こちら側の離婚条件をまとめ、旦那様宛に通知を送りました。

 なお、この通知においては、旦那様の財産の詳しい残高等が分かりませんでしたので、旦那様の財産を開示するように要求する内容を盛り込みました。

 

 この通知を受け取った旦那様は、直ぐに弁護士に依頼をし、旦那様側から離婚調停を起こしてきました。

 

3.退職金についての言い分


 

(1)こちらの言い分

 当方としては、旦那様の定年退職まで5年しかないため、当然退職金を財産分与で考慮すべきことを主張しました。

 

 考慮する金額については、将来定年退職することを前提としたうえで、勤続期間の中でも婚姻期間と重複する部分を考慮して算出するように主張しました。

 

 今回のケースでの具体的な数字は差し支えますが、分かりやすくサンプルとして数字をあてはめて説明しますと以下の通りになります。

 ①定年退職した場合の退職金が1000万円と仮定します。

 ②定年退職までの勤続期間を20年

 ③婚姻期間と重複する期間を15年

 ④具体的考慮額は、1000万円÷20年×15年=750万円

(※この金額はあくまでサンプルとしての参考額で、今回のケースでの金額とは異なります)

と言った計算方法になります。

 

 本来は、退職金を実際に受け取るのは5年後の話になりますので、将来利息分を差し引くのが一般的なのですが、調停手続中と言うこともありましたので、将来利息分を差し引かずに提案を行いました。

 

(2)相手の言い分

 旦那様は、以下のような主張を展開してきました。

 

定年退職まで5年もの年月があり、実際に定年退職するかの確実性がないため、そもそも、退職金を財産分与で考慮すべきではない。

不動産業社に勤務しており、この業界は人の移り変わりが激しく、定年退職する可能性は極めて低い、そのため、退職金を考慮するにしても、中途退職を前提として計算すべきである。

 

4.最終的にはこちらの計算より一部減額して調停成立


 

 Oさんともよく相談して結論を出しましたが、最終的には、こちらの計算する金額と先方が計算する金額の中間値に近い数字で合意しました。

 

 先方が主張するように退職金を一切考慮しないという案は応じられないと言うことでこちらも強く主張したのですが、考慮する退職金の金額については、退職が5年後という一定の不確実性もありましたので、多少減額して折り合う形にしました。

 

5.退職金考慮の難しい点


 

 退職金は支給されれば、それなりの金額になるのですが、離婚するのは退職前ですので、計算上退職金を財産分与で考慮するにしても、旦那様がそのお金をどのように工面するのかという問題が生じます。

 

 この問題を解決するために、「旦那様が将来退職金をもらった段階で、分配を受ける」という方法もありますが、これでは、旦那様が退職したことを黙っていれば、こちら側から退職金分の支払いを請求することが難しくなってしまいます。

 

 そのため、やはり、離婚する時に退職金分も考慮すべきですが、あまり高額に固執しますと、旦那様の手元資金を超えてしまい、話し合いがまとまらない虞があります。

 この場合には、離婚裁判に移行するという方法もありますが、長期戦になってしまいますので、手続の進捗状況やご依頼者様のご意向を踏まえて最終決断することになります。

 

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【面会交流】行事参加について明記したケース

2016.07.18更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

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1.面会交流とは?


 

 面会交流(めんかいこうりゅう)という言葉は普段耳にしないと思いますが、ご夫婦(または元夫婦)の一方がお子様を育てている場合に、他方配偶者がそのお子様と会って交流することを意味します。以前は「面接交渉」という用語を用いることが多かったのですが、最近は「面会交流」という用語を用いるのが一般的です。

 

例えば、夫婦の折り合いが悪くなって、奥様がお子様と一緒にご実家に別居しているときに、旦那様がそのお子様と会って話をしたり、一緒に遊んだりすること等を「面会交流」と呼びます。

 面会交流は、ご夫婦が別居されている時にも問題になりますが、離婚した後の面会交流の方が問題は深刻化しやすい傾向にあると言えます。

 

2.私が担当した事件


 

・ご依頼者様:30歳代後半の女性(Nさんとします)

・ご依頼内容:旦那様からの暴言がひどいので離婚したいが、親権はこちらが確実に取得したい、面会交流についてもきちんと条件を取り決めて離婚したいとのご依頼内容でした。

 

 なお、この事件の旦那様:30歳代後半、お子様:保育園に通うご長男のお一人、婚姻期間:5年以上10年未満、家庭環境:ご依頼時別居中というケースでした。

 

3.私の弁護活動


 

 Nさんのお話では、旦那様が直接の暴力はしないものの、暴言がヒドイとのお話しでしたので、どのようなシチュエーションでどのような暴言を発したのか、頻度はどの程度だったのかと言った点をしっかりとNさんからお伺いしました。

 

 このような話を踏まえて離婚の希望条件を整え、旦那様宛に通知を送りました。この通知は、内容証明郵便という郵便方法でお送りしました。

 

 すると、旦那様も弁護士を立ててきて、弁護士同士での話し合いが行われましたが、親権の帰属について折り合いがつかず、家庭裁判所の調停手続で話し合いが行われることになりました。

 

4.調停手続での旦那様の言い分


 

 調停手続で、旦那様は、自分が親権者にふさわしいと言うことを主張すると同時に、ご長男様に会えていないということを強くクローズアップしてきました。

 この点は、旦那様が主張するとおりで、Nさんの希望もあってご長男様との面会交流は禁止していました。

 

 旦那様は、調停委員に対して「今ですら長男と自由に会えることができないのだから、離婚後はもっと会えなくなる。これでは長男があまりに不憫である」といった形でクローズアップしてきたのです。また「このように長男の自由を束縛するような女性に親権を委ねることはできない」などと主張してきました。

 

 これに対しては、Nさんとしても旦那様との面会交流をさせてこなかったのは、別居後長男が生活に馴染むまでの間は面会交流を控えさせたかったからであっても、ずっと面会交流させないというわけではないと言うことを主張しました。

 そして、現実にも調停手続中の面会交流を認めるようにしました。

 

5.面会交流での行事参加


 

 このようにして調停期日間の面会交流を認めつつ、離婚調停手続を進めていったのですが、その中で悩ましかったのが、行事参加の問題でした。

 

 Nさんは、旦那様からの暴言がひどいので転園したこと、旦那様が迎えに来ても長男を引き渡さないように予め保育園に話をしていましたので、旦那様が積極的に保育園の行事に参加することは好ましくありませんでした。

 

 そのため、離婚成立までは旦那様の保育園行事への参加は控えてもらい、その代わり、離婚後の行事参加については柔軟に対応する旨を明示する形にしました。

 

6.調停成立


 

 調停期日を繰り返していくにあたり、旦那様もお子様と直接会って話をするなどして親権については最終的に諦め、Nさんを親権者とする形での調停が成立しました。

 

 この調停の際には、上記の通り行事参加を認める旨を明記しました。

 具体的な調停条項は以下の通りです。

「相手方は、申立人に対し、申立人が2ヶ月に1回程度長男と面会交流することを認める。面会交流の日時、場所、方法等の具体的な内容については、当事者双方で事前に協議して定める。

 申立人は、長男が通園する保育園の、運動会、発表会、父兄参観、遠足、夏祭り、卒園式等の行事(保育園により父親の参加が認められているものに限る。)に参加することができる。」

 

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面会交流の回数を明記せずに離婚したケース

2016.07.11更新

 

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1.一般的に面会交流の回数ってどのくらい?


 

(1)離婚成立前

離婚成立前で、離婚事件が家庭裁判所の調停手続に入っている場合、旦那様との面会交流の回数は、調停期日間に1回ずつというケースが多いように思われます。

 

 例えばですが、4月10日に第1回調停、5月15日に第2回調停、6月22日に第3回調停が開催されるという場合、2回目の調停日よりも前の4月30日に1回、第3回調停の前の6月7日に1回といった頻度で面会交流させるということになります。第4回目以降の調停期日についても同様になります。

 

 もちろん、調停手続は、裁判所を利用しますが、お互いの話し合いを基本とする手続になりますので、面会交流を一切拒否するというケースもあります。

 

(2)離婚成立後

 離婚問題の解決の仕方としては、大きく分けて協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります。いずれにしましても、弁護士が間に入っている場合には、面会交流の頻度についても取り決めるケースが多いです。

 

 その頻度ですが、一概に「○ヶ月に1回」と断定はできないのですが、私が取り扱ったケースを見ておりますと「1ヶ月に1回」か「2ヶ月に1回」という頻度に落ち着くことが多いように思われます。もちろん、旦那様が結婚生活中お子様に暴力をふるっていたと言った事情がある場合には、面会交流の取り決めをしないといった対応をすることもあります。そのため、最終的にはケースバイケースということになると思います。

ただし、お子様への暴力といった特別の事情がない限り、面会交流を一切認めないという形で離婚するケースは稀だと思います。

 

2.私が担当した事件


 

ご依頼者様:20歳代後半の女性(Lさんと言います)

ご依頼内容:旦那が浮気したので離婚を切り出したが、相手が応じる様子がないので、間に入って離婚問題を解決して欲しい、娘達は今の生活に慣れているので、極力面会交流させたくない、というご依頼内容でした。

 

なお、この事件の相手方:20歳代前半の男性、お子様:保育園に通う娘様お二人、婚姻期間:5年程度、ご家庭環境:ご依頼時別居中というケースでした。

 

3.私の弁護活動


 

私は早速、旦那様に対して、Lさんが希望する離婚の条件を記載した内容証明郵便を送付しました。2度ほど内容証明郵便をお送りしたのですが、全くお返事がなく、お電話も繋がりませんでしたので、家庭裁判所に対して離婚調停を申し立てました。

 

4.旦那様の言い分


 

 旦那様は、内容証明郵便には返事をしなかったものの、家庭裁判所の調停手続には参加してきました。

 

 旦那様は、浮気を認めた上で、離婚にも応じるという姿勢でした。

 

 こちら側としては、旦那様が離婚を争ってくると予測していましたので、意外でしたが、こちらにとって有利な話ですので歓迎すべき話でした。

 ただ、旦那様は面会交流については、娘様が可愛いので、Lさんの許しが得られるなら面会交流をしたいということを話してきました。

 

5.Lさんの返答


 

 旦那様は浮気と同時に自宅を出て戻ってこなくなってしまったという経緯があり、旦那様の家出当初下の娘様が随分取り乱してしまったとのことでした。現在は下の娘様も落ち着きを取り戻しているものの、面会交流を実施することで下の娘様の情緒が不安定になることは避けたいとのことでした。

 また、Lさんは結婚生活中、旦那様から暴言を浴びせられることも多かったため、面会交流という形で旦那様と接触することは耐えられないとのことでした。

 

 このようなLさんの要望はストレートに調停委員に伝え、協力を求めました。

 

6.最終解決


 

 この事件では、旦那様が反省している姿勢は見せつつも、慰謝料や養育費を払えるだけの給料がないということで紛糾し、数回調停期日を重ねました。

 

 面会交流に関しては、Lさんの意向を踏まえ、面会交流の頻度を明記しない形で調停が成立しました。

 

具体的には、調停調書には「申立人は、相手方が前項記載の子らと面会することを認め、その日時・場所・方法については、子らの福祉に配慮し、当事者双方で協議して定める」と記載されました。

通常の場合「申立人は、相手方が前項記載の子らと月1回程度面会することを認め、その日時・場所・方法については、子らの福祉に配慮し、当事者双方で協議して定める」と記載されますので、違いがよく分かるかと思います。

 

このようにすることで1ヶ月に1回とか、2ヶ月に1回という形で面会交流させる義務を負いませんので、Lさんにとっては大きな負担軽減になります。

 

7.その後


 

この事件では、結局もと旦那様がLさんに対して面会交流を求めることはなく1年以上が経過したと言うことでした。

 

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公園での面会交流に立ち会ったケース

2016.06.27更新

 

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1.面会交流実施にあたっては事前準備が肝心


 

面会交流とは、現在お子様を養育されている親御様が、他方の親御様にお子様を会わせて、お子様と接触する機会を与えることを言います。

 

面会交流は、お子様を会わせるだけと誤解されている方が多く見られますが、注意すべき点が何点かありますので、注意深く進めて行く必要があります。

 

事前準備として肝心なのは、以下の点をキチンと取り決めておくことです。

①面会交流開始時刻

②面会交流終了時刻

③お子様の受け渡し場所

④お子様との面会交流の場所

⑤面会交流の注意事項(食事やおやつの回数、プレゼントの許否等)

 

特に離婚についてのご夫婦の意見が激しく対立している場合には、キチンと条件を取り決めておきませんと、面会交流実施時に思わぬアクシデントが生じかねません。

 

そのため、私が弁護士として関与している事件では、上記の①から⑤の点を綿密に取り決めた上で面会交流を実施します。

 

2.弁護士が面会交流に立ち会うメリット・デメリット


 

(1)【メリット1】連れ去りの防止

結婚生活の中でも旦那様がお子様を勝手にどこかに連れて行ってしまうだとか、暴力をふるったことがあるといったケースでは、面会交流時に、旦那様がお子様を連れ去ってしまう危険性があります。

 

通常初回や2回目の面会交流では、奥様が面会交流に立ち会うケースが多いと思いますが、旦那様は男性なので、力づくで連れ去りを実行した場合に対抗することが難しいことが多いと思います。

男性の弁護士が立ち会えば、連れ去り防止への牽制効果があります。

 

(2)【メリット2】旦那様のお子様への接し方を直接確認できる

弁護士が立ち会う面会交流にて、旦那様がお子様に対して暴力をふるうというケースは稀だと思いますが、そうではなくとも、実際に接している場面を見ることで、普段の関わり方の一端を垣間見ることができます。

このことは、今後の面会交流の頻度や方法の見直しの参考にもなります。

 

(3)【デメリット1】お子様との自然なふれあいを阻害する可能性

弁護士が面会交流に立ち会う場合、弁護士はスーツ姿で立ち会うことになりますので、「ママの仕事のお友達」といった紹介をすることが多いです。

ただ、お子様にとっては今まで見たこともない男性が同席することになりますので、緊張してしまい、父親との面会交流で自然なふれあいがしにくくなるというケースもあります。

 

(4)【デメリット2】日程調整に時間がかかる可能性

面会交流の場所にもよりますが、通常は公園その他他人の目もある場所で面会することが多いと思います。

そうすると弁護士事務所から遠い場所での面会交流となることも多いのですが、弁護士のスケジュールとの調整をしていると面会交流の日時がかなり先の日にちになってしまうというケースも生じます。

 

このように弁護士が立ち会うことにはメリットとデメリットがありますので、ケースに応じて弁護士立ち会いの要否を慎重に検討する必要があります。

 

3.私が担当した事件


・ご依頼者様:40代前半の女性(Bさんとします)

・ご依頼内容

旦那と離婚したいが、親権をどちらが取得するかで激しい対立があるため、こちらが親権を取れるように弁護して欲しい、面会交流時の連れ去りの危険があるので、初回面会交流に立ち会って欲しいというご依頼内容でした。

 

なお、この事件の相手方:30代後半の旦那様、お子様:保育園に通うご長女様お一人、婚姻期間:5年程度、家庭環境:ご依頼時別居中というケースでした。

 

4.公園での面会交流への立会い


 

このケースでは、旦那様がBさんのことを精神障害者のような言い方をしており、突飛な発言も多かったことから、初回の面会交流に限り、私も立ち会うことにしました。

 

面会交流の場所は、婚姻生活中もよくお子様を遊ばせていたという公園に決まり、初回の面会交流と言うこともあって面会交流時間は1時間にしました。

 

また、旦那様が面会中にBさんの悪口を言う危険性が高かったため、事前にその様なことがないように強く釘を刺しました。

 

当日は曇り空で、気温はちょうど良い具合でした。旦那様は娘様を抱き上げ、ブランコに乗ったり肩車をして公園をぐるりと回ったり、大きな問題もなく面会交流は終了しました。懸念されたBさんへの悪口もなく、終了しました。

別れ際娘様が寂しがらないかが心配でしたが、特にその様なこともありませんでした。

 

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