Q&A

面会交流実現を主目的とする監護者指定の有効性

2020.03.09更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.残念ながら、迅速に面会交流を強行する手段がないというのが現実


 

 旦那様側が納得行かないと思われるケースの大半は、奥様側がお子様を連れ去って無断別居を開始したケースかと思います。

 このようなケースでは、奥様が正確にどこに暮らしているのかすら分からないと言うことも多く、勝手な連れ去りへの憤りを強めることもやむを得ないと思います。

 他方で、現実にお子様を引き取って自宅で育てられるかというと仕事が多忙で現実的ではないというケースもあろうかと思います。

 

 そういった場合、自身の手でお子様を育てていくことが難しい以上、本来の手続は、監護者指定ではなく、面会交流と言うことになろうかと思います。

 しかし、面会交流の問題は最終的には面会交流審判という手段が用意されてはいるものの、即効性のある手続は存在しないのが実情です。

 即ち、正攻法で面会交流を求めていく場合、まずは、面会交流調停を起こし、同調停が不成立になった場合に、ようやく審判手続きを踏むことができることになりますので、一般的に時間がかかります。

 

 

2.ややこしい手続は抜きにして勝手に会いに行くというのはオススメできない。


 

 たまにご相談にお越しになる方の中には「ややこしい手続は抜きにして、子供が通っている学校は分かっているんだから、直接会いに行かせて欲しい」ということをおっしゃる方もいます。

 確かに、あなたとしては、奥様に連れ去り別居を勝手にされているのですから、それに対抗するためには、多少の強硬手段も許されると考えるのも致し方ないと思います。

 しかし、このような行動に出てしまいますと、奥様側は警察に110番通報するケースが多く、学校などに警察が訪れる事態に発展しますと、お子様にとっても重大な悪影響を及ぼしかねません。

 

 また、日本は法治国家ですので、法律の手続等を無視した行動は、今後の面会交流調停等の手続でもこちらにかなり不利に働いてしまいます。

 そのため、直接会いに行くといった強硬手段は弁護士としては決してオススメできません。

 

 

3.監護者指定手続の活用の可能性


 

(1)監護者指定手続は面会交流実現の即効薬になるか?

 以上のように面会交流を実現する即効薬がないため、その実現の即効薬として監護者指定事件を活用したいとおっしゃる方が出てくるのです。

 確かに、監護者指定審判事件においては、明確な理由もなく面会交流を拒否し続けますと、そのことは、監護者指定にあたって不利に働きますので、一般的に、奥様側に面会交流を促す効果があるといわれています。

 しかしながら、私は弁護士の立場から言いますと、監護者指定手続を面会交流実現の手段として利用することには基本的に反対です。

 

(2)あくまで「促す」ものでしかない。

 前述の通り、奥様側が明確な理由もなく面会交流を拒否し続けますと、裁判所側は、①お子様が父親と接して父親の愛情を受ける機会を奪っているとか、②夫婦の対立感情を面会交流の問題にも持ち出しているといった考え方をすることが多いです。

 しかしながら、奥様のこれまでの監護実績等がかなり優れているというような場合には、面会交流を拒否しているということは一つの不利な事情にはなるでしょうが、決定的に不利な事情にまではなりません。

 あくまで面会交流を促す事情にはなり得ても、「決定的な」事情にはなり得ないのです。

 

(3)奥様の感情を刺激する危険性

 監護者指定事件を起こしますと、こちら側は、①旦那様サイドもしっかりと育児に取り組んできたことや、ときには②奥様の躾の行き過ぎやお子様への暴言等の問題も指摘していかなければならなくなります。

 このようにして監護者指定の事件での対立が激化しますと、奥様側はより一層態度を頑なにしてしまうリスクもあります。

  そうしますと、より一層奥様側は面会交流絶対拒否の姿勢を示す危険性があります。

 

(4)現状のお子様の状況が分からないことのリスク

 確かに、これまでのあなたのお子様との接し方からしますと、お子様はお父さんであるあなたに会いたいと言ってくるだろうと思うのは当然のことだと思います。

 しかしながら、お子様は慣れない別居生活で様々な感情を抱えながら生活していますので、お子様が監護者指定事件の中でどのような意思を示すか図りかねるケースも多くあります。

 特に別居し手間がない時期は、苦しんでいるお母さんのためにも、自分の発言でお母さんを困らせてはいけないと考えて、敢えて頑なに「お父さんには絶対会いたくない」とおっしゃるお子様もいるのです。

 

(5)お子様にも負担をかける手続であること

 前述の通り、お子様は慣れない別居生活を送りながら学校に通うなどして普段の生活をこなしていかなければならないため、そのこと自体でも負担を感じていることも多いです。

 しかし、監護者指定事件は、お子様の年齢によってはその意向確認がなされますし、そうでなくとも、必ず一度は調査官がお子様と会ってその様子の確認等を実施しますので、お子様の負担抜きで手続を進めていくことは不可能です。

 そして、お子様の意向調査を実施する場合には、家庭裁判所にてお子様と調査官がマンツーマンで話を聞くという作業になりますので、お子様の負担は大きいことが多いです。

 そうしますと、お子様のためを思って申し立てた手続が、返ってお子様の負担を増やすというリスクを含んでいるのです。

 

 

4.まとめ


・残念ながら、面会交流を即効的に実現する法律的手段は存在しない。

・以下の理由から、弁護士としては、面会交流実現のための監護者指定申立はオススメしない。

1)監護者指定事件の存在は相手に面会交流を促す効果はあるが決定的ではない。

2)逆に一層奥様側の反発心を強めるリスクがある。

3)現状のお子様の様子が分からない中で手続を進める不確定要素がある。

4)この手続は、お子様にも負担をかける手続である。

 

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