離婚問題(不倫など)

面会交流について詳細に条件を定めて和解した離婚事件

2015.07.06更新

弁護士秦

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1.面会交流とは?


 

 面会交流(めんかいこうりゅう)という言葉は普段耳にしないと思いますが、ご夫婦(または元夫婦)の一方がお子様を育てている場合に、他方配偶者がそのお子様と会って交流することを意味します。以前は「面接交渉」という用語を用いることが多かったのですが、最近は「面会交流」という用語を用いるのが一般的です。

 

 例えば、夫婦の折り合いが悪くなって、奥様がお子様と一緒にご実家に別居しているときに、旦那様がそのお子様と会って話をしたり、一緒に遊んだりすること等を「面会交流」と呼びます。

 面会交流は、ご夫婦が別居されている時にも問題になりますが、離婚した後にも問題になります。

 

 

2.私が担当した事件 


 

・ご依頼者様 : 30代前半の女性(Iさんと言います)

・ご依頼内容 : 旦那様からの暴言に耐えられず離婚したい、旦那様も離婚には応じる姿勢だけれども、娘様の親権を譲る意思はないとのことでしたので、親権を獲得して欲しい、親権獲得時には、面会交流についてもきっちりと約束したいとのご依頼内容でした。

 この事件は、離婚協議、離婚調停がいずれもまとまらず、離婚裁判に発展して争われました。

 

なお、この事件の相手方 : 30代前半の男性、お子様 : 保育園に通う娘様お一人、家庭環境 : ご依頼時別居中でした。

 

 この事件は最終的には裁判所が仲介する形で和解が成立し、事件解決したのですが、この事件では和解の際に面会交流の条件をきめ細かく定めた事が特徴的な事件でした。

 

 

3.この事件で面会交流の条件を、きめ細かくした理由


 

 Iさんの旦那様は、結婚生活の中で、Iさんに対してだけではなく、娘様に対しても暴言を発することがあり、また、そのことを誤魔化す傾向がある、嘘をつくことも多いという事情がありました。

 

 このような事情がありましたので、Iさんは、旦那様に対する強い不信感を持っており、面会交流の条件をきめ細かく取り決めて欲しいと強く希望していました。

 

 また、Iさんがおっしゃっていたのは「旦那は、ずる賢いので、口約束だけでも離婚して暫くは約束を守るけれども、期間が経つと、約束を守らなくなるのではなないかと不安です」ということでした。その意味では単なる口約束よりも、裁判所の公的な書類である和解調書に約束事項をきちんと書き込んで欲しいと話していました(裁判中の和解手続きで、当事者間の話し合いがまとまった場合、その内容は、「和解調書」という書類にとりまとめていくことになります。)

 

4.実際の面会交流条項


 

 実際の裁判の和解条項では、以下のような形で面会交流の条項が盛り込まれました。

 

■原告(旦那様)と○○(お子様)との間の面会交流について、以下のとおり定める。

(1)頻度           1ヶ月に1回

(2)時間           1回につき9時間以内、終了時間は午後7時以前とする。

(3)場所           (2)の時間帯でおさまる限度で移動可能な場所

(4)方法       原告(旦那様)が被告(奥様)方に○○(お子様)を迎えに行き、面会交流ができる場所に移動する。面会交流終了時には被告(奥様)が原告方(旦那様)に○○(お子様)を迎えに行き帰宅する方法

(5)連絡方法 日程の連絡は、原告(旦那様)が被告(奥様)に対して、実行日の2週間前までに連絡する。その上で、面会交流の日時や面接場所等について、協議を行う。

                             なお、協議については、メールを用いて行なうこととする。

(6)その他      

①原告(旦那様)は面会交流の実施にあたっては、○○(お子様)の年齢、性別、体調、意思、保育園・学校等の行事に配慮しなければならない。

②当事者は、協議により、前記日時、場所、方法等必要な事項を変更することができる。

 

 

5.面会交流の条件は細かい方が良いのか簡単な方が良いのか。


 

 当職の長年の弁護士経験からしますと、上記のように面会交流の条件を事細かに定めることは稀で、もっと簡単な形で合意することの方が多いように思われます。例えば、簡単な面会交流条項とする場合には、「被告(奥様)は、原告(旦那様)に対し、月1回程度○○(お子様)との面会交流を認める。原告(旦那様)は面会交流の実施にあたっては、○○(お子様)の体調、意思、行事等に配慮しなければならない。」といった表現しか盛り込まないということもあります。

 

(1)面会交流の約束を簡単にするメリット

 面会交流の条件を簡単にするメリットは、今後のお子様の成長に応じて面会交流の条件を柔軟に変更することが可能になるというのが最大のメリットといえます。「月1回程度」としておけば、必ず1ヶ月に1回面会交流させなければならないと言うこともないので安心でもあります。

 また、離婚の際には、養育費や財産分与と言った様々な問題を議論していることが多いので、面会交流の条件を細かくしますと、その条件の当否が新たな火種になることがあり、問題を複雑化しないために、面会交流の約束は簡単にすると言うことがメリットになり得ます。

 

(2)面会交流の条件をきめ細かく約束するメリット

 他方、簡単な条件しか決めませんと、実際面会交流させる際に、詳しい条件などについて細かなやり取りをしなければならなくなってしまいます。そのため、あらかじめ面会交流の骨組みを決めておけば、その都度の面会交流で細かいやりとりをする必要がなくなります。

 また、離婚後の面会交流において、面会交流の条件などを電話などで伝えるだけですと、後から「言った」「聞いていない」の論争が起きる可能性があります。そのため、あらかじめ面会交流の条件をきめ細かく決めておきますと、その内容は、和解調書にきちんと書いてありますから、約束に違反したのかしていないのかが明確になります。

 

5.面会交流の条件の決め方


 

 上記は、面会交流の条件について詳しく定めたケースですが、面会交流の定め方は、そのご夫婦が抱えている問題点等を考慮して、総合的かつ漏れがないように定める必要があります。もちろん、上記のように面会交流の定め方は簡単に定める方法の方が一般的ではあるのですが、簡単な定め方では不安があるという方も多いと思います。

 

 その様な方は、是非、面会交流の条件付けについてノウハウのある弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

モラハラ・DV夫とスピード離婚(2か月で離婚)できたケース

2015.06.29更新

弁護士秦

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1.私が担当した事件 


 

①ご依頼者様 : 60代前半女性(Eさんとします)

②ご依頼内容 : 夫が酒びたりであり、しかも飲酒すると暴力をふるってくるので怖い、離婚話を持ち出す逆上するため、当人同士での話し合いができないので、離婚の道筋をつけてほしいというご依頼内容でした。

 

③その他関係者概要等

交渉相手: 60代前半の旦那様 、 お子さん: すでに成人したご長男様とご長女様 、 家庭環境: ご依頼時別居中

④モラハラ・DV概要

モラハラ)1日中飲酒しており飲酒代が嵩むため、生活が常に苦しい、飲酒を制限する様に言うと凶器を持ち出して脅してくる、飲酒中こちらを侮辱する様な発言をしてくる、怒鳴ってくる、こちらを困らせるために出て行けとか離婚しろと言ってくる。

DV)酔った勢いで家具などを壊す、飲み過ぎを注意すると殴る蹴るの暴力をふるってくる。 

 

 私がEさんから相談を受けた際には、旦那様が奥様への傷害事件で逮捕されている状態でした。

 

 

2.まずは、Eさんからしっかりお話を聞くこと


 

 モラハラ・DVの案件では、Eさんの被害の全容を解明するため、まずは、Eさんから詳しくお話を聞く必要があります。モラハラ・DV被害を受けた方にとっては話しづらい部分もありますが、被害全容が分かりませんと、的確に事件処理できませんので、じっくりとお話をお伺いします。

 

 Eさんは、私が詳しくご質問をしても、特に言葉に詰まられると言うこともなく、はっきりとお話をしていただきました。なるべく、私の方もEさんが緊張しない様にゆっくり・じっくりとお話を聞かせてもらいました。

 

 

3.Eさんからのご相談に対する対応


 

 Eさんとじっくりお話をさせていただいて、Eさんの一番の心配事は、まずは、モラハラ・DV夫が釈放された場合に、奥様の住まいについてどうすればよいのかということと、これを機に夫側と離婚したいので、その手助けをして欲しいということが分かりました

 

 お住まいについては、奥様のご親戚の家に居候させてもらうことにしました。DVの被害を受けている場合には、シェルターに避難するという方法もあるのですが、長期間シェルターに避難しておくことはできず、いずれは、どこかしらの住まいに引っ越さなければなりません。そこで、新しい転居先の目星がついているのであれば、そこに避難するようにご助言致しました。

 

 

4.Eさんとの連絡のシャットダウン


 

 まず、私は、モラハラ・DV夫が警察留置場から釈放される頃を見計らって、夫宛に内容証明郵便を送り、奥様を探すような行動を取らないこと、奥様宛に直接連絡を取らないことを要求するとともに、私の法律事務所を唯一の連絡手段としました。

 

 当然、Eさんの方では、今まで利用していた携帯電話を解約し、新しい携帯電話を利用するようにして、物理的にも、夫側から連絡が取れないようにしました。

 

 

5.モラハラ・DV夫が必死にEさんの所在を探り始めた


 

 上記の通り、Eさんが私の所にご相談に来られた時には、相手は警察署に拘束されていましたので、その間こちらでも準備を調えることができました。

 

 具体的には、相手が自宅に戻ってくる前に、Eさんの引越は全て済ませておきました。

 

 普段から暴力をふるうようなDV夫様は、奥様のことが思い通りにならないと怒り始めてしまうという人間が多いので、奥様が弁護士を雇ったことに対して非常に憤慨しているケースが多いです。そのため、奥様に対して問いただしたいという様な気持ちで探し回るケースも多いです。

 

 今回のケースでも、モラハラ・DV夫は、私からの警告にも拘わらず、お子様(既に成人しております)やEさんの親戚などに電話をかけて、Eさんの住まいを探ろうとしました。ここは、お子様やご親戚とも十分連携することができましたので、ご親族は皆様口を揃えて「私の所には来ていない。どこで暮らしているのか私も分からない」との返事を繰り返してもらいました。

 

 そうすると、連絡窓口が私の所しかありませんので、モラハラ・DV夫は、私の所に毎日のように電話をしてくるようになりました

 

 

6.モラハラ・DV夫との話の概要


 

 暴力をふるうようなDV夫との話し合いでは、私は心がけていることが一つあります。それは、冷静かつ根気強く対応すると言うことです。

 

 暴力をふるうようなDV夫は、弁護士が相手でも、私のことを脅してきたり、暴言を吐いてきたりということも当然にあります。ただ、これに対して、こちらも声を荒げてしまうと、話し合いをすることができなくなってしまいます。

 

 もちろん、事前に夫側と話をして約束などをしているのに、夫側がそれを平気で破るような場合には、必要な注意はいたしますし、その際に声が大きくなってしまうこともありますが、なるべくこちらが感情的にならない様注意して話をします。

 

 今回のケースでも、夫側は、普段は穏やかな話しぶりなのですが、明らかに飲酒して電話をかけている様子の時には、私もかなりの暴言を受けました。

 

 特に、このケースでは、夫側が奥様に会いたいという希望が非常に強く、毎日の様に電話をしてくるのですが、毎日の電話の内容はほぼ、奥様に直接会って話がしたいというものでした。具体的には、自分が反省しており、気持ちを入れ替えたので帰ってきてほしいと言うことを奥様に伝えて欲しいという話から始まり、その話を私が奥様にきちんと伝えてくれているのか、奥様はどのように反応したのかといった話、結局直接会うことができないのかといった話が延々と続きました。また、奥様宛の郵便物が届いたから、直接本人に会って渡したい。子供のことで相談事があるから自宅まできて欲しい等々様々な理由をつけて奥様に会いたいという話をしてきました。

 このような話に対しても根気強く「奥様はあなたには会えない。怖がっている」という返答を繰り返しました。

 夫側も飲酒していないときには、話がくどい程度で声を荒げることは少ないのですが、飲酒しているときには、「俺が心を入れ替えたことをあんたはちゃんと家内に伝えているのか」と言った形で私のことを怒鳴ってくることも何度かありました。

 

 そんなときにも、丁寧かつ根気強く説明することを心がけ、電話を切る時には夫側もだいぶ落ち着いた様子で受話器を降ろされることが多かったように思います。

 

 

7.スピード離婚


 

 前述の様に夫側は、奥様に一目でよいから会いたい、ボタンの掛け違いになっているだけで本当は奥様も旦那様のことを愛しているんだといった話が延々とありましたが、私は奥様のお気持ちを丁寧に粘り強くご説明しました

 夫側からは毎日のように電話があり、長い時には2時間近くも電話で話をしました

 

 しかし、夫側は、離婚は絶対にしたくないとの一点張りでしたので、私も離婚調停の準備に取り掛かっていました。

 

 モラハラ・DV夫は私に対しては、離婚したくないとの意思を強く言っていましたが、私の方から奥様の意向を強く伝えていましたので、内心では離婚しなければならないとの気持ちは芽生えていたようです。

 夫側は息子様にご相談されたようで、息子様からの話も受けて、離婚届にサインすることに同意してくれました。

 

 奥様とは慰謝料を請求するか話し合ったのですが、夫側は年金暮らしで預貯金もほとんどありませんでしたので、慰謝料を要求して時間がかかるよりも、早く離婚してこの問題から解放されたいということで、慰謝料は要求せずに離婚することにしました。

 

 奥様が初めて私にご相談をされてから2か月でのスピード解決でした。

 

 

8.あと書き


 

 今回のケースでは、息子様の協力もあってスピード離婚に結びつきましたが、実際には、モラハラ・DV夫が復縁の意思を崩さずに手続が長期化することの方が多いと思います。

 

 ただ、今回のように、短期間の間にも、私が夫側と長時間話をする機会がありましたので、その様な話を通じて夫側も復縁を諦めざるを得なかったのだと思います。

 

 

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夫婦円満調停

2015.06.08更新

 

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1.旦那からの身勝手な離婚要求に納得できない

 

 奥様としては、きちんと家事をこなし、旦那様との関係も円満だと思っていたのに、急遽旦那様から別れ話を持ち出される…こんなことがあったら奥様はさぞ混乱することだと思います。旦那様が語る離婚の理由は、どこの夫婦でもあるような事柄だとすると、このような別れ話には到底納得できないことだと思います。

 

 しかし、旦那様から「もう君とはやっていけない」といった類の話が切り出されてしまった場合、旦那様の側に愛情がない以上、奥様は離婚するしか選択肢はないのでしょうか。

 

 

2.私が担当して、曲折を経て夫婦円満調停で終了させた事件

・ご依頼者様 : 30代後半の女性

・ご依頼内容 : 依頼者様は、ご本人で、家庭裁判所に対して、夫婦円満調停を申し立てたのですが、旦那様がこれに応じる姿勢を全く見せず強く離婚を求めてきたため、調停委員から、「次の調停期日で調停は打ち切る」と言われてしまい、私のところに相談に来られました。

 

なお、この事件の相手方 : 40代前半の男性、お子様 : いらっしゃいらない、家庭環境 : ご依頼時同居中(家庭内別居中)でした。

 曲折がありましたが、最終的に夫婦円満調停にて事件を解決できましたので、以下で概要をご説明します。

 

 

3.依頼者の意思の確認

 

 依頼者が相談に来られた際、私の方からは、依頼者のご希望を丹念に確認させて頂きました。といいますのは、今回の依頼者も、当然夫婦円満を希望しており、そのために、自分で夫婦円満の調停まで申し立てたのですが、その意思がどこまで強固なのかの確認が必要だからです。

 

 夫婦円満のご相談を受ける際、依頼者の方から事情を丹念に聴いていますと、夫婦円満という結論をおっしゃってはいるものの、相手に対する不満ばかりをお話しになっていたり、相手に対する改善点ばかりを取り上げる方もいらっしゃいます。

 もちろん、ご夫婦なのでお互いに不満点があるのが通常ですから、相手に対する不満を述べることは構わないのですが、お互いが不満点をぶつけていては夫婦円満の道は閉ざされてしまいます。

 

 そして、今回のように旦那様の離婚意思が固く、奥様の方が円満を強く希望する場合には、旦那様が示す不満点や奥様への改善点に対して、こちら側からある程度は譲歩して行くことが必要になります。

 

 そのため、私は、今回の依頼者の方にも、夫婦円満を成し遂げるためには、依頼者の側での努力・譲歩が必要なこと等についてお話しさせて頂き、それでも夫婦円満を希望されるのかを確認させて頂きました。

 

 

4.このケースでは奥様は離婚致し方無しとの選択をした

 

 この事件でも、奥様は旦那様に対する不満を抱えており、私との打ち合わせでも、旦那様に対する不満を多数述べられていました。

 

 そこで、前述のように奥様の真意を確認しましたところ、離婚やむ無しと考えているとのお話しでしたので、夫婦円満調停を離婚調停に衣替えして手続を進めることにしました。

 

 ただ、これは、旦那様が円満な夫婦生活を諦めていることが大前提なので、旦那様が翻意するような場合には、円満な家庭を築きたいとのことでした。

 

 

5.調停での話し合い

 

 私が代理人として、依頼者と一緒に第2回調停期日に出席しましたところ、まずは、夫婦円満を強く打ち出して調停を進めました

 

 これは、依頼者の方も離婚やむ無しとの意識がありますが、旦那様が翻意するようならば円満な家庭を築きたいとの希望がありましたので、まずは、旦那様の翻意を促すような進め方をしたのです。

 

 しかしながら、旦那様の離婚意思は固く、円満での調停はうまく行きそうにありませんでした。

 そこで、依頼者ともその場で相談し、依頼者の条件に合致するものであれば離婚に応じても良いとの姿勢に転じて調停を進めました。

 

 

6.結局夫婦円満で決着した

 

 このようにして離婚調停の形で調停は進んでいったのですが、離婚の条件として、こちらは財産分与を厳しめに請求するスタイルを取りました

 これは、奥様の今後の生活のためということもありましたが、旦那様が倹約思考であることも考慮して、財産分与の形で旦那様の翻意を図ったものでした。

 

 こちら側の財産分与要求のハードルが高いため、離婚についても思わしく交渉が進展せず、段々と旦那様の方がしびれを切らしてきている様子でした。

 今回のケースでは、奥様の方に明確な離婚原因となるような落ち度等がありませんでしたので、旦那様は余計に焦っている様子でした。

 

 結局、旦那様は、離婚の際に多額の財産分与を支払わなければならないという事態を避けるため、夫婦円満の方向で合意し、夫婦円満の調停条項が作成されて、調停は終了しました。

 

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スピーディに不倫慰謝料を取ったケース

2015.06.01更新

 

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1.ふとしたことから旦那の不倫が発覚

 

 円満な夫婦生活を送っていたつもりでも、ふとしたことから旦那様に対して不審を持ち、調査してみたところ、不倫していることが分かったということもあります。不倫の事実が発覚した時、言葉には言い尽くせない悔しさや悲しさが襲ってくると思いますが、その様な場合にも、できる限り冷静に対処する必要があります。不倫の際の慰謝料の取り方などについては、ブログ「旦那から不倫慰謝料を取りたい」を参照して頂ければと思います。

 

2.スピーディに不倫慰謝料を取ったケース

・ご依頼者様 : 30代前半の女性

・ご依頼内容 : 旦那様が職場の部下である女性と不倫をしているので、旦那様とは離婚し、できる限り高額の慰謝料の支払いを受けたい、また、不倫相手の女性にも相応の金銭負担をさせたいというご依頼でした。このケースでは、不倫相手の女性も既婚者でしたので、いわゆるダブル不倫のケースでした。

 

なお、この事件の交渉相手 : 30代前半の旦那様、お子様 : いらっしゃらない、家庭環境 : ご依頼時同居、私が離婚交渉中に別居開始でした。

 

 この事件では、私が、奥様の代理人として、旦那様と交渉をし、結果、半年ほどで、旦那様から300万円、不倫相手から150万円を受け取ることができました。

 

 半年という交渉期間は、一概に短いとは言えないようにも見えますが、合計450万円の慰謝料を得られましたし、不倫相手を交渉のテーブルに載せることができたこと等も踏まえると十分スピード解決だったのではないかと思います。

 

 

3.不倫の証拠の精査

 

 依頼者は、離婚の決意を固めており、できる限り高額の慰謝料を早めに受け取りたいとの希望を持っていました。

 しかし、依頼者が不倫の証拠を持っていると考えていても、裁判の証拠としては不十分ということもありますので、まずは、依頼者が持っているという不倫の証拠を精査しました。この証拠の精査が不十分なまま、旦那様へ請求をかけると、不倫を否認されて、交渉の長期化や裁判を視野に入れた活動が必要になってしまいますので、十分な証拠精査は、不可欠な行程になります

 

 今回のケースでは、偶然旦那様がミクシィを利用しており、不倫の様子等について詳しい日記を付けていましたが、その日記データを依頼者が入手しておりました。日記データが大量にありましたので、不倫の証明には十分だったのですが、その一つ一つに目を通すのには、それなりの時間がかかりましたし、奥様にとっては、この日記の内容がかなりの心痛だったのではないかと感じました。

 

 

4.旦那への請求

 

 不倫の証拠が十分であることの確認が取れましたので、旦那様に対して、内容証明郵便にて慰謝料を請求しました。

 

 旦那様は、私の法律事務所までやってきて素直に不倫を認めましたので、不倫したかどうかは争点にならずに済みました。

 

 しかし、旦那様は、奥様(依頼者)が思っているほどお金を持っていないということで、慰謝料を出し渋っていました。また、不倫相手に迷惑をかけたくないということで、不倫相手に慰謝料を出させることには断固反対の姿勢でした

 旦那様が有する財産については、奥様がよく把握されていましたので、その様な切り口から旦那様を強く説得しました。

 

 このようにして旦那様ご自身が支払う慰謝料の額(300万円)については大筋まとまったのですが、不倫相手に対する慰謝料については話し合いが平行線のまま月日が流れました。不倫相手の住所は分かっていましたので、不倫相手に対して直接請求することも考えたのですが、旦那様がその様な手法に断固反対しており、交渉環境が破壊されると考えて直接の連絡は取りませんでした。

 

 依頼者と相談し、裁判になる可能性も覚悟してもらって、強く旦那様を説得したところ、不倫相手が50万円だったら支払う、といった話が浮上しましたので、その後も説得を続けてたところ、最終的には不倫相手が150万円を支払うという形で合意が成立しました。

 

 

5.不倫慰謝料の事件で思うこと

 

 このケースでも思ったのですが、不倫の証拠集めと整理という作業は、依頼者にとってかなりの心痛だろうということです。実際、この事件でも、依頼者は、私のところに相談に来る前1ヶ月ほどは精神的に不安定になってしまいカウンセリングを2度ほど利用したとのことでした。

 

 昨今の情報化にともない、奥様が、旦那様と不倫相手との間のメールやLINE、SNSのやり取りなどを膨大に入手してご相談に来られるケースも増えてきています。このような場合には、裁判になった場合の勝訴率を格段に上げることができる反面、膨大なデータをまずは依頼者本人が確認しなければなりません。しかし、その様な不倫のやり取りは、通常仲睦まじい内容であり、場合によっては奥様に対する誹謗中傷が含まれることも往々にしてあります。その様なデータの確認をすることは依頼者にとってかなりの心痛がかかる作業だったと思います。

 

 私は弁護士としての立場でしかお話しが出来ないのですが、できる限り、依頼者の方の上記のような心痛にも思いを致し、できる限り長い時間を取って依頼者の方と向き合って、できる限り不満を吐き出して帰ってもらうよう努力して活動致しました

 

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重度の記憶障害になりながら親権を獲得したケース

2015.05.25更新

 

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1.親権について争われる事件は増加傾向にある?


 

 相手の配偶者に愛想が尽きて離婚を決意したとき、お子さんがいらっしゃる場合には、親権を取得できるかどうかは重要な問題だと思います。弁護士を10年しておりますと、離婚については決心が付いていても、お子さんの親権を先方に渡すのだけは納得が行かないという話を伺うことも多くあります。最近は少子化の影響もあってか、親権について争われるケースが多くなってきている様にも思えます。

 

 私が今回ご紹介する事件も、親権の取得について激しく争われた離婚訴訟のケースになります。このケースでは、訴訟中に依頼者様(奥様)が突発的な記憶障害に襲われてしまい、お子様の養育に支障がないかが大きな問題となりました。

 

 

2.私が取り扱った実際の裁判


 

・ご依頼者様 : 30代後半の女性(Hさんと言います)

・ご依頼内容 : 旦那からのモラハラがひどいため、当人同士の話し合いでは解決できないので、離婚の交渉をお願いしたいというものでした。

 

なお、この事件の相手方:30代後半の旦那様、お子様:小学校低学年の男の子と6歳未満の女の子のお二人、婚姻期間:10年程度、ご依頼時の家庭状況:別居中でした。

 

 このケースでは、Hさんの代理人として、離婚の任意交渉、離婚調停の手続をしましたが、折り合いがつかず、離婚裁判にまで発展しました。夫婦間では養育費の額や財産分与についても激しく争われたのですが、最も大きく争われましたのは、お子様の親権でした。

 

 ご長男の親権については、当時より旦那様が養育していたこともあり、あまり大きく争われていませんでしたが、ご長女の親権が大きく争われました。そして、このケースは複雑な事情がありご長女が児童養護施設に入所しているまま離婚訴訟の手続が進みました。

 

 ご長女はHさんが親権者として養育して行くことを強く望んでいましたので、当初はHさんが親権取得に有利な方向で審理が進んでいたのですが、Hさんが突発的に重度の記憶障害に襲われてしまったため、主治医からも奥様の養育には疑問があるとの意見が提出されてしまい、家庭裁判所調査官による調査においても、奥様のご体調を考慮すると、現時点では旦那様を親権者とする他ないとの意見が出されてしまいました。

 

 ところで、家庭裁判所調査官は、お子様の養育状況等に関して調査する専門家に該当しますので、家庭裁判所調査官の意見は、裁判所の判決にそのまま反映されるのが一般的です。ですので、Hさんには、その旨と、家庭裁判所調査官から厳しい意見が出てしまった旨お話しはさせていただいていました。

 

 

3.この事件での勝訴の鍵        


 

 私は、この事件では、以下のような工夫をして、最終的には奥様を親権者とする判決の言い渡しを受けました。この判決に対しては、旦那様が猛反発して、控訴したのですが、控訴審でも第1審判決が維持されました。

 

①奥様の体調回復のため慎重に手続きを進めたこと

 奥様の記憶障害は、奥様の判断能力に影響を及ぼすほどの重度のものでしたので、奥様の保護者(成年後見人)を選任すべきではないかとの議論もありました。

 

 そこで、まずは、奥様の記憶障害の詳細な説明や保護者選任の手続に着手するなどしました。もちろん、むやむに審理を遅延させることは弁護士の活動として許されるものではありませんが、奥様の記憶障害の状況も踏まえ、適切な手続きを取るべく慎重に準備を重ね、平行して奥様のご体調の回復を待ちました

 結局、奥様のご体調が相当程度回復しましたので、保護者の選任には至りませんでした。

 

②調査官の調査報告書の誤りの指摘

 家庭裁判所調査官は確かにお子様の養育状況等について把握する専門家であることは間違いないのですが、調査時間が限定されていることもあり、調査報告書が必ずしも正確ではないことがあります。

 今回のケースでも不正確な記載が何点か見受けられましたので、その点は事細かにご指摘させていただきました。

 

③親族の協力のクローズアップ

 上記の通り、奥様が重度の記憶障害を負ってしまいましたので、奥様のお姉様やお母様といった方の緊密な支援が受けられることを強くクローズアップしました。この点は、どのように主張すればお姉様やお母様による万全の補助を受けられる状況にあるのかを工夫して主張しました。

 

担当児童福祉士とのきめ細かな連携

  ご長女は児童養護施設に入所しておりますので、ご長女の状況は担当児童福祉士が最も良く事情をご存じでしたので、頻繁に担当児童福祉士と連絡を取り、ご長女の状況を把握することに務め、良好な関係を築くようにしました。

 

 上記のような努力も奏功し、奥様の体調もかなり改善傾向に向かいましたので、最終的には奥様の方で親権を取得することができました。

 

 これまで、私は、家庭裁判所調査官による監護状況調査が入る事件を何度も経験したことがありましたので、その経験上、調査官の調査に事前に備えることができたことと、調査報告の内容に適切に対応できたことがこのような結論に結びついたものと思いました。

 

4.後日談              


 

 

 上記の通り、Hさんにとって不利な内容の家庭裁判所調査官報告書でしたので、Hさんは娘様の親権を取得できないのではないかとかなりご不安に思われていたようです。判決でHさんの親権が認められ、大変喜んでいました。

 その後、Hさんの体調は徐々に改善してゆき、娘様は児童養護施設を退所するにまで至りました。体調が回復してきたとはいっても、Hさんが一人で娘様と生活してゆくことには不安がありましたので、Hさんの親御様と同居して、娘様とも一緒に生活されているとのことです。

 

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