離婚断固拒否のモラハラ夫と離婚できたケース
2016.02.23更新
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1.離婚を切り出したら、モラハラ夫は離婚に同意する?反対する?
奥様が夫婦生活に不満を持って、夫側に離婚を切り出した場合、夫側は離婚に同意するでしょうか?それとも、反対するでしょうか?
奥様が夫婦生活に不満を持っていても、夫側がそのことを十分に理解していない場合には、離婚話を切り出しても、真剣に捉えない、とか、納得しないという対応は往々にしてあります。
弁護士が離婚問題を取り扱う場合、通常は、離婚の交渉→調停→裁判という手順で進めていきますが、夫側が頑固に離婚に反対してくる場合には、裁判になるケースもあります。
2.私が担当した事件
①ご依頼者様 : 30代後半の女性(Gさんと言います)
②ご依頼内容 : 夫からのモラハラに耐えられないので離婚したいが、旦那様が離婚に断固反対しているため、離婚の交渉をして欲しいというご依頼内容でした。
③関係者概要等
この事件の相手方: 40代後半のモラハラ夫 、 お子様: まだ幼児のご長男お一人 、 婚姻期間: 5年未満 、 家庭環境 : ご依頼時別居中
④モラハラ概要
詳しくは後述しますが、こちらを侮辱する発言をしてくる、こちらの行動を制限してくる、物を投げる仕草をする等々
3.私の弁護活動
この事件では、まず、私の方でGさんからモラハラの具体的な内容を聞き取り、モラハラの事実の確認を行いました。
Gさんのお話では、概要以下のようなモラハラがあることが分かりました。
・Gさんに対して「バカで何もできない」と頻繁に言ってくる。
・「お前が何もできないから、私はこんなに怒らなければならない。お前のせいで私は変わってしまった」というようなことを頻繁に言ってくる。
・「何度言っても家事が十分にできない」と耳元に顔を近づけて大声で話してくる。
・Gさんが反論すると、旦那様が物を投げつけるような仕草をしてくる。
・門限を決められ、その時間を過ぎて帰宅すると家に入れてもらえない。
私は、モラハラ夫に対して内容証明郵便で、Gさんが離婚を希望していること及び離婚の条件を送りました。その文章の中で、上記モラハラ行為のうち主だったものだけをピックアップして記載することにしました。
内容証明郵便は夫側に配達されたのですが、不在で、郵便局の取置期間を経過してしまったため、私の所に郵便物が戻ってきてしまいました。
そこで、私は、夫側との直接交渉は難しいと判断し、家庭裁判所に離婚の調停を申し立てました。また、同時に婚姻費用(離婚するまでの期間の生活費のことです)の支払を求める調停も起こしました。
4.調停での夫側の言い分
調停の席で夫側は離婚を断固拒否してきました。
夫側の理屈は、多少Gさんにひどいことを言ってしまったが、これは、Gさんが夫側の言うことを聞かないので、仕方なく注意しただけであるとのことでした。
そのため、夫側としては、Gさんから感謝されるとしても非難されるようなことは一切していないし、離婚の理由にはなり得ないとのことでした。このご家庭では、夫側がGさんよりも10歳以上年上でしたので、そのことで夫側がGさんのことを下に見ている節がありました。
調停委員から旦那様に対しては、Gさんがヨリを戻す意志が全くないことを強く伝えてもらいましたが、夫側は、子供が不憫だという主張を繰り返し、話が進展しない状況でした。
5.私が考えた作戦
夫側は、節約志向が強く、金銭の支出にはかなり神経を遣う人でした。特に同居中は、Gさんのお金の使い方にいろいろと文句をつけていました。
そこで、まずは、婚姻費用の話を先行させて、モラハラ夫側からGさんに対して毎月定額の生活費が支払われるようにしました。
夫側も生活費の支払いに最初は難色を示していましたが、お子様の生活費が含まれることを強く伝えたところ、婚姻費用の支払いには渋々納得したのです。
相変わらず離婚について夫側は断固反対の姿勢を貫いていたのですが、婚姻費用の支払いがスタートしてから3か月目に入ってから夫側の様子が一変しました。
婚姻費用は離婚が成立するまで支払わなければなりませんから、離婚の話がもつれるとその分婚姻費用の支払回数が増えて行くことに気付いたようでした。夫側は婚姻費用の支払いが惜しくなったのか、離婚することに合意しました。
その後、養育費の金額や面会交流の回数などで話はかなり揉めたのですが、最終的には調停離婚を成立させることができました。
6.Gさんからの感想
この事件では旦那様が離婚を徹底拒否する姿勢を明示しており、調停委員も、「ここまで離婚を徹底的に拒否する方も数少ない」とおっしゃるほどでした。
そのため、Gさんも調停にて離婚が成立したことに満足している様子でした。
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