【絶対に夫に親権を渡したくない(14)】こちらの面会交流姿勢はどこまで考慮されるか?
2022.03.21更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかり勝つ」をモットーに、分かりやすく解説していきます。
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1.離婚の際に親権のことが一番心配
夫婦喧嘩の中などで離婚や別居を口走ったとき、旦那側から「お前ひとりで出ていけ」とか「親権は絶対渡さないからな」と言われる経験をしたことがある方も多いと思います。
そうでなくとも、旦那側の普段の様子から、簡単に親権を諦めないと強く予想されることもあります。
旦那との普段の生活を顧みるとこれ以上一緒に生活できない、離婚は覚悟しているという場合でも、親権のことが非常に心配に感じるという方は多いと思います。
今回は親権のことで、特に、妻側の面会交流姿勢にスポットライトを当てて解説していきます。
2.面会交流姿勢は、親権紛争の際と監護権紛争の際とではもつ意味合いが異なる。
一般的に監護者指定の判断要素と親権者の判断要素とはほとんど異ならないと解説されることが多いです。
監護者というのは、親権という権利の中の、お子さんの身の回りの世話等を行う権利を切り出したような権利というイメージですので、両者の判断要素が似通ってくるのは当然と言えば当然です。
しかし、実務的には、監護者指定審判等では、妻側の面会交流姿勢がかなり重視されている印象でして、裁判官から直接、面会交流を強く打診してくること等も多くあります(もちろん、裁判官からのこのような打診を拒絶したからと言って、それだけで監護者の指定が覆るということはあまりないのですが、裁判官から直接打診されると断りにくいのも事実です)。
これに対して、親権の指定の場面では、裁判官が直接面会交流を打診してくるようなケースは稀で、実務の運用上、大きな差があるという印象です。
3.親権紛争における面会交流姿勢の持つ意味合い
親権者指定のポイントは実際には多岐に渡るのですが、その中でも特に重要なポイントは以下の7つの点に集約できると思います。
1)現在の監護状況
2)(別居前の)監護実績
3)連れ去りの違法性
4)過去の児童虐待の有無・程度
5)子供の意思
6)今後の監護計画
7)面会交流の姿勢
ただ、この7個の要素の中でも、優先順位はあり、面会交流姿勢は、優先順位としては低めになると思います。
もちろん、面会交流姿勢以外の判断要素において夫婦の実力が伯仲するというケースはあり、そのようなケースですと、面会交流姿勢の持つ意味合いは相対的に高くなりますが、そのような特殊なケースでなければ、やはりほかの要素の持つ意味合いの方が高いです。
4.それでは、理由もなく面会交流を拒否して良いのか?
ただ、そうだからと言って理由もなく面会交流を拒否して良いというわけではありません。
お子様自身がお父さんである夫と会いたいと切望しているような場合にまで、これを制限することが子の福祉にかなうとは思えません。
また、面会交流できない期間が長期化していくと、夫側も態度を硬化させていき、紛争の長期化を招きかねません。
そのため、お子様自身、夫との面会交流を希望しており、これを拒否する合理的な理由がなければ、面会交流には応じた方が良いことの方が多いと思います。
5.まとめ
・監護者指定事件では、面会交流姿勢は事実上重視される傾向だが、親権者指定では、それほど大きく重視されることはない。
・少なくとも親権を判断する際の7個の考慮要素の中では相対的に重要性は下がる。
・そうはいっても、理由もなく面会交流を拒否することは望ましくない。
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