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【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない(3)】現状の立ち位置を知ろうーケース別復縁難易度

2025.05.19更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

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【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.ケース別復縁難易度って?


 私は、離婚回避・夫婦関係修復のご相談を受けることも多いのですが、ご相談を受けた時点で、どこまで状況が悪化しているのか、一定のケース分けができることに気付きました。

 もちろん、以下は、ケースごとの難易度を目安としてお示しするものであって、「このケースであれば夫婦関係修復確実」などと保障するものではありませんので、この点はご留意の上ご覧いただければと思います。

 

 

2.ケース分け


 あなたが起こっている事態に応じて、離婚に向けての深刻度を類型化することができますので、具体的には以下のようにケース分けして解説していきます。

 

①夫から別居の提案があった(実際にはまだ別居していない)

②夫から離婚の提案があった(まだ別居はしていない)

③夫から別居の提案があって、こちらも応じたので、現在別居中

④夫から別居の提案があって、話し合いが決裂、夫が突如別居を開始した

⑤夫から何の提案もなく突如別居を開始した

⑥家庭裁判所から離婚調停の書類が届いた(夫は弁護士を付けていない)

⑦別居中の夫の弁護士を名乗る人物から書留郵便(内容証明)が届いた

⑧家庭裁判所から離婚調停の書類が届いた(夫は弁護士を付けている)

 

 なお、これら①から⑧は夫側が順を追ってこのような手続きを踏むというわけではなく、いきなり⑤と⑧から手続が進むと言うこともあります。そのため、現在あなたが置かれている状況が①から⑧のどの状況なのかを確認して、該当の解説をご覧下さい。

 

 

3.【ケース①または②】夫から、別居または離婚の提案があった


上記のケース分けで①または②に該当するケースです。実際に相手が別居を開始していない段階ですので、上記のケース分けの中では深刻度が一番低い類型になります。

 上記の③から⑧にまで発展していない段階ですので、あなたが対応を誤らなければ十分夫婦関係の修復も期待できる段階と言えます。

 

 ただ、この段階でも、真剣に相手が離婚を切り出してきている場合や、両親等も交えた話し合いを提案してきているような場合には、あなたも空いての声に真剣に耳を傾けないと、別居を実行されてしまうリスクもありますので、その意味では慎重な対応が必要になります。

 また、ここでのあなたの対応が夫側を更に傷つけてしまいますと、別居や離婚を決断させる引き金になってしまう可能性もありますので、その点に注意する必要があります。

 

 なお、夫側から別居の提案が出されただけというケース(①のケース)と、更に踏み込んで離婚の提案までなされたケース(②のケース)とでは、②の方が多少深刻度が高いということになります。

 また、夫側からこのような提案がなされるのが今回が初めてではない、という場合には、深刻度は増しますので、この点にも注意が必要です。

 

 

4.【ケース③】相手から別居の提案があって、こちらも応じたので、現在別居中


 何か別居の引き金になるような出来事が起こって、お互いに冷却期間を置いた方が良いということで、あなたも承諾して別居を開始したというケースです。

 例えば、夫婦喧嘩が白熱してしまい、ご近所さんが警察に通報してしまったというときに、お互いに話し合いをして、一時的に奥様が実家で暮らすことにしたというようなケースとか、旦那様があまりに仕事が忙しく、そのストレスで家庭内でもイライラすることが多いので、話し合って、一旦、旦那様だけ社員寮で暮らすことにしたといったケースがこれに当たります。

 いわゆる「ほとぼりが冷めるまで別居する」という内容ですので、あなたが対応を誤らなければ夫婦関係修復も期待できる段階と言えます。

 

 このようなケースでは先ほども解説しましたとおり、別居の引き金になるような出来事が起きていることが多いので、あなた自身もそのような出来事を振り返り、そのこととしっかりと向き合って対応する必要があります。

 ちなみに、相手のことを疑い始めてしまいますとキリがないのですが、残念ながら、冷却期間のための別居だと言いつつ、実際には、そのまま戻ってこないというケースもあります。そのような場合には、相手が別居したいということは伝わってくるものの、別居したい理由があいまいだというケースが多いので、そのような場合には、「別居前にじっくりと話し合おう」ということで、最初から別居に応じない方が望ましいと言えます。

 

 

5.【ケース④】夫から別居の提案があって、話し合いが決裂、夫が突如別居を開始した


このケースは、夫から別居の提案があったという点ではケース③と同じですが、話し合いが上手く行かず、夫が別居を独断で実行したケースになります。

 このような夫側の行動心理としては、「話をしていても埒があかないので、最終的には承諾を得ずに別居を始めた」という心理だと思いますので、上記ケース①から③よりも慎重な対応が必要になります。

 

 このようなケースでは、あなたが直接相手と話をすることが相手を刺激する危険性もありますので、相手のご両親や共通の知人と話をするなど交渉窓口を変更することも視野に入れた方が良いかもしれません。

 もちろん、別居後も相手から連絡があり、あなたからの連絡に対して相手からの返答もあるようでしたら、相手との直接の話し合いを模索してみても良いかもしれません。それが逆効果になりそうな場合や、相手との直接の話し合いを模索してみたけれども、なかなか難しいという段階で他の方を間に入れることを検討してみて下さい。

 

 

6.【ケース⑤】夫が何の提案もなく突如別居を開始した


このケースは、夫が突如別居を始めたという点はケース④と同じですが、夫が事前に別居の提案をしてこなかったケースになります。

 このような夫の行動心理としては、「直接話をしていても埒があかないので、承諾を得ずに別居を始めた」という心理だと思いますので、上記ケース④よりも慎重な対応が必要になることが多いと思います。

 

 ただ、ケース④よりも深刻度が高いかというと、事前に話し合いをするかは、夫の性格やこれまでのご夫婦での話し合いや夫婦関係等による影響もありますので、あまり深刻度はケース④と変わらないというケースもあります。

 このケースでも、あなたが直接相手と話をすることが相手を刺激する危険性もありますので、相手のご両親や共通の知人と話をするなど交渉窓口を変更することも視野に入れた方が良いかもしれません。

 

 なお、あなたとしては、相手が何の相談もなく勝手に出ていったことに対する怒りの感情を持つかもしれませんが、そのような怒りの感情に支配されて行動してしまいますと、夫婦関係修復の道は遠のいてしまうと思いますので、冷静な対応が必要かと思われます。

 

 

7.【ケース⑥】家庭裁判所から離婚調停の書類が届いた(相手は弁護士を付けていない)


このケースは、あなたが普段通りに生活していたところ、突如離婚調停の通知が郵便で届いてしまったというケースになります。

 このケースは更に、①夫が別居した上で、暫くしてから裁判所の書類が届いたケースと、②夫が同居しながら(家庭内別居のまま)裁判所の書類が届くケースに分けることができます。このケース⑥-①の方が、⑥―②よりも深刻度が高いことの方が多いのですが、相手としては色々な事情があってケース⑥-②を選ばざるを得なかったということもあります。例えば、自宅が夫の持ち家なので、心情的にマイホームに暮らし続けたいとか、別居するとお子様との接点が減ってしまうので、それを避けたいといった事情が考えられます。そのような事情がある場合には、ケース⑥-①もケース⑥-②も深刻度はあまり変わらないと思います。

 

 このケースでは夫が弁護士を立てていないものの、裁判所での話し合いを希望している段階ですので、離婚意思が強いケースが多いと思います。

 この段階にまで発展してしまっていますと夫婦関係修復の難易度はかなり高いと思いますので、夫婦関係修復を希望するのであれば、誠意をもって調停に臨むことをオススメします。

 

 

8.【ケース⑦または⑧】夫が弁護士を付けた


夫が弁護士を付けて離婚を要求してきたケースです。弁護士が手紙を送ってくるケース(ケース⑦)と、弁護士の判子が押された調停書類が裁判所から届くケース(ケース⑧)とがあります。

 ケース⑦とケース⑧どちらの深刻度が高いのかという点ですが、一般的にはケース⑧の方が深刻度が高いのですが、事件の方針として交渉から着手するか調停から着手するかは弁護士の普段の事件処理方法によるところも大きいので、必ずしも深刻度に差があるとは限りません(より分かりやすく言いますと、弁護士によっては「離婚事件は常に離婚調停の申立からスタートする」という事件処理をしている弁護士もいるということです)。

 

 このケース⑦または⑧になりますと、夫側は弁護士にお金を払ってでも離婚したいという決意を持っているわけですから、離婚の覚悟は相当固いと考えた方が良いと思います。

 また、この段階にまで発展してしまっていますと、奥様が専門家である弁護士を付けているので、あなたとしてもミスが起きないよう弁護士を立てることを考えた方が良いと思います。

 

 

9.まとめ


・夫婦関係の悪化の状況に応じて復縁難易度には差が生じる。

・一般的には以下の数字が大きくなるほど復縁難易度は上がる傾向がある。

①夫から別居の提案があった(実際にはまだ別居していない)

②夫から離婚の提案があった(まだ別居はしていない)

③夫から別居の提案があって、こちらも応じたので、現在別居中

④夫から別居の提案があって、話し合いが決裂、相手が突如別居を開始した

⑤夫から何の提案もなく突如別居を開始した

⑥家庭裁判所から離婚調停の書類が届いた(夫は弁護士を付けていない)

⑦別居中の夫の弁護士を名乗る人物から書留郵便(内容証明)が届いた

⑧家庭裁判所から離婚調停の書類が届いた(夫は弁護士を付けている)

・上記の①から⑧はあくまで目安なので、ご家庭の状況によっては復縁難易度に差が生じ得る。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない(2)】夫婦修復の秘訣とは?<まだ同居中のケース>

2025.05.12更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.離婚回避・夫婦修復の秘訣とは?


 私も、夫婦関係の問題を多数取り扱っておりますと、「あの時こうしていれば良かったのでは?」と感じてしまうケースも多くあります。
 そのため、修復の秘訣となるようなことを本ブログでは書いてみようと思います。
 なお、本ブログは、ご夫婦がまだ同居中というケースを想定しておりますので、この点は予めご留意下さい。
 また、夫婦の関係性は、型にはまったものではないと思いますので、以下の解説も一つの参考と思ってお読みいただければと思います。

 

 

2.【ポイント1】必殺技や奥の手はない


 私のところに夫婦円満を目指してご相談に来られる方の中には、私が夫婦円満のための必殺技や奥の手を知っていると誤解されていらっしゃる方もいます。
 そのため、最初にお話しておきますが、私の経験上、夫婦円満のための必殺技や奥の手はありません。
 ご相談に来られた方には、奥の手はないので、地道に信頼回復に努めていきましょうというお話をすることが多いです。

 

3.【ポイント2】険悪な状況を長期化させない


 私のところにご相談に来られる方は、既に相手が別居を始めてしまっているケースや、相手が弁護士を立ててしまっているケースが大半です。
 ただ、よくよく話を聞いてみますと、①実はこの4,5年、相手とはほとんど口を聞いていないんですとか、②この何か月間は、休日も含めて食事は別々に摂るようになっていましたとか、③相手がこちらを無視するので、こっちも無視していたら冷戦のような状況が2,3年続いています、といった話をなさる方もいます。

 要するに、別居を開始する前から、夫婦の関係性が「形だけのもの」になってしまっているのです。
 もし、あなたが、まだ相手と一緒に生活しているという場合には、険悪な状況が長引くほど、別居や離婚のリスクは高まってしまいますので、「険悪になっている」とか「険悪になり始めている」と感じた場合には、その状況を改善するように対応することが大事です。

 

 

4.【ポイント3】家族のイベントをただのルーティーンで終わらせない


 これも、私が相談に乗っていると聞くことが多いのですが、相手が別居してしまったけれども、数か月前には家族旅行に行ったとか、相手も旅行を楽しんでいた、というお話をなさる方もいます。ただ、より詳しく話を聞いてみますと、勤め先の保養所を利用する旅行で、実は相手はそれほど行きたいと思っていなかったとか、旅行に行くには行ったけれども、普段の夫婦の会話がほとんどなくなっていたので、旅行中夫婦の会話はほとんどなかったということも多いです。

 これでは、折角の家族旅行等も夫婦関係修復には役立ちません。
 また、家族旅行等が毎年の恒例行事になっているというのはよい側面もありますが、逆に、そのことがマンネリ化してしまうということもあると思いますので、それがルーティーン化してしまい、家族の絆を深める場になっていないようでしたら、行先や旅行計画等を工夫するなどして、少しでも家族の絆を深めるような努力をした方が良いと思います。

 

 

5.【ポイント4】 子供への叱責・しつけの限度を超えない


 これも、私がご相談を受けているとよく話題に出る事項なのですが、あなたのお子様への叱責や躾が限度を超えていると感じられてしまうということがあります。
 あなたとしては、お子様の将来のために一生懸命しつけている、叱っているとお考えなのかもしれませんが、熱が入り過ぎてしまい行き過ぎてしまうということも多々あります。
 ただ、行き過ぎた言葉や、特に「手が出る」ということになってしまいますと、厳密には児童虐待と呼ばれても仕方がない状況とも言えます。
 このような様子を見て、相手が「もう一緒にやっていけない」と感じてしまうという話を耳にすることも多いものですから、十分注意すべきかと思います。

 

 

6.【ポイント5】「昔はこうだった」という考えは通用しないことが増えている


 特にご年配の方がご相談に来られる際に、このようなお話をなさる方が多い印象ですが「私が小さい頃はこうやって育った」とか「私が小さい頃、父はこうしていた」、「昔は今みたいにパワハラだとかDVだとか騒がれなかった」といったお話をなさる方もいます。
 ただ、そのような考え方で相手と接してしまいますと、相手は時代錯誤だと感じてしまい、一層あなたへの気持ちが離れて行ってしまいます。
 特に、今は、インターネットで何でも検索できる時代ですから、今どきの夫婦像なども簡単に検索出来てしまいます。相手がそのことで違和感を感じてしまいますと、離婚や別居を切り出すという原因になりかねませんので、くれぐれも「昔はこうだったから、今も許される」といった発想は禁物です。

 

 

7.【ポイント6】謝るべきところは謝る


 あなた自身が悪かったという点については、謝罪するということも重要なことです。
 もちろん、相手の話の中で、相手が誤解しているというものについては、冷静に説明をして、誤解を解く必要がありますが、実際に、あなた自身の行動や言動で行き過ぎたと感じるものがあった場合には、(そのことだけは)素直に謝罪することも重要なのです。

 なお、このようなお話をすると、「自分はお互い様だと思うんですが、こっちだけ謝らないといけないなんておかしくないですか?」とか「この件は、自分よりも相手の方が絶対に悪いと思うんですが、それなのになんでこっちが謝るんですか?」とおっしゃる方もいます。
 ただ、「お互い様」「相手の方が悪い」という姿勢が続きますと、夫婦修復の道は閉ざされてしまうと思います。
 そのため、一旦は謝って「ただ、そっちの言い方も良く無かったよね」といった形で指摘することも考えてみてください。

 

8.【ポイント7】感謝の気持ちを伝える


 前述の謝る姿勢と合わせて、普段の相手の仕事ぶり、家事・育児への協力に対して感謝の気持ちを示すことも、同様に大切なことになります。
 夫婦喧嘩中ですと、感謝の気持ちを示すことに抵抗感を持つ方も多いのですが、意固地になってしまいますと状況は悪化していく一方というケースも多いので、感謝の気持ちは早めに示しておいた方が良いケースが多いです。
 特に、相手が別居をスタートさせてしまったり、弁護士を立ててしまったりしますと、感謝の気持ちを直接伝えることすら難しくなるということも多いので、感謝の気持ちも「伝えられるうちに伝える」ということが大切だと思います。

 

9.【ポイント8】間に誰かをはさむ


 夫婦が直接話をすると冷静な話し合いができない、余計にこじれそうだというような場合には、あなたのご両親や身内の方、仲人の方その他友人・知人の方などに間に入ってもらって話をするということが有益です。
 なお、間に入ってくれそうな適任者がいないというときには、弁護士に間に入ってほしいとおっしゃる方も多いのですが、夫婦円満を目指す場合には、安易に弁護士に依頼せず、極力身内の方を間に挟んだ話し合いを強くオススメすることが多いです。

 

10.【ポイント9】簡単に諦めない


 私のところにご相談に来られる方は、「夫婦関係はできれば修復したいですけど、難しいですよね。それだったらどうしようか悩んでいます。」とか「友人とかに相談すると、それなら離婚した方がいいんじゃない、という意見が多くて迷っています」というお話を聞くことも多いです。
 そのような場合に、私の方からお話するのは、「今後絶対に後悔しない、というくらいに覚悟が決まるまでは、離婚を口にすべきではないですよ」ということです。

 今後の夫婦関係の問題は、あなたの人生に関わるとても大事な話ですから、私としては後悔する選択はして欲しくないと考えています。
 また、現実的にも、あなたが「離婚で構いませんよ」と言ってしまいますと、離婚一直線で話が進んでしまいます。
 そのため、「悩んでいるうちは離婚を口にしない方が良い」とアドバイスすることが多いのです。

 

 

11.まとめ


・【離婚回避のためのポイント1】必殺技や奥の手はない

・【離婚回避のためのポイント2】険悪な状況を長期化させない

・【離婚回避のためのポイント3】家族のイベントをただのルーティーンで終わらせない

・【離婚回避のためのポイント4】子供へのしつけ・叱責の限度を超えない

・【離婚回避のためのポイント5】「昔はこうだった」という考えは通用しないことが増えている

・【離婚回避のためのポイント6】謝るべきところは謝る

・【離婚回避のためのポイント7】感謝の気持ちを伝える

・【離婚回避のためのポイント8】間に誰かを挟む

・【離婚回避のためのポイント9】簡単に復縁を諦めない

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【こんな小さい子がいるから、絶対離婚できない(1)】修復のために「すべきこと」「やってはいけないこと」21選

2025.05.05更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。まだあきらめるのは早い、最後の最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.大まかに場合分けが必要


一口に離婚回避のために「すべきこと」「やってはいけないこと」と言いましても、あなたが置かれている状況によって、対応方法も異なってきますので、⑴別居前・⑵別居後・⑶相手が弁護士を立ててきたという3つに分けて、解説していきます。

 

 

2.【ケース1】まだ夫側が別居を開始する前の段階


 「まだ相手が別居を開始する前の段階」というのは、実際のケースとしては、まだ夫側が別居をスタートしてはいないけれども、別居や離婚の希望を直接伝えてきたとか、様子を見ていると別居の準備をしている様子があるといったケースです。
 この場合に「すべきこと」「やってはいけないこと」を8個に絞って解説します。

(1)【心得1】反発しないこと
 私が夫婦修復のケースを担当していて、まず注意して欲しいと考える点が「反発しないこと」です。
 夫側が別居希望や離婚希望をこちらに伝えて来る際には、当然ながら、あなたに対する不満をぶつけてくることが多いと思いますが、あなたの認識と異なる事実、誤解している事実が含まれることも多いと思います。
 そのため、夫の言い分をさえぎって、あなたの言い分や認識を伝えたくなるのも当然のことだと思います。

 もちろん、あなたの考えを伝えることで夫婦の誤解が解けて関係が修復するということもあるので、あなたの考えを伝えてはいけないということではありません。
 気を付けて欲しいのは、「売られた喧嘩を買う」ということにならないようにして欲しいということです。
 これでは、夫婦喧嘩にしかなりませんので、関係修復が遠のいてしまいます。
 夫側の口から離婚や別居というワードが出たということは、真剣に悩んでいる可能性が高いと思いますので、反発しないで冷静に話し合いができた方が良いと思います。

(2)【心得2】夫側の話を軽視しないこと
 「そんなこと言ったって、夫の収入なしでは生活できないに決まっているから、流石に本気ではないでしょう」とか「夫が急に私のことを嫌いになるということもないだろう」といった形で、夫の話をまともに取り合わないという方もいます。特にお子様が乳幼児の場合には、お子様のお世話で手一杯で、じっくりと夫の話を聞くような時間的余裕・心理的余裕がないというケースも多いです
 しかし、私が夫婦修復の件でお話を聞いておりますと、「同居中に夫がそんなことを言ってたんですが、本気だとは思わなくてそのままにしていたんですが、そうしたら急に何も言わずに出て行ってしまったんです。どうすればいいですか?」とご相談を受けることも多いです。
 そのため、「今回は本気かもしれない」と思って話を聞いた方が良いと思います。

(3)【心得3】理解できるところ、すべきところは、理解・共感する
 前述のように、夫は、あなたに対する不満をぶつけてくると思います。その中でも、理解できるところや、夫がこだわっていて、そこを妥協しないと夫婦修復の糸口がつかめないような部分については、理解・共感するという姿勢が大切なことが多いです。
 ただ、このような話をすると「要するに、相手の話に相槌だけ打っておけばいいんですよね?」とおっしゃる方もいますが、このような姿勢ですと、相手に見透かされてしまうことが多いので、実際にあなた自身理解・共感できる範囲で妥協するということの方が良いと思います。

 逆に、夫からの理不尽な要求などがあった際に「なんでも夫の言いなりにならないといけないのですか?」とご質問を受けることもあります。当然、あまりに理不尽な要求に応じる必要はありませんが、あまりストレートに反対すると夫婦喧嘩にしかなりませんので、伝え方・伝えるタイミングなどを慎重に見極めたほうが良いかと思います。

(4)【心得4】謝るべきところは謝る
 前述の理解・共感に加え、あなた自身が悪かったという点については、謝罪するということも重要なことです。
 もちろん、夫の話の中で、夫が誤解しているというものについては、冷静に説明をして、誤解を解く必要がありますが、実際に、あなた自身の行動や言動で行き過ぎたと感じるものがあった場合には、(そのことだけは)素直に謝罪することも重要なのです。

 なお、このようなお話をすると、「自分はお互い様だと思うんですが、こっちだけ謝らないといけないなんておかしくないですか?」とか「この件は、自分よりも相手の方が絶対に悪いと思うんですが、それなのになんでこっちが謝るんですか?」とおっしゃる方もいます。
 ただ、「お互い様」「相手の方が悪い」という姿勢が続きますと、夫婦修復の道は閉ざされてしまうと思います。
 そのため、一旦は謝って「ただ、そっちの言い方も良く無かったよね」といった形で指摘することも考えてみてください。

(5)【心得5】気持ちを切り替えるイベントのセッティング
 夫側から別居や離婚の話が出ているので、この険悪な状況が続くことは避けた方が良いと思います。
 そのため、家族の絆を深められるようなイベント(旅行や外食、記念日のお祝い等)をセッティングできるようであればセッティングして、それが、夫婦修復の試金石になることもあります。
 家族行事だと、険悪ムードを引きずりそうだという場合には、友人等を招いたパーティーのようにするとか、お互いの親族も呼んで旅行に行くなど、バリエーションを工夫してみても良いかもしれません。

(6)【心得6】状況を客観視する
 これは、夫婦修復の糸口をつかむために、場合によってはやってみても良いかもしれないという方法なのですが、親しい友人等に相談して、その意見を聞くこともあります。
 と言いますのは、あなた自身が一人で抱え込んでいても、なかなか解決の糸口がつかめないという場合でも、親友等に相談すると、客観的に状況を把握できるとともに、解決の糸口をつかむことができることもあります。
 なお、この場合に注意して欲しいのは、あまり沢山の人に相談しない方が良いということです。相談相手が複数に上りますと、様々な意見が出て意見集約が難しくなりますし、情報が拡散するリスクが高まるからです。職場の先輩何人かに相談したら、いつの間にか職場の同僚等全員が知るところとなってしまったというケースもありますので、情報管理には気をつけたいところです。

(7)【心得7】極力別居は回避する
 夫側が別居を始めてしまいますと、より一層夫婦修復が難しくなるのは事実なので、極力別居は回避した方が良いです。
 最悪、離婚裁判になることも視野に入れますと、別居開始が早いほどこちらに不利に働くことも事実です。
 他方で、①夫側が精神的に不調を抱えていて、一定期間冷却期間を置いた方が望ましいと言えるケースで、かつ、②別居先も夫の実家とし、実家が夫婦修復を強く希望しているという場合には、別居回避にこだわり過ぎないことが、結果的に良い方向に結び付くこともあります。
 そのため、別居回避を基本としつつ、状況に応じて、ある程度柔軟に対応することも検討してみてください。

(8)【心得8】離婚届不受理申請
 私がご相談を受けておりますと、夫側がこちらの署名と押印を偽造してまで離婚届けを提出するケースは少ないという印象ですが、少なからず勝手に離婚届を提出しようとする人もいます。
 特に同居しておりますと、夫側もこちらの印鑑の在処を知っているケースも多いので、勝手に押印されるリスクは捨てきれません。
 そのため、夫が勝手に離婚届を提出しそうであれば、予めこちらから離婚届不受理申請を出しておいた方が安全です。

 

 

3.【ケース2】相手が別居を開始してしまった後の段階


 一口に、相手が別居を開始してしまった後のケースと言っても、①こちらも同意した上で別居しているケース、②こちらは同意していないけれども、強く反対したわけではないケース、③反対している中で別居されたケース、④反対以前に何も相談がなく勝手に出て行かれたケースなど複数のケースが想定されるのですが、これらのケースをひとまとめにして、別居後のケースとして以下解説していきます。

(1)【心得1】夫側の姿勢に合わせた対応を心がける
 私が相談を受けていて一番感じる点なのですが、別居後に「より険悪」になってしまっているケースをよく見かけます。
 それは、別居後も、夫側が自身の悩みなどを真剣に相談等しているのに、こちらが、寄り添おうとせず、自ら夫婦修復の糸口をなくしてしまっているといったケースです。
 そのため、私が良くお勧めしますのは、「相手の姿勢に合わせた対応」というところです。

 例えば、別居したものの相手がこちらと接点を持ちたいがために必要なものを持ってきて欲しいといった形でサインを送ってきた場合には、それを送り届け、その際に少し顔を見て冷静に話をするといった対応が望ましいと言えます。他方で、一旦は話もしたくないという場合には、しばらく敢えて連絡を取らないという対応が望ましい時もあります。
 このように相手の姿勢に合わせて対応するのです。
 くれぐれも、「別居なんて勝手なことをして、断じて許せない」という姿勢は避けた方が良いかと思います。

(2)【心得2】夫側を見守ってくれる人の言うことを真摯に受け止める
 相手の別居が一時的な場合には、実家に身を寄せるというケース、社員寮で寝泊まりする、友人のところに居候するなどいくつかのケースがあると思いますが、誰かしら身近な同居者、つながりのある人物がいることが多いと思います。
 このように相手のことを見守ってくれる人物が言うことは、客観的に相手の様子や心境を言い表していることが多いと思いますので、その話は真摯に受け止めた方が、夫婦修復につながるケースが多いです。

(3)【心得3】別居解消を急かさない
 法律的な戦略という観点からは、別居期間を短期間に収めたほうが望ましいです。
 ただ、焦って対応すると、夫側は、一層態度を頑なにしてしまうリスクが高いので、既に別居がスタートしてしまっているという現状を踏まえ、焦らない方が結果的に夫婦修復につながることが多いような気がします。
 もちろん、夫が別居を始めたものの、内心では、早く迎えに来て欲しいと思っているような場合には、早く迎えに行った方が良いのですが、慎重な対応を心掛けた方が良いと思います。

(4)【心得4】長期間の断絶にはしないこと
 前述の通り、夫の姿勢に合わせて対応することが肝要なのですが、あまり期間が空き過ぎてしまいますと、逆に夫婦修復のきっかけがなくなってしまうということもあります。
 そのため、少なくとも1か月に一度も連絡しないままになってしまうとか、あまり夫との連絡不通が長期間になり過ぎないよう配慮した方が良いと思います。もちろん、夫と直接連絡を取ることが憚られる場合には、前述のように相手のことを見守っている夫の両親等とコンタクトを取るなど、連絡の相手についても慎重な検討が必要です。

(5)【心得5】お子さんのことばかりにならないこと
 夫の別居に納得していないため、夫に積極的に連絡したいとは思わない、けれども、子供のことは溺愛していたので子供のことは積極的に話をしたい、という方も多いと思います。
 ただ、相手との連絡がお子さん一色ということになりますと、相手は、自分のことを軽視されていると誤解してしまいます。
 そのため、①相手との連絡が、お子さんの様子の連絡ばかりにならないこと、②相手との接点が、お子さんとの面会交流の「ついで」のようにならない等の配慮が必要です。

(6)【心得6】夫の隠し録音には要注意
 既に夫が別居を開始していますので、本格的に離婚に向けて動き出す予兆という場合も多いです。
 その場合、自身に有利な言質を取るために、あなたとの会話の内容を隠し録音してくるケースも多いです。
 そのため、別居後、夫と直接会話する際などには、夫側に録音されているリスクも考慮しながら話をする必要があります。

(7)【心得7】記念日対策等
 あなたが別居に納得していないような場合には、相手の誕生日や結婚記念日を祝いたい気持ちにはなれないかもしれません。
 ただ、私が見ておりますと、記念日のプレゼント等が夫婦修復の後押しになったケースもあります。
 もちろん、状況によっては、このようなプレゼントが逆効果になることもありますので、慎重に検討した方が良いと思いますが、相手が受け取りそうな雰囲気があるのでしたら、プレゼント等を提案してみることも一考に値します。

(8)【心得8】離婚届不受理申請
 別居後は、相手もこちらの印鑑を勝手に押印するリスクは減りますが、①別居前に勝手に離婚届にあなたの判子を押してしまっているケース(その離婚届を持ち出しているケースです)や②別居後に判子を購入して、あなたの判子と偽って離婚届を提出するケースもあります。
 そのため、まだ離婚届不受理申請をしていない場合には、早めに申請しておいた方が良いと思います。

 

 

4.【ケース3】夫側が弁護士を立てた後の段階


 夫側が弁護士を雇ってしまった場合、通常は、離婚意思は固いことが多いと思いますので、そのような前提で対応する必要があります。
 以下では、夫が弁護士を立てた後の段階というシチュエーションでの心得を5個に絞って解説します。

(1)【心得1】夫との直接の連絡は控えること
 夫が弁護士を立てた場合には、その弁護士が窓口になりますので、夫との直接の連絡は控えた方が良いです。
 なお、このような説明をしますと、「相手の弁護士に連絡を取れなきゃいけない法律はあるんですか?」と質問されることも多いです。結論から言いますと、相手の弁護士に連絡することを直接義務付ける法律はありません。
 ただ、相手は、あなたと直接やり取りをしたくなくて、弁護士を立てていることが多いので、相手と直接連絡を取ることが逆効果になることが多いということは認識しておいた方が良いと思います。
 また、あまり相手に執拗に連絡してしまいますと、夫婦であってもストーカー規制法違反の問題が生じてしまうこともありますので、この点は注意する必要があります。

(2)【心得2】(禁止されていないのであれば)夫の両親等への連絡を試みる
 夫側の弁護士の対応によるのですが、夫本人への連絡は禁止しても、相手の両親への連絡は、これまでのあなたとの関係性等から禁止等しないケースもあります。
 もちろん、夫側の弁護士から禁止された場合には、夫の両親等への連絡も控えた方が良いのですが、禁止されていないのでしたら、夫婦修復のために、相手の両親等に連絡を取ることも一考に値します。

(3)【心得3】面会交流の場の活用
 今回のようにお子様が幼い年齢の場合、面会交流時に夫婦が顔を合わせるというケースも多くあります。
 もちろん、そのような場合に、あからさまに今後の夫婦関係のこと等を話すことは避けるべきですが、面会交流についての感謝の気持ちを伝えるなど、多少でも夫婦修復につながる対応ができるケースもあります。

(4)【心得4】手紙の活用
 夫が弁護士を立てた場合、あなたの気持ちを夫に伝える手段としては手紙が最も有力な手段となります。
 夫の弁護士の方針によっては、手紙を渡してくれないとか、弁護士が受け取っても夫本人が読んでくれないというケースもあるのですが、手紙の存在が相手に一定の影響を与えることもありますので、極力手紙を書くことをおススメすることが多いです。

(5)【心得5】こちらも弁護士を立てることを検討する
 相手が弁護士を立てた場合、こちらも、不備なく対応するには、弁護士を立てた方が望ましいケースも多いです。
 そのため、弁護士を立てること、その場合、どの弁護士に依頼するのかといったことは検討し始めても良いかもしれません。

 

 

5.まとめ


(1)まだ別居前の場合の8個の心得
①相手に反発しない
②相手の話を軽視しない
③相手の話に理解・共感する
④謝るべきところは謝る
⑤気持ちを切り替えるイベントのセッティング等をする
⑥身近な人に相談して客観的意見をもらう
⑦極力別居を回避する
⑧離婚届不受理申請をする

(2)別居開始後の8個の心得
①相手の姿勢に合わせた対応を心がける
②相手を見守ってくれる人の言うことを真摯に受け止める
③極力別居解消を急かさない
④長期間の断絶にはならないよう配慮する
⑤お子さんのことばかりにならないよう注意する
⑥相手が隠し録音している可能性を考慮して会話する
⑦記念日対策等をする
⑧離婚届不受理申請をする

(3)相手が弁護士を立てた後の5個の心得
①相手への直接の連絡は控える
②(禁止されていないのであれば)相手両親等へのコンタクトを試みる
③面会交流の場の活用を考える
④手紙を書く
⑤こちらも弁護士に相談してみる

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(40)】夫婦同居調停ってなんだ?

2024.12.30更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

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1.夫婦同居調停って何だ?


 インターネットで色々と調べていると「夫婦同居調停」という制度があることについて辿り着くことがあります。ただ、この調停制度について、正確かつ詳細に説明しているサイトは意外と少ないので、夫婦同居調停というのがどのような手続きなのかについて解説していきます。

 夫婦同居調停とは、一般的には、夫婦が当人同士で話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて話し合いを円滑に行い夫婦の同居に導くための話し合いの手続などと言われたりします。
 しかし、この説明だけでは漠然としていて夫婦同居調停のイメージを掴むことは難しいと思いますので、できる限り具体的に夫婦同居調停というものがどのようなものなのかをご説明します。

 

 

2.そもそもこの調停は何を目指す調停なのか?


 通常この調停を起こす場合、ご夫婦の一方が急に別居を開始してしまったという場合に、夫婦の同居義務(民法752条)の遵守を求めていくという手続になります。
 調停の席での話し合いが順調に進めば、夫婦の行き違いを調整し、夫婦・家族同居に戻すことを目標にした手続にはなります。

 

 ただ、こちらとしては夫婦同居を求めて調停を起こしても、相手が頑なに夫婦関係の継続を拒否する姿勢の場合、話し合いが決裂してしまうリスクはあります。

 

 

3.夫婦円満調停との違いは?


 私は、夫婦同居調停のことを聞かれた場合には、夫婦円満調停を、より強力にした調停ですよ、と説明することが多いのですが、大きな違いは以下の3点になります。

①夫婦円満調停だと、ひとまず当面は別居(すぐに同居までは求めない)という選択肢もあるが、夫婦同居調停はあくまで同居を求める手続きである

②相手の「同居義務違反」をより際立たせた手続である

③調停が不成立になった場合には、審判という手続きに移行する

 

 以下詳しく解説していきます。

(1)あくまで同居を求める手続きである

 夫婦関係円満調停ですと、相手の意向を考慮して、一旦暫くは別居状態を続けるという形の解決も選択肢の一つではあります。

 しかし、夫婦同居調停は、あくまで同居を求めていく調停なので、暫く別居ということは基本的に視野に入れていません。

 

(2)同居義務違反を際立たせている

 同居調停は、夫婦の間に同居義務があることを前提として、その同居義務を守らせようとするものですから、夫婦円満調停以上に「同居義務違反」を際立たせた手続と言えます。

 

(3)調停不成立になると審判手続きに移行する

 夫婦円満調停は話し合いが決裂すると、調停手続きは終了してしまい、「調停がなかった時の状態」に戻ります。

 これに対して、夫婦同居調停は、話し合いが決裂すると、調停手続きは審判手続きに移行し、裁判官が結論を出してくれます。

 

(4)弁護士としては、同居調停はあまりオススメしない

 前述の通り、同居調停は、結論を「同居一本」に絞っているため、あなたとしても強く同居を求める姿勢だという決意を示すことはできます。

 ただ、同居調停は、元々、相手の同居義務違反を「責める」ことを前提にしていますので、そのことで相手の心情を害するリスクがあります。

 また、相手が悪質な背信行為に及んでいるような場合は別ですが、そうでない場合、同居調停が審判移行しても、裁判官が「同居せよ」という結論を出すことは基本的にありません(そのため、審判移行前に裁判官の方から「調停を取り下げて欲しい」と打診されるのが一般的です)。

 

 

4.調停を申し立てる前にすべきこと


(1)相手に事前に連絡を取る
 いきなり調停を起こしますと、裁判所からの封書が来て相手は驚いてしまうと思います。そのため、相手には最低1回は事前に夫婦同居調停を起こす旨の連絡をしておいた方が良いと思います。
 このような事前連絡を行うことによって、相手が話し合いに応じてくる可能性もありますので、極力事前に連絡をしておいて下さい。

 

(2)調停申し立てのタイミングを探る
 前述のような事前連絡をしたところ、相手が交渉の席についてくれるようであれば、一定期間交渉での解決をトライしてみたほうが良いと思います。「もうすでに調停を申し立てる準備をしてしまったので申し立ててしまう」といった心構えではなく、話し合いの余地があるなら、極力話し合いで解決できるよう努めたほうが良いと思います。
 夫婦同居を目指すのであれば、今後もご夫婦間の直接のコミュニケーションは非常に重要になりますので、そのための準備という視点からも、直接の話し合いに重点を置いた方が良いでしょう。

 

 

5.調停委員ってどんな人?


 夫婦同居調停は、裁判官1名と調停委員2名(男性1名、女性1名)の合計3名が間に入って執り行われます。と言っても、裁判官は、同じ時間帯に複数の事件を担当していますので、実際に調停室で直接話をするのは基本的に調停委員2名と言うことになります。

では、この調停委員というのはどういう人なのかと言うことですが、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員になります。弁護士、司法書士、鑑定士、大学教授、裁判所書記官OBや上場会社の重役OBなどが調停委員になるなどしています。

 

 

6.夫婦同居調停ってどこで行うの?


 夫婦同居調停は家庭裁判所の建物内の一室で行われます。調停委員に、こちらの自宅などに出向いてもらって話し合いをするということはできません。

 裁判所と聞くと、テレビのドラマなどで映し出される裁判所の法廷をイメージする人も多いのですが、調停が行われるのは一般的な法廷ではなく、イメージとしては会議室のような場所で行われます。
 会議室と言っても何十人も座れるような広い会議室ではなく、6人掛け(いわゆる誕生日席2席を加えると8名が座れる程度)のテーブルが入って多少余裕がある程度の部屋とイメージしていただければ分かりやすいと思います。

 

 

7.夫婦同居調停って何時行うの?


 調停が開催される期日は完全事前予約制なので、予め日時を決定しておき、その日に裁判所に足を運ぶという方式になります。
 調停が行われるのは平日の日中ということになりますので、土日祝日や夜間に調停を行うことはできません。そのため、平日お仕事をされている方は、調停の日はお仕事を休むか早退するなどして出席することになります。

 この調停期日は一方的に裁判所から決められることはなく、基本的にはご本人の都合を聞いて日時が決定されます(但し、第1回調停期日については、相手方の都合は聞かずに日時が決定されます)。

 ただ、担当調停委員によって担当曜日が決まっているのが一般的ですので、その曜日の中から日時を選択するという形式が一般的です。つまり、担当曜日が月曜日と木曜日というように決まっているという場合、月曜日か木曜日の中から期日を選択して行くことになります(逆に言うと水曜日を希望しても水曜日に調停を開催することは難しいということになります)。

 

 

8.1回の調停はどのくらいの時間がかかるの?


 1回の調停は2時間程度で終わります。ただ、話し合いの状況に応じて2時間よりも長くなったり短くなったりすることもありますので、2時間というのは一つの目安だと考えて下さい。

 

 

9.当日の調停の流れは?


 調停の流れは裁判所や調停委員によって差があるので画一的ではないのですが、一般的には以下のような流れで進むケースが多いです。

①ご夫婦はそれぞれ別々の待合室で待機
        ↓
②調停委員に事件番号(またはお名前)を呼ばれるので、調停委員の案内で調停室に入室
        ↓
③夫婦双方が揃った調停室にて調停委員から調停手続の概要を説明(第2回目の場合、前回の調停での話し合いのおさらい及びその日の調停での目標等の確認)
※但し、こちらから夫婦で顔を合わせると冷静な話し合いが難しいと事前に伝えておきますと、夫婦同席での手続き説明ではなく、手続き説明は夫婦別々に行われます。(特に東京家庭裁判所では、ご夫婦別々とする形の方が一般的です)
        ↓
④申立人のみが調停室に残って調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑤申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑥相手方が調停室を退室し、入れ替わりで申立人が調停室に入室、申立人のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑦申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑧最後に次回期日までの宿題の確認及び次回期日の日程調整をしたうえで、その日の調停は終了。

 

 

10.調停室内に入れるのは誰?


 よく自分一人で調停室に入っても上手に話ができるか不安があるので、ご自身のお姉様やお母様も同席させて欲しいとおっしゃる方もいます。
 しかし、調停の手続は非公開の手続(御本人以外の方の傍聴などが認められていないということです)ですので御本人以外が入室することはできません。
 なお、弁護士に事件を依頼した場合には、弁護士も調停室に同席することができますので、その面では安心です。

 

 

11.調停が開催される頻度は?


 調停の期日の間隔は1か月程度になります。ただ、夏期や年末年始は調停を行わない時期がある関係で、この時期の調停の間隔は1か月以上空くことが多いです。

 

 

12.そもそも相手は調停に来るか?


 調停はあくまで裁判所を利用した話し合いの場になりますので、相手が法律的な出席義務を課されることはありません。
そうすると、相手が欠席するのではないかと不安に思われる方もいますが、家庭裁判所から封書が届きますので、相手も出席してくることの方が多いと思います。そのため、最初から「相手が出てこないかもしれない」と考えて調停を起こさないのではなく、相手も来る可能性が高いものとして調停は活用して行ければと思います。

 

 

13.調停が成立した場合の拘束力は?


 よく「調停が成立すると判決と同様の拘束力がある」と言われたりします。
 ただ、これは調停の内容次第です。

 例えば、相手に金銭を支払わせるという内容の調停調書には、強制力がありますが、「今後互いを尊重し、コミュニケーションを絶やさず円満な夫婦関係を築くことができるように努力する」と言った条項は、ある意味精神論を謳った条項に過ぎず、この内容に強制力を認めることはできません。 そのため、夫婦同居調停のゴールそのものに強制力はないことになってしまいます。

 強制力とは「相手が反対しても無理矢理実行させる」という効力になりますが、国家権力が相手を無理矢理自宅に連れ戻したり、夫として理想的な行動や言動を強要することは人権上問題になりますので、認められないのです。

 

 

14.まとめ


・夫婦同居調停は、夫婦同居を目指す手続である。
・夫婦同居調停は、夫婦円満調停を強力にした手続と捉えると理解しやすい

・弁護士としては、夫婦同居調停はあまりオススメしない

・調停委員は40歳以上70歳以下の学識経験者等が就任する。
・夫婦同居調停は、裁判所建物の中の会議室のような場所で行われる。
・調停は平日の午前または日中に行われる。
・1回の調停は合計2時間程度で終わる。
・2時間の調停では最初に手続の説明、その後交互に調停委員が本人から話を聞くなどし、最後に次回までの宿題等の確認・次回期日の設定を行うという手順で進むことが多い。
・調停室には本人しか入れない(弁護士が就いている場合は弁護士も入れる)
・調停は1か月に1回程度の頻度で開催される。
・相手は調停の席に出席する義務はないが、大体の人は出席してくることが多い。
・調停が成立した場合には判決と同じ効力が認められることもあるが、内容次第だし、夫婦同居調停の内容については強制力が認められない条項の方が多い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(39)】相手の方が有責なのにひどくないですか?

2024.12.09更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.「有責」とは?


 離婚問題における「有責」とは、婚姻関係破綻の原因となるような背信行為をしたことを意味します。

 私のところにご相談に来られる方の中には、「確かに口喧嘩になることは多かったけれども、いつも妻の方が挑発してきて口喧嘩になっていたので、妻の方が『有責配偶者』だと思います」とか、「お互い口をきかなくなって2年ほどが経ちますが、元はと言えば、夫がこちらを無視してきたことから始まったことなので、夫の方が悪いと思います」といったお話をなさることも多いです。

 ただ、前述の「有責」とは、「どちらかというと妻・夫の方が悪い」と言うだけでは不十分で、例えば、相手が浮気をしたとか、こちらに暴力をふるってきて怪我をさせられたといったような「背信行為」と言えるような事情があることを意味します。

 

 

2.まずは証拠の確認


 前述のように相手が有責と言えるためには、単に「どちらかというと相手の方が悪い」というのでは不十分で、浮気をしたとか暴力をふるってこちらに怪我をさせたというような重大な出来事が必要になります。

 ただ、このことに関して、裏付け証拠がないと、相手は、浮気や暴力を否定してくることが多いです。

 そのため、まずは、相手に有責性を突き付けられるだけの証拠がどのくらいあるのかを精査する作業が必要になります。ご自分では「十分な証拠があると言えるか分からない」という場合には、証拠を持参して弁護士に相談してみると、見込みが立てられると思います。

 なお、証拠の確認をしてみて、十分な証拠がないという場合には、残念ですが、あまり相手の有責性をクローズアップしない方が良いことが多いです。

 以下は、相手の有責性についての証拠があることを前提として解説していきます。

 

 

3.攻め方は大きく二つの方向性がある


 相手の有責性の証拠がある場合、攻め方には大きく二つの方向性があります。

 具体的には、相手の有責行為をしっかりと追及して責めていく攻め方と、自分にも至らないところはあったので、そこを反省するという攻め方の二つになります。

 以下で詳しく解説していきます。

 

(1)【攻め方①】相手の有責行為をしっかりと追及していく

 この攻め方は、要するに「悪いことをした方の人間が離婚したいなんて言うのは虫が良すぎる」とか「そんなに世の中は甘くないから、そんな身勝手なことは認めない」というような形で、相手を攻めて、離婚を防止するという進め方です。

 あなたは被害者の側なのですから、相手を攻めたいと思うのは当然の感情だと思いますので、そのような心情をストレートに反映した攻め方と言えます。

 

(2)【攻め方②】自分としても反省すべき点は反省していく

 前述の攻め方は、相手の方が悪いことをしているのですから、当然の進め方と言えばそうなのですが、違う視点で考えると、夫婦喧嘩になってしまうだけで、夫婦関係が修復に向かうのかというと難しいかもしれません。

 そのため、あなた自身にも一定の落ち度があったという場合に、そのことを反省しているといったことを伝えて、あくまで関係修復を目指すという攻め方が二つ目の攻め方になります。

 

(3)どちらの攻め方の方が良いか?

 結論から言いますと、どちらも一長一短ですので、以下のような要素も総合してあなた自身で決めてもらうしかありません。

①相手が普段から全く反省していないような場合

 そのような場合には、「攻め方①」の方が良いことが多いです。「攻め方②」の攻め方をしますと、相手は余計に図に乗ってしまい、仮に夫婦関係が修復したとしても、あなたは縮こまって生活しなければならず、それがあなたの幸せにつながるとは思えないからです。

 

②相手が普段はこのようなことはしない場合

 相手が普段はこのようなことはしないというような場合には、あまりそのことを責め立てると、相手はこちらへの不信感を強めかねません。そのため、「攻め方②」の方が良いケースが多いかと思います。

 

③あなた自身の「落ち度」の内容や程度にもよる

 例えば、最近夫が浮気をしたとしても、実は、7年ほど前にあなたの方が浮気をしたことがあって、その時はあなたが謝って旦那に許してもらったというような場合には、直近の夫の浮気ばかりを責め立てて良いのか、という問題があろうかと思います。

 他方、夫が言うように多少家事に不行き届きがあったとは言っても、暴力をふるわれるような落ち度ではないというような場合には、相手の暴力をしっかりと追及した方が良いかと思われます。

 

④お子さんの様子を考慮すべき場合もある

 例えば不倫といった問題は、お子さんの年齢からすると、あまり直接お子さんに伝えない方が良いという場合もあります(お子さんの健全な成長の妨げになってしまう場合も多いと思います)。

 そうしますと、お子さんにとっては全く事情が分からないところで、父親又は母親が出て行ってしまったということで混乱してしまっているというような場合もあると思います。

 そのような場合には、相手の有責行為をしっかりと責め立てて短期決戦を仕掛けるという場合もあり得ますし、逆に、相手を余計に刺激しないようにと言うことで、慎重に進めるという場合もあり得ると思います。

 

 以上は、今後の攻め方の参考事情でして、最終的には、「あなたがどうしたいのか」というお気持ちを一番大事にして進め方を決めた方が良いと思います。

 

 

4.相手が不倫をしている場合で、不倫相手が分かっている場合


 夫の不倫相手の女性、もしくは、妻の不倫相手の男性が分かっている場合、その「不倫相手」を相手に慰謝料請求などのアクションを起こす場合もあります。

 この方法がうまく行けば、夫または妻も不倫相手との関係が切れて夫婦関係が元に戻るということもあり得ます。

 ただ、この方法は余計に相手の反発を招いて夫婦関係が余計に悪化するというパターンもありますので、慎重に検討した方が良いことが多いです。

 

 

5.まとめ


・有責性とは、婚姻関係破綻の原因となるような背信行為をしたことを意味する。そのため、夫婦のどちらかというと相手の方が悪い、というようなケースは含まない。

・相手の有責を主張する場合、その裏付け証拠がどの程度あるのかをしっかりと確認する必要がある。

・有責の証拠がある場合の攻め方は、相手の有責行為をしっかりと追及していく攻め方と、そうではなく、あなた自身の反省点を反省していくという攻め方の大きく二つの攻め方がある。

・どちらの攻め方に寄るかは、最終的にはあなたの心情を持って決めるしかない

・不倫相手が誰なのか分かっている場合には、その不倫相手への慰謝料請求からスタートする場合もある。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(38)】どうしてお互いの言い分がこんなにも食い違うのでしょうか?

2024.12.09更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.離婚で争っている場合には、言い分が食い違うケースは非常に多い


 相手の弁護士の書面や離婚調停での相手の言い分など、離婚したい理由が示される場面はいくつかありますが、あなたの認識と大きく食い違っていることも多いです。

 実際に起きた過去の事実は同じなのに、夫婦の間でこれだけ言い分が食い違うのも奇異な話なのですが、実際に離婚調停などでは、「言い分が全く正反対」ということも多々あります。

 あなたとしては、「相手が嘘ばかりを言っている」と感じる事でしょうが、このように言い分が全く食い違うことにも理由や経緯があります。

 以下では、どうしてこのような言い分の食い違いが生じるのかについて、詳しく解説していきます。

 

 

2.相手の言い分が事実と異なる原因

 実際に私が担当した事件で、どうして言い分がここまで食い違うのか、その理由を探ってみましたので、詳しく解説していきます。

 

(1)【食い違う理由①】特に離婚したい理由に特化して言い分をまとめるから

 相手は離婚したい以上、離婚したい理由だけを述べて、離婚しなくても良い理由は一切述べません。そのため、例え夫婦生活の9割がた円満でも、残りの険悪なときの状況や場面、言動のみを切り取って、あの時こういった、あの時こうされた、という形で言い分をまとめてきますので、実態とは印象が大きく異なる言い分になるのです。

 

(2)【食い違う理由②】経緯や状況が異なっている

 最も分かりやすい例が、実際には夫婦喧嘩での言い合いなのに、相手は、自分の言葉を全てきり捨てて、あなたの酷い発言だけをピックアップして主張してくるケースです。

 夫婦ですので、時に口喧嘩になることもあると思いますし、その時には、きれいな言葉を発することなど難しいと思います。

 ただ、実際には売り言葉に買い言葉なのに、相手が、「自分がこう言われた」という言われた言葉だけを取り上げたらどうでしょうか。当然あなたの一方的な暴言のように捉えられてしまいます。

 これは極端な例ですが、これ以外にも、実際の経緯やシチュエーションが全く異なるということもあります。

 このようなことでお互いの言い分が全く異なるというケースもあります。

 

(3)【食い違う理由③】色々と調べるうちに記憶が混同してしまっている

 今は、インターネットで必要な情報を簡単に検索できる時代です。

 そのため、似たような境遇で困った経験がある人がいないかとか、似たような言動で苦しんできた人がいないかということで、インターネット上で検索すると様々な情報に接することが可能です。

 このように色々と調べている中で、「そういえば、私もこのように言われたことがあるかも」とか「よく思い出してみるとこのような発言に苦しめられていた気がする」などと記憶が混同して行ってしまうこともあるようです。

 

(4)【食い違う理由④】相手弁護士の表現方法の問題

 相手が弁護士を雇っている場合、離婚理由などについても、相手の弁護士が書面などをまとめて主張してきます。

 そうしますと、弁護士は、有利に立てるような事情などをピックアップ、強調して主張してきますので、実態と異なる書面が出来上がっていくというケースも多いです。

 例えば、何年も前の出来事とか、もうかなり前に夫婦の間では解決している問題であっても、それが、離婚にあたって有利になるような事情であれば、強調して主張してくるのです。

 

(5)【食い違う理由⑤】相手は離婚するために必死なので、一定範囲で虚偽や誇張を含んでしまう。

 相手は離婚したいという思いがあって弁護士を雇ったり、離婚調停を起こしているわけですから、有利に離婚を勧めようという心理が強く働きます。

 そのような中で、実際の過去の事実よりもオーバーに表現したり、過去の実際の事実に関連する事情などとして虚偽を織り交ぜてくるということも往々にしてあります。

 

 

3.嘘をついても罰せられないのか?


 離婚調停で問題になるのは、これまでの夫婦の関係性や出来事のことですから、相手が言っていることが事実なのか虚偽なのかは、あなた自身がよく分かっているということになります。

 そのため、相手の主張を見て、「こんなに嘘ばっかり言って良いんですか?」「何か罰せられたりしないんですか?」というご質問を受けることも多いです。

 しかしながら、法律上、離婚紛争中に相手が虚偽を述べたことをもって処罰するような規定等はありませんので、「処罰する法律はないんです」というご回答になります。

 そもそも、あなたの記憶としては、相手の言っていることが「全くの嘘だ」という場合でも、それを証明することは難しいことが多いです(それこそ録音でもしておかないと証明ができない)。

 

 

4.それでは「言ったもん勝ち」にならないか?


 上記の解説をご覧になった方の中には「それでは言ったもん勝ちじゃないのか?」とか「嘘をついた方が得をするようなもので、おかしくないか?」とお感じになったかもしれません。

 実際の離婚調停と離婚裁判でどのように取り扱われるのかについて以下で解説していきます。

 

(1)離婚調停の場合

 まず、離婚調停の場合、調停委員も、両当事者の意見が食い違うというケースをかなりの数扱っていますので、どちらが言っていることが正しいと断定的に決め付けるようなことは基本的にしません。

 そのため、相手が様々な主張をしても、調停委員はそれを鵜呑みにはしません。

 ただ、相手から裏付け証拠が提出された場合には、調停委員は、裏付け証拠の範囲で相手方の言い分を認めるということはあります。

 

(2)離婚裁判の場合

 離婚裁判の場合、より一層、裏付け証拠の有無、内容が重要視されます。

 何の裏付けもなく相手が主張していたとしても、裁判官は、その内容を信用することは基本的にありません。

 そのため、私の方からも、「離婚裁判は裏付け勝負になりますよ」とお話することが多いです。

 

 

5.安易な方針転換は禁物である


 もちろん、私は、あなたが夫婦関係の修復を希望する限り、全力でそれを応援します。

 ただ、相手が嘘ばかりついている様子を見て、「こんなことならもう離婚したい」という考えが頭をよぎってしまう方もいらっしゃいます。

 今後のことは、あなたの人生にとってとても大切な決断になりますので、もし多少離婚が頭をよぎったとしても、離婚に切り替えるかどうかは慎重に検討した方が良いと思います。

 

 

6.まとめ


・お互いの言い分が食い違う原因としては以下のようなものが考えられる。

  • 特に離婚したい理由に特化して事情をまとめているため
  • 経緯や状況が異なっている
  • 色々と調べているうちに記憶が混同してしまっている
  • 相手が雇った弁護士の表現方法の問題である
  • 離婚するために必死なので虚偽や誇張が含まれる

・調停などで虚偽を述べても、そのことを罰する法律はない

・調停でも裁判でも、裁判所側は相手の言い分をそのまま鵜呑みにはしないため「言ったもん勝ち」にはならない。

 

 

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【絶対に離婚したくない(37)】いきなり離婚調停って、どうしてこんな目に遭わなければいけないのでしょうか?

2024.11.18更新

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1.いきなり離婚調停の案内が来た


 相手が弁護士を立ててきたので、話し合いをするのかと思いきや、いきなり離婚調停の案内が来ることもあります。相手の弁護士から手紙が届き、その手紙の中に、離婚調停を起こすことにした旨と、追って裁判所から連絡が来るのであなたの言い分はその調停で述べてくださいといった旨が書かれているといったケースです。

 相手が急に出て言って驚いているところに、相手の弁護士は話し合いの余地すら認めないような態度で、二重に驚いたという感覚に陥ってしまうと思います。

 

 

2.暴力や浮気ならまだ分かるけど…


 あなたが相手に暴力をふるって怪我をさせてしまったとか、浮気をしてしまったということなら、相手にこのような対応を取られても、ある程度はやむを得ないと割り切れるかもしれません。

 しかし、あなたの方としてこのような重大な離婚原因を作っていないような場合には、割り切れませんし、私に対しても、「暴力をふるったり、浮気をしたわけでもないのに、このような仕打ちはあんまりだと思います」とおっしゃる方も多くいます。経緯に鑑みますと、このように感じてしまうことは当然のことだと思います。

 

 

3.どうしていきなり調停なのか?


 いずれにせよ、あなたとしては、どうしていきなり調停なのか、相手が何を考えて調停を起こしてきたのかについては非常に気になるところかと思います。

 実際、どのようなパターンが多いのかという観点から解説していきます。

 

(1)【大前提】いきなり裁判は起こせない

 最も強硬な手段としては、いきなり離婚裁判を起こすという進め方になるのですが、日本の法律は調停前置主義を取っていますので、離婚調停をせずにいきなり離婚裁判を起こすということはできません。

 そのため、まずは、離婚調停を起こす必要があります。

 

 

(2)【相手弁護士の思惑①】自身の言い分にかなり自信を持っているのか?

 前述のように、いきなり相手の弁護士から離婚調停を予告されたので、びっくりしてしまうという方が大半ではないかと思います。
 私のところにも、このように驚いて、ともかく事態を把握したいので相談にいらっしゃるという方も多くいます。
 このようにご相談に来られた方がよく口にするのが「これは、よほど自信があるからいきなり調停を起こしてきたんですよね」というご質問です。
 要するに、相手が自身の言い分にかなり自信があるから、離婚協議等を経ずにいきなり調停を起こしても大丈夫だと考えた、という発想のようです。

 

 しかし、離婚調停手続きは、裁判所を利用しますが、あくまで話し合いの手続です。

 そのため、自身の主張に自信があるかどうかとはあまり関係がないというケースの方が多いと思います(要するに、裁判の手続でしたら、普通はかなり自信がないといきなり裁判は起こしてこないと思いますが、裁判と調停は別の手続ですから、同じようには考えられないということです)。

 

 

(3)【相手弁護士の思惑②】相手弁護士の普段のスタイルなだけ

 実際の相手弁護士の様子を見ていると、何か特別な思惑があってやっているというよりも、相手弁護士の普段のスタイルなだけであるということがかなり多い印象です。
 つまり、弁護士には、それぞれ自分なりの仕事の進め方がありますが、今回相手が雇った弁護士は、離婚事件を処理する際には、離婚協議等はせずにいきなり調停を起こすという進め方をしているということです。

 

 そのため、相手弁護士としてみれば、特に特別な進め方をしているという認識はないのです。
 私がご相談を受けている印象ですと、最近は、このようにいきなり調停を起こすという進め方をする弁護士がかなり増えてきているよう印象です。
 そのため、いきなり調停を起こされたからと言って、それほど不安に感じなくても良いと思います。

 

 

(4)【相手弁護士の思惑③】相手の言い分がDV等の場合

 前述のように、相手弁護士が普段からいきなり調停を起こすというスタイルの弁護士もいれば、そうでない弁護士もいます。「そうでない弁護士」の場合でも、今回でけは理由があって、いきなり調停を起こしてきているというケースもあります。
 このような理由としてよく挙がるのが、DVのケースです。
 要するに、相手の言い分だと、「夫からのDVがひどい」とか「妻はヒステリックで暴れ始めると手が付けられない」というものなので、弁護士も、話し合いによる解決は難しいだろうと判断して、いきなり調停を起こしてきているのです。
 もちろん、離婚協議が順調に進んで、協議離婚によって解決できれば、その方が時間の短縮になるというメリットがあります。しかし、話し合いの可能性が低い場合、協議離婚にかけている時間は、かえって早期解決の妨げになることもあるのです。
 また、調停という裁判所の手続中であれば、こちら側の行動を一定程度牽制できると、相手が考えているケースもあります。

 

 

4.それほど「まずい」と考えない方が良い


 前述の通り、いきなり調停が起こされたとしても、それが相手弁護士の普段のスタイルなだけであるとか、相手本人の言い分に引きずられて、いきなり調停を起こしてきているなど、特段大きな意味合いはないということの方が多いと思います。

 いきなり調停を起こされてしまいますと、あなたとしては「本当にまずいことになった」と感じてしまうかもしれませんが、前述のようにそこまで重大な意味はないことの方が多いため、まずは落ち着いて冷静に対応した方が良いと思います。

 

 

5.まとめ


・いきなり調停を起こされたからと言って、一概に、相手が自信満々というわけではない

・いきなり調停を起こすことが相手弁護士の普段のスタイルということも多い。

・相手弁護士が相手本人の言い分に引きずられて、いきなり調停を起こしていることもある。

・いずれにせよ、いきなり調停になったからと言って「本当にまずいことになった」と思う必要はない。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(36)】仲良くしたいのに闘わないといけないのでしょうか?

2024.11.18更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
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1.「離婚したくない」と主張することそのものが相手の癇に障るんじゃないのか?


 相手が強く離婚を要求してきている場合、こちらが「離婚したくない」と主張すること自体が、相手の癇に障るのではないか、ということは一つの問題と言えます。

 ただ、離婚に応じると法律上「他人」になってしまうわけですから、離婚に応じるかどうかはあなたの今後の人生にとって非常に重大な決断になります。

 そのため、例え、相手の癇に障ることになっても、あなた自身が夫婦関係修復を強く希望するのであれば、「離婚したくない」と主張することになりますし、そのことを責められる謂れはありません。

 

 

2.こちらは仲良くしたいのに「闘わざるを得ない」のでは?


 そうはいっても、あなたとしては、相手との夫婦関係を修復したいわけですから、「闘いたい」わけではありません。

 しかしながら、相手から離婚調停を起こされるなどした場合、全て相手の言いなりになってしまうと、離婚に応じざるを得ないということになってしまって、自己矛盾が生じます。

 そのため、相手が弁護士を立てて責めてきた場合や、調停に持ち込まれた場合など、対応を慎重に検討しなければならないことも多いです。

 以下では、実際に私が担当した事件で、どのように対応しているのかといった点について解説していきます。離婚の問題は、離婚協議→離婚調停→離婚裁判という順番で手続きが進んでいきますので、それぞれの段階で、どのように対応するのが良いかを解説していきます。

 

 

3.実際の交渉段階での対応方法は?


 まず、相手が弁護士を立ててあなたにコンタクトを取ってきた場合には、相手の離婚意思が固いことを伝えられて、あなた自身の考え方を聞かれるのが一般的です。

 相手が離婚を決意した理由については、あまり詳細を伝えてこないケースが多い気がしますが、あなたの方から詳細を尋ねると回答してくれることもあります。

 あなたの方で、気持ちの整理がつかない場合には、気持ちの整理がつかないので十分な検討期間がほしい旨打診することもありますし、離婚したくないという意思が固い場合には、離婚したくない旨を伝えていくことになります。

 

 協議離婚の段階で、私が代理人に就くケースは稀なのですが(相手を刺激しないために、弁護士を立てないケースが多いため)、私が交渉段階から調停に入る場合にも、基本的な対応方法は同じです。

 なお、離婚に応じたくない旨を伝えると、その理由を尋ねられますので、相手への愛情を失っていないとか、お子様達のことを考えて離婚したくないといった簡単な説明をすることが多いです(あまり詳しい説明をすると相手との対立構造に陥ってしまうので、避けるという意味です)。

 

 

4.実際の調停段階での対応方法は?


 前述のように、交渉段階で離婚したくない旨を伝えると、比較的早い段階で相手側が離婚調停を申し立ててくることが多いです(なお、弁護士によっては、離婚協議をほとんどしないで、いきなり調停を起こしてくる弁護士もいます)。

 調停段階での対応方法は、交渉段階の時よりも多少複雑で、①調停委員から事情を聞かれるので、どのように答えるかをある程度想定しておく必要がある、②改善計画を述べる必要がある、③説明文書の提出をすべきかというのが大きな違いとなります。

 

(1)調停委員から事情を聞かれた際の答え方

 調停委員から事情を聞かれた際の答え方は、基本的には、あなたの記憶に基づいて回答していくことになりますが、相手が虚偽を述べている場合や誇張をしている場合には、実際の事実を丁寧に説明していくことになります(特に、相手を批判するわけではなく、調停委員の誤解を解くように説明をしていくことになります)。

 実際には、あなたが弁護士を雇っている場合には、調停の席で相手がどのように言ってくるのかをある程度想定して、どのように回答するのかを事前に検討しておくことが多いと思います。

 なお、調停の席で夫婦の認識が大きくずれるというケースは多いため、調停委員も、そのことで強い違和感を覚えるようなケースは少ないです。

 

(2)改善計画を練る

 事前にしっかりと準備ができているようでしたら、答弁書に改善計画を記載してしまうことの方が多いです。

 改善計画には、相手が離婚したいと主張する理由に対して、あなたがどのように改善していくのかを記載することになります。例えば、相手が、あなたの深酒を気にしている場合には、今後は禁酒するとか、仕事上の付き合いの飲み会以外は一切飲まないといったことを改善計画に書き込むことになります。

 なお、相手の離婚理由がまだ不明確な段階の場合、調停の席などで、相手の離婚理由がはっきりとしてから、改善計画を立てていくというケースもあります。

 

(3)説明文書を提出すべきか

 私がご相談を受けていると、「調停委員にも詳しく事情を知っておいて欲しいので、20ページくらい説明文書を作成しました」といったご相談を受けることがあります。

 ただ、長文の説明文書を提出することはリスクが大きいので、避けるようアドバイスすることが多いです。

 長文の説明文書を提出すると、相手が弁護士を付けていた場合に、その弁護士から揚げ足取りなどに使われてしまうというのが最も大きなリスクです。このリスクは、こちらが長文の説明文書を書けば書くほど高くなってしまいます(それだけ揚げ足取りの材料を提供することになってしまうため)。

 また、長文にするとあなたの気持ちが調停委員に伝わりにくくなってしまうという面もあります(率直に「私はまだ妻のことを愛しているんです」の方がストレートに思いが伝わります。

 そのため、私の方からは「一旦そのような説明文書は提出しない方が良いですよ」とか「あなたが今後改善していきたいというところに絞って提出した方が良いですよ」とアドバイスすることが多いです。

 

(4)結局、調停委員は、あなたの修復意思の固さを一番気にする

 離婚するかどうかは、あなたの人生にとっても重大な決断ですので、あなたが強く夫婦関係の修復を希望しているのに、調停委員が離婚を強要してくるようなことはありません。

 実際にも、調停委員は、あなた自身の関係修復の意思がどれくらい固いのかについて強い関心を持つことが多いです(逆に、あなたが離婚にしようか悩んでいるような様子を見せると、調停委員は、離婚を勧めてくることもあります)。

 そのため、あなたが夫婦関係を修復したいという揺るぎない意志を持っていると示すことができれば、調停委員も、あまり細かく過去の事実を確認等せずに、調停手続きを進めることができることが多いです。

 

(5)あくまで調停は話し合いの場

 あくまで調停は、話し合いの場ですから、あなたの関係修復意思の強さを示して、後は、過去の事実に関する細かい議論を避ければ、調停の場で相手と必要以上に闘うことは避けられることが多いです。

 前述のように、最低限、相手の主張の虚偽や誇張については、「私の認識はこうなんです」というように否定すれば良く、そのことで相手との「闘い」を避けて対応する進め方が賢い進め方になります。

 

 

5.実際の裁判段階での対応方法は?


 相手が離婚裁判まで起こしてきた場合、相手の主張に対してしっかりと反論しないと敗訴してしまいますので、しっかりとした対応が必要になります。

 ただ、相手の言い分一つ一つに事細かに反論していくのかと言いますと、イメージとしましては、「相手の証拠に対して反論していく」という作業になります。

 何を言っているのかと言いますと、例えば、相手が、あなたからこういう風に言われたとか、こういうことをされたという言い分を述べていても、実際、その裏付けはほとんどないということも多いです(口頭でのやり取りなので、裏付けがほとんどないのです)。そのような場合、相手の言い分には裏付けがほとんどないのですから、簡潔に反論して済ませるようにするのです。

 このようにすることで、必要以上に相手の反感を買うことを避けることができます。

 

 なお、裁判官は、相手の言い分をそのまま鵜呑みにすることはなく、相手がどのような証拠を提出してきているのか、その証拠からどのような事実を認めることができるのかという点に強い関心を持ちます。

 そのため、私は、裁判については「裏付け勝負ですよ」と説明することが多いのですが、相手の裏付けの内容を注視して、こちらの反論を組み立てていくようにしています。

 また、裁判序盤では、あなたの「本当は争いたくない気持ち」を書面にも明記して、関係修復を切に願う気持ちを書き記すことが多いです。

 

 

6.まとめ


・「離婚したくない」と主張することそのものが相手の癇に障る可能性は高いが、そこはあなた自身の人生に関わる重大事なので、あなたの気持ちで結論を出すべきである。

・【離婚協議の段階】離婚協議の段階では、あなたの関係修復意思を強く示せば、相手の弁護士もあまり深入りしてこないことが多いので、大きな対立を生じさせずに済ませられることが多い。

・【離婚調停の段階】最低限、相手の主張の虚偽や誇張に関してはコメントする必要があるが、事細かに反論する必要はない。

 あなたの関係修復意思の強さを示すのが胆である。

・【離婚裁判の段階】敗訴を避けるためにはしっかりと反論しなければならないが、相手の裏付けに対して反論するという視点が大事である。

 

 

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【絶対に離婚したくない(35)】こんな闘いをいつまで続けないといけないんでしょうか?

2024.11.04更新

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1.別居や離婚は人生の中で精神的ストレスが特にかかりやすい出来事とされている


 一般的に、別居や離婚は、人生の中でも特に精神的ストレスがかかりやすい出来事されています。

 そのため、相手配偶者が突如別居してしまい、そのことで大きな精神的ストレスを感じることは、通常の反応と言えます。

 そして、このように強い精神的ストレスを抱えているからこそ、「出口はいつ頃に見えてくるのか?」ということが気になる方も多いと思います。

 もちろん、このような争っている期間は短いに越したことはないのですが、今後の人生に関わる大事なお話でもありますので、時間がかかってしまうということも多いのが実情です。

 以下では、こんな闘いをいつまで続けないといけないのか?という点について、具体的に解説していきます。

 

 

2.実は結論は大きく3パターンある


 皆さん、相手から離婚を迫られていますので、離婚に応じるか、円満に関係を修復するのかの2択だとお考えの方も多いと思いますが、実際には、大まかに3パターンに分かれます。

 

(1)【パターン①】円満に関係を修復できたパターン

 一番理想的なパターンでして、一度出て行った相手が戻ってきて、家族全員で同居して生活を再開するというパターンです。

 なお、後述の通り、最終的に同居再開に至るものの、それまでにかなりの期間を要した、というケースもあります。

 

(2)【パターン②】こちらも離婚に応じることにしたパターン

 こちらの不貞行為が相手にバレてしまった場合や、離婚裁判をするとなると負担が大きいため調停で離婚に応じた場合など、あなた自身の決断で離婚に応じることにしたというパターンです。

 この場合にも、仮に離婚が争点ではなくなったとしても、親権や財産分与などが問題になり、その調整で時間がかかるというケースもあります。

 

(3)【パターン③】別居婚が長期化するパターン

 相手が弁護士を立てていない場合、弁護士を立てて争うことや調停を起こすことにためらいがあって、別居状態が長期間続く、というパターンもあります。

 また、相手が弁護士を立ててきた場合、通常は、離婚協議→離婚調停→離婚裁判という経路をたどるのですが、離婚裁判でこちらが勝訴すると、相手がそれ以上に何もしてこなくなるというケースもあります(実際には、2度目の離婚裁判を起こしてくる人も多いです)。更には、相手が弁護士を立てて離婚調停を起こしたものの、調停が決裂し、そのままの状態が長期的に続くというパターンもあります。

 

 

3.最終的に修復したケースでかかった期間等


 私が直接担当したケースや、私が相談を受け、ご本人が対応することで修復に結び付いたケースなどを見ておりますと、修復までに要する期間は、「かなりばらつきが大きい」というのが率直な感想です。
 ただ、手続きがどの程度進んでしまったのかに応じて、一定の傾向などをお示しすることはできますので、以下解説していきます。

 

(1)【ケース1】相手が弁護士を立てずに対応したケース

 相手が突如別居を開始してしまったり、調停を起こしたりなどしたが、結局弁護士を立てなかったケースです。
 このケースですと、夫婦関係修復までにあまり期間を要しないケースも多い印象です。
 本当に短期間のケースですと、①妻の短期間の家出ということで1か月くらいで解決しました、とか、②夫の海外出張に同行するという大きな決断をすることになりましたが、同行して生活していくと円満な家庭を築けていますといったお話を伺うことも多いです。
 他方で、夫婦関係の軋轢が深く、①一旦はこのまま別居させて欲しいと言われてしまい半年は別居期間が続きました、とか、②調停委員からもあまり焦らない方が良いと言われてしまい、1年別居を経ての同居再開という条件になってしまいました、といったお話を聞くこともあります。

 

(2)【ケース2】相手が弁護士を立ててきたケース

 相手が弁護士を立ててきたケースですと、残念ながら、夫婦関係修復の可能性が下がる傾向が強いです。
 相手も弁護士を立てているくらいですから、離婚の意思が強いことが多く、どうしても夫婦関係修復に向けての話し合いに進まないことが多いのです。
 私が実際に担当したケースでも、夫婦関係修復までの期間は様々という印象でして、①半年ほどの調停期間を経て無事に同居にまで結びつけられたというケースもあれば、②調停自体は4か月ほどで終了したのだけれども、そのあと2年ほどが経ってようやく家族同居にこぎ着けたというケースもあります。

 

(3)【ケース3】相手が弁護士を立てて離婚裁判を起こしてきたケース

 はじめにお話しておきますが、離婚事件についてはいきなり裁判を起こすということはできません。特別な事情がない限り、まずは、離婚調停という手続きを踏んだ後でないと、離婚裁判を起こすことはできないのです。
 このようにして、相手が離婚調停を起こし、その後、離婚裁判まで起こしてきたという場合でも、相手の離婚請求棄却、要するに、裁判所から「現時点では離婚不相当」という結論を得たことはあります。
 ただ、その場合でも、夫婦関係の修復に結び付いたのかと言いますと、残念ながら、冷却期間が長引いているだけとなってしまうことが多いかと思います。
 離婚裁判はそれ自体がお互いにとって負担が大きく、結論として「現時点では離婚不相当」という結論を得ても、なかなか夫婦関係修復の道筋を描くことが難しいのです。

 

 

4.残念ながら離婚で決着させることにしたケース


前述のように、こちらの不貞行為が相手にバレてしまった場合や、離婚裁判をするとなると負担が大きいため調停で離婚に応じた場合など、あなた自身の決断で離婚に応じることにしたというパターンです。

この場合でも、あなたが離婚に応じることにした後に、お子様の親権や財産分与についての議論をしなければなりません。

このような議論にあまり時間をかけずに決着できる場合には、あなたが離婚に応じることに決めてから半年程度で手続きが終わるケースもありますが、長引くと1年や1年半程度がかかってしまうケースもあります。

また、親権についての対立が激しいと、実質親権者を決めるために離婚裁判をすることになりますので、やはり、裁判だけで1年とか1年半かかってしまうこともあります。

 

 

5.決着までに長くかかるから、という理由で関係修復を諦めないで欲しい


 前述のように、決着までには時間がかかってしまうケースも多いです。

 このようなことを聞くと「そんなに長い期間争うのは大変なので離婚に応じることにしようかと思います」という反応を示す方もいます。もちろん、あなた自身がそのように覚悟したのでしたら、私は止めることはしません。

 ただ、離婚に応じるか応じないかは、今後のあなたの人生にとって非常に大事な決断です。そのため、その決断を、後から振り返ったときに後悔するようなことはしないで欲しいと強く思います。

 

 

6.まとめ


・離婚紛争の決着の付け方としては、同居再開、離婚以外にも、別居婚の長期化というケースもある。

・同居再開に至るケースでも、結論に至るまでの期間はさまざまである。

・残念ながら離婚に応じると決断した場合でも、親権や財産分与の議論などで長期化するケースもある。

・決着までに時間を要するからと言って関係修復を諦めないで欲しい。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【絶対に離婚したくない(34)】どうして相手は急に「モラハラ」なんて言い始めたのでしょうか?

2024.11.04更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避のために尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

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1.突如突き付けられた離婚理由


 離婚理由を突き付けられる場面としては、相手配偶者(妻又は夫)から直接突きつけられる場合と、その弁護士から突き付けられる場合とがあります。

 いずれであろうと、離婚したい理由が、「あなたのモラハラ発言に耐えられなくなったから」というものである場合、あなたとしては、「モラハラってどういうこと?」と困惑してしまうと思います。

 あなたとしては、普段通りの夫婦の関係で、他愛ない会話しかしていないと考えてきたわけなので、突如「モラハラ」と言われても驚いてしまうのです。

 

 これまで何年も夫婦として一緒にやってきたのに、急に「あなたの発言はモラハラだった」と言われても納得できないのは当然のことだと思います。

 以下では、相手ががどうして「モラハラ」などという言葉を使い始めたのか、そのきっかけ等について、実際に私が担当したケースなどを元に解説していきます。

 

 

2.そもそもモラハラって何だ?


 「モラハラ」、最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含め得る概念です。

 

3.相手がモラハラという言葉を使い始めたきっかけ


 相手が急に「モラハラ」という言葉を使い始めている以上、そのことにはきっかけがあります。

 そもそも、前述のように、モラハラの概念は非常に広いため、「何でもかんでもモラハラと言ってしまえば該当してしまう」という側面があるのも事実です。

 以下では、どのようなものがきっかけとされることが多いのかを解説していきます。

 

(1)友人や知人から聞いて知った

 ママ友やパパ友、または、友人・知人等と雑談をしていた際に、ふとしたことから、このような用語が出たということがきっかけの場合があります。

 特に、離婚経験があるママ友やパパ友の場合、自らの離婚経験から、「モラハラ」といったことを身をもって知っているという方も多いため、そのような友人経由で話を聞いた、自分が相手から受けてきた発言が「正にモラハラ発言だと気付いた」と言い始めるケースも多いです。

 

(2)テレビなどから情報を得た

 モラハラという用語も以前よりはテレビなどでも取り上げられるようになりました。

 その関係で、ニュースやドラマ、情報バラエティーなどで、「モラハラ」という概念や、それがどのようなものなのかについて見聞きすることも増えてしまっています。

 そのような経緯で一度「モラハラ」という言葉を知ると、後はインターネットで検索すると、情報はいくらでも出てきますので、自分がモラハラ被害者だったんだと誤解してしまう人も多くいます。

 

(3)行政機関への相談

 今では行政機関でも「モラハラ」や「DV」についての周知活動を行っています。

 そのため、違和感を感じた際に、行政機関(身近なところで言うと区役所など)に相談すると、「それはモラハラなので、すぐに逃げたほうが良い」とか「モラハラは治らないから、改善を期待しない方が良い」といった回答をするケースが非常に多いです。

 一方の話だけを聞いて、このようにアドバイスすることもどうかと思いますが、行政機関からこのように言われると、「やっぱり自分はモラハラ被害者だったんだ」と誤解してしまう人も多いです。

 

 

4.熟年離婚の場合


 熟年離婚の場合には、「これまでずっと相手からのモラハラに耐え続けてきましたが、やっと子供も成人したので、離婚したいです」とか「子供が大学を卒業したので、離婚したいです」というように、お子様の成長を待って、離婚を切り出してくるというケースも多くあります。

 

 

5.今後の手続きの中で重要になってくるものは何か?


 モラハラの問題は、言った言わないの水掛け論になるケースが非常に多いです。相手は離婚するために、あなたから「このように言われた」といったことを主張してくることが多いのですが、ニュアンスが大きく異なっていたり、経緯が全く違っているといったことも多いです。

 いずれにせよ、相手が「こういわれた」、あなたが「そうは言っていない」と言い合っていても議論は錯綜するばかりで、問題の決着は遠のくばかりです。

 

 少なくとも、離婚調停の段階では、モラハラについてどういう証拠があるのか?といったことを細かく突き詰めていくというケースはほとんどないのですが、少なくとも、離婚裁判になった場合には、どのような証拠がどの程度あるのかという点が非常に重要な意味を持ってきます。

 そのため、相手が「モラハラ」を主張してきた場合には、相手がどのような証拠を持っているのかを推測しながら対応していく必要があります。

 

 

6.相手は不倫している?


 これはよく出る話題なのですが、私の経験上、不倫の証拠は出てこないケースの方が大半です。

 あなたとしては、相手配偶者から突如離婚を突き付けられ、また、身に覚えのないモラハラが理由なので、相手の不倫を疑う(他の人のことが好きになったので、私を捨てようとしていると疑う)ことも、心情的に理解できなくはないですが、その証明ができないことの方が多いのが実情です。

 そして、相手の不倫の証拠が全くないか、もしくは、ほとんどないという場合、調停や裁判の席で不倫を主張することは難しいです。

 

 

7.まとめ


・相手がモラハラを言い始めるきっかけとしては、友人や知人から知識を得たというケースも多い。

・他にも、テレビから情報を得たという人もいる。

・「モラハラ」ということで行政機関に相談すると、別居や離婚を勧めるケースも多い。

・熟年離婚の場合、お子様の成人等を待ったというケースもある。

・今後の手続きの進め方の検討に当たっては、相手がどのような証拠を持っているのかがカギになる。

・相手の不倫を疑う気持ちは分からなくもないが、証拠をつかめないケースが大半である。

 

 

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