離婚問題

夫が突然監護者指定審判を申し立ててきた(11)ー面会交流は避けられないのか

2020.08.31更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかりと戦って、しっかりと勝つ」をモットーに、以下詳しく解説していきます。

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1.そもそも「監護者」って何だ?


(1)監護権というワードは馴染みが薄い。
 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

(2)親権の意味のおさらい
 そもそも、親権というと、離婚した後に子供を育てていくことができる権利と考える方が多いかと思いますが、実は親権には、このようにお子様を育てていく権利だけではなく、他にも権利が含まれています。
 具体的には、親権には大きく以下の権利が含まれると言われています。
1)身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)
2)財産管理権(お子様の財産を管理する権限のことです)
3)身分行為の代理権(例えば、お子様が他の里親の方の養子になりたいと言ったときの代諾権等お子様の身分行為を代理する権限です)

(3)要するに監護権って?
 上記の通りご説明しました親権に含まれる3つの権利のうち、「身上監護権」だけを切り出したものが監護権とイメージすると分かりやすいと思います。

 

 

2.監護権と面会交流って関係あるの?


 上記のような監護権の定義を見ますと、面会交流(お子様を旦那様に会わせることを法律用語としては「面会交流」といいます)とは全く無関係のようにも見えます。
 そもそも、面会交流の問題と監護権とはどのようにかかわってくるのでしょうか。

 フレンドリー・ペアレント・ルールという言葉を聞いたことがありますでしょうか。これは欧州では明確な基準として確立している国もあるのですが、同居していない親と子との関係について友好的・寛容な親を監護者・親権者として優先的に扱うというルールです。

 日本では、このフレンドリー・ペアレント・ルールは直接採用されてはいませんが、現在の実務では、裁判所も面会交流を積極的に推奨しておりますので、面会交流の協力姿勢も監護者指定にあたって重視される項目の一つになっているのです。
 即ち、特別な事情がない限り、旦那様とお子様とが触れ合うことで、お子様にとってもよい効果があることが多い(よく言われますのは、両親の愛情を感じることで安心や自信を得られる、自分のルーツを知ることで人間関係の多様化を図れるといったところです)というのが裁判所の基本的スタンスですので、このような面会交流への協力姿勢の有無というのも監護者指定の審査項目の一つとなっているのです。

 

 

3.面会交流を拒否することはできないのか


 旦那様からの監護者指定審判は、あなたが別居して間もないころに提起されることが多く、あなたとしては「そんなこと言われても気持ちが追い付かない」とか「まだ別居したばかりで落ち着かないので、子供を不安にさせないか心配である」「同居中と同じように暴言を吐きそうで不安」など不安を覚えることも多いでしょう。

(1)面会交流を拒否することのダメージの大きさは?
 面会交流に協力的かどうかが審査項目の一つだとしても、さほど重要な審査項目ではないということなら、拒否することも選択肢の一つになりそうです。
 監護者指定の審査項目で特に重視されますのは、①これまでの監護実績(要するにお子様と同居中のお子様の世話をどの程度見てきたか)、②別居の経緯(要するにお子様の了解をどこまで得ての別居だったのか、別居が穏当な形で行われたのかといった点)、③(お子様が10歳以上という場合)お子様の意思になります。ただ、前述の通り裁判所は面会交流を積極的に推奨する立場ですので、この点は軽視できないというのが現状です。
 そのため、上記①から③が非常に重要だけれども、その次ぐらい面会交流への姿勢も重要だとお考えいただいた方が良いです。

(2)肝心なのは証拠
 裁判官が納得できるような理由もなく面会交流を拒否しますと、裁判官の印象もかなり悪くなってしまいますので、最低限拒否する理由をしっかりと示していく必要があります。
 ただ、何の証拠もなく拒否しますと、簡単に裁判官もその内容を信用してくれないリスクがありますので、肝心なのは拒否理由についてのしっかりとした証拠があるかどうかという点になります。
 旦那様の側に父親として非常に不適切な行動等があったこと(例えば、暴力をふるってお子様をケガさせたとか、娘様に卑猥な行動をとったことがあるなど)の証明ができれば、面会交流を拒否することで不利な扱いを受けることはほとんどないと思います。

(3)連れ去り等の不安がある場合には第三者機関の利用が現実的
 前述のような旦那様側の不適切な行動の証拠があればよいのですが、それがない場合には、簡単に面会交流を拒否しますと、こちらに不利になるリスクがあります。
 そのため、旦那様による連れ去り等の危険性があるという場合には、「面会交流させない」というのではなく「第三者機関での面会交流には応じる」という姿勢の方が良いでしょう。

 

 

4.まとめ


・監護者とは、お子様の身の回りの世話や教育を決定する権利を意味すると考えると理解しやすい。
・裁判所は特段の理由がない限り、旦那様とお子様が接することでお子様にとって良い影響があると考えているため、面会交流の問題は監護者指定にも影響する。
・同居中旦那様のお子様に対する不適切な行動の証拠があれば面会交流を拒否するということも不利にはならない。
・そのような証拠がない場合には、「面会交流させない」ではなく「第三者機関を利用するなら面会交流してもよい」という形の方が不利になりにくい。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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