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【改正民法施行!!今後モラハラ元夫は何をしてくるか!?】元夫が突然共同親権への親権者変更を申し立ててきた(9)―子の心情調査は避けられないのか?

2026.10.19更新

※離婚後共同親権は改正民法で初めて明記された制度ですので、現時点で実務の対応が定着しているわけではありません。本記事は弁護士秦の私見に基づく解説ですので、そのような前提でお読み下さい※

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

2.離婚後共同親権って何なんだ?


(1)「離婚後共同親権」の法律的な意味合い

仮に、離婚後共同親権を選択したとしても、①夫婦が一緒に住まないといけないというわけではありませんし、②お子さんに半々で関わる制度というわけでもありません。

 そもそも、離婚する際には、ご夫婦は別々に暮らすことを前提に、お子さんが夫婦のどちらと一緒に住むのかを決めると思います。そして、その様に決めると、お子さんの日常的なことは一緒に住んでいる親が決めるということになると思いますので、「共同親権」というのは、以下のような「お子さんにとって大事な事項を夫婦一緒に決める」という意味合いになります。

  • お子さんの転居(引っ越し先の決定)
  • 進路に影響する進学先の決定
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設等)
  • 15歳未満のお子さんの氏の変更
  • 15歳未満のお子さんの養子縁組の代諾

 

(2)緊急時は別扱い

 前述のように、お子さんにとって重要な事項は、共同親権の場合には、夫婦で話し合って決める必要があるのですが、緊急の場合には、別扱いになります。

 例えば、DVや虐待から避難する場合には、あなたの一存で避難及び避難先をどこにするかということを決めて良いということになります。また、お子さんが大きな怪我をしてすぐに医療処置が必要な場合にも、あなたの方で医療処置を受けさせて構いません。

 

 

3.今回の事案設定


今回は、以下のような事案を前提に解説していきます。

①離婚そのものは暫く前に成立している

②離婚のときの親権者については、妻であるあなたに指定されている

③その後もあなたがお子さんを育てている

④元夫が突如、共同親権への親権者変更の手続きを取ってきた

 

 

4.今回の親権者変更手続きの中で子の心情調査は避けられないのか?


 詳しくは後述しますが、親権者変更手続きの中での「子の心情調査」というのは、家庭裁判所調査官が、お子さんと一対一で話をする調査のことを意味します。

 それでは、今回の親権者変更手続きの中で「子の心情調査」は実施されるのでしょうか?

 心情調査を実施するかどうかは、この事件を担当する裁判官が決めますので、結局、「裁判官が心情調査を実施した方が良いと思うような事情があるかどうか」によって決まることになります。

 このような必要性の有無は、以下の点が重要な考慮ポイントになると思われます。

 ①あなたの単独親権に決める際に家庭裁判所調査官の心情調査が実施されたか

 ②その後の年月の長さ・お子さんの成長具合

 ③以前の家庭訪問から現在の生活環境の変化の有無・程度

 ④モラハラ元夫側から投げかけられている疑義の内容

 

 

5.【ポイント①】あなたの単独親権に決める際に家庭裁判所調査官の心情調査が実施されたかどうか


 あなたの単独親権に決める際に、離婚裁判の本格審理が実施された場合には、その際に家庭裁判所調査官の調査が実施されたものと思われます。ただ、当時のお子さんの年齢が幼いような場合には、家庭訪問等は実施しても、「心情調査は実施していない」という場合もあります。

 いずれにしましても、そのように一度家庭裁判所調査官の心情調査を実施した場合には、今回改めて心情調査をする必要はないと判断される可能性があります(但し、その後かなり年数が経過しているような場合には、心情調査を実施する可能性もあります)。

 他方で、協議離婚や調停離婚している場合、そのような本格的な調査を行わずにあなたの単独親権に決まっていることも多いと思います。

 そのような場合、これまでに一度も心情調査を実施していないということになりますので、今回は心情調査を実施するという方向に傾きやすくなると思います(但し、その様にあなたの単独親権と決めてからほとんど期間が経っていないような場合には、わざわざ心情調査は行わないというパターンもあると思います)

 

 

6.【ポイント②】その後の年月の長さ・お子さんの成長具合


 一度あなたの単独親権と決まってからまだ1年も経っていないなど、短期間しか経っていないような場合には、心情調査等は実施しない可能性が高まります。

 他方で、一度あなたの単独親権と決まってからもう5年以上が経過したというような場合、既に長期間が経過していますので、心情調査等を実施する可能性が高まります。

 また、それほど期間が経過していなくても、お子さんの成長の具合が著しいような場合、例えば、お子さんが3歳から6歳まで上がったような場合には、心情調査を実施する可能性は高まると見込まれます。

 

 

7.【ポイント③】以前の調査時から現在の生活環境の変化の有無


 以前の調査時と現在の生活環境に変化が大きい場合には、改めてお子さんの認識と意向を確認する必要があるという方向に傾きやすくなると思います。例えば、転居して、地方から都心部での生活に変わったとか、以前は実家で暮らしていたが、今はあなたとお子さんの二人暮らしに変わっているといったようなケースです。

 逆に、以前の家庭訪問時と現在とで家庭環境に全く変化がないという場合には、心情調査は実施しない方向に傾きやすいと一応言うことができます。ただ、この場合でも、お子さんの成長によって生活の様子は変化することが多いと思いますので、以前の家庭訪問からかなり年数が経っているような場合には、住居が変化していなくても、心情調査を実施することも多いと思います。

 

 

8.【ポイント④】モラハラ元夫側から投げかけられている疑義の内容


 モラハラ元夫側から投げかけられている疑義の内容は、裁判官も心情調査を行うべきかの重要な検討要素になると思います。

 特に共同親権に変更される場合には、モラハラ元夫がお子さんの今後の①住居、②進路に影響する進学、③重大な医療行為に関わっていくことになりますので、これらの①から③について、お子さん自身が元夫の関わりを強く希望しているような事情がある場合には、裁判官も、お子さんの希望を確認する必要があるとの判断に傾きやすくなります。

 そして、これらの事情は、元夫側が親子交流中に「子どもの希望を聞いた」といった形で手続きに反映されることが多いと思います。

 その意味で、モラハラ元夫の疑義内容が、心情調査の実施要否に影響してくるのです。

 

 

9.子の心情調査って何だ?


 子の心情調査とは、お子様の意向を家庭裁判所調査官が直接顔を合わせて確認する手続きのことを言います。
 「心情調査」と堅苦しい言い方をしますと、何かの脳波検査等をするのかとか、うそ発見器をつけられて話をするのか、とか色々と心配になってしまうかもしれませんが、要するに、お子様と調査官が面接をして、その内容を調査官が聞き取る・書き取るという手続きになります。

 私もこのような事件の担当をしておりますと、ご依頼者の方からいろいろとご質問を受けるものですから、その中から特によく質問を受ける内容等について、解説していきます。

 

(1)何歳くらいから心情調査を行うのか?
 実務の様子を見ておりますと、手続きが調停中と裁判中とでは、心情調査を行う年齢に開きがある印象です。
 東京家庭裁判所の調停事件での運用を見ておりますと、就学年齢(既に小学校に通っている年齢)に達した後ですと、一般的に心情調査を行っていると思います。
 これに対して、東京家庭裁判所の訴訟事件での運用を見ておりますと、8歳以上に達した後ですと心情調査を実施することが多くなっているという印象です。
 なお、お子様が15歳以上の場合には、必ず、そのお子様の意思を確認することが法律上義務付けられています。

 

(2)どのように行うのか?
 一般的には、お母様とお子様とで裁判所に来てもらい、家庭裁判所調査官とお子様の二人だけで話をして確認するケースが多いです(つまり、お母様はその場に立ち会えず、お母様だけ裁判所の待合室等で待っているという形をとる)。なお、お子様の様子の確認等の目的で調査官補が一緒に立ち会うこともあります。
 お子様がお二人、三人というケースでも、心情調査は、個別面接で行うことが多く、兄弟姉妹全員が一緒に調査官と面談するということは基本的にしません。

 

(3)どんなことを聞かれるのか?
 一般的には現在の生活状況のこと、離婚の経緯とそのことについてのお子様の認識、別居前の生活状況、今後のこと等を尋ねられることが多いです。
 調査官はご夫婦のお互いの言い分を踏まえたうえで、お子様に確認したい事項をその場で全て確認することになりますので、所要時間は1時間程度になることが多いです(但し、心情調査の直前に交流場面調査を行っている場合や別居経緯等について夫婦の意見対立が少ないなどの事情がある場合には、30分程度ということもあります。一般的にはお子様の年齢が幼いほど調査時間を短めにしようと努める調査官が多い印象です)。

 

(4)学校を休まなくてはいけないのか?
 一般的には、①長期休暇(夏休みとか)が近い時期に心情調査を実施する場合には、長期休暇中に心情調査するという形が多いですし、②夕方の時間に心情調査を行うという形にして、極力通学に影響しない形で日程調整することが多いです。なお、裁判所は土日祝日は開いていませんので、平日での日程調整ということになります。

 

(5)事前にレクチャーしておいたほうが良いのか
 たまに、どのようなことを聞かれるのかを事細かに想定して、「こう聞かれたらこう答えて」というようにきめ細かく準備しようという方もいらっしゃいます。
 ただ、このようにきめ細かい準備をすると、お子様は調査官に対して「事前に決まっていること、覚えていることを話そう」と必死に考えてしまいますので、そのことを調査官に見破られてしまうことの方が多いです。
 心情調査は、お子様の面接試験ではありませんので、①今お父さんがあなたの進学や医療等大事なお話に関わっていきたいということで裁判所の手続きになっている、②そのことで調査官という人があなたの気持ちを聞きたいと言っているので、思っていることを話してね、という程度の伝え方のほうが良いと思います。

 

(6)家庭訪問の時に一緒にやるのか?
 一般的には家庭訪問とは別日に、裁判所の一室で実施するケースの方が多いです。
 お子様もいきなり初対面の家庭裁判所調査官に対して、率直な意見を述べることは難しいと思いますので、家庭訪問の時に、いわゆる「顔合わせ」をし、その後に「別日」で改めて詳しい事情を確認するという形を取るということです。

 

 

10.まとめ


・心情調査の必要性の有無は、以下の点が重要な考慮ポイントになると思われます。

 ①あなたの単独親権に決める際に家庭裁判所調査官の心情調査が実施されたか

 ②その後の年月の長さ・お子さんの成長具合

 ③以前の家庭訪問から現在の生活環境の変化の有無・程度

 ④モラハラ元夫側から投げかけられている疑義の内容

・お子様が就学年齢に達していると、通常心情調査が実施される。
・心情調査は、お子様の面接試験というのとは性格が異なる。
・心情調査は、裁判所内の一室で調査官とお子様の二人が面接して行う形がオーソドックスである。
・心情調査の所要時間は1時間程度のことが多い。
・心情調査の日程は学校の予定等にも極力配慮してくれる。
・心情調査はお子様の面接試験ではないので、細かいレクチャーはしない方が良い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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