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【改正民法施行!!今後モラハラ元夫は何をしてくるか!?】元夫が突然共同親権への親権者変更を申し立ててきた(7)―かなり昔の虐待は影響しないのか?

2026.09.28更新

※離婚後共同親権は改正民法で初めて明記された制度ですので、現時点で実務の対応が定着しているわけではありません。本記事は弁護士秦の私見に基づく解説ですので、そのような前提でお読み下さい※

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

2.離婚後共同親権って何なんだ?


(1)「離婚後共同親権」の法律的な意味合い

仮に、離婚後共同親権を選択したとしても、①夫婦が一緒に住まないといけないというわけではありませんし、②お子さんに半々で関わる制度というわけでもありません。

 そもそも、離婚する際には、ご夫婦は別々に暮らすことを前提に、お子さんが夫婦のどちらと一緒に住むのかを決めると思います。そして、その様に決めると、お子さんの日常的なことは一緒に住んでいる親が決めるということになると思いますので、「共同親権」というのは、以下のような「お子さんにとって大事な事項を夫婦一緒に決める」という意味合いになります。

  • お子さんの転居(引っ越し先の決定)
  • 進路に影響する進学先の決定
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設等)
  • 15歳未満のお子さんの氏の変更
  • 15歳未満のお子さんの養子縁組の代諾

 

(2)緊急時は別扱い

 前述のように、お子さんにとって重要な事項は、共同親権の場合には、夫婦で話し合って決める必要があるのですが、緊急の場合には、別扱いになります。

 例えば、DVや虐待から避難する場合には、あなたの一存で避難及び避難先をどこにするかということを決めて良いということになります。また、お子さんが大きな怪我をしてすぐに医療処置が必要な場合にも、あなたの方で医療処置を受けさせて構いません。

 

 

3.今回の事案設定


今回は、以下のような事案を前提に解説していきます。

  • 離婚そのものは暫く前に成立している
  • 離婚のときの親権者については、妻であるあなたに指定されている
  • その後もあなたがお子さんを育てている
  • 元夫が突如、共同親権への親権者変更の手続きを取ってきた

 

 

4.そもそも「児童虐待」って何だ?


児童虐待については児童虐待防止法で大きく以下の5つを定義しています。
 ①お子様への直接暴力
 ②お子様への性的虐待
 ③ネグレクト
 ④お子様への著しい暴言等
 ⑤面前DV

 親権の判断にあたっても、これらの5つが判断要素になりますが、特に上記の①の直接暴力と②の性的虐待が、重要性が高いです。

 

 

5.かなり昔の虐待は考慮されないのか?


 かなり昔の虐待ということは、通常は同居中の虐待だと思いますが、①判決で離婚した場合と②判決以外で離婚した場合とで検討要素が異なりますので、分けて解説します。

 なお、「①判決で離婚した場合」というのは、離婚裁判になり、判決の結論が出ているケースを意味します(要するに、離婚裁判になったけれども、判決ではなく和解で離婚した場合などは除外します)。

 これに対して「②判決以外で離婚した場合」というのは、前述のように離婚裁判になったけれども、和解で離婚したケースや、それ以外でも協議離婚や調停離婚した場合を指します。

 

 

6.【場合分け①】判決で離婚した場合


(1)以前の離婚判決でどのように認定されたか?

 判決で離婚した場合、モラハラ元夫の児童虐待について、裁判所がどのように事実認定したのかが重要なポイントになります。

 あなたが離婚裁判で児童虐待を主張したにもかかわらず、残念ながら、判決で児童虐待が認められなかったという場合には、改めて同居中の児童虐待を主張することは難しくなってくると思います(この場合には、別居後にモラハラ元夫から問題行動がなかったかという点に重点を置いて検討すべきことになります)。

 他方で、以前の離婚判決で児童虐待が認められた場合には、今後共同親権を争うにあたって非常に強い武器になります。

 

(2)以前の離婚判決で児童虐待が認められている場合、確実に共同親権を避けられるか?

 以前の離婚判決で児童虐待が認められた場合、そのことは共同親権を争っていくにあたって非常に強い武器になります。

 しかし、別居してから数年経過し、お子様とモラハラ元夫との関係が良好になっているような場合、直ちに必要的単独親権事由(必ず単独親権にしなければならない事情)があるとはされないと思います。このように一度判決が下っても、その後のお子様と元夫との関係性の変化の有無・程度が重要なポイントになります。

 

 

7.【場合分け②】判決以外で離婚した場合


 判決以外で離婚した場合、過去の児童虐待について、判決といった明確な児童虐待の証拠が残っていないということを意味します。

 そのような前提で、重要なポイントを整理すると以下のようになります。

 ①過去の児童虐待についてしっかりとした証拠があるかどうか

 ②証拠によって証明できる児童虐待の内容・悪質性等

 ③当該虐待がお子さんの心身に与えた影響の度合い

 ④当該虐待に対するお子さん自身の受け止め方

 ⑤「単独親権決定から」現在までの年月の長さ

 ⑥単独親権決定以降の父子交流の内容

 ⑦単独親権決定以降の父子関係

以下詳しく解説していきます。

(1)【ポイント①】過去の児童虐待についてしっかりとした証拠があるか

 過去に児童虐待があったとしても、あなたの方としては、もう離婚が決着したということで過去の証拠を廃棄してしまっているという場合があるかもしれません。

 また、あまり年数が経過していると、今から警察への相談記録等を入手することは難しいことが多いです。

 このように、かなり古い虐待の話になると、「もうほとんど証拠が残っていない」という場合も多いと思いますが、虐待の証拠の有無は非常に重要なポイントになりますので、できる限り証拠はしっかりと探すように努力して下さい。

 くまなく証拠を探しても、ほとんど見つからないという場合には、虐待の証明が難しいという前提で、共同親権を阻止する作戦を練る必要があります。

 以下では、一定の児童虐待の証拠が残っていたという場合を想定して、解説していきます。

 

(2)【ポイント②】(証拠によって証明できる)児童虐待の内容・悪質性等

 次のポイントは、証拠によって証明した児童虐待の内容と悪質性になります。

 前述の通り、児童虐待とは、①お子様への直接暴力、②お子様への性的虐待、③ネグレクト、 ④お子様への著しい暴言等、⑤面前DVを意味しますが、中でも①と②は、一般的に、重大な児童虐待とされやすいです。

 そして、その虐待の頻度やしつこさ、攻撃性の強さなどから、より悪質なものかどうかが区分けされることになります。

 

(3)【ポイント③】当該虐待がお子さんの心身に与えた影響の度合い

 同居時の虐待がお子さんの心身に与えた悪影響の度合いも重要なポイントになります。当然ながら虐待によってお子さんがトラウマを抱えており、今もそれに苦しんでいるというような場合には、必要的単独親権事由があるものとして、共同親権にはならないものと思われます。

 逆に、お子さんが虐待を受けていた当時幼くて、当時の記憶がほとんど残っていないとか、または、かなりの年数を経て今はほとんど記憶に残っていないという場合には、必ずしも必要的単独親権事由があるとはされないケースもあり得ると思います。

 

(4)【ポイント④】当該虐待に対するお子さん自身の受け止め方

 当該虐待に対するお子さん自身の受け止め方も重要なポイントになります。なお、ここでの「受け止め方」は虐待を受けていた当時の受け止め方と、今の受け止め方両方を検討すべき場合もありますが、より重要なのは「今の受け止め方」の方になります。

 モラハラ元夫が親権者としてかかわることがお子さんの福祉にかなうかどうかは、今のお子さんにとって有益なのかどうかという視点で検討すべきでしょうし、今の、成長したお子様なりの受け止め方が、より重要なポイントになるからです。

 

(5)【ポイント⑤】「単独親権決定から」現在までの年月の長さ

 離婚調停や離婚協議等単独親権だと決まってから現在までの年月の長さは、今後の調査の進め方等に影響する重要なポイントになります。

 一度単独親権と決まって1年以内とか早い段階での親権者変更の申立ての場合、お子さんの成長や考え方が大きく変わることはないと思いますので、本格的な調査等は行わないケースの方が多いかと思います。

 逆に単独親権と決まって5年以上が経過しているような場合には、当時よりお子さんは成長しておりますし、考え方もしっかりとしてきているでしょうから、本格的な調査を行うケースも多くなってくると思います。

 

(6)【ポイント⑥】単独親権決定以降の父子交流の内容

 単独親権決定後の父子関係は、基本的に親子交流でどのように接点を持ってきたのかで形成されていくことになりますので、この点も重要なポイントになります。

 当然ながら、お子さんの心情から、まだ直接交流に踏み出せていないような場合には、親権者変更にあたって元夫側に不利になります。

 

(7)【ポイント⑦】単独親権決定以降の父子関係

 単独親権決定以降の父子関係も親権者変更の判断にあたって重要なポイントになります。

 結局、親権者変更を認めるかどうかは、変更することがお子さんの福祉・利益にかなうかどうかという観点で判断されることになりますので、これまでに形成されてきた父子関係がどのようなものなのかが重要なポイントになるのです。

 

 

8.まとめ


・かなり昔の虐待が重視されるかどうかは、①判決で離婚した場合と②判決以外で離婚した場合の2通りに分けて検討する必要がある。

・判決で離婚した場合、その判決文に過去の虐待のことがどのように書かれているのかが非常に重要なポイントになる。

・判決以外で離婚した場合、以下の要素が重要な考慮要素になる。

 ①過去の児童虐待についてしっかりとした証拠があるかどうか

 ②証拠によって証明できる児童虐待の内容・悪質性等

 ③当該虐待がお子さんの心身に与えた影響の度合い

 ④当該虐待に対するお子さん自身の受け止め方

 ⑤「単独親権決定から」現在までの年月の長さ

 ⑥単独親権決定以降の父子交流の内容

 ⑦単独親権決定以降の父子関係

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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