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【こんな小さい子がいるから絶対に離婚できない(31)】夫からの離婚調停(6)-改善策の組み立て方

2025.10.20更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

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【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.夫婦円満を希望している場合には、改善策は早めに示した方が良い


 既に調停書類があなたの手元に届いていると言うことですので、もう既に相当期間が経過してしまっているケースが多いと思います。

 その意味では、改善案は早めに示した方が良いです。

 早めに対応しませんと、相手方の気持ちは一層離れていく危険性があるからです。

 

 

2.大きな枠組みとしては当面別居前提の方が良い


 あなたとしては一刻も早く自宅に戻ってきて欲しいと思うかもしれませんが、そのような気持ちを正面からぶつけすぎてしまいますと、相手から見て「覚悟を持って別居をしたのに理解していない」とか「軽く見ている」と感じてしまうリスクがあります。

 そのため、改善案を示すにあたっても、まずは、当面別居でも致し方ないという姿勢で考えた方が良いです。

 

 

3.改善策の大きな視点は「感謝」と「反省」


 改善策を作成するに当たって私がよくアドバイスさせていただくのは「感謝」と「反省」というキーワードです。

 感謝というのは、同居中先方がいることで感謝すべきこと、感謝の気持ちを素直に伝えてこなかったこと等を記載することになります。他方、反省については、特に相手の方で離婚を思い立った事情に関しての反省を主に記載していくことになります。

 

 

4.「感謝」を視点にした改善策


 以下は一つの例ですので、実際に改善策を示すに当たっては、ご自身の同居中の生活での出来事をしっかりと振り返った上で検討していただいた方が良いです。

 

 例えば、普段の夫側の仕事や経済面での感謝を視点にした場合、以下のような改善策が考えられます。

①夫の収入に甘え過ぎていたというような場合には、あなたの方でもパートで働くなどして経済的負担をしていくといったことを記載したりします。

②また、夫の仕事が忙し過ぎて過労気味だというような場合には、転職や部署移動などについても、相談に乗ることなどを記載したりします。

③合わせて、夫の収入に甘え過ぎて、普段の生活費支出が増えているようであれば、今後は節約に努めるといったことを記載したりします。

④夫側が子煩悩で、育児面で助けてもらうことが多かったという場合には、夫側が1人でいられる時間を意識的に作るよう努力すると言ったことを記載したりします。

⑤夫婦共働きで、どちらかというと夫の方が綺麗好きのため、掃除面を含め家事を夫に頼ることが多かったという場合には、家事の分担方法を見直すと言ったことを記載したりします。

 

 

5.反省を視点にした改善策 


(1)推測しつつ改善策を提案する

 前述したとおり、改善策は出来る限り早めに提示した方が良いため、相手側から離婚理由等を尋ねる前に提示した方が良いと言うことになります。

そのため、相手が期待する改善策とずれる可能性はあるのですが、相手が考える離婚理由をある程度推測しながら、改善策を提示していくことになります。

 なお、このような推測に当たっては夫婦喧嘩の際に言われたこと、対立することが多かった点等を思い出しつつ、時には夫婦のLINEのやり取り等を振り返りつつ推測していくことになります。

 

 一例としては以下のようなものが考えられます。

①飲酒して夫婦喧嘩になることが多かったというような場合には、禁酒・節酒する。

②つい言い過ぎてしまうことが多いというような場合には、今後暴言を言わないこと、その旨の誓約書を作成する。

③業務が忙しく、仕事のイライラを家庭に持ち込んでいたという場合には、部署移動して業務負担を軽くする。

④小遣いが少ないとか家計の支出に疑義があるといった場合には、家計管理を相手に委ねる。

⑤育児に力を入れ過ぎていて相手のことを疎かにしていたというような場合には、家族で出かける機会を増やす。

 

(2)思い切ってクリニックに受診することも考えて良い

 このような反省を視点にした改善策としては、これまでに相手から心療内科に受診して欲しいと行った要望が出ていた場合には、クリニックに受診してしまうというのが端的な改善策と言えます。クリニックを受診して、明確な精神疾患等ではないとのお墨付きを得られるようであれば、こちらにとっても有利な材料にもなります。

 

 なお補足しますと、クリニック受診については以下のような言い分を相手がおっしゃっていることがあります。

①同居中DVやモラハラ発言等があったので、DV加害者プログラムを受講して欲しい

②感情の起伏が激しいので、アンガーマネジメントのプログラムを受講して欲しい

③性欲が旺盛であったりセクハラ発言が多かったので、セックス依存症等のおそれがあるので、受診して欲しい

④飲酒すると豹変するのでアルコール依存症の治療を受けて欲しい

 もちろん、クリニックに受診するから、相手の言い分を鵜呑みにするというのとは異なります。相手の言い分を真摯に受けとめつつ、医学的に客観的な診断を受け、ある意味「無実を証明する」ために受診するという視点で臨んだ方が良いと思います。

 

 また、何らかの加害者プログラムにすぐに受講するというのではなく、まずは、アンガーマネジメントのカウンセリングから受け始めるということでも良いと思います。

 まずは、行動を開始するということが重要だと思います。

 

(3)クリニックに行くと不利にならないか?

 クリニックに行くという話をしますと、「自分の非を認めることになって不利になりませんか?」という質問を受けることが多いです。

 ただ、例えば、一度や二度手を挙げてしまったことを認める前提であったり、多少声を荒げてしまったことを認める前提であれば、クリニックに行くこと自体が不利になる可能性は低いと思います。

 なお、夫のキャラクターとして、こちらがクリニックに行ったことについて執拗に揚げ足取りしてくるような方のような場合には慎重な対応をした方が良いこともあります。

 

 

 6.どんな形で伝えるか


 あなた自身の気持ちを伝える方法としては、直筆の手紙をしたためて渡すという方法が一番効果的だと思います(現実的には、お互いに弁護士を立てているという場合には弁護士経由で渡すという形になります)。

 ただ、残念なことに、相手側が手紙を受け取らない、手紙を受け取っても、弁護士預かりのままになるというケースもあります。

 そのような場合には、離婚調停の答弁書に概要を示すなどの方法も試していくことになります。

 

 

7.あまり長文にし過ぎないこと


 手紙の方法で渡すとなると、あなたの思いが溢れてきて、ついつい長文になってしまうことがあります。

 ただ、あまり長文にしますと、あなた自身の気持ちを押しつけてしまう危険性がありますので、あまり長文にすることは望ましくありません。

 そのため、どんなに長くても手紙の分量としては、2,3枚程度にとどめるのがベターだと思います。

 

 

8.まとめ


・改善策はできるだけ早めに提示する方が良い。

・基本的な視点は当面別居前提の方が良い。

・改善策は「感謝」と「反省」を視点にすると良い。

・改善策は手紙にしたためて示すことが多い。

・手紙は長文にし過ぎないこと

 

 

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