【モラハラ・DV妻との別居準備(1)】そもそも、別居という選択をすべきか
2022.07.18更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
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1.「別居」と言っても大まかに二通りの「別居」がある
「別居」と一口に言いましても、大まかには、以下の二通りがあります。
①離婚を決意して、もう自宅には戻らないという意味での別居
②まだ離婚を決意しきれておらず、冷却期間としての別居
以下では、この二通りについて、それぞれ詳しく解説していきます。
2.離婚前提での別居
私のところにご相談に来られる方は、既に離婚の決意を固めてご相談に来られる方がかなり多いですが、まだ悩んでいるという方も相当数います。
そして、「秦弁護士はモラハラに詳しいと聞いていますので、私が離婚したほうが良いか教えて下さい」とか「このような状況だと離婚したほうが良いと思いますよね?」と質問を受けることも多いです。
ただ、離婚するかどうかはあなた自身の人生に関わるお話ですので、私が決めることはできません。
そうはいっても、モラハラ・DV妻と離婚したほうが良いのかどうかは、大きく以下のような検討事項がありますので、参考になさって下さい。
3.モラハラの重症度?
離婚するかどうかはあなた自身が決める事であって、私で決められる話ではないとお話しますと、「皆さんどうなさっているんですか?」とか「私のケースって皆さんのケースと比べてどうなんでしょうかね?」といった再質問を受けることも多いです。
そのため、私のご相談に来られた方には、おおよそのモラハラ被害の重症度をお話することもあります。ただ、初回の無料相談ですと、時間が限られているというところもありますし、正確な数値化が難しいというところもありますので、「100点満点の中での○○点です」といった点数化まではしていません。
要するに、深刻なものだと感じたときには、私の方からも、「それなりに深刻なものだと感じます」とお伝えしますし、逆に、そこまで重くはないと感じたときには「残念ですが、当事務所にいらっしゃる方はもっと重い方の方が多い印象です」といったご回答をすることもあります。
あくまで重症度の目安をお伝えするというイメージになります。
4.「重症イコール離婚」、「重症ではないイコール離婚しない」というわけではない!
(1)必ずしも相関関係にはないこと
ここまで説明をしますと、皆さん、「私の場合重症なのかしら?」ということを気になさると思います。そして、「重症だと言われたら別れなくっちゃ」と考える方も多いと思います。
ただ、そこまで単純に割り切れる話ではありません。
弁護士の目から見ても重症と思われるケースですと、率直に言って同居生活を続けていくことはオススメできませんので、私の場合、目の前の相談者の方には「重症と思われますので、同居を続けることはオススメしません」と率直にお伝えすることが多いです。
しかし、それでも離婚まではしたくないという方も相当数いらっしゃるのも事実です。大きな要因としては以下のようなものがあると思います。
①その人の感じ方の問題
②お子様のことを考えての結論
③今後の生活の問題
以下、それぞれについて詳しくご説明します。
(2)その人の感じ方の問題
より分かりやすく言いますと、許容性とか寛容性といったお話になります。
どんなに言われようと受け流すことができたり、逆に、必要な範囲で言い返すことができるので、離婚という最終決断まではしなくてもやっていけるといったことです。
このことは逆も然りでして、重症とまでは言えないケースでも、そのことで、気に病んでしまっているとか、心身に不調が生じているというような場合には、今後の同居継続は見直した方が良いかもしれません。
なお、「自分としてはまだ我慢できる」と感じていても、実際には、モラハラ・DV妻との同居環境の中にいることで正確に判断ができていないというケースもありますので、悩んだ時には家庭内の実情をご両親等に相談して、客観的な意見を聞いてみても良いかもしれません。
(3)お子様のことを考える
お子様のことを考える場合、大きく二つの視点が必要になります。一つ目が、妻側が親権者になってしまい、こちらのお子様へのかかわりが薄くなってしまうという懸念、もう一つが、別居後、妻からの暴言や暴力がお子様に向かってしまわないかの危惧です。
まず一つ目の点ですが、残念ながら、現在の日本の法律ですと、男性側が親権を獲得することは難しいケースが多いです。離婚後、妻が親権者になると、あなたが今後のお子様の養育に意見を言おうとしても、これに従わないというケースが非常に強く懸念されます。
そして、これも非常に残念なことですが、モラハラ・DV妻は、こちらが別居すると、「もう一生子供には会わせない」といったことを口にすることもあります。そのため、面会交流のスタートまでに時間がかかってしまうというケースも相当数あります。
次に、別居後の妻の攻撃が子供に向かうという点ですが、そのことを理由としてこちらが親権を獲得できれば一番良いのですが、現時点で妻側の攻撃がお子様に向いていないという場合、それだけを理由に親権を獲得することは難しいです。そうすると、残念ながら、妻側が親権を獲得する可能性が高いという前提で別居しなくてはならないので、その後にモラハラ・DV妻の攻撃が子供に向いて行く危険性を考慮する必要があります(そのような危険性を考慮して、一旦は別居を取りやめるという方もいらっしゃいます)
これらの点を踏まえて、じっくりとモラハラ・DV妻と離婚すべきか、離婚を目指して別居すべきかを検討してみて下さい。
5.離婚を前提としない別居
前述のような要素を考慮して、あなた自身モラハラ・DV妻と決別すると固く決意できれば良いですが、決めきれないということもあると思います。
そのような場合には、無理に離婚を急ぐ必要もないと思いますので、一旦別居という選択をする人もいます。
離婚するか決めきれていないけれども別居するという選択には以下のような意義等があります。
①あなた自身の体調が悪く、一旦離れて体調を回復したい。
②モラハラ・DV妻のひどい行動・言動があったので、反省させるために一旦別居する。
③夫婦喧嘩が絶えず、自宅にいると冷静に考えをまとめられないので、冷静に考えるために別居する。
④自宅という場所から一旦抜け出して、これまでの生活を客観的に見つめ直すために別居する。
⑤モラハラ・DV妻の本当の気持ちを確かめるために別居する。(例えば、夫婦喧嘩の時などに、モラハラ・DV妻は「もう離婚だ」ということを口にするが、それが真意なのかを確かめるために一旦別居するといったケースです)
なお、夫婦としての再生の道を諦めていないのでしたら、別居ではなく、モラハラ・DV妻の両親その他の親族等にも間に入ってもらって話し合いをするとか、夫婦カウンセリングを受けるという選択をする方もいますので、そちらも検討してみて下さい。
6.まとめ
・「別居」には、大まかに離婚前提の別居と、離婚するか悩みながらの別居の二通りがある。
・「重症イコール離婚」、「重症ではないイコール離婚しない」という相関関係では必ずしもない。
・離婚前提の別居に踏み切るかは、①妻のモラハラが許容限度内なのか、②お子様のこと等を考慮に入れて検討する必要がある。
・離婚するか悩んでいる時点で、一旦別居するという選択もある。
・ただ、離婚するか悩んでいる場合、「別居」ではなく、親族等に間に入ってもらって話し合いをしたり、夫婦カウンセリングを受けるといった手段もある。
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