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【改正民法施行!!今後モラハラ元夫は何をしてくるか!?】元夫が突然共同親権への親権者変更を申し立ててきた(10)―子供が不登校になっていることはどの程度不利になるか?

2026.10.26更新

※離婚後共同親権は改正民法で初めて明記された制度ですので、現時点で実務の対応が定着しているわけではありません。本記事は弁護士秦の私見に基づく解説ですので、そのような前提でお読み下さい※

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

2.離婚後共同親権って何なんだ?


(1)「離婚後共同親権」の法律的な意味合い

仮に、離婚後共同親権を選択したとしても、①夫婦が一緒に住まないといけないというわけではありませんし、②お子さんに半々で関わる制度というわけでもありません。

 そもそも、離婚する際には、ご夫婦は別々に暮らすことを前提に、お子さんが夫婦のどちらと一緒に住むのかを決めると思います。そして、その様に決めると、お子さんの日常的なことは一緒に住んでいる親が決めるということになると思いますので、「共同親権」というのは、以下のような「お子さんにとって大事な事項を夫婦一緒に決める」という意味合いになります。

  • お子さんの転居(引っ越し先の決定)
  • 進路に影響する進学先の決定
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設等)
  • 15歳未満のお子さんの氏の変更
  • 15歳未満のお子さんの養子縁組の代諾

 

(2)緊急時は別扱い

 前述のように、お子さんにとって重要な事項は、共同親権の場合には、夫婦で話し合って決める必要があるのですが、緊急の場合には、別扱いになります。

 例えば、DVや虐待から避難する場合には、あなたの一存で避難及び避難先をどこにするかということを決めて良いということになります。また、お子さんが大きな怪我をしてすぐに医療処置が必要な場合にも、あなたの方で医療処置を受けさせて構いません。

 

 

3.今回の事案設定


今回は、以下のような事案を前提に解説していきます。

  • 離婚そのものは暫く前に成立している
  • 離婚のときの親権者については、妻であるあなたに指定されている
  • その後もあなたがお子さんを育てている
  • 元夫が突如、共同親権への親権者変更の手続きを取ってきた

 

今回のような不登校の問題は、①離婚前から不登校だった場合と②離婚後に不登校になった場合とで状況が異なりますので、場合分けして解説します。

 

 

4.【ケース①】お子様が離婚前から不登校だった場合


 お子様が離婚前から不登校だった場合、その責任があなたの方だけにあるというケースはごく少数だと思います。
 元夫が頻繁にモラハラ発言に及ぶような場合、あなたに対して「専業主婦なんだから、子供を学校に行かせられないなんてありえない」とか「学校に行けないなんて子供を不幸にしている」とか色々と言ってくるかもしれませんが、逆に、夫側は奥様に育児を任せっきりにしていたので、このような事態になっているので、奥様だけの責任とは言えないと思います。

 ただ、離婚前、特に同居中から不登校だった場合でも、離婚後徐々に学校に行けるようになった方が、お子様のためになることは間違いありません。
 そうはいっても、お子様が学校に行くという状況を無理に作り出すことは、かえってお子様の負担を増やすことにもなりかねませんので、スクールカウンセラーやお近くの子供家庭支援センター、療育施設や小児心療内科等にもご相談されながら、お子様にとって最も良い方法を模索していくことが重要かと思われます。

 

 

5.【ケース②】お子様が離婚前は不登校ではなかった場合


(1)どのように対策すべきか
 お子様が離婚前は不登校ではなかったのに、離婚後に不登校になったような場合、特に元夫側からは、奥様の育児についての批判を強めていくと思いますし、共同親権になるかどうかの検討にあたっても、それなりに重要なポイントになりますので、不登校になった原因をしっかりと究明していくことが大切になります。
 特に、元夫との同居中は、家族全員が元夫に従わざるを得ず皆が窮屈な生活を送っていたというような場合、同居中は、学校に行かないと元夫から何を言われるか分からないという強迫観念から登校していたが、いざ別居・離婚すると、そのような強迫観念から解放されたが、他方で、力が抜けてしまって登校できなくなってしまうとか、同居中の心理的ストレスの影響が別居後に大きく表れるというケースもあります。

 

 同居中は登校していたのに、別居・離婚後不登校になったというような場合には、同居中の心理的ストレスが非常に大きかったというケースも多いので、スクールカウンセラーやお近くの子供家庭支援センター、療育施設や小児心療内科等にもご相談されながら、丁寧に不登校の原因を究明していく必要があります。
 このような原因究明の結果、お子様の不登校の原因が同居中の元夫からの言動に起因するような場合、あなたの責任ではありませんので、不登校そのものが親権者変更にあたりあなたに不利になることはあまりないかと思います。

 

(2)具体的にはどのような例がある?
 同居しているときは、学校に登校できていたのに、別居してから学校に登校できなくなってしまったケースとして、私自身が担当したケースとしては以下のようなものがあります(もちろん、実際にはもっと様々なケースがあると思いますが、私自身が担当した事件としての事例を参考例として紹介すると以下のようなものがあるという意味です)。

①元夫側が非常に厳格な人間で、同居中は元夫の目もあって不登校など許されるような雰囲気がなかったが、別居すると緊張の糸が切れたように登校できなくなってしまった。

②元夫は妻に対して事あるごとに暴言を吐いており、妻が家庭内で一番立場が下であった。別居後も、そのような立場関係が引き継がれてしまい、子供が妻の言うことを全く聞かなくなってしまって登校も拒否するようになった。

③元々学校のカリキュラムが厳しく、お子様に合っていなかったが、別居後にその問題が一層顕在化して、不登校になった。

④別居後も新型コロナウイルス感染予防の観点から学校のオンライン授業期間が長く、自宅での生活が乱れてしまったせいで、いざ通常授業が始まっても登校できなくなってしまった

 

 

6.大事な視点は、どのような社会資源に協力を求め、どのように対応しているか


 不登校が離婚前から続いていようと、離婚後から発生しようと、現状お子さんが不登校等状況は同じです。

 そのような場合、特に裁判所が重要視するのは、スクールカウンセラーや子供家庭支援センター、療育施設や小児心療内科等どのような社会的資源を活用し、どのように努力しているのか、という点です。

 親権者変更手続きが始まった、と聞くと「無理にでも登校させないといけないのですか?」というご質問を受けることもありますが、そのことがお子さんにとって心理的負担になってしまうのでしたら、本末転倒です。

 そのため、上記のような社会的資源をうまく活用して、無理のない範囲で改善の努力を積み重ねていくということの方が重要性が高いです。

 

 

7.現状不登校だと、進学に関して元夫側の介入が強くなってしまうのか?


 前述のように、不登校という現状の状況よりも、そのことと向き合って、どのように改善努力をしているのかという点の方が重要になります。

 相手がモラハラ元夫ですので、不登校という現状に対して強い不満を述べてくることが多いでしょうが、改善の努力を積み重ねていれば、不登校というだけの理由で安易に共同親権に変更されることにはならないかと思います。

 

 

8.まとめ


・お子様の不登校の問題については、離婚前から不登校だったかどうかが一つの大きなポイントである。
・同居中から不登校だった場合、別居後も不登校が続いても、そのことだけで親権者として不適格ということにはならない。
・同居中は登校していたのに、別居・離婚後不登校になった場合には、不登校になった原因の究明が非常に重要になる。

・裁判所の考え方としては、あなたがどのような社会的資源を利用して改善努力をしているのかという点である。

・そのような改善努力をしていれば、安易に共同親権に変更される可能性は低い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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