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【改正民法施行!!今後モラハラ元夫は何をしてくるか!?】元夫が突然共同親権への親権者変更を申し立ててきた(2)―元夫はどういうつもりでこのような手続きを取ってきたのか?

2026.08.03更新

※離婚後共同親権は改正民法で初めて明記された制度ですので、現時点で実務の対応が定着しているわけではありません。本記事は弁護士秦の私見に基づく解説ですので、そのような前提でお読み下さい※

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

2.離婚後共同親権って何なんだ?


(1)「離婚後共同親権」の法律的な意味合い

仮に、離婚後共同親権を選択したとしても、①夫婦が一緒に住まないといけないというわけではありませんし、②お子さんに半々で関わる制度というわけでもありません。

 そもそも、離婚する際には、ご夫婦は別々に暮らすことを前提に、お子さんが夫婦のどちらと一緒に住むのかを決めると思います。そして、その様に決めると、お子さんの日常的なことは一緒に住んでいる親が決めるということになると思いますので、「共同親権」というのは、以下のような「お子さんにとって大事な事項を夫婦一緒に決める」という意味合いになります。

  • お子さんの転居(引っ越し先の決定)
  • 進路に影響する進学先の決定
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設等)
  • 15歳未満のお子さんの氏の変更
  • 15歳未満のお子さんの養子縁組の代諾

 

(2)緊急時は別扱い

 前述のように、お子さんにとって重要な事項は、共同親権の場合には、夫婦で話し合って決める必要があるのですが、緊急の場合には、別扱いになります。

 例えば、DVや虐待から避難する場合には、あなたの一存で避難及び避難先をどこにするかということを決めて良いということになります。また、お子さんが大きな怪我をしてすぐに医療処置が必要な場合にも、あなたの方で医療処置を受けさせて構いません。

 

 

3.今回の事案設定


今回は、以下のような事案を前提に解説していきます。

  • 離婚そのものは暫く前に成立している
  • 離婚のときの親権者については、妻であるあなたに指定されている
  • その後もあなたがお子さんを育てている
  • 元夫が突如、共同親権への親権者変更の手続きを取ってきた

 

 

4.夫はどういうつもりで親権者変更手続きを起こしてきたのか?


それでは、モラハラ元夫は、どう言うつもりで共同親権への親権者変更手続きを起こしてきたのでしょうか。

 これを紐解く鍵として、私が担当した監護者指定事件でのモラハラ元夫側の考えが参考になりますので、以下で解説いたします。

(1)お子様の今後にしっかりと関わりたいというケース

 前述の通り、離婚後共同親権の中には、お子様の今後の進学や重大な医療行為などが含まれますので、それらのお子様にとって大事な内容について積極的に関わりたいという気持ちで親権者変更手続きを取っているケースもあると思います。

 ただ、相手はモラハラ元夫ですから、単にお子さんに対して熱心であるというだけではなく、①実際にはお子さんを支配したいという気持ちが強かったり、②元夫婦の関係としてあなたのことを下に見ていて「あなただけに任せられない」という気持ちの場合も考えられますので、注意が必要です。

 

(2)こちらの様子の確認を目的とするケース
 特に、こちらがシェルターに避難したり、そうでなくとも、こちらの所在を秘密にしているような場合、モラハラ元夫側としては、こちらの暮らしぶりやお子様が元気にしているのかを確認したくて手続きを取っているというケースもあります。

 どういうことかと申しますと、親権者変更手続きを進めて行く中で、当然ながら現在のお子様の様子が直接の議題になりますので、こちらもお子様達の様子を裁判所に伝えることが必要になります。その内容は一定限度でモラハラ元夫側に伝わりますから、そこでモラハラ元夫は「情報収集」しているということになるのです。

手続が進んでいく中で、裁判所から「子の監護に関する陳述書」という書面の提出を求められたり、あなたの家に家庭訪問するというパターンも多く(家庭訪問するのは、家庭裁判所調査官であって、モラハラ元夫があなたの家を訪問するわけではありません)、モラハラ元夫は、それらを通じて、お子様達の様子を確認できるという側面があります。

 このようなケースですと、こちらの生活ぶりやお子様の様子が分かった段階で、夫側が申立を取り下げて来たりすることもあります。

 

(3)面会交流実施を目的とするケース

今後の面会交流をどうしていくのかという点は、親権者を決めるにあたっての重要な要素の一つになりますので、親権者変更手続きの中でも、面会交流の件が議題に上ることが多いです。

裁判所の基本的な考え方は、たとえ夫婦が別居や離婚になったとしても、父親と子供との関係は今後も続いていくので、お子様が父親からの愛情を受ける機会として極力面会交流を推奨すべきと考えているからです。

 そのようなこともあって、モラハラ元夫側としては「共同親権者になること」が本命ではなく、「お子様との面会交流実現」を本命にしているケースもあるのです(このような場合、共同親権への親権者変更調停事件と一緒に面会交流調停事件が起こされるケースも多いかと思います)。

 

(4)嫌がらせとしか思えないケース
 例えば、こちらの別居先は実家で、特にこちらの所在を元夫側に秘密にしているわけではないとか、そもそも、元夫側がお子様に会いたいと思っていると感じられないというケース(離婚前から元夫がお子様を可愛がっていなかったとか)もあります。
 むしろ、離婚前、元夫にとって気に入らないことがあると、あの手この手を使って嫌がらせをしてきたという場合には、今回の親権者変更手続き自体が嫌がらせ目的ということもあります。

 

(5)そうは言っても、「寂しい」「孤立したくない」というケースもある

上記の通り、主たる4パターンをご紹介しましたが、いざ離婚して元夫が独身生活を送っていると、寂しさを募らせているとか、孤立したくないという方がいるのも事実です。

あなたやお子様がいると家庭内もある程度活気があるのですが、元夫側一人だけの生活だと「味気ない」とか「寂しい」と感じてしまうというところです。 

 

(6)新しい法律ができたから「ひとまず申し立ててみた」というケースも出てくるか?

 前述の通り、改正民法が施行されたのは令和8年4月1日のことですから、まだ離婚後共同親権のことを十分理解しないままの方もいると思います。

 そのため、モラハラ元夫は、ひとまず新しい制度を利用してみたというようなトーンで申立をしてくることも考えられます。

 

 

5.モラハラ元夫がいきなり「審判」の手続きを申し立ててきた場合


 一口に親権者変更手続きと言っても、①親権者変更調停手続きと②親権者変更審判手続きの2種類があります。

 通常は、①親権者変更調停手続きを取ることが多いと思いますが、いきなり②の親権者変更審判手続きを取ることも不可能なことではありません。

 それでは、モラハラ元夫がいきなり②の親権者変更審判手続きを取ってきたのはどのような理由に基づくのでしょうか。

 簡単に、調停と審判の違いをご説明しますと、調停というのはあくまで話し合いの手続きであるのに対し、審判というのは裁判所の結論(命令)を求める手続きになります。

 そのため、いきなり審判を申し立てたというのは、元妻と話合いをしている時間的余裕がないほどにお子さんが危険な状態にあるといった主張が述べられるケースが多いと思います(例えば、お子さんがあなたから虐待を受けているとか、ネグレクトを受けているといった主張が展開されることが多いように思えます)。

 当然ながら、モラハラ元夫の言い分は誇張であったり虚偽であることも多いと思いますので、しっかりと反論していくことが必要になります。

 

 

6.モラハラ元夫はなぜ「単独親権」への変更申立をしなかったのか?


 親権者変更という場合、モラハラ元夫とすれば「私が1人で子供を育てたい」ということで「私が単独親権者になりたい」という申立てをすることも可能です。

 しかし、今回、モラハラ元夫が申し立てたのは「共同親権への親権者変更」の手続です。

 モラハラ元夫の思惑としては、①自分一人でお子さんを育てる自信がないというパターンと、②単独親権への変更だと勝ち目がないと考えているパターンの二つが考えられます。特に、離婚してから数年が経過していますと、数年間元妻が1人でお子さんを育てている中で、モラハラ元夫が単独親権を獲得することは非常に難しいといえます。そのため、②の理由のように負け戦にならないよう、最初から、「共同親権」への変更を申し立てているのです。

 

 

7.モラハラ元夫側の思惑は思惑として、こちらは共同親権を回避するためにしっかりと準備を整えること


 前述のように元夫側の思惑は様々ですが、どんな思惑であろうと、こちらとしては、お子様のためにも共同親権になることは避けなければなりません。
 そのため、こちらとしては、しっかりと準備をして、しっかりと勝って行く必要があります。

 

 

8.まとめ


・元夫側の親権者変更申し立ての思惑
① 心底お子様の重要な事項に関わりたいと考えている
② あなたの生活やお子様の生活の様子確認がしたい
③ 本命は面会交流狙いである
④ ただの嫌がらせ目的である

⑤単純に寂しいということで申し立てている
⑥新しい制度が始まったのでひとまず申し立てたといパターンも考えられる

・夫側の思惑がどうであろうと、こちらはしっかりと準備してしっかりと勝って行く必要がある。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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