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【絶対に離婚したくない(10)】妻に対して生活費は渡した方が良いのか?

2023.07.17更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。
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1.結局どういう話か?


 今回のブログで想定しておりますのは、妻の側から急に離婚を切り出されたり、妻が急に別居を始めてしまった場合、あなたとしては離婚したくないけれども、「そのまますんなり生活費を渡した方が良いのか?」というケースです。
 夫婦関係に亀裂が生じてしまったケースとしては、大きく①妻側が離婚したいケースと、②夫側が離婚したいケースに分かれると思いますが、今回は①の妻側が離婚したいケースで、更に、夫であるあなたは離婚したくないというケースを想定して解説させて頂きます。

 

2.法律上の取り扱いの確認


 民法760条は、婚姻中の生活費の支払義務を明確に定めておりまして、これを婚姻費用分担と言ったりします。
 このように法律上は、明確に収入の多い方(通常は旦那様)に奥様の生活費を負担すべきと言うことが決まっています。

3.婚姻費用を支払わなくて良いという判例があると聞いたが?


 たまに私のところにご相談に来られる方の中には、「婚姻費用を支払わなくて良いと判断した判例があるようなので、私も婚姻費用は支払いたくありません」とおっしゃる方もいます。
 確かに、そのような判例もありますが、奥様が浮気をして家庭を棄てた上で、浮気相手と一緒に生活しているような極めて特殊なケースですので、このような特殊な事情がない限り、婚姻費用の支払義務を免れることはないと考えてもらった方が良いと思います。

4.現実問題払った方が良いのか?


 結論から申しますと支払った方が良いです。

(1)心情的には抵抗がある。
 たまに、私が相談に乗っておりますと「勝手に出て行っておきながら生活費を要求してくるのにはムシが良いと思います」とか「離婚を口にするなら、しっかりと自分の収入だけで暮らしていくだけの覚悟を持つべきだ」などとおっしゃる方もいます。奥様が別居を開始する前に夫婦でしっかりとした話し合いがなされていればまだしも、しっかりとした話し合いがなされていないと、なおのこと支払いに抵抗を持つ方もいます。

(2)現実問題支払った方が良いのか?
 夫婦関係の修復を希望する場合、婚姻費用を出し渋りますと、奥様側の態度をより一層硬化させかねないため、一定額を支払った方が良いと思います。
 このようなお話をしますと「これじゃあ、やられっぱなしだ」などとおっしゃる方もいますが、あなたとしては、夫婦関係修復を目指す以上、基本的には、奥様との対立は避けるべき立場だと思いますので、「目指すゴールのためにはやむを得ないと思いますよ」とお話することが多いです。

5.いくら払うか


(1)算定表が一つの目安
 裁判所の実務では、一般的に算定表が用いられています。
そのため算定表での数字が一つの交渉の目安になるとお考え下さい。
>>算定表はこちら<<

(2)実際の支払額は応相談
 このように算定表の数字が一つの目安であることは事実ですが、実際の金額をいくらにするのかは相手との交渉事になります(算定表で自動的に金額が強制されるわけではなく、最終的にはお互いに合意した金額が正式な金額になるという意味です)。
 前述の通り、婚姻費用を必要以上に出し渋りますと、夫婦関係修復は遠のいてしまいますが、他方で、あなた自身の生活もあるので、安易に高額な婚姻費用を支払うことは難しいことも多いと思います。

 そのため、実際には、相手との交渉を通じて、お互いが納得できる金額を検討していくことになります。
 ただ、このように現状満額の支払いを拒否したとしても、実際婚姻費用分担審判になった際には、満額の支払いを命じられる可能性が高いですし、未払分についての精算を求められることが多いと言うことには注意が必要です(そのため、それだったら、最初から潔く満額を払っておいた方が良い、という考え方もあり得ます)。

(3)(相手側の支出分で)口座引落分は差し引くことが多い
 別居後も、あなたの口座から奥様の携帯電話代や保険料、お子様の給食費や習い事代等が引き続き自動引落になっている場合、それらの金額は、本来奥様の方で婚姻費用の中でやり繰りすべきお金になりますので、当該引落額は差し引くことが多いです。

6.いつの分から支払うか


 相手もしっかりと生活費を要求したい場合には、早期に婚姻費用分担調停を申し立ててきますので、その申立月以降の分を支払うのが一つの目安と言えます。要するに、例えば、別居を開始したのが令和5年1月、婚姻費用分担調停を申し立てたのが令和5年2月、調停の書類がこちらに届いたのが令和5年3月だとすると、調停申立月である令和5年2月分以降の生活費を支払うと言うことになります。
 ただし、調停を申し立てる前に正式な書面等にて明確な数字を明記した上で婚姻費用の支払いを請求しているような場合には、その月の分から支払うべきということが多いです。

7.お子様の学費負担


 お子様の学費については、お子様が公立校に通っている場合には、婚姻費用の中に含まれていますので、別途負担の問題は基本的に発生しません。
 他方、私立校の学費については、通常婚姻費用でカバーされている額を超えていますので、別途負担の問題が生じます。
 一般的には、公立校でかかる学費分を差し引いた額について、お互いの収入額で按分計算することがオーソドックスですが、学費の支払いについては通常の月々の婚姻費用とは別途協議を行うことが多いです。

 なお、同居中から、お子様の私立校への進学に反対していたことが明確に証明できる場合には、学費負担をゼロとすべきケースもあります。
 少し複雑な話になりますので、より詳しく知りたい方は弁護士にご相談されることをオススメします。

8.まとめ


・婚姻費用の支払いは法律上の義務である。
・心情的に納得しにくいケースもあるとは思うが、婚姻費用は支払った方が良い。
・支払額は算定表が目安になる。
・ただ、実際の支払額は、相手との交渉で決めていくことになる
・婚姻費用は調停申立時以降の分を支払うケースが多い。
・学費の負担については別途協議事項である。

 

 

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