離婚問題

面会交流中の無理心中について

2017.09.22更新

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.面会交流中の無理心中のニュース


 

 兵庫県伊丹市で平成29年4月に面会交流中父親が娘とともに無理心中するという非常に痛ましい事件が起きました。報道内容を拝見していますと、ご夫婦は離婚が成立し、離婚後に母親が娘を送り出して父親と面会交流(別居中の親がお子様と一緒に遊んだり、話したり、食事したりすることです)させていた際の事件とのことです。この事件では、父親が普段から暴力をふるう様ないわゆるDV夫ではなかった様で、母親も予測しなかった中での事件とのことで、母親の喪失感も著しい事件だったのではないかと思います。

 

 

2.面会交流の実務は?


 

 それでは、上記の様な痛ましい事件はどのようにして防げばよいのでしょうか。もっとも端的な回答は、「離婚後は子供に会わせない」という回答だと思います。

 

 しかし、現在の家庭裁判所の実務では、面会交流を積極的に推奨していますので、特別な事情がない限り「一切面会させない」ということは難しいのが現状です。私自身も上記の様な事件に接しつつも、お子様の健全な発達という面で考えると、極力面会交流は実施した方がよいと考えております。

 そして、実務的に申しますと、面会交流の頻度は1ヶ月に1回程度とされることが多い様に感じます。

 

 では、面会交流を拒否できる「特別な事情」とはどのようなものがあるのでしょうか。

 一般的には父親がお子様に対して直接暴力をふるい怪我をさせているケースなどがこれにあたります。ただ、面会交流を完全に拒否するとなると、このような暴力の証拠がないと難しいと言えます。たとえばお子様が怪我の治療をした診断書や怪我の箇所を撮影した写真の有無が重要なポイントになります。

 

 

3.児童相談所の活用


 

 上記の様な面会交流拒否が難しいとのお話は、調停や裁判といった裁判所における手続における位置づけです。

 児童虐待における現場で緊急的にお子様のみの安全を確保する必要があるケースでは、児童相談所にご相談されるのが即効性のある対処方法になります。父親からの暴力が激しい場合には、警察と児童相談所の両方に相談するのがよいでしょう。

 

 児童相談所の保護を利用しますと、お子様のみの安全という面では安心感が増すのですが、以下の様なデメリットもありますので注意が必要です。

①父親からの頻繁な暴力など問題が大きい場合、児童養護施設にて保護される形になることが多いため、1年といった長いスパンで施設での生活を強いられるケースもあります。そのため、普段通っている小学校への通学や友人と野接触が難しくなる面を捨て切れません。

②児童養護施設での保護になると、DV被害者である母親も子供と会うのに不便することがあります。

 

このようなデメリットもありますが、お子様の生命身体への緊急の危険がある場合には、児童相談所を活用することを躊躇すべきではありません。

 

 

4.シェルターでの保護


 

 DV旦那からの暴力に耐えかね、離婚・別居の意思を固めたという場合には、お子様とともにシェルターでの保護を受けるという方法もあります。

 このようにすれば、母親とお子様が離ればなれになることも避けられます。

 ただ、DV被害を受けている奥様は、旦那から執拗に責められているため、自分に自信がなくなっている方が非常に多く、旦那に何の断りもなく別居や離婚を決断することが難しいことも多くあります。そのような方は女性センターに相談されたり、身近な身内や親友に相談して、ご自身の客観的な立場を理解するのが第1歩だと思います。

 なお、シェルターで保護されながら離婚したいという場合には、ご本人で旦那と連絡を取ることはできませんし、連絡を取るべきでもありませんので、DV問題に詳しい弁護士を雇うことをおすすめします。

 

 

5.当初から暴力などがないケースにどう向き合うか


 

 これまで説明して参りましたのは、すでに同居中から父親のお子様へのDVがあるケースになります。今回の無理心中のケースの様に兆候がないケースで未然に事件を防止することは容易ではありません。

 ただ、未然防止が簡単ではないとしても、何もしないという選択肢はあり得ません。

 例えば以下の様なことが考えられるのではないかと思います。

 

①面会交流時の受け渡しを母親本人で行う。

 今回の様に離婚が成立した後ですと旦那に顔を合わせることは非常に苦痛を伴うことですが、実際にご本人で受け渡しをすれば、少なくとも面会交流会指示の父親の様子を直接見て確認することはできます。

 さらにこれを推し進めて全面会交流の課程に母親がすべて立ち会うという方法もあります。ただ、離婚が成立した後ですと、母親の精神的負担が大きく、現実的ではないことが多いと思います。

 

②父親に同居人が居る場合、同居人に父親の様子を尋ねる

 例えば、離婚後父親が実家で生活しているという場合、祖父母が同居人ということになりますので、面会交流実施の前に、祖父母から父親の様子におかしな所がないか、思い詰めている様な様子がないかを確認することは実施しても良いかと思います。

 

③面会交流の場所を人目のあるところに限定する

 遊園地や公園など、人目のあるところですと、父親も不審な行動を取りづらいため、場所を指定するという方法もあります。ただ、今回の事件の様に約束した時間を過ぎてもお子様が帰ってこないといったケースでは、事件防止が難しいのが現実です。

 なお、さらに進んで祖父母の同席を促すという方法もあります。祖父母から見ますと可愛いお孫さんなので遊園地等に遊びに行く際に父親だけでなく祖父母も同行するというのは自然な形とも言えます。このような形態ですと父親が無理心中というシチュエーションは生まれにくいかと思います。

 

④お子さんから直接面会交流時の様子を尋ねる

 お子様の年齢にもよりますが、お子様が面会交流時の様子をきちんと母親に伝えられる様でしたら、そのときの様子を直接お子様から尋ねるという方法も考えられます。もちろん、お子様に根掘り葉掘り質問することは避けるべきでしょうが、何か異変がないかやんわりと尋ねることで事件の端緒を掴むことができるケースもあると思います。

 

6.まとめ


●面会交流の実務としては面会交流を積極的に推奨している

●お子様への直接のDVが見られる場合、児童相談所への相談やシェルターでの保護と言った手段がある。

●今回の様な痛ましい事故を少しでも少なくするため以下の様な工夫が考えられる。

 ①お子様の受け渡しを母親本人が行う。

 ②父親に同居人が居る場合、同居人に父親の普段の様子を尋ねる。

 ③面会交流の場所を人目のある場所に指定する。

 ④面会交流の様子を直接お子様に尋ねる。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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