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【改正民法施行!!今後モラハラ元夫は何をしてくるか!?】元夫が突然共同親権への親権者変更を申し立ててきた(3)―親権者変更が認められるかどうかの9個の重要ポイント

2026.08.17更新

※離婚後共同親権は改正民法で初めて明記された制度ですので、現時点で実務の対応が定着しているわけではありません。本記事は弁護士秦の私見に基づく解説ですので、そのような前提でお読み下さい※

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

2.離婚後共同親権って何なんだ?


(1)「離婚後共同親権」の法律的な意味合い

仮に、離婚後共同親権を選択したとしても、①夫婦が一緒に住まないといけないというわけではありませんし、②お子さんに半々で関わる制度というわけでもありません。

 そもそも、離婚する際には、ご夫婦は別々に暮らすことを前提に、お子さんが夫婦のどちらと一緒に住むのかを決めると思います。そして、その様に決めると、お子さんの日常的なことは一緒に住んでいる親が決めるということになると思いますので、「共同親権」というのは、以下のような「お子さんにとって大事な事項を夫婦一緒に決める」という意味合いになります。

  • お子さんの転居(引っ越し先の決定)
  • 進路に影響する進学先の決定
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設等)
  • 15歳未満のお子さんの氏の変更
  • 15歳未満のお子さんの養子縁組の代諾

 

(2)緊急時は別扱い

 前述のように、お子さんにとって重要な事項は、共同親権の場合には、夫婦で話し合って決める必要があるのですが、緊急の場合には、別扱いになります。

 例えば、DVや虐待から避難する場合には、あなたの一存で避難及び避難先をどこにするかということを決めて良いということになります。また、お子さんが大きな怪我をしてすぐに医療処置が必要な場合にも、あなたの方で医療処置を受けさせて構いません。

 

 

3.今回の事案設定


今回は、以下のような事案を前提に解説していきます。

  • 離婚そのものは暫く前に成立している
  • 離婚のときの親権者については、妻であるあなたに指定されている
  • その後もあなたがお子さんを育てている
  • 元夫が突如、共同親権への親権者変更の手続きを取ってきた

 

 

4.親権者変更が認められるかどうかの9個の重要ポイント


 親権者変更の是非を判断するにあたっては、以下の9個のポイントが重要になってくると見込まれます。

 ①当初あなたが単独親権者になった経緯・手続き

 ②その様に決まってからどれほどの年月が経過したか

 ③従前の父子関係

 ④従前の母子関係

 ⑤父母の関係性

 ⑥あなたの単独親権と決まった後の事情の変化の内容・程度

 ⑦父親が関わることがどれほど子の福祉・利益にかなうか

 ⑧子供の意思

 ⑨今回の親権者変更手続きに至る経緯

 

 以下、それぞれについて解説していきます。

 

(1)当初あなたが単独親権者になった経緯・手続き

 離婚するときの親権者を夫婦のどちらにするのかという点については、夫婦での話し合い又は調停の場での話し合いが行われていると思います。

 このような話し合いの経緯が一つの重要な要素になります。

 特に、協議離婚している場合には、その話し合いの中で間違った考えで相手の単独親権にしてしまったというようなパターンもあると思いますが、その様に話し合いの経過に重大な問題がある場合には、今後の親権者変更の議論は慎重に扱われることになります(ケースによっては、最初の親権者決めが意思表示の瑕疵ありとして無効なのではないか、という議論もあり得ると思います)。

 

 また、この点に関連して、あなたの単独親権がどのような手続きで決まったのか、という点も重要なポイントになります。

 ここでの「手続き」というのは、①協議、②調停、③裁判の3種類が考えられますが、③の裁判で親権者が決まった場合には、裁判所が慎重に検討した結果「あなたを単独親権者にするのがふさわしい」という結論が出ているわけですから、安易に親権者変更を認めるべきではないという方向の議論になることが多いと思います。

 他方で、①の協議で親権者が決まった場合、裁判所の中立的な検討を経ずに親権者が決まっていますので、その後の変更にあたって、改めて子の福祉という観点からの検討が必要になってくるケースも多くなると思います。

 

(2)そのように決まってからどれほどの年月が経過したか

 前述の通り、離婚の際に親権者を決める手続きとしては、①協議、②調停、③裁判の3種類があるのですが、いずれにせよ一度親権者を決めたのですから、例えば1年とか短期間で親権者を変更することは、子の生活の安定性といった観点からも望ましくありません(前述の通り、離婚協議に瑕疵があった場合は別ですが)。

 逆に、5年以上とか長期間が経過しますと、お子さんも成長し、その後の父子関係や母子関係にも変化が見られる可能性がありますし、生活状況が変化することも考えられます。その場合には、改めて家庭裁判所調査官の調査を実施して慎重に検討するという手順になることも想定されます。

 なお、単独親権者決定からの年月の長さを判断するにあたっては、その当時のお子さんの年齢も加味する必要があります。当時お子さんが2歳だったのが、今は5歳になっているということですと、お子さんの様子も大きく変化しているでしょうが、逆に当時お子さんが11歳だったのが14歳になったという場合、お子さんの様子にあまり劇的な変化は生じないものと思われるからです。

 いずれにしましても、単独親権者を決めてからどれほどの期間が経過しているのかという点は、今後の調査等にあたってどこまでの調査を実施するのかという点にも関わってくる重要な要素になると思います。

 

(3)従前の父子関係

 一口に「従前の父子関係」(モラハラ元夫とお子さんとの関係性)と言いましても、①同居中の父子関係と②別居以降の父子関係に分けて検討する必要があります。

 なお、①の同居中の父子関係において、モラハラ元夫が当時お子さんに対して暴力を振るっていたというような事情がある場合、必要的単独親権事由(必ず単独親権にしなければいけない事情)があるということになりますので、共同親権への変更は基本的に認められません。

 いずれにせよ、同居中ですと日常生活の中でお子さんと関わっているのでしょうが、別居後になりますと面会交流等を通じての関わりになると思いますから、父親としての関わり方にも大きな変化が生じていると思います。このような変化がある中で、同居中・別居後ともに、お子さんの育児にどの程度どのように関わってきたのか、お子さんとの関係の良好さ、親密さ、熱心さ等が考慮要素になってくると思います(例えば、同居中はモラハラ元夫が熱心過ぎてお子さんが多少嫌がっている様子があったが、別居後の限られた関わりであれば、お子さんの負担が随分軽減されたというパターンもあれば、逆に、別居後だとモラハラ元夫側に取ってお子さんの普段の様子が分からないため、質問攻めにあってお子さんが疲弊している様子があるなどのパターンもあると思います)。

 また、相手がモラハラ元夫ですから、お子さんとの関わりの中でお子さんに対してもモラハラ行動や言動に及んでいないか、あなたに対する悪口等をお子さんに吹き込んでいないかといった点も考慮要素になってくると思います。

 

(4)従前の母子関係

 一口に「従前の母子関係」(あなたとお子さんとの関係性)と言いましても、①同居中の母子関係と②別居以降の母子関係に分けて検討する必要があります。

 同居中も別居後もあなたがお子さんの育児をメインで担ってきたという状況は変わらないと思いますが、別居後はモラハラ元夫がいない状況での生活になりますから、その後のお子さんとの関わり方にも一定の変化が生じているはずだからです。

 ここでも、同居中・別居後ともに、お子さんの育児にどの程度どのように関わってきたのか、お子さんとの関係の良好さ、親密さ、熱心さ等が考慮要素になってくると思います。

 

(5)父母の関係性

 あなたとモラハラ元夫との関係性も、共同親権の是非を検討するにあたって重要な考慮要素になります。

 そもそも、あなたがモラハラ元夫から身体的暴力その他心身に有害な影響を及ぼす言動の被害を受ける虞がある場合、必要的単独親権事由(必ず単独親権にしなければいけない事情)があるということになりますので、共同親権への変更は基本的に認められません。

 前述の通り、離婚後共同親権は、お子さんの重要な事柄について父母で話し合って子の福祉にかなうような結論を導くという制度ですから、そのような父母の話し合いの土台が整っていない場合には、必要的単独親権ということになるのです。

 

 いずれにしましても、父母が共同して親権を行使できるような関係性が構築されているのかという点が重要な考慮要素になります。

 また、このような信頼関係を推し量る要素として、これまでの面会交流についての連絡の様子、モラハラ元夫がしっかりと養育費を支払っているか、といった点も考慮要素になります。

 相手がモラハラ元夫ですから、父母の冷静な話し合いは期待できないことが多いとは思いますが、モラハラの証明は難しいことも多いので、親権者変更手続きの中でも立ち回り方に工夫が必要になってくると思います。

 

(6)あなたの単独親権と決まった後の事情の変化の内容・程度

 あなたの単独親権と決まった後は、基本的にあなたが単独でお子さんの育児を担っていると思いますので、その中で、親権者として不適切な行動や言動等がなかったのか、お子さんの成長に伴う関係性の変化の中で問題等が生じていないのかといった点が考慮要素になってくると思います。

 おそらく、この部分は、モラハラ元夫側が声高に主張してくる部分になってくると思いますので(俺の見ていないところで元妻が子供に手を上げた、と言ったことを主張してくるという意味)、しっかりと反論していく必要があります。

 

(7)父親が関わることがどれほど子の福祉・利益にかなうか

 今問題になっているのは、モラハラ元夫の単独親権に変更するのか?という点ではなく、共同親権に変更するのが良いのか?という問題です。

 「親権」というと、どちらが育てるのが良いのか?という視点で考えがちですが、共同親権の場合、前述の重要事項(お子さんの進学や重大な医療行為等)を父母が共同して決める方が良いのかの是非を検討する作業になります。

 そのため、このような重要事項(お子さんの進学や重大な医療行為等)の決定に父親が関わることがどれほどお子さんにとってメリットのある話なのかという点が重要な考慮要素になります。

 例えばですが、お子さんが医師を目指して猛勉強しているといった場合に、父親である医師の意見を踏まえながら進学先等を決定したいという場合、父親の果たす役割は大きくなってくると思います(もちろん、その事情一つだけで共同親権になるというわけではないですが)。

 

(8)子供の意思

 お子さんの年齢が幼い場合、十分な判断能力も無いと思いますので、その意見を裁判所が考慮することはないと思います。

 調停や審判の場合、お子さんが就学年齢に達している場合(小学校に入学している場合)、お子さんの意思を確認することが多いと思います(15歳以上の場合には、その意思を確認することが必要的です)。

 このようなお子さんの意向・心情調査を実施することになった場合、お子さんの目から見た現状の生活(満足度)、父親・母親との関係性等基本的な事項の確認を行うと思いますが、それらの中に大きな問題がない場合、共同親権特有の事情の確認が重要になってくると思います。

 即ち、共同親権にすることが良いのかどうかについては、前述の重要事項(お子さんの進学や重大な医療行為等)について、父親が関与することが子の福祉にかなうかどうかの判断なのですから、意向・心情調査等においても、お子さん自身が上記重要事項に対して父親の関与を望んでいるのか、という点と、その理由が重要な考慮要素になると思います。

 

(9)今回の親権者変更手続きに至る経緯

 前述の通り、お子さんの重要事項について、父母が協力して話し合いができるのかという点が重要なポイントになりますので、今回の親権者変更手続きに至る経緯も、重要な考慮要素になります。

 親権者変更は、父母の同意だけでは実現できません(親権者変更届を提出すれば区役所で受け付けてくれるというシステムになっていません)ので、必ず調停等の手続きを経なければなりません。そのこととの兼ね合いで、事前の話し合いで共同親権にすることの合意ができているという場合、調停の席で、あなたの方で誤解等がないことの確認がとれれば、比較的スムーズに共同親権に変更できると思います(これがおそらく最もスムーズな手続きのやり方だと思います)。

 

 他方で、事前に何らの話し合い等もなく、いきなり調停を起こしてきたという、今回のようなケースの場合、父母が冷静に話し合える土台があるのかという点で疑問が生じると思います。

 このような観点から、今回の手続きに至る経緯も、考慮要素の一つになります。

 

 

5.まとめ


 親権者変更の是非を判断するにあたっては、以下の9個のポイントが重要になってくる。

 ①当初あなたが単独親権者になった経緯・手続き

 ②その様に決まってからどれほどの年月が経過したか

 ③従前の父子関係

 ④従前の母子関係

 ⑤父母の関係性

 ⑥あなたの単独親権と決まった後の事情の変化の内容・程度

 ⑦父親が関わることがどれほど子の福祉・利益にかなうか

 ⑧子供の意思

 ⑨今回の親権者変更手続きに至る経緯

 

 

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