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【こんな小さい子がいるから絶対離婚できない(13)】夫婦円満調停を申し立てるかどうかの9個のポイント

2025.07.28更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

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【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.そもそも、夫婦関係円満調整調停って何だ?


 夫婦関係円満調整調停とは、一般的には、夫婦が当人同士でお話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて話し合いを円滑に行い夫婦関係を円満な形に戻すための話し合いの手続などと言われたりします。
 調停は、裁判所庁舎内の調停室(会議室のような部屋)で行われます。
 なお、調停は夫婦同席ではなく、基本的にご夫婦が別々に調停室に入室する形で行われます(一方が話をしている間は、他方が待合室で待機している形を取ります)

 

 

2.夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイントって?


 上記の通り、夫婦円満調停は、夫婦の話し合いを多数取り扱う調停委員が間に入ってくれますので、一面では大変便利な制度と言えます。弁護士を雇うよりも、調停を申し立てたほうが費用面からも非常に安価で済みます。
 他方で、裁判所を利用した手続きになりますので、呼び出しを受けた相手を無用に刺激してしまうというリスクなどもあります。
 そのため、今回は夫婦円満調停を申し立てるべきかの9個のポイントを整理し、解説していきます。

 

 

3.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント1】極力直接の話し合いに努めるべき


 この点は、私が一番よくご相談者様にお話させていただく内容です。
 上記の通り、夫婦円満調停は便利な制度としての側面を有しますが、本来夫婦円満を目指すのであれば、最低限夫婦で直接コミュニケーションが取れる状況にまで回復させることを目標とすべきです。
 今後もご夫婦として仲睦まじい家庭を目指すのであれば、直接話し合いをして問題を解決できれば、それに越したことはないでしょう。

 

 ただ、夫婦円満調停が頭に浮かんだということは、ご夫婦同士で直接の話し合いが難しい状況にあるということでしょう。例えば、夫側がこちらの話を一切無視するとか、勝手に出て行って連絡も取りにくくなったといったケースも考えられます。
 このように直接の話し合いが難しいケースでも、すぐに話し合いを諦めるのではなく、ご両親や兄弟姉妹といったお身内の方や、仲人、友人、職場の上司、大学時代の先輩その他知人関係の方で間に入ってくれる方や、夫婦の話し合いに同席してくれそうな適任者を探してみてください。
 そのような方を間に入れることで、夫婦の本音を聞けるというケースもあります。

 

 このように話し合いの方法などを工夫しても話し合いがうまくいかないという場合には、いよいよ夫婦円満調停も視野に入ってきます。
ただ、そのような場合でもいきなり調停を申し立てるのではなく、事前に夫側に予告したうえで調停を申し立てるようにしてください。夫としても調停まではしたくないという場合には、直接の話し合いに応じるケースもあるからです。

 

 

4.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント2】いわゆる「脅し」として活用するのはNG


 たまに私のところに相談に来られる方の中には、夫婦円満調停を、いわば「脅し」と言いますか「自分が優位に立つ道具として利用しよう」としている方もいます。

 要するに、夫婦円満調停を起こすと、裁判所から夫に対して呼出状が届きますので、そのことで夫側をびっくりさせて優位に立とうとするのです。

 確かに、夫の言動や行動、やり方が気に入らないというときに、夫を牽制するために夫婦円満調停を起こしたいという気持ちは分からなくはないのですが、夫を驚かせようという姿勢は、かえって夫婦関係修復を遠のかせてしまうと思います。

 また、夫婦円満調停は他の「ポイント」で指摘しております通り、様々な検討要素がありますので、少なくとも安易に「脅し」のような目的で申し立てることは控えるべきだと思います。

 

 

5.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント3】調停委員は残念ながら夫婦円満方向に熱心ではないことも多い


 調停委員はあくまで中立な立場からご夫婦のお互いの話を聞いてくれます。
 しかしながら、現在家庭裁判所で取り扱う調停事件の大半は離婚調停事件でして、夫婦関係の離婚で調停が解決するケースが圧倒的多数です。
 このように離婚で事件を処理している関係で、調停委員は、残念ながら夫婦円満での話し合いには熱心ではないことが多いです。

 調停委員が良く口にしますのが「夫婦円満での方向で相手も意見が一致していれば良いのですが、意見が一致しませんと、これ以上話を進めることが出来ないんです」といったフレーズです。
 そのため、相手の夫側があくまで離婚を声高に主張しますと、例えば、2回目の調停期日にて、調停を取り下げるか、離婚の方向で考えてみてくださいといったことを真剣に考えなければならなくなるケースすらあります。

 

 

6.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント4】離婚調停に衣替えされるリスク


 前述のように、夫があくまで離婚を声高に主張しますと、実際の調停の場での話し合いが、離婚に向けての話し合いに変容してしまうリスクがあります。
 特に、調停委員から調停取り下げか、離婚に向けての話し合いを要求されてしまいますと、円満のために調停を申し立てたのに、離婚条件の話し合いに来ているようだと感じてしまうことも多々あります。
 このような方向での話し合いになってしまいますと、夫側からの離婚ペースに載せられる危険性があり、残念ながら、離婚に向けての手続きが促進してしまうリスクがあります。

 

 

7.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント5】こちらの本気度を示すことが出来る


 特に夫が、自分がこうだと思ったらこうなんだと決めつけて行動するようなキャラクターの場合、こちらがいくらやり直したいと伝えても聞く耳を持たないケースも往々にしてあります。
 そのような場合には、本気で夫婦関係を良くしていきたいという本気度を示すために調停という手段を取ることはあり得ます。
 ただ、夫側からしますと、急に裁判所から呼び出しを受ける形になりますと驚くことが多いと思いますので、調停がどのような手続きなのかといった点は事前に伝えておいた方が良いと思います。

 

 

8.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント6】外面が良い相手への対策


 特に、夫が外面を気にかけるようなキャラクターの場合、調停の席では紳士的にふるまおうとする結果、離婚というフレーズを調停の場では封印するという人もいます。
 そのようなことを狙ったうえで、調停を申し立てるという方法もあり得なくはありません。
 ただ、そのような場合には、夫側はそもそも調停に参加しないという対応をするケースも少なからずありますので、この点には予め留意する必要があります。

 

 また、夫が自身の「体面」(面子)を非常に気にするようなキャラクターの場合、逆に、あなたの話している内容をほとんど否定してくる可能性もあります。なぜなら、あなたは夫婦円満のために、その前提として夫の問題点や言動・行動の問題を指摘しなくてはいけませんが、夫側からすると「体面」(面子)を害されたと感じる可能性があるからです。

 そうなってしまいますと、調停の場が夫婦が言い争う場になってしまい、夫婦関係の修復ではなく、決裂の話し合いになってしまうリスクがあるのです。

 

 

9.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント7】調停という手続き独自の制約


 調停には、手続きとしていくつか制約もありますので、この点は予め考慮に入れておく必要があります。

①期日が早くとも1か月おきに設定されること
 調停期日は一般的に1か月おきくらいの頻度で開催されます。そのため、どうしてもテンポよく話し合いをするということが出来ません。
 お互い冷却期間を置くという意味で、焦らずに進めたいという場合には良いのですが、やや手続きが間延びしてしまう感は否定できません。

 

②夫に「調停の場で話そう」と誤魔化されるリスク
 こちらから調停を起こしている手前、直接話をしようとすると、夫から「そっちが調停を起こしているのだから、調停の場で話をしよう」と返答されてしまいますと、なかなか調停の外での話し合いの場をセッティングしにくくなる面があります。

 

③平日の日中しか調停期日をセッティングできない

 調停期日は、平日の日中にしか開催できません。そのため、調停を起こすと仕事をしている方は、仕事を休むか早退するなどして対応する必要がありますが、例えば、夫が普段から仕事が忙しいというような場合には、「どうしてわざわざ平日休みを取ってまで調停に行かなければならないんだ!?」と思ってしまうリスクがあります。

 

④毎度裁判所に足を運ばないといけない

 調停は基本的に家庭裁判所内の調停室で行われますので、期日のたびに毎回裁判所に足を運ぶ必要があります(あなたが住む住所地が家庭裁判所からかなり遠いような場合には例外的にWEB会議方式にすることもできるのですが、そのような事情がない限りは、基本的には対面式で調停は行われます)。

特に調停室内の雰囲気が無機質というわけではないのですが、普段行かない裁判所に足を運ぶことが精神的負担ではないかというと、ある程度負担に感じる方の方が多いと思います。

 

 

10.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント8】お互いが円満方向で話ができるのであれば調停委員は非常に心強い


 前述のように、夫側が、あくまで離婚にこだわるという場合には、夫婦円満での調整は難航してしまいますが、他方で、相手も円満方向での話し合いを了解した場合、調停委員は心強い味方になってくれることが多いです。
 夫婦がお互いに円満な家庭を目指すというのであれば、調停委員も夫婦円満に向けてしっかりと協力してくれるからです。
 その場合には、調停委員が専門知識を用いて、夫婦としてどのような点を改善していけばよいのか、どのように生活を営んでいくのが良いのかといった点をいろいろとアドバイスしてくれますので、非常に心強いです。

 

 

11.【夫婦円満調停を申し立てるべきかのポイント9】相手が離婚調停を起こしてきているときの有益性


 よく、相手から離婚調停を申し立てられた際に、「これに対抗して、こちらから円満調停を申し立てたいと思うのですがどうでしょうか?」というご相談を受けることがあるのですが、結論から言いますと、ほとんど意味はありません。
 なぜなら、離婚調停の手続きの中で円満に向けての話を持ち掛けることはできますので、円満調停を起こす意味合いがないからです。
 このような技術的なところに目を向けるのではなく、夫婦関係を修復させるためにあなたはどのようなことをして行けるのかといった改善点の集約に全力を注いだほうが良いと思います。

 

 

12.まとめ


・【ポイント1】まずは、極力直接の話し合いに努めるべき

・【ポイント2】いわゆる「脅し」として利用することはNG

・【ポイント3】調停委員は残念ながら夫婦円満方向に熱心ではないことも多い
・【ポイント4】離婚調停に衣替えされるリスクがある
・【ポイント5】調停を申し立てることで、こちらの円満に向けての本気度を示すことが出来る
・【ポイント6】相手が、外面が良いと紳士的に対応してくる可能性もある
・【ポイント7】調停手続きである以上、調停の席でしか話ができないとか、期日が間延びするといった制約がある。
・【ポイント8】お互いが円満方向で話ができるのであれが調停委員は非常に心強い

・【ポイント9】相手から離婚調停を起こされている場合、敢えてこちらから円満調停を起こす有益性は低い

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【こんな小さい子がいるから絶対離婚できない(12)】夫婦円満調停って何だ?

2025.07.21更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

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【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】


私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.夫婦関係円満調整調停って何だ?


 インターネットで色々と調べていると「夫婦円満調停」という制度があることについて辿り着くことがあります。ただ、この調停制度について、正確かつ詳細に説明しているサイトは意外と少ないので、夫婦円満調整調停というのがどのような手続きなのかについて解説していきます。

 夫婦関係円満調整調停とは、一般的には、夫婦が当人同士でお話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて話し合いを円滑に行い夫婦関係を円満な形に戻すための話し合いの手続などと言われたりします。
 しかし、この説明だけでは漠然としていて夫婦関係円満調整調停のイメージを掴むことは難しいと思いますので、できる限り具体的に夫婦関係円満調整調停というものがどのようなものなのかをご説明します。

 

 

2.そもそもこの調停は何を目指す調停なのか?


 通常この調停を起こす場合、ご夫婦の一方が急に態度を豹変させたとか、連絡が取れなくなってしまった、別居を開始してしまったという場合に、相手の真意を確認したり、夫婦間のとげを取り除いてやり直すために行われる手続になります。
 調停の席での話し合いが順調に進めば、夫婦の行き違いを調整し、円満な状態に戻すことを目標にした手続にはなります。

 

 夫婦円満調停を成立させる場合には、ご夫婦が円満に過ごせるような条件を取り決めるようにしますので、そのような円満の条件決めを目指す手続きとも言えます(但し、条件が厳しすぎますと、逆に夫婦関係がぎくしゃくしてしまうというリスクもありますので、どの程度の条件とするかは、夫側の言い分なども考慮しながら決めていくことになります)

 ただ、こちらとしては夫婦円満を求めて調停を起こしても、夫側が頑なに夫婦関係の継続を拒否する姿勢の場合、離婚に向かって話が進んでしまうリスクはあります。

 

 

3.調停を申し立てる前にすべきこと


(1)夫側に事前に連絡を取る
 いきなり調停を起こしますと、裁判所からの封書が来て夫は驚いてしまうと思います。そのため、夫側には最低1回は事前に夫婦関係円満調整調停を起こす旨の連絡をしておいた方が良いと思います。
 このような事前連絡を行うことによって、夫側が話し合いに応じてくる可能性もありますので、極力事前に連絡をしておいて下さい。

 

(2)調停申し立てのタイミングを探る
 前述のような事前連絡をしたところ、夫側が交渉の席についてくれるようであれば、一定期間交渉での解決をトライしてみたほうが良いと思います。「もうすでに調停を申し立てる準備をしてしまったので申し立ててしまう」といった心構えではなく、(少し調停申立てを遅らせてでも)話し合いの余地があるなら、極力話し合いで解決できるよう努めたほうが良いと思います。
 夫婦円満を目指すのであれば、今後もご夫婦間の直接のコミュニケーションは非常に重要になりますので、そのための準備という視点からも、直接の話し合いに重点を置いた方が良いでしょう。

 

 

4.調停委員ってどんな人?


 夫婦関係円満調整調停は、裁判官1名と調停委員2名(男性1名、女性1名)の合計3名が間に入って執り行われます。と言っても、裁判官は、同じ時間帯に複数の事件を担当していますので、実際に調停室で直接話をするのは基本的に調停委員2名と言うことになります。

では、この調停委員というのはどういう人なのかと言うことですが、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員になります。弁護士、司法書士、鑑定士、大学教授、裁判所書記官OBや上場会社の重役OBなどが調停委員になるなどしています。

 

 

5.夫婦関係円満調整調停ってどこで行うの?


 夫婦関係円満調整調停は家庭裁判所の建物内の一室で行われます。調停委員に、こちらの自宅などに出向いてもらって話し合いをするということはできません。

 裁判所と聞くと、テレビのドラマなどで映し出される裁判所の法廷をイメージする人も多いのですが、調停が行われるのは一般的な法廷ではなく、イメージとしては会議室のような場所で行われます。
 会議室と言っても何十人も座れるような広い会議室ではなく、6人掛け(いわゆる誕生日席2席を加えると8名が座れる程度)のテーブルが入って多少余裕がある程度の部屋とイメージしていただければ分かりやすいと思います。

 

 

6.夫婦関係円満調整調停って何時行うの?


 調停が開催される期日は完全事前予約制なので、予め日時を決定しておき、その日に裁判所に足を運ぶという方式になります。
 調停が行われるのは平日の日中ということになりますので、土日祝日や夜間に調停を行うことはできません。そのため、平日お仕事をされている方は、調停の日はお仕事を休むか早退するなどして出席することになります。

 この調停期日は一方的に裁判所から決められることはなく、基本的にはご本人の都合を聞いて日時が決定されます(但し、第1回調停期日については、相手方の都合は聞かずに日時が決定されます)。

 ただ、担当調停委員によって担当曜日が決まっているのが一般的ですので、その曜日の中から日時を選択するという形式が一般的です。つまり、担当曜日が月曜日と木曜日というように決まっているという場合、月曜日か木曜日の中から期日を選択して行くことになります(逆に言うと水曜日を希望しても水曜日に調停を開催することは難しいということになります)。

 

 

7.1回の調停はどのくらいの時間がかかるの?


 1回の調停は2時間程度で終わります。ただ、話し合いの状況に応じて2時間よりも長くなったり短くなったりすることもありますので、2時間というのは一つの目安だと考えて下さい。

 

 

8.当日の調停の流れは?


 調停の流れは裁判所や調停委員によって差があるので画一的ではないのですが、一般的には以下のような流れで進むケースが多いです。

①ご夫婦はそれぞれ別々の待合室で待機
        ↓
②調停委員に事件番号(またはお名前)を呼ばれるので、調停委員の案内で調停室に入室
        ↓
③夫婦双方が揃った調停室にて調停委員から調停手続の概要を説明(第2回目の場合、前回の調停での話し合いのおさらい及びその日の調停での目標等の確認)
※但し、こちらから夫婦で顔を合わせると冷静な話し合いが難しいと事前に伝えておきますと、夫婦同席での手続き説明ではなく、手続き説明は夫婦別々に行われます。(特に東京家庭裁判所では、ご夫婦別々とする形の方が一般的です)
        ↓
④申立人のみが調停室に残って調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑤申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑥相手方が調停室を退室し、入れ替わりで申立人が調停室に入室、申立人のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑦申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑧最後に次回期日までの宿題の確認及び次回期日の日程調整をしたうえで、その日の調停は終了。

 

 

9.調停室内に入れるのは誰?


 よく自分一人で調停室に入っても上手に話ができるか不安があるので、ご自身のお姉様やお母様も同席させて欲しいとおっしゃる方もいます。
 しかし、調停の手続は非公開の手続(御本人以外の方の傍聴などが認められていないということです)ですので御本人以外が入室することはできません。
 なお、弁護士に事件を依頼した場合には、弁護士も調停室に同席することができますので、その面では安心です。

 

 

10.調停が開催される頻度は?


 調停の期日の間隔は1か月から2か月程度になります。ただ、夏期や年末年始は調停を行わない時期がある関係で、この時期の調停の間隔は1か月以上空くことが多いです。

 

 

11.そもそも夫は調停に来るか?


 調停はあくまで裁判所を利用した話し合いの場になりますので、夫が法律的な出席義務を課されることはありません。
そうすると、夫が欠席するのではないかと不安に思われる方もいますが、家庭裁判所から封書が届きますので、夫も出席してくることの方が多いと思います。そのため、最初から「夫側が出てこないかもしれない」と考えて調停を起こさないのではなく、夫も来る可能性が高いものとして調停は活用して行ければと思います。

 

 

12.調停が成立した場合の拘束力は?


 よく「調停が成立すると判決と同様の拘束力がある」と言われたりします。
 ただ、これは調停の内容次第です。

 例えば、相手に金銭を支払わせるという内容の調停調書には、強制力がありますが、「今後互いを尊重し、コミュニケーションを絶やさず円満な夫婦関係を築くことができるように努力する」と言った条項は、ある意味精神論を謳った条項に過ぎず、この内容に強制力を認めることはできません。 そのため、夫婦関係円満調整調停のゴールそのものに強制力はないことになってしまいます。

 強制力とは「相手が反対しても無理矢理実行させる」という効力になりますが、国家権力が相手を無理矢理自宅に連れ戻したり、夫として理想的な行動や言動を強要することは人権上問題になりますので、認められないのです。

 

 

13.まとめ


・夫婦関係円満調整調停は、夫婦の関係が円満な形を取り戻すことを目指す手続である。
・調停委員は40歳以上70歳以下の学識経験者等が就任する。
・夫婦関係円満調整調停は、裁判所建物の中の会議室のような場所で行われる。
・調停は平日の午前または日中に行われる。
・1回の調停は合計2時間程度で終わる。
・2時間の調停では最初に手続の説明、その後交互に調停委員が本人から話を聞くなどし、最後に次回までの宿題等の確認・次回期日の設定を行うという手順で進むことが多い。
・調停室には本人しか入れない(弁護士が就いている場合は弁護士も入れる)
・調停は1か月に1回程度の頻度で開催される。
・相手は調停の席に出席する義務はないが、大体の人は出席してくることが多い。
・調停が成立した場合には判決と同じ効力が認められることもあるが、内容次第だし、夫婦円満調停の内容については強制力が認められない条項の方が多い。

 

 

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<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

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それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.弁護士からの通知が突如やってくることも…


 離婚問題で弁護士が通知を送るのは通常別居開始後になります(同居したまま通知を送ることもありますが例としては少数だと思います)。

 夫の別居開始直後に通知があったり、別居して暫く音沙汰がないと思っていたら通知が来たりと、タイミングはケースによって異なります。

 

 夫側が別居開始前から弁護士に相談しているといったケースでは、別居の際に、置き手紙やメール等を残すことも多く、そこには、「今後離婚の件は弁護士に一任しているので弁護士からの連絡を待って欲しい」と書かれていることもあります。

 他方、別居開始前から弁護士に相談している訳ではなかったり、別居開始前から相談していても慌ただしく別居したケースなどでは、事前に弁護士を雇っていることが分からないこともあります。

 その場合には、弁護士からの連絡は突如来ることになります。

 

 そして、突如弁護士から電話が来るということは少なく、通常は、内容証明郵便または手紙という形で弁護士から手紙が届くということが多いです。

 

 

2.「弁護士から連絡が来た」イコール「おおごとになった」という発想は禁物


 一般的に日本では弁護士の敷居が高いと言われていますので、「相手が弁護士を雇ってきた」イコール「おおごとになった」という発想を持つ方も多くいらっしゃいますが、その様な発想は禁物です。

 弁護士を就けていますと最終的には離婚問題は裁判によって解決して行くことになりますが、離婚の問題では、一部の例外を除いて、いきなり裁判を起こすことが法律で禁止されていますので、突如裁判になるということはありません。

 

 話し合いが上手く行きませんと離婚調停を申し立てられる可能性は高いですが、調停はあくまで裁判所という場所を使っての話し合いですので、結論を強要されることはありません。

 また、夫側があなたと直接話をしたくないという場合には、早めに弁護士を頼むという進め方をする方もかなり増えている印象です。

 そのため、夫が弁護士を雇っても、その後重大な急展開が起こると言うことはまずありませんので、その意味ではご安心下さい。

 

 

3.夫の弁護士は離婚裁判で勝てると確信しているとは限らない。


 夫が弁護士を雇っている場合、「裁判で争っても負けてしまう」「夫の弁護士は確実に勝てると考えているから事件を担当することになったんだ」と誤解されている方も多くいますが、必ずしもそうとは限りません。

 

 離婚事件は、協議離婚や調停離婚で解決する割合が非常に多いため、裁判で確実に勝てるというケースではなくても、弁護士が就くことは珍しくありません。

 そもそも、裁判で離婚が認められるためには、浮気や暴力といった明確な離婚原因が必要になりますので、離婚訴訟で勝訴できると確信して事件を担当することは逆に少ないと思います。

 そのため、「夫が弁護士を就けている以上、争っても絶対勝てないから、早く離婚した方が得策だ」と考えるのは早計です。

 

 

4.夫が真剣に離婚を考えていることに対してどう向き合うか


 前述の通り、夫側が弁護士を雇ったということで必要以上に不安になる必要はないのですが、夫が弁護士を雇ったと言うことは、夫は、「弁護士費用を支払ってでも離婚したい」と考えていることは事実なので、俗な言い方ですが「本気で離婚したいと考えている」と思った方が良いと思います。

 

 ただ、だからといって、こちらが離婚に応じなければいけないと言うことではありませんので、夫側が真剣に離婚したがっていると言うことをどのように受けとめて、今後どのようにしたいのかという視点から良く考えた方が良いと思います。

 あなたが、離婚したくないという気持ちが強いのでしたら、離婚に応じないという姿勢で問題ないのですが、その場合に肝心なのは、夫側の心情に極力寄り添って対応するということだと思います。たまに、「夫と離婚を巡って対決するんだ」と誤解されている方もいますが、対決してしまいますと夫婦の間柄を修復することはできません。

 

 そのため、どうやったら夫側の気持ちを変えることができるのか、夫婦の間柄を修復する方向に話が進むのか、ということを真剣に考えて、対応していくことが肝要です。

 

 

5.少なからず修復事例はある


 私のところにご相談に来られる方の中には、「相手に弁護士までついて離婚にならなかったケースなんてありませんよね?」と質問される方もいます。

 ただ、夫側が弁護士を立てても、離婚にならなかったケースはあります。私自身が担当した事件でも、離婚にならず、夫婦の関係をしっかりと修復できたご家庭も実際にあります。

 そうは言いましても、残念ながら、修復に成功した事例は、一握りしかないのも事実です。

 このようにお話しますと「結局、数パーセントですか?」とか「本当に確率低いですよね?」と重ねて質問してくる方もいますが、ご家庭によって事情は様々ですので、「確率が低いか高いかは状況次第です」とお答えすることが多いです。

 

 

6.一人で悩んでいても結論が出ない場合、他の人にも相談してみること


 夫が弁護士を雇ったため大事になったと考えて、誰にも相談しないという方もいらっしゃいますが、そうすると余計に悩みが深くなるケースもあります。

 信頼できる親友に相談したり、実家の両親、兄弟姉妹その他近しい人間に相談すると、自身の客観的な立場が分かり、安心材料になることも多いので、迷った際には近しい方にご相談することを強くお勧めします。

 そんな中で、あなた自身のケースで離婚が認められる可能性が高いのかどうかや、離婚の際にどのような取り決めをしなければならないのかといった点について専門家に相談したいという場合には、弁護士に相談することも検討してみて下さい。

 

 

7.修復を目指すと心に決めたら胸を張って「ヨリを戻したい」と言う。 


 たまに私が相談に乗っておりますと、後ろめたくて「ヨリを戻したいと言いづらいです」という方もいます。しかし、離婚するか修復するかは、今後のあなたの人生にとっても非常に大切なことなのですから、何も後ろめたい気持ちを抱く必要はありません。

 そのため、しっかりと修復を目指すと心に決めたのなら、胸を張ってそのように言えばよいと思います。

 

 

8.まとめ


・弁護士からの手紙は何の前触れもなくやってくることも多い。
・夫が弁護士を雇ったからといって「おおごとになった」と必要以上に不安になるべきではない。
・夫の弁護士も離婚裁判で勝てると確信しているとは限らない。
・離婚に応じないにしても、夫が真剣に離婚を目指しているという心情には配慮し改善策等を練る必要がある。

・夫側が弁護士を立てていても、少なからず修復事例はある

・一人で悩んでいても結論が出ない場合、近しい人間に相談してみるのも一つの方法である。

・修復を目指すと心に決めたら、胸を張ってよい。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【こんな小さい子がいるから絶対離婚できない(10)】でも離婚すべきか悩んでいる自分がいるーどうすればよいか?

2025.07.07更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

※実際の夫婦修復成功実績は文末の「関連記事」をご覧下さい※

  神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】

私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.絶対に離婚したくないと思いながらも、心の奥底では、離婚した方が良いのかもしれないと思ってしまっている


 絶対に離婚したくないと思いながらも、心の奥底では、離婚した方が良いのかもしれないと思ってしまっている、というと、相矛盾しているようにも聞こえてしまいます。
 しかし、実際には、このような思いを抱えて私のところにご相談に来られる方はかなりの数いらっしゃいます。
 「絶対に離婚したくないのですが、これが私のエゴなんじゃないかと考えてしまうことがあります」とか「本音としては離婚したくないのですが、この状況ではヨリを戻すなんて無理なんじゃないかと考えてしまうことがあります」、「うちの子はまだ小さいので悩むんですが、別れるならむしろ子が物心つく前に別れたほうがいいのではないかと感じることもあります」などというお話を聞くことも多いのです。

 

 

2.離婚に応じるイコール何もなかったかのように離婚の手続きが進んでいく


 この点は良くお話させて頂くのですが、あなたが素直に離婚に応じてしまいますと、相手が離婚を希望する理由や経緯といった点はほとんど吟味されることがなく、離婚の条件(親権者を夫婦どちらにするのか、養育費をいくらにするのか、財産分与をどのようにするのかといった点)の議論ばかりがなされていくことになります。
 離婚することが決まっているのでしたら、離婚理由を深堀りして議論する必要がなくなってしまうからです。
 そのため、あまり安易に離婚に応じてしまいますと、あなたとしては「消化不良」のまま、各種手続きが進んでいくことになりかねません。

 

 

3.「今後後悔しない」というところまで意思が固まったときに離婚に応じれば良い


 前述のように、離婚に応じるイコール何もなかったかのように離婚の手続きが進んでいくということを意味しますので、性急に離婚に応じる姿勢を示すことは得策ではありません。
 そのため、実際に離婚に応じるのは、「今後後悔しないというところまで離婚意思が固まったときで構いません」とアドバイスすることも多いです。

 

 

4.じっくり考えて答えを出すことが肝心


 既に小さな命が生まれているわけですから、離婚に応じるか応じないかは、あなただけの問題ではありません。もちろん、離婚するかどうかであなたの人生も大きく変わっていくのでしょうが、お子さんの人生も大きく変わっていきます。

 そのため、お子さんの今後の人生のことも考えながら、じっくりと答えを出す必要があると思います。

 おそらくこの状況であなたにとってベストな選択というものはないと思いますので、今後の色々なことを考えて、より「ベターな選択」を導き出して下さい。

 

 

5.節目は離婚調停開始のタイミング、離婚調停終了のタイミング


 前述のようにじっくり考えると言っても、「何時まで考える猶予期間がありますか?」と質問を受けることがあります。
 そのような際に節目としてお話をするのが、①離婚調停開始のタイミングと②離婚調停終了のタイミングということになります。

 離婚調停開始のタイミングというのは、いよいよ家庭裁判所で調停手続きが始まってしまうというタイミングですので、裁判所での手続きをどうしても避けたいという場合には、調停開始前に離婚に応じるという方もいます。

 他方で、調停の手続きは、裁判所での話し合いの手続ですから、ひとまず調停には参加し、調停終了間際になった段階で離婚に応じるという方もいます。
 もちろん、離婚に応じなければならないということではありませんので、そのまま、離婚裁判を闘っていくという方もいますし、離婚裁判の中で勝訴を目指すという方もいます。
 ただ、離婚裁判に発展してしまいますと、証拠をもとに、法律上の離婚原因があるかどうかを突き詰めていくことになってしまいますので、仮に勝訴しても、夫婦として大きなしこりが残ってしまうことは事実です。そのため、そこまではせずに対応するという方が多いのも事実です。

 

 

6.離婚調停の際の注意点


 夫側が離婚調停を起こしてきた場合、基本的にはその調停に出席すべきことになります。

 「離婚の土俵で話をしたくない」ということで敢えて欠席するという人もいますが、そうしますと、あなたの気持ちを裁判所でしっかりと伝えていくことができませんので、私は、「出席はした方が良い」とアドバイスすることが多いです。

 

 その場合の最大の注意点が、「悩んでいる姿を調停委員に見せないこと」です。

 何を言っているのかと言いますと、調停委員は、「説得しやすい方を説得する」という進め方が多いものですから、あまりあなたが悩んでいるようですと、あなたを説得して離婚で決着させてくる危険性が高まったしまうのです。

 そのため、仮に、内心悩んでいるとしても、少なくとも、調停の場では、表情や言葉に表さないよう注意する必要があります。

 

 

6.まとめ


・絶対に離婚したくないと思いながらも、心の奥底では、離婚した方が良いのかもしれないと思う方は相当数いる。
・離婚に応じるイコール何もなかったかのように離婚の手続きが進んでいくということなので、注意が必要である
・「今後後悔しない」というところまで意思が固まったときに離婚に応じれば良い

・まだ小さいお子さんがいるので、今後のお子さんの人生のことも考え、離婚に応じるかはじっくり考えたほうが良い。
・節目は離婚調停開始のタイミングと離婚調停終了のタイミングである

・調停の席では、悩んでいる姿を見せないよう注意が必要である

 

 

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