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突如調停の相手方にされてしまった方へ-【調停テクニック7】調停委員はどこまで離婚を勧めてくるか?

2020.03.30更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。>「理不尽な離婚に対してNO!」旦那様側の夫婦関係総合サイトはこちら<になります。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.そもそも、調停委員ってどんな人がなるの?


 

 調停が始まると、調停室には男性1名、女性1名の調停委員が座っていて、色々と話を聞いてくれたり、相手の話を伝言してくれるのですが、その調停委員はどんな人なのかは気になるところです。

 調停委員のなり手としては、弁護士や司法書士、鑑定士、大学教授、元書記官、上場企業の元役員や元部長等々様々です。このように必ずしも家事事件の専門知識を有していない方が調停委員になることもありますので、細かな法律問題についてまではよく分からないという方もいらっしゃるのが現実です。ただ、基本的な調停の進め方や基本的な法律問題の知識は皆様お持ちですし、詳しい法律問題については裁判官の意見を聴くことが多いため、このような形でフォローされることが多いです。

 

 

2.調停委員はどこまで離婚を勧めてくるか


 

 これは調停委員の方の個性が出る部分でもありますので、一概には申し上げられないのですが、強烈に離婚を勧めてくる調停委員がいるのも事実です。調停委員によっては、こちらのことを「女の敵」と言わんばかりに責め立ててくる調停委員もおりまして、対応に難儀することもあります(ただ、ここまで極端な対応をしてくる調停委員はごく少数ですが)。

 ここまで極端に離婚を勧めてこないまでも、大半の調停委員は離婚方向で話を進めたがる傾向が強いです。そもそも、離婚調停では、(夫婦円満ではなく)離婚で調停がまとまるケースが多いため、このような傾向が強まることはある程度致し方ない面があります。

 

 

3.このような調停委員への対応方法は?


 

 一番の効果的な対処方法は、「離婚には応じられない」というしっかりとした意思と言葉を持って返答し続けることです。こちらが離婚すべきか悩んでいる姿勢を見せてしまいますと、調停委員の議論に巻き込まれてしまいますので、悩んでいる姿勢を一切見せないと言うことが一番大切になります。

 このようにこちらの一貫した姿勢を見せていると、調停委員も第2回調停期日以降は大きくトーンダウンするというケースも多いです。

 

 

4.調停委員はどこまで離婚理由を話してくれるか?


 

 先ほど解説したような調停委員とは全く正反対で、調整型に徹する調停委員もいます。要するに、奥様の方からはかなり詳しい離婚理由等について尋ねているのに、その詳しい内容をこちらにあまり教えてくれない調停委員と言うことです。

 調停委員があまり詳しいことを語ろうとしない理由としては、①あまり詳細な離婚理由を伝えてしまいますと、こちらが感情的になってしまうと危惧している、②あまり詳細な離婚理由を伝えてしまいますと、こちらの言い分を全く信用していないといった不信感を招くおそれがあるといったことが考えられます。

 

 いずれにしましても、このような調整型の調停委員の場合には、大抵、こちらの言い分は親身に聞いてくれるのですが、こちらの言葉が調停委員の心に響いていないことも多いため、注意が必要です。

 このような調整型の調停委員を相手にする場合、親身に話を聞いてくれるため、こちらの感情を話しがちなのですが、そうではなく、過去にあった具体的事実について話をした方が効果的なことが多いです。

 

 

5.調停委員が注目しているかどうかはメモを取るかどうかで判断できる


 

 調停委員によってはほとんどメモを取らない調停委員もいるのですが、大体の調停委員は、こちらの言い分を詳しくメモすることが多いです。

 ただ、調停を重ねていくと、これまでと重複した話やこちらの感情に関わる話は段々と調停委員もメモを取らなくなっていきます。

 こちらの話を親身に聞いてくれるからと思って色々と話をしても、調停委員がほとんどメモしていないという場合には、調停委員は「あまり新しい話は出ていない」とか「今回の問題を解決するに当たって参考にならない」と考えている可能性がありますので、注意が必要です。

 

 

6.まとめ


・調停委員は色々な有識者がなる。

・ごく少数ではあるが、調停委員によっては強烈に離婚を勧めてくる調停委員もいる。

・いずれにせよ、離婚に応じたくないのであれば、離婚に応じないとはっきりと発言することが最重要である。

・調整型の調停委員だと奥様の離婚理由等の詳細を語ってくれないことも多いので注意が必要である。

・調停委員の関心の高さは、メモの量で分かることも多い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

【夫が被害者のDV・モラハラ】夫側は親権を獲得できるか

2020.03.16更新

弁護士秦

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1.逆DV・モラハラのケースでの親権獲得の重要判断要素とは?


 

 インターネットで検索などすると、親権獲得の判断要素として様々な事情が書かれており、逆に、どのような事情が重視されやすいのか、特に逆DVのケースだとどのように判断されるのかがかえって分かりにくいということも多いと思います。

 私の経験上、逆DV・モラハラ(奥様が旦那様へ暴力・モラハラをするようなケース)において親権獲得で重視されるポイントは、①これまでの監護実績、②現在の監護状況、③お子様への虐待の有無・程度、④お子様の意思(但し、お子様の年齢による)ではないかと思います。

 今回は、逆DV・モラハラ離婚のケースに絞って、旦那様側での親権獲得の可能性等について解説していきます。

 

 

2.一番の鍵はお子様への直接の虐待の有無


 

(1)どうしてお子様への直接の虐待有無がキーポイントになるのか

 逆DV・モラハラ離婚のケースで、親権獲得に当たっての重要な判断要素は前述の通り大まかに4項目があるのですが、特に旦那様側で親権獲得を目指す場合、一番の鍵はお子様への直接の虐待の有無ではないかと思います。

 他の判断要素については後述にて詳しく解説いたしますが、奥様がお子様に対して直接の児童虐待を行ってきたということになりますと、端的に奥様が不適格であることを証明できるからです。

 特に奥様が継続的にお子様に対して暴力を振るい続けてきたというケースですと、これまでの監護実績等以上に、お子様の身の安全という観点から検討が行われますので、こちらがかなり有利になります。

 

(2)具体的にはどのような内容のものが必要か

児童虐待の定義は広く、面前DV等も児童虐待の範疇に含まれます。ただ、親権獲得に大きく影響を与える事情としては、奥様からお子様に対して直接の暴力があること(暴言のみだと正直に申しますと厳しい面があります)、その態様が頻度から見て悪質と言えるケースであることが重要なポイントになります。

 親権獲得への影響度を考慮するに当たっては、以下の事情も参考にして下さい。

・お子様への暴力の頻度や回数
・お子様へ暴力を振るってきた期間
・お子様への暴力の内容・程度
・お子様に向けての凶器使用の有無
・お子様が負った怪我の程度
・暴力を振るうシチュエーション(飲酒すると暴力してくるとか)
・DV妻の気質や疾患の有無(特に、精神疾患等を抱えていないか)

 

(3)DVの内容がお子様に向けられたものであること

 ケースによっては、旦那様に対するDVはあるが、お子様へのDVが無いというケースもあります。このようなケースでは、旦那様へのDVがかなり苛酷な内容の場合には、親権獲得に影響を及ぼす場合もありますが、そうではない場合には、「旦那様への暴力」と「お子様への暴力」は別物と捉える裁判官が多いです。

 そのため、お子様への直接の暴力の有無という点が重要なポイントになります。

 

(4)証拠の有無が非常に重要

 奥様の暴力についてこちらが主張しても、奥様側は暴力を否定してくることが多いため、しっかりとした証拠があるかどうかは、重要なポイントになります。

 例えば、お子様が怪我をした診断書や怪我の箇所を撮影した写真の有無は非常に重要なポイントになります。

 

 

3.これまでの監護実績


 

 先ほどご説明しましたとおり、奥様がお子様に対して頻繁に直接の暴力を振るっており、その証拠もあるという場合には、そのことが決定的な要素となって親権を獲得できるケースが多いと思います。

 ただ、暴力はあったけれども、怪我をするほどのものではなかったとか、暴力の端的な証拠が乏しいというようなときには、児童虐待のみが親権獲得の決定的な要素とまではならないこともあります。

 

 そのような場合には、前述した他の3つの判断要素についても重要な判断ポイントになります。

 

 これまでの監護実績という場合には、要するにお子様の身の回りの世話をどの程度実行してきたかということになります。旦那様側ですと、週末お子様と一緒に遊ぶことが多かったということをおっしゃる方も多いのですが、そのような遊びの中でお子様の躾を行ってきたという場合には、その範囲で影響を及ぼしますが、イメージとしましては「どの程度身の回りの世話をしてきたか」が重要なポイントになります。

 ポイントとしましてはお子様の衣食住にどの程度関わってきたかという視点で考慮されることが多いです。要するに、①「衣」とは、お子様の普段着るものや身につけるものを誰が購入し準備していたか(これには学校・保育園の制服や学校用品等の準備も含む)、小さいお子様だと普段のお着替えやおむつ替えは誰が行っていたのか等のことを指し、②「食」は普段のお子様の食事の支度を誰がしていたのか、小さいお子様だと授乳やミルク上げを含むことになります。③「住」はお住まいの賃貸名義が誰かという話ではなく、普段の躾や教育を誰が行っていたのかという問題です。

 

 過去の監護実績についてはご夫婦で主張が大きく対立することも多いので、保育園の連絡帳の記載内容等が重要な判断証拠になることも多いです(要するに保育園の連絡帳を夫婦のどちらが記入し、どのような記入がなされているか)。

残念ながら、旦那様が勤め人で、奥様が専業主婦という場合には、奥様がメインで監護を行っていることが多く、その意味ではこちらが不利に働くケースの方が多いのではないかと思います。

 

 

4.現在の監護状況


 

 現在の監護状況については、家庭裁判所調査官が自宅訪問を実施することになりますので、自宅訪問での様子次第ということになります。

 自宅訪問日は予め相手に伝えてしまいますので、相手も準備した上で自宅訪問に臨むのですが、家庭裁判所調査官はこの手の調査の専門家なので、訪問時に気付く点も多いです。

 いずれにせよこれまでの同居生活中奥様の家事不行き届き、育児不行き届きが顕著な場合には、自宅訪問時にこの部分は注目して見て欲しいといった点をこちらからも予め調査官にしっかりと伝えておく必要があります。

 

 

5.お子様の意思


 

 お子様が15歳以上の場合、裁判所はお子様の意向を確認しなければならない義務があり、そこでお子様の意向が重視されることになります。

 また、15歳になっていなくとも10歳以上の場合には通常はお子様の意向を確認し、その意向が親権獲得に影響することが多いです。

 

 

6.こちらの経済力


 

 特に旦那様のみが働いて、奥様が専業主婦という場合、経済力という面では、旦那様の方が有利であることは間違いがありません。

ただ、このような経済力は残念ながら親権獲得の要素としてはあまり重視されません。

 もちろん奥様にあまりに経済力が低く、お子様を育てていくことが到底できない状況だという場合であれば別ですが、そうでなければ、最悪、生活保護を受けて生活が成り立っているという場合であっても、それでも親権は獲得できます。

 そのため、こちらの経済力の優位性は、あまり真剣獲得の優位性には結びつかないことの方が多いです。

 

 

7.まとめ


・逆DVの親権争いのケースでは、奥様のお子様への直接暴力の有無が重要な鍵を握る。

・暴力の内容として直接暴力であり、かつ悪質なものであると親権争いにて決定的な要素になる可能性が高い。

・暴力については診断書や写真等で証明できるかどうかが重要なポイントになる。

・暴力とはお子様への暴力であって旦那様への暴力とは区別して見極められることが多い。

・DVが直接の決定的要素にならないケースでは、①これまでの監護実績、②現在の監護状況、③お子様の意向等を考慮して親権が決まる。

・経済力はあまり有利な要素にはならない。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

面会交流実現を主目的とする監護者指定の有効性

2020.03.09更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

 

1.残念ながら、迅速に面会交流を強行する手段がないというのが現実


 

 旦那様側が納得行かないと思われるケースの大半は、奥様側がお子様を連れ去って無断別居を開始したケースかと思います。

 このようなケースでは、奥様が正確にどこに暮らしているのかすら分からないと言うことも多く、勝手な連れ去りへの憤りを強めることもやむを得ないと思います。

 他方で、現実にお子様を引き取って自宅で育てられるかというと仕事が多忙で現実的ではないというケースもあろうかと思います。

 

 そういった場合、自身の手でお子様を育てていくことが難しい以上、本来の手続は、監護者指定ではなく、面会交流と言うことになろうかと思います。

 しかし、面会交流の問題は最終的には面会交流審判という手段が用意されてはいるものの、即効性のある手続は存在しないのが実情です。

 即ち、正攻法で面会交流を求めていく場合、まずは、面会交流調停を起こし、同調停が不成立になった場合に、ようやく審判手続きを踏むことができることになりますので、一般的に時間がかかります。

 

 

2.ややこしい手続は抜きにして勝手に会いに行くというのはオススメできない。


 

 たまにご相談にお越しになる方の中には「ややこしい手続は抜きにして、子供が通っている学校は分かっているんだから、直接会いに行かせて欲しい」ということをおっしゃる方もいます。

 確かに、あなたとしては、奥様に連れ去り別居を勝手にされているのですから、それに対抗するためには、多少の強硬手段も許されると考えるのも致し方ないと思います。

 しかし、このような行動に出てしまいますと、奥様側は警察に110番通報するケースが多く、学校などに警察が訪れる事態に発展しますと、お子様にとっても重大な悪影響を及ぼしかねません。

 

 また、日本は法治国家ですので、法律の手続等を無視した行動は、今後の面会交流調停等の手続でもこちらにかなり不利に働いてしまいます。

 そのため、直接会いに行くといった強硬手段は弁護士としては決してオススメできません。

 

 

3.監護者指定手続の活用の可能性


 

(1)監護者指定手続は面会交流実現の即効薬になるか?

 以上のように面会交流を実現する即効薬がないため、その実現の即効薬として監護者指定事件を活用したいとおっしゃる方が出てくるのです。

 確かに、監護者指定審判事件においては、明確な理由もなく面会交流を拒否し続けますと、そのことは、監護者指定にあたって不利に働きますので、一般的に、奥様側に面会交流を促す効果があるといわれています。

 しかしながら、私は弁護士の立場から言いますと、監護者指定手続を面会交流実現の手段として利用することには基本的に反対です。

 

(2)あくまで「促す」ものでしかない。

 前述の通り、奥様側が明確な理由もなく面会交流を拒否し続けますと、裁判所側は、①お子様が父親と接して父親の愛情を受ける機会を奪っているとか、②夫婦の対立感情を面会交流の問題にも持ち出しているといった考え方をすることが多いです。

 しかしながら、奥様のこれまでの監護実績等がかなり優れているというような場合には、面会交流を拒否しているということは一つの不利な事情にはなるでしょうが、決定的に不利な事情にまではなりません。

 あくまで面会交流を促す事情にはなり得ても、「決定的な」事情にはなり得ないのです。

 

(3)奥様の感情を刺激する危険性

 監護者指定事件を起こしますと、こちら側は、①旦那様サイドもしっかりと育児に取り組んできたことや、ときには②奥様の躾の行き過ぎやお子様への暴言等の問題も指摘していかなければならなくなります。

 このようにして監護者指定の事件での対立が激化しますと、奥様側はより一層態度を頑なにしてしまうリスクもあります。

  そうしますと、より一層奥様側は面会交流絶対拒否の姿勢を示す危険性があります。

 

(4)現状のお子様の状況が分からないことのリスク

 確かに、これまでのあなたのお子様との接し方からしますと、お子様はお父さんであるあなたに会いたいと言ってくるだろうと思うのは当然のことだと思います。

 しかしながら、お子様は慣れない別居生活で様々な感情を抱えながら生活していますので、お子様が監護者指定事件の中でどのような意思を示すか図りかねるケースも多くあります。

 特に別居し手間がない時期は、苦しんでいるお母さんのためにも、自分の発言でお母さんを困らせてはいけないと考えて、敢えて頑なに「お父さんには絶対会いたくない」とおっしゃるお子様もいるのです。

 

(5)お子様にも負担をかける手続であること

 前述の通り、お子様は慣れない別居生活を送りながら学校に通うなどして普段の生活をこなしていかなければならないため、そのこと自体でも負担を感じていることも多いです。

 しかし、監護者指定事件は、お子様の年齢によってはその意向確認がなされますし、そうでなくとも、必ず一度は調査官がお子様と会ってその様子の確認等を実施しますので、お子様の負担抜きで手続を進めていくことは不可能です。

 そして、お子様の意向調査を実施する場合には、家庭裁判所にてお子様と調査官がマンツーマンで話を聞くという作業になりますので、お子様の負担は大きいことが多いです。

 そうしますと、お子様のためを思って申し立てた手続が、返ってお子様の負担を増やすというリスクを含んでいるのです。

 

 

4.まとめ


・残念ながら、面会交流を即効的に実現する法律的手段は存在しない。

・以下の理由から、弁護士としては、面会交流実現のための監護者指定申立はオススメしない。

1)監護者指定事件の存在は相手に面会交流を促す効果はあるが決定的ではない。

2)逆に一層奥様側の反発心を強めるリスクがある。

3)現状のお子様の様子が分からない中で手続を進める不確定要素がある。

4)この手続は、お子様にも負担をかける手続である。

 

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