【夫が被害者のDV・モラハラ】夫側は親権を獲得できるか
2020.03.16更新
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1.逆DV・モラハラのケースでの親権獲得の重要判断要素とは?
インターネットで検索などすると、親権獲得の判断要素として様々な事情が書かれており、逆に、どのような事情が重視されやすいのか、特に逆DVのケースだとどのように判断されるのかがかえって分かりにくいということも多いと思います。
私の経験上、逆DV・モラハラ(奥様が旦那様へ暴力・モラハラをするようなケース)において親権獲得で重視されるポイントは、①これまでの監護実績、②現在の監護状況、③お子様への虐待の有無・程度、④お子様の意思(但し、お子様の年齢による)ではないかと思います。
今回は、逆DV・モラハラ離婚のケースに絞って、旦那様側での親権獲得の可能性等について解説していきます。
2.一番の鍵はお子様への直接の虐待の有無
(1)どうしてお子様への直接の虐待有無がキーポイントになるのか
逆DV・モラハラ離婚のケースで、親権獲得に当たっての重要な判断要素は前述の通り大まかに4項目があるのですが、特に旦那様側で親権獲得を目指す場合、一番の鍵はお子様への直接の虐待の有無ではないかと思います。
他の判断要素については後述にて詳しく解説いたしますが、奥様がお子様に対して直接の児童虐待を行ってきたということになりますと、端的に奥様が不適格であることを証明できるからです。
特に奥様が継続的にお子様に対して暴力を振るい続けてきたというケースですと、これまでの監護実績等以上に、お子様の身の安全という観点から検討が行われますので、こちらがかなり有利になります。
(2)具体的にはどのような内容のものが必要か
児童虐待の定義は広く、面前DV等も児童虐待の範疇に含まれます。ただ、親権獲得に大きく影響を与える事情としては、奥様からお子様に対して直接の暴力があること(暴言のみだと正直に申しますと厳しい面があります)、その態様が頻度から見て悪質と言えるケースであることが重要なポイントになります。
親権獲得への影響度を考慮するに当たっては、以下の事情も参考にして下さい。
・お子様への暴力の頻度や回数
・お子様へ暴力を振るってきた期間
・お子様への暴力の内容・程度
・お子様に向けての凶器使用の有無
・お子様が負った怪我の程度
・暴力を振るうシチュエーション(飲酒すると暴力してくるとか)
・DV妻の気質や疾患の有無(特に、精神疾患等を抱えていないか)
(3)DVの内容がお子様に向けられたものであること
ケースによっては、旦那様に対するDVはあるが、お子様へのDVが無いというケースもあります。このようなケースでは、旦那様へのDVがかなり苛酷な内容の場合には、親権獲得に影響を及ぼす場合もありますが、そうではない場合には、「旦那様への暴力」と「お子様への暴力」は別物と捉える裁判官が多いです。
そのため、お子様への直接の暴力の有無という点が重要なポイントになります。
(4)証拠の有無が非常に重要
奥様の暴力についてこちらが主張しても、奥様側は暴力を否定してくることが多いため、しっかりとした証拠があるかどうかは、重要なポイントになります。
例えば、お子様が怪我をした診断書や怪我の箇所を撮影した写真の有無は非常に重要なポイントになります。
3.これまでの監護実績
先ほどご説明しましたとおり、奥様がお子様に対して頻繁に直接の暴力を振るっており、その証拠もあるという場合には、そのことが決定的な要素となって親権を獲得できるケースが多いと思います。
ただ、暴力はあったけれども、怪我をするほどのものではなかったとか、暴力の端的な証拠が乏しいというようなときには、児童虐待のみが親権獲得の決定的な要素とまではならないこともあります。
そのような場合には、前述した他の3つの判断要素についても重要な判断ポイントになります。
これまでの監護実績という場合には、要するにお子様の身の回りの世話をどの程度実行してきたかということになります。旦那様側ですと、週末お子様と一緒に遊ぶことが多かったということをおっしゃる方も多いのですが、そのような遊びの中でお子様の躾を行ってきたという場合には、その範囲で影響を及ぼしますが、イメージとしましては「どの程度身の回りの世話をしてきたか」が重要なポイントになります。
ポイントとしましてはお子様の衣食住にどの程度関わってきたかという視点で考慮されることが多いです。要するに、①「衣」とは、お子様の普段着るものや身につけるものを誰が購入し準備していたか(これには学校・保育園の制服や学校用品等の準備も含む)、小さいお子様だと普段のお着替えやおむつ替えは誰が行っていたのか等のことを指し、②「食」は普段のお子様の食事の支度を誰がしていたのか、小さいお子様だと授乳やミルク上げを含むことになります。③「住」はお住まいの賃貸名義が誰かという話ではなく、普段の躾や教育を誰が行っていたのかという問題です。
過去の監護実績についてはご夫婦で主張が大きく対立することも多いので、保育園の連絡帳の記載内容等が重要な判断証拠になることも多いです(要するに保育園の連絡帳を夫婦のどちらが記入し、どのような記入がなされているか)。
残念ながら、旦那様が勤め人で、奥様が専業主婦という場合には、奥様がメインで監護を行っていることが多く、その意味ではこちらが不利に働くケースの方が多いのではないかと思います。
4.現在の監護状況
現在の監護状況については、家庭裁判所調査官が自宅訪問を実施することになりますので、自宅訪問での様子次第ということになります。
自宅訪問日は予め相手に伝えてしまいますので、相手も準備した上で自宅訪問に臨むのですが、家庭裁判所調査官はこの手の調査の専門家なので、訪問時に気付く点も多いです。
いずれにせよこれまでの同居生活中奥様の家事不行き届き、育児不行き届きが顕著な場合には、自宅訪問時にこの部分は注目して見て欲しいといった点をこちらからも予め調査官にしっかりと伝えておく必要があります。
5.お子様の意思
お子様が15歳以上の場合、裁判所はお子様の意向を確認しなければならない義務があり、そこでお子様の意向が重視されることになります。
また、15歳になっていなくとも10歳以上の場合には通常はお子様の意向を確認し、その意向が親権獲得に影響することが多いです。
6.こちらの経済力
特に旦那様のみが働いて、奥様が専業主婦という場合、経済力という面では、旦那様の方が有利であることは間違いがありません。
ただ、このような経済力は残念ながら親権獲得の要素としてはあまり重視されません。
もちろん奥様にあまりに経済力が低く、お子様を育てていくことが到底できない状況だという場合であれば別ですが、そうでなければ、最悪、生活保護を受けて生活が成り立っているという場合であっても、それでも親権は獲得できます。
そのため、こちらの経済力の優位性は、あまり真剣獲得の優位性には結びつかないことの方が多いです。
7.まとめ
・逆DVの親権争いのケースでは、奥様のお子様への直接暴力の有無が重要な鍵を握る。
・暴力の内容として直接暴力であり、かつ悪質なものであると親権争いにて決定的な要素になる可能性が高い。
・暴力については診断書や写真等で証明できるかどうかが重要なポイントになる。
・暴力とはお子様への暴力であって旦那様への暴力とは区別して見極められることが多い。
・DVが直接の決定的要素にならないケースでは、①これまでの監護実績、②現在の監護状況、③お子様の意向等を考慮して親権が決まる。
・経済力はあまり有利な要素にはならない。
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