別居の合意書って何だ?
2018.04.13更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「本当に分かりやすい詳しいブログ解説」を目指して、解説していきます。
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1.別居にあたっては極力旦那の了解も得ておいた方が良い。
別居にあたっては極力旦那の了解も得ておいた方が良いと言われており、私自身も可能であれば、その方が良いと考えております。
その方が、相手の無用の反発を抑えられるからです。もちろん、相手が日常的にDV暴力をふるう人物であったり、モラハラ行為に及ぶ場合には、相手を刺激しないように、敢えて別居を事前に伝えない方が良いというケースもあります。
それでは、極力別居を相手に伝えた方が良いとして、どこまでを伝え、どこまでを合意しておいた方が良いのでしょうか。
そもそも、あなたが離婚を強くしているケースと、あなたがヨリを戻す可能性も考えているケースとでは、状況が異なりますので、以下では場合分けして解説します。
2.一時的な別居ではなく、離婚を強く決意している場合
(1)離婚を強く決意している場合、別居の合意書は作らない方が良い。
あなたが別居を決断するにあたって、「もう旦那とやっていくことはできない」と強く決意している場合には、別居の合意書等は作成すべきではないと思います。
なぜなら、別居の合意書というのは、相手に反省を促し、その様子によっては、あなたが自宅に戻ることを前提にしているからです。「自宅に戻る」という選択肢がほとんどないのに、別居の合意書を作成してしまいますと、混乱のもとになると思います。
なお、「別居の合意書」というと、別居するについて「旦那の許しを得たという証明書」のように誤解する方もいますが、これらは全くの別物です。「別居の合意書」というものは、夫婦で一定の冷却期間を置くことを前提に、冷却期間の間の約束事を決める書類なのです。
その様な意味での「別居の合意書」を作成することは、あなたが離婚を決意している場合には有益でないばかりか、有害になる場合もあります。
(2)旦那さんの事前了解を得るという問題は別問題
繰り返しの説明になりますが、あなたが強く離婚を決意していても、別居の前に旦那さんに別居したい旨を伝え、そのことについての旦那さんの了解を得ておいた方が無難であることは変わりありません(「別居の合意書」という書類は作らず、口頭で了解を得ておくと言うことです)。
ちなみに、旦那さんの了解を得る場合、復縁に期待を持たせないようにする必要があります。基本的には、あなたが一緒に生活していくことに強い苦痛を感じていることと、そのため、別居を決意したので了解して欲しいという内容を伝えるようにして下さい。
3.一定の冷却期間を設ける意味で別居の合意書を活用する場合
あなた自身離婚すると決めかねていて、相手の今後の態度次第ではヨリを戻す余地があるという場合には、別居の合意書を作成した方が良いかもしれません。
それでは、別居の合意書にはどのようなことを記載するのでしょうか。
別居の合意書は大まかに以下のようなブロックごとに事情を記載することが多いです。
①別居の経緯についての相互確認の条項
②別居期間に関する条項
③別居中の生活費に関する条項
④別居中の面会交流に関する条項
⑤別居中の誓約事項に関する条項
⑥ペナルティーに関する条項
⑦別居中の荷物に関する条項
以下詳しく解説していきます。
4.(その1)別居経緯についての相互確認の条項
あなたが別居を決意するにあたっては、何らかの大きなトラブルを原因とすることが多いと思いますので、その様なトラブルの内容を記載することになります。
例えば、旦那さんがアルコール依存で、大声を上げて怒鳴りつけてきたということが別居の原因の場合には、その旨を記載し、別居原因について夫婦の共通認識を持つことになります。
5.(その2)別居期間に関する条項
夫婦の冷却期間としてどの程度の期間を置くのかについては夫婦の共通認識を持っておく必要があります。
冷静に夫婦関係を見つめ直したいあなたにとっては、相当期間の別居期間を置きたいと考えるでしょうが、旦那さんは「そんなに長い期間別居するのは許容できない」と考える場合もあります。
そのため、別居期間が長いと感じるか短いと感じるかは人によって異なりますので、認識の相違がないようにしておいた方が良いと思います。
なお、あなたの別居が、今回が初めてという場合には、1か月という短期間とすることもあり得ますし、2,3か月程度とすることでも良いのではないかと思います。最終的には、別居期間は、別居の発端として夫婦間でどのような出来事があったのかに応じて決定すべきかと思います。
なお、別居期間は、「○月○日まで」と断定的に定めずに、「○か月程度」と含みを残しておいた方が、多少柔軟性を持たせることが出来るかもしれません。
6.(その3)別居中の生活費に関する条項
月々いくら生活費を支払うのかという条項で、あなたにとっては一番大切な条項になるのではないかと思います。
月々の支払額も重要ですが、毎月何日までに支払うのか、という点や振込先口座も明記しておくと安心です。
7.(その4)面会交流に関する条項
お子さんを旦那さんに会わせる頻度等について定める条項になります。あまり頻繁に面会交流を認めますと、せっかく別居をスタートした意味が薄れてしまいますので、それほど頻度は多くない方が良いと思います。
別居期間の長さにもよりますが、多くても月2回程度ではないかと思います。もちろん、お子さんが旦那さんと会うことを強く希望しているというような場合にはもっと頻度を増やしても良いかもしれませんし、逆に、お子さんがあまり会いたがっていないという場合には、「月1回程度」や「2ヶ月に1回程度」でも良いかと思います。
なお、面会交流に関する条項には、頻度だけではなく、面会交流にあたっての注意事項を明記すべき場合もありますので(例えば旦那さんのご両親との面会は控えて欲しいとか)、ご留意下さい。
8.(その5)別居中の誓約事項に関する条項
別居中相手に守って欲しい約束事を記載する条項になります。
前述のように相手がアルコール依存症という場合には、飲酒量を明記して、それ以上飲酒しないことを約束してもらったり、酔った勢いで、あなたの実家に押しかけてこないこと、あなたに頻繁な電話等をしないことを約束してもらうケースもあるかと思います。
このような誓約事項に関しては、これまでの共同生活の中で、あなたの方で気になる点、相手に直して欲しい点を書き込むことになります。
9.(その6)ペナルティーに関する条項
ここでは、上記の誓約事項に違反した場合のペナルティーを記載することになります。例えば前述の旦那さんのアルコール依存症につき強い不安がある場合には、「別居中依存症状と認められる行動があった場合には、離婚に同意する」といった強めの表現をすることもあります。
なお「離婚に同意する」と記載されておりましても、実際相手が違反行為をしたからといって当然に離婚できるわけではありません。離婚というのはあなた達夫婦を他人にしてしまう重要な行為になりますので、相手が納得して離婚する意思がない限り、離婚することはできません。ただ、このように「離婚に同意する」と書いておけば、相手に対するそれなりの牽制効果を期待できるのではないかと思います。
10.(その7)別居中の荷物に関する条項
別居の性質が冷却期間を置くものである場合、大がかりな荷物の搬出はしないことの方が多いと思います。
そのため、別居中荷物を取りに自宅に入ったりしないことを明記することもあります。
逆に、自宅に残した荷物を旦那さんが勝手に処分しないよう約束してもらう場合もあります。
11.まとめ
・別居の合意書は、基本的に復縁の余地もある場合に作成する。
・離婚の決意が固い場合には、別居の合意書は作るべきではない。
・別居にあたって事前に旦那の了解を得るべきと言うことと、別居の合意書とは別の問題なので注意が必要である。
・別居の合意書には、別居中の生活費やお子様との面会交流などを記載する。
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