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モラハラ・DV妻との別居準備(7)―子供のことはどうすれば良いか | 雨宮眞也法律事務所

Q&A

モラハラ・DV妻との別居準備(7)―子供のことはどうすれば良いか

2022.07.25更新

弁護士秦 

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

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1.子供と一緒に自宅を出ることはアリなのか?


 モラハラ・DV妻との生活が限界だとしても、子どもを置いて別居することには強い抵抗があるという方も多いと思います。
 それでは、お子様と一緒に別居することは法律上問題ないのでしょうか。
 もちろん、奥様と冷静な話し合いができて、奥様のしっかりとした同意を得られるようでしたら、お子様と一緒に別居することは問題ありません。
 ただ、相手がモラハラ・DV妻のため、簡単に同意することは期待できないと思いますので、その場合にどうするのかが大きな問題になります。

 

 

2.非常に残念なことに男性側は非常に不利


もちろんモラハラ・DV妻側の了解を得ていなかったとしても、そのことだけで、違法な連れ去りになるということではありません。
しかし、女性側では比較的容易に許容されるのに、男性側と言うだけで、連れ去りの違法性の審査が厳格になっているというのが日本の裁判所の実務の実態と言えます(非常に残念なことですが)。

そのため、モラハラ・DV妻の同意を得ずにお子様と別居したことが「違法な連れ去り」に該当しないためには、厳しい条件を満たす必要があります。

 具体的には以下の視点で検討が行われることが多いです。

1)【違法な連れ去りと言われないためのポイント1】モラハラ・DV妻の子供への攻撃の内容
 私のところにご相談に来られる方は、「妻は、子供の前で私のことを馬鹿にしたり、私の悪口を子供に聞かせているので、これは心理的虐待だと思います」とか「子どもの前で、私は妻から殴る蹴るの暴力を振るわれました。これって面前DVですよね?」といったお話をされる方も多いです。
 確かに、これらの行為は、児童虐待防止法上は「児童虐待」に該当し得る行為なのですが、「違法な連れ去り」と言われないためには、あなた自身への攻撃というよりも、お子様へどのような攻撃が加えられてきたのかという視点の方が非常に重要です。

 もちろん、モラハラ・DV妻がお子様に強い暴力を振るって大怪我をしたといったケースですと、お子様の身を守るためにも別居しなければならないということになると思いますが、妻から子供に対する攻撃が言葉の暴力で、そこまで極端なものではないといったケースですと、その点だけで「適法な連れ去り」と認めてもらうことは難しいこともあると思います。

 
2)【違法な連れ去りと言われないためのポイント2】連れ去り態様
 お子様と一緒に別居することを余儀なくされたとしても、その態様によっては、お子様の心情をひどく害してしまうというケースもありますので、違法な連れ去りかどうかの重要なポイントの一つが、その「態様」ということになります。
 「態様」というのは、分かりやすく言いますと、「連れ去り方」の問題です。
 例えば、大型のバンの後部座席に無理矢理お子様を軟禁するかのような態様で連れ去るケースだとか、保育園の保育士さんの全く目が届かないところで、勝手に園庭に侵入して連れ去ると言ったケースですと、態様そのものが違法な態様といえますので、違法な連れ去りと認定されるケースが多いかと思います。

3)【違法な連れ去りと言われないためのポイント3】お子様の意思
 ここでのお子様の意思というのは、別居に対してのお子様の意思と言うことになります。
 あなたが別居を余儀なくされた側だとしても、そのことにお子様が納得しないケースもあると思いますし、ある程度の年頃のお子様ですと、明確に別居に反対したり、自宅に残るという意思表示をするケースもあると思います。
 このようなお子様の意思に反して別居を始める場合、違法な連れ去りと認定されるおそれがあります。
 なお、まだ年齢が小さい子は、自身の置かれている状況等をしっかりと把握できていないケースも多いので、お子様の意思の確認は6,7歳以上を一つの目安として確認することが多いと思います。

4)【違法な連れ去りと言われないためのポイント4】それまでの監護状況
 同居生活中の監護状況は、違法な連れ去りかどうかの判断にも大きな影響を及ぼします。
 前述の通り、お子様が10歳以上の年齢の場合には、一般的にお子様の意思や別居時の様子についてお子様から直接話を聞くことができますが、お子様の年齢がまだ小さい場合には、お子様の意思確認をすることはあまり期待できません。
 そのため、同居中、ご夫婦のうちどちらがどの程度お子様に関わってきたのか、育児をどの程度分担してきたのかという点が重視されるのです(「継続性の原則」と呼ばれることもありますが、これまで育児を担ってきた親が引き続き育児に携わることが子供の健全な成長にとっては良いという考え方です)。

5)結局は様々な要素の総合判断になる。
 前述のモラハラ・DV妻からお子様への攻撃のように、お子様が大怪我をさせられたような極端な例であればともかく、一般的には、「妻からの攻撃内容だけからは適法な連れ去りという捉え方は難しいとしても、お子様の意思やこれまでの監護実績なども総合して、結果的にあなたがお子様の一緒に別居したことは正当なものだと評価できる」というように、上記のような要素を総合的に考慮して結論が導かれることが多いです。
 そして、「違法な連れ去り」か「適法な連れ去り」なのかについては夫婦の間で激しい対立になることも多く、その場合には、お互いの言い分というよりも、言い分の裏付けがどの程度あるのかという点が勝負の鍵になります(要するに「お子様が大怪我させられたことがある」という言い分のみでは効果が薄く、その時お子様が病院を受診した際の診断書などを裏付けとして提出する必要があるという意味です)

 

4.できる限り「事前に」弁護士に相談してみた方が良い


非常に残念なお話なのですが、妻側が勝手に子供を連れ去る分には、「違法な連れ去りではない」と言われてしまうケースが多いのに、同じことを夫側が実行すると「違法な連れ去り」と言われてしまうことは多いです。
また、前述のように、お子様と一緒に別居することが可能かどうかは様々な要素の総合判断となるケースが多く、インターネット等で得た知識だけでは見極めが難しいことが多いです。
そのため、無料相談でも良いので、特にお子様の監護権等について詳しい弁護士に「事前に」相談をして、あなたがお子様と一緒に別居することにどのくらいのリスクがあるのか、ある程度の見込みを事前に立てておいた方が良いと思います。なお、その際には、女性側で離婚問題を取り扱う件数が多い弁護士ではなく、男性側での取り扱いも多い弁護士に相談した方が良いと思います。

5.苦渋の決断を迫られるケースも多い


 前述のように弁護士からの意見ももらった場合には、その意見も考慮に入れた上で今後の動き方を検討していくことになります。
 ただ、残念ですが、男性側の壁は高いことが多いので、お子様と一緒に別居するリスクが高いというケースでは、「妻とは一緒に暮らしたくありませんが、子供のことは溺愛しているので、子供と離れ離れになるくらいなら、別居を一旦取りやめます。」とおっしゃる方もいます。
 もちろん、妻からのモラハラやDVが激しい場合、自分を犠牲にして別居を断念するということは、弁護士としておススメできる話ではないのですが、他方で、お子様に対する思い入れも強い場合には、苦渋の決断を迫られるケースも多いのが事実です。

 

6.まとめ


・お子様と一緒に別居する場合、非常に残念なことに男性側の方が不利である。
・違法な連れ去りに該当するかは以下のような要素を総合して判断することが多い
① モラハラ・DV妻のお子様への攻撃内容
②連れ去りの態様
③お子様の意思
④それまでの監護状況
・別居前に事前に弁護士に相談してリスクを検討しておいた方が望ましい。

 

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