モラハラ・DV妻との別居準備(8)―置き手紙の活用法
2022.07.25更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
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1.なぜ置き手紙なのか?
(1)モラハラ・DV妻と別居する際、事前にモラハラ・DV妻と話ができていて、〇月〇日に家を出るということの確認が取れているようでしたら、別に置き手紙を準備する必要はないかと思います。
他方で、①モラハラ・DV妻に多少別居話をしたが、議論が進展していないとか、②モラハラ・DV妻に事前に伝えないほうが良いケースの場合には、別居時に置き手紙を活用することをオススメしています。
(2)何も残さずに別居することは混乱のもとである。
まず、置き手紙も何も残さずに別居を開始してしまいますと、モラハラ・DV妻は、あなたの職場や実家、親族、果ては警察など様々なところに電話をかけまくったり、直接訪問してくることもありますので、混乱を避けるためには、少なくとも置き手紙くらいは残したほうが良いと思います。
(3)なぜメールやLINEだとダメなのか?
私は、メールやLINEではなく、置き手紙をおススメしています。それは主に以下の理由からです。
① 手紙の方がこちらの真剣度が伝わりやすい
② 別居後のやり取りを回避しやすい
③ 送信間違い等がほぼ発生しない
詳しく説明していきますと、①につきましては、これだけメール等の通信機能が発展しておりますと、夫婦でやり取りをする際に手紙を利用することはかなり稀だと思います。そのため、置手紙の方が、「普段やらないことをやっている」という印象を深めることができると思います。
次に、②につきましては、別居の旨等をメールやLINEで送ると、モラハラ・DV妻側から即座に返事がなされたり、頻繁に連絡が来るなどして対応に苦慮するケースが多いです。何より、こちらからメールやLINEをすると、自分から「メール(またはLINE)を連絡手段として利用する」と言っているようなものなので、相手の誤解を強めてしまうと思います。
LINE等ですと、可能性は低いのでしょうが、メール等ですと、特に、慌ただしく別居準備をしたケースなどでは、誤って他の人に送信してしまうといったこともあります。自宅の目立つところに置き手紙を残しておけば、それを他人が見ることはほとんどないかと思います。
2.置き手紙には何を書くか?
置き手紙のボリュームをどの程度にするかは、あなた自身の考え方にもよるのですが、大きく分けると以下のようなことを盛り込むことが多いと思います。以下、詳しく解説していきます。
① 離婚を前提とした別居であることの明記
② 別居を決意した理由の説明
③ 子ども達と一緒に家を出なかったが、子供達を大切に思っている旨
④ くれぐれも探さないでほしい旨
⑤ 今後の連絡先(担当弁護士の電話番号等)
詳しく説明していきますと、①については、離婚を前提としていることはしっかりと伝えることが多いです。一旦冷却期間を置くための別居だと誤解されては困りますので、この点を明記するのです。
次に、②につきましては、どこまで細かく記載するかはあなた次第です。ただ、あまり細かい事情を書いても、モラハラ・DV妻がそのことを理解するとはとても思えませんので、簡潔に記載することが多いと思います(短い場合には、2,3行で済ませるケースも多いですが、しっかりと気持ちを伝えておきたいということで何十行も書く人もいます)。
上記の③については、モラハラ・DV妻が、子供達に間違ったことを伝えたりしないよう、あなたがお子様達に対する愛情は持ち合わせている旨を記載するものです。
また、④については、前述の通り、納得いかないとモラハラ・DV妻はあなたを探し回る人もいるため、くれぐれも探さないよう伝える文言です。
なお、実際にはあなたは浮気などしていないのに、同居中から、妻があなたの浮気を執拗に疑っていたケースとか、あなたの居場所を伝えないと職場に迷惑がかかりそうだといったケースですと、④の箇所で「今後は実家で暮らします」というように、あなたの居場所を伝えてしまうケースもあります。
ただ、このように書いてしまうと、モラハラ・DV妻が実家に乗り込んでくることも多いので、どこまで書くかは慎重に検討したほうが良いと思います。
最後の⑤については、あなたの別居先住所を伝えるという意味ではありません(ケースによっては、あなたの住所は絶対に伝えないほうが良いというケースも多いかと思います)。担当の弁護士が決まっているようでしたら、弁護士の連絡先を書いたり、「追って近日中に弁護士から手紙が届きます」と書いたりします。また、あなたのご実家のお父様に間に入ってもらう場合には「今後は父の携帯電話までご連絡下さい。私宛の直接の連絡はお控えください」と書いたりします。
3.置き手紙のボリュームは?
置き手紙を作成する際、この際だからということで、かなり長い文章を考える方もいます。
ただ、モラハラ・DV妻は基本的に自分がしてきたことは間違っていないという発想の人が多いため、あなたが書いている内容を読めば読むほど怒りが湧いてくるという人が多いです(非常に残念な話ですが)。
そのため、あまり長文にしてしまいますと、モラハラ・DV妻が怒りを強めてしまうだけということにもなりかねませんし、また、あまり文章が長いと、あなたの伝えたいことが伝わりにくくなるという面があることも否定できません。
そこで、置き手紙はあまり長くしないケースが多く、私がかかわったケースですと、A4の用紙に1枚か、どんなに長くても2枚までというケースが多いと思います(A4用紙1枚と言っても、半分か3分の1くらいは空白で、文章がぎっしり埋まっているというケースは少ないことが多いと思います)。
4.置き手紙は手書きが良いのか?
私は、あまり長文でないようなら手書きをおススメしています。
手書きの方があなた自身の気持ちとして別居・離婚を決意したというところをモラハラ・DV妻にしっかりと伝えられると考えるからです(ただ、残念ながら、モラハラ・DV妻は、こちらの真剣な気持ちをほとんど理解してくれないことの方が多いです)
5.まとめ
・別居の知らせは、メールやLINEではなく、置き手紙の方がオススメである。
・置き手紙には以下のようなことを書くことが多い。
① 離婚を前提とした別居であることの明記
② 別居を決意した理由の説明
③ 子ども達を愛している旨
④ くれぐれも探さないでほしい旨
⑤ 今後の連絡先
・置き手紙はA4用紙1枚くらいに収めてしまうことが多い。
・置き手紙は極力手書きの方がオススメである。
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