離婚問題

【絶対に夫に親権を渡したくない(3)】手続きの進行に応じてどういう準備が必要か?

2021.11.22更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかり勝つ」をモットーに、分かりやすく解説していきます。

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1.離婚の際に親権のことが一番心配


 夫婦喧嘩の中などで離婚や別居を口走ったとき、旦那側から「お前ひとりで出ていけ」とか「親権は絶対渡さないからな」と言われる経験をしたことがある方も多いと思います。
 そうでなくとも、旦那側の普段の様子から、簡単に親権を諦めないと強く予想されることもあります。
 旦那との普段の生活を顧みるとこれ以上一緒に生活できない、離婚は覚悟しているという場合でも、親権のことが非常に心配に感じるという方は多いと思います。
 今回は親権のことで、特に、「必要な準備事項」にスポットライトを当てて解説していきます。

 

 

2.実際のところ、妻側の勝率は?


(1)あなた自身がお子様を今育てているケースでの勝率
 以下は、あなた自身が現在お子様と暮らしており、お子様自身もその暮らしに大きな不満を持っていないという前提でのお話になりますが、①から④の点をしっかりと準備しておけば、勝訴の可能性はかなり高いと考えてよいと思います。

① しっかりと陳述書の準備を整える
② しっかりと家庭訪問に備える
③ 学校・保育園への調査に備える
④旦那側の言い分に対する反論をしっかりと実行する

 

(2)しっかり準備することが前提だとしても、どうして「勝訴の可能性が高い」のか?
 結論から申しますと、あなたが現在お子様と一緒に住んでいるということが大きなアドバンテージになっているからです。
 現状の親権者指定の手続きにおいては、「今誰がお子様を育てているのか」という点を最も重視します(法律用語的には「現状の監護状況」などと言ったりします)。
 そのため、今現在あなたがお子様を育てているという事情がかなり有利に働くのです。

3.勝訴を確実にするためにどのような準備をすべきか?


 前述の通り、あなたの方が有利だとしても、手続きの中でしっかりと必要な準備を整えていく必要があります。
 実際に必要な準備は、離婚に当たっての手続ごとに異なってきますので、大まかに以下の①から③の段階に応じて解説していきます。
①旦那側から監護者指定審判申立てを受けてしまい、審判手続き中の場合

②調停手続き中の段階

③訴訟手続きに突入した段階

 

 

4.旦那側から監護者指定審判申し立てを受けてしまった場合


 監護者指定審判とは、親権の中でもお子様の身の回りの世話等を行う身上監護権を取り出して、その監護者を決定する手続きです。
 一般的には、あなたの別居に不満を持っている旦那側から、監護者の指定及び子の引き渡しを求める手続きになります(要するに旦那側が自分で育てていきたいのでお子様を引き渡すよう求めてくる手続きということです)。
 この場合には、こちらから先行して離婚調停を起こしていたり、離婚調停の準備中でも、この監護者指定審判手続きが先行して進行していくことになります。

 この監護者指定事件は、今後の親権紛争の今後を占う試金石ともいえるような極めて重要な手続きになりますので、しっかりと勝っておくべき手続きということになります。
監護者指定事件は、通常保全事件が同時に申し立てられており、通常の事件よりも進行が速いこと、事件の専門性が要求されるため、あなたも弁護士を頼むことを強くオススメします。
それでは、以下、監護者指定手続き内において必要な準備について解説します。

(1)要点①)しっかりと陳述書の準備を整える
 正式名称は「子の監護に関する陳述書」という書類になるのですが、監護者指定手続きにおいて準備すべき書類の中でも、一番大事な書類がこの「子の監護に関する陳述書」になります。

 「子の監護に関する陳述書」には主に以下のような記載が必要になります。どの記載項目も大切ですので、しっかりと記載する必要があるのですが、その中でも特に「これまでのお子様とのかかわり方」の記載が非常に重要になりますので、しっかりと詳細に記載する必要があります。
 ・あなたの生活状況(学歴・職歴、現在の仕事の状況、経済状況、健康状態)
 ・お子さんの生活状況(生活歴、これまでのお子様とのかかわり方、生活スケジュール、健康状態、通園・通学状況)
 ・監護補助者(どのような方がサポートしてくれるのか)
 ・今後の監護計画(今後お子様をどのように育てていくのか)

(2)要点②)しっかりと家庭訪問に備える
 監護者指定審判手続き内での「家庭訪問」というのは、家庭裁判所調査官が直接あなたの自宅を訪問し、ご家庭内の様子やお子様の様子等を直接確認することを指します。
 大半の監護者指定審判手続きでは、家庭訪問が実施されるのですが、家庭訪問の日時はこちらの都合も踏まえて日程調整しますので(抜き打ちで家庭訪問が行われることはないという意味です)、家庭訪問に向けては事前にしっかりと準備しておく必要があります。

 実際の準備のポイントは、前述の「子の監護に関する陳述書」の内容を踏まえて、こちらにとって有利な点をしっかりとアピールし、こちらに不利になりそうな点をしっかりとカバーするという準備が必要になります。
 なお、家庭訪問の際には、監護補助者とも直接会って話をしたいと要望してくることもありますので、必要に応じてその準備も必要になります。

(3)要点③)学校・保育園への調査に備える
 特にお子様が小学校低学年よりも小さいご年齢の場合、小学校や保育園の調査が行われるケースが多いです。
 このような調査は、受け入れる小学校・保育園側の受け入れ体制にもよるのですが、通常は家庭裁判所調査官が直接小学校や保育園に足を運んで、担任教師・保育士や校長・園長から話を直接聞きたいという話になるケースが多いです。

 お子様が元気に登校・登園しており、小学校・保育園での様子にも特に大きな問題がないということでしたら、不安はないのですが、不登校・不登園、もしくは登校しぶり等がある場合には、事前に担任教師や担任保育士とも相談等をしておく必要があります。

(4)要点④)旦那側の言い分にしっかりと反論する
 上記の要点①から③の準備をしっかりとしておけば、基本的にはあなたの方が有利だと考えて大丈夫だと思います。
 ただ、同居中の家庭での状況や奥様のご体調、お子様の特性等、事件によっては、旦那側が主張した言い分が事件のカギを握るというケースも少なからずあります。
 そのため、上記の要点①から③をしっかりと押さえたから、それで準備完了ということではなく、相手の言い分に対する反論準備もしっかりと行う必要があります。

 

5.調停手続き内での準備


 前述のような監護者指定事件がなく、あなたの方から離婚調停を起こし、その離婚調停の手続進行中というステップです。
 離婚調停手続き中という場合、①旦那側が離婚拒否の姿勢なのか、②旦那側が離婚には応じる姿勢なのかによって進行が大きく異なります。

(1)旦那側が離婚拒否の姿勢の場合
 この場合、離婚が成立することを前提とする親権や財産分与といった話を前進させることができません。そのため、一般的には、あなたの方で離婚原因を詳しく説明したり、旦那側で復縁のための条件提示をするなどします。
 従って、ほとんど親権の話題は出ずに、調停が進捗します。
 もちろん、離婚以外に、あなたの方から婚姻費用分担調停を申し立てていれば、その件も議論になりますし、旦那側が面会交流を主張してきた場合には、面会交流条件等も議論対象になります。
 調停手続きの中で旦那側が離婚に応じる姿勢を見せればよいですが、終始離婚拒否の姿勢を貫いた場合には、(親権の議論はほとんどしないまま)離婚調停は不成立によって終了してしまいます。

(2)旦那側が離婚には応じる姿勢の場合
 この場合でも、夫婦で親権についての意見の対立が大きい場合には、通常、無理に親権の議論を進めようとするのではなく、財産分与の議論を先行して進めるケースが多いです。
 婚姻期間がそれなりの期間に及ぶ場合、どのような財産が財産分与対象になるのか、それをどう評価するのかといった点でお互いの意見が対立することも少なくなく、そのあたりの議論で期日を重ねていくことになるのです。
 このようにみると、あなたにとって一番心配な親権の問題が後回しになっていて不安に感じるかもしれません。しかし、このように時間が経てば経つほど、あなたは、お子様の監護実績を積み上げていくことができますので、一層有利になっていきます。そのため、財産分与などの議論をしている際には、財産分与の議論に集中して対応するという形で問題ありません。

 財産分与といった点の整理が終了した段階で、家庭裁判所調査官による調査を実施するかといった議論が出てきます。その後の進行は、大まかに①調停手続きの中で家庭裁判所調査官による詳しい調査を行う、②調停は裁判ではないので、詳しい調査を実施せずに調停を不成立にしてしまうという二つの進め方があります。
いずれにせよ、①のケースでも、財産分与等の整理が完了した段階で、前述の「子の監護に関する陳述書」の準備をしたり、家庭訪問への準備を進めれば問題ありません(これらの準備を要するという点では、親権の指定と監護者指定は類似しています)。
 前述の監護者指定事件は非常にスピーディーに手続きが進みますが、離婚調停事件は、親権以外の話題の整理を行った後、順を追って手続を進めていきますので、手続きの進行に応じて必要な準備を進めていけば問題ありません。
 そして、必要な準備は、監護者指定審判事件での準備事項と大きく変わりません。

 

 

6.訴訟手続き内での準備


 離婚訴訟がスタートした場合、序盤は、離婚の当否が争点になります。旦那側が離婚を特に争わない場合には、踏み込んだ議論をしないことが多く、旦那側が争う場合には、しっかりと離婚原因の主張・立証を展開していくことになります。
 その後は、財産分与の争点整理を行った後か、これと同時に並行で親権の主張整理を実施していくことになります。
 訴訟の場合も、順を追って手続を進めていきますので、手続きの進行に応じて随時必要な準備を進めていけば問題ありません。

 

 

7.まとめ


・旦那側から監護者指定事件を起こされた場合、以下の準備が必要である。
① しっかりと陳述書の準備を整える
② しっかりと家庭訪問に備える
③ 学校・保育園への調査に備える
④旦那側の言い分にしっかり反論する

・離婚調停手続き中で親権紛争になった場合、大まかに以下の二通りがある。
 ①旦那側が離婚に応じない場合、調停手続き中では親権の議論はほとんど進展せずに調停不成立になる。
 ②旦那側が離婚に応じる場合、調停手続き内で親権調査まで進むことの方が多い。(訴訟に持ち越しになる場合もある)

・離婚訴訟手続き中は、離婚の当否の議論後に準備を要する。

 

 

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