離婚問題

家内の弁護士からモラハラ夫とレッテルを貼られてしまった-どう対処すればよいのか?

2018.03.28更新

弁護士秦 

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1.モラハラ夫と言われると釈然としない


 

 モラハラ夫と言われると、あたかも頻繁に暴言を吐いてきた夫のような印象があります。

 そもそも、奥様が急に弁護士を立ててきたという事態に困惑しているのに、その弁護士から来た手紙に「奥様はあなたからのモラハラに長期間苦しんできました」などと書かれていると一層混乱してしまうと思います。

 

 

2.実はモラハラの概念は幅広い


 

 モラハラというと、すぐに暴言をイメージしてしまう人も多く、そうすると、モラハラ夫と決めつけられることについては強い抵抗感を持つのも当然のことかと思います。

 しかし、モラハラの概念は実はもっと広い概念でして、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。

 

 これだけではなかなかピンと来ないと思いますので、ある程度類型化して整理しますと、以下のようにまとめられると思います。

 

①直接こちらに暴言を吐く(「お前なんかと結婚したのは失敗だった」、「バカが移るから近付かないでくれ」等々)

②こちらに危害を加えるような発言をする(「一度殴られないと直らないのか?」、「むしゃくしゃしてお前を殺してしまいそうだ」等々)

③家事や育児の些細な問題を執拗に責め立てる(「棚に埃が付いてたけど、ちゃんと掃除しているのか?」「いつも言っているけどお前の料理は味が濃すぎて食べれない」「小学校の教科書を忘れて行かせるなんて母親失格だ」等々)

④こちらの容姿を侮辱する(「まるでオランウータンみたいな顔してるよな」「足が太くてドラム缶かと思った」等々)

⑤金銭感覚が自分に甘く、こちらに対しては厳しい(しょっちゅう飲み会に出かけているのに、こちらがランチに行くというと不機嫌な態度を取る等々)

⑥こちらの意見を聞き入れない、自分の考えが正しいと固執する(「お前みたいな考え方する奴今まで見たことがない」「お前の常識、世間の非常識」といった発言等々)

⑦自分の労働や給料を誇示してくる(「誰の給料で飯が食えてると思っているんだ」「俺の仕事は特別なんだからな、そのことに毎日感謝しろよ」等々)

⑧機嫌が悪いと物に当たり散らす。大きな物音を立てる(席を立つ際に椅子を乱暴にテーブルにぶつける、大きな音を立ててドアを閉める等)

⑨唐突に怒り始めるため、その理由が分からない、理由を話してくれないので、いつも旦那の動向を気にしながら緊張感を持って生活しなければならない。

⑩相手の生活態度等を注意すると逆ギレする、聞き入れてくれない(トイレのドアをいつも開けっ放しで出てくるため、注意すると「その方が喚起になって良いんだ」と強弁する等)

⑪友人や親戚の前でこちらの悪口を言う。

⑫子供の前でこちらの悪口を言う(通常はこちらにも聞こえるように言ってくる)

⑬一定期間意図的にこちらを無視してくる。

⑭こちらの行動を制限してくる(門限を23時と決めて、それ以降の帰宅を認めない、生活が苦しいのにパート勤務に出ることを許してくれない、毎日の食事の献立を事細かに指定してくる等々)

⑮気に入らないことがあると舌打ちやため息をついてくる。

⑯家庭の重要事項の決定(住居の購入、引越先の選定、自動車等の大きな買い物、子どもの進学や習い事等)をこちらに任せつつ、後から文句を言う

⑰性交渉の際の要望や要求が多い、性欲が旺盛であり対応に苦慮する。

⑱身内や友人を侮辱する(「お前の親は貧乏人だから価値観が合わない」「お前の友人は知識レベル低いよな」等々)

⑲異常なまでに話を誇張してくる、大げさに言う(風邪を引いただけなのに「俺はもう長くないかもしれないから、娘のことをよろしく頼む」と言ってくるとか、すれ違いで通行人の肩がぶつかっただけなのに「今殺されそうになった。この道は危ないから今後二度と通らない方が良い」と発言する等)

 

 

3.だからといって悪者扱いされる謂われはない


 

 上記の通り、モラハラの概念は広いため、夫婦生活を送っていますと多かれ少なかれ心当たりのある項目も出てくると思います。

 ただ、心当たりがあるなら「あなたが悪い」とか、「奥様の言っている離婚理由が正しい」と言うことにはなりません。

 上記のようなモラハラが長い結婚生活の中で何回かあっただけでは、あなたが強く非難される理由にはならないでしょう。

 

 

4.まず、あなたがどうしたいのかを考える。


 

 まず、あなたとしては、モラハラ夫の汚名を返上したいと考えると思いますが、その点は一旦棚に置いていただき、離婚を突きつけられたことに対して、どのように考えるのかじっくりと検討してみて下さい。

 分かりやすく言いますと、「モラハラ夫の汚名を着せてくるような家内とは早く縁を切った方が良い」という考え方もあるので、離婚の方向で考えるという選択肢もあり得るということです。

 

 他方で、奥様が誤解されているとか、誰かにそそのかされているという節がある場合には、モラハラ夫の汚名返上と同時に離婚には断固応じられない旨返答して行くことになると思います。

 いずれにしましても、感情に走ってしまいますと、物事は絶対に上手く行きませんので、まずは、離婚に応じて良いのかどうかという大きな方向性を決めて、その方向性に向けてどのように動くのがよいかを冷静に判断すべきかと思います。

 

 

5.汚名返上のためにはどのような視点から検討すればよいか?


 

 それでは、相手の離婚要求に応じない、モラハラ夫の汚名を返上したいと考える場合、どのような視点から検討する必要があるのでしょうか。

 

(1)誇張や虚偽ではないか検討する。

 奥様も弁護士にモラハラ夫と話した手前、実際にあった事実を誇張して話していたり、全く事実無根の話を作り上げているという場合もあります。

 そのため、当然のことではありますが、奥様の話が誇張や虚偽ではないか検討してゆくことになります。

 

 その際には、「もしかしたら、そんなことがあったかもしれない」と感じたとしても、「そのようなことは確実にあった」といえる場合でなければ、簡単に事実を認めない様にして下さい。

 曖昧なまま事実を認めてしまいますと、あなたに対するモラハラ夫のレッテルは、どんどん剥がれにくくなってしまいます。

 

(2)そのときの場所やシチュエーションを特定する。

 仮に、奥様が主張する様な事実があったとしても、やむを得ない状況やシチュエーションだったということも考えられます。

 そのため、どういった経緯があって、そのようなことになってしまったのか。当時の様子をよく思い出してみて下さい。

 

(3)相手からの挑発行為等がなかったかを確認する。

 離婚協議で相手が主張してくる事実の中には、相手が先に挑発行為等をしている場合も多数見受けられます。こちらとしては、奥様から売られた喧嘩を買ってしまったというケースです。

 そのような場合には、発端を作った奥様の側にも大いに否がありますので、十分記憶喚起する必要があります。

 

 

6.あなた自身も弁護士を雇うべきかを検討する。


 

 既に奥様は弁護士を雇っていますので、見方によっては、あなたは一歩出遅れているという見方もできます。

 そのため、あなた自身で直接相手の弁護士と渡り合って行くのか、それとも、こちらも弁護士を立てて対応して行くのかを早めに検討していく必要があります。

 もちろん、私も弁護士ですから、「弁護士を立てた方が良いと思いますか?」と質問されましたら、「相手が弁護士を立てている以上、こちらも弁護士を立てた方が良いと思いますよ」と回答することになります。

 

 

7.まとめ


・モラハラの概念は案外広い。

・モラハラの項目に多少該当するからとして、すぐ離婚しなければならないわけではない。

・汚名返上も大事だが、まずは、離婚すべきかどうかじっくり考える必要がある。

・汚名返上をしたいという場合にも、いくつかの視点を持って準備する必要がある。

・相手が弁護士を立てている場合、こちらも弁護士を立てた方が良い。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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