離婚問題

【弁護士が解説】モラハラで協議離婚できるか?

2017.12.04更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。なお、モラハラ情報盛りだくさん!弁護士秦のモラハラ総合サイトは>>こちら<<になります。

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1.モラハラとは何だ?


 

 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。

 

 これだけではなかなかピンと来ないと思いますので、ある程度類型化して整理しますと、以下のようにまとめられると思います。

 

①直接こちらに暴言を吐く(「お前なんかと結婚したのは失敗だった」、「バカが移るから近付かないでくれ」等々)

②こちらに危害を加えるような発言をする(「一度殴られないと直らないのか?」、「むしゃくしゃしてお前を殺してしまいそうだ」等々)

③家事や育児の些細な問題を執拗に責め立てる(「棚に埃が付いてたけど、ちゃんと掃除しているのか?」「いつも言っているけどお前の料理は味が濃すぎて食べれない」「小学校の教科書を忘れて行かせるなんて母親失格だ」等々)

④こちらの容姿を侮辱する(「まるでオランウータンみたいな顔してるよな」「足が太くてドラム缶かと思った」等々)

⑤金銭感覚が自分に甘く、こちらに対しては厳しい(しょっちゅう飲み会に出かけているのに、こちらがランチに行くというと不機嫌な態度を取る等々)

⑥こちらの意見を聞き入れない、自分の考えが正しいと固執する(「お前みたいな考え方する奴今まで見たことがない」「お前の常識、世間の非常識」といった発言等々)

⑦自分の労働や給料を誇示してくる(「誰の給料で飯が食えてると思っているんだ」「俺の仕事は特別なんだからな、そのことに毎日感謝しろよ」等々)

⑧機嫌が悪いと物に当たり散らす。大きな物音を立てる(席を立つ際に椅子を乱暴にテーブルにぶつける、大きな音を立ててドアを閉める等)

⑨唐突に怒り始めるため、その理由が分からない、理由を話してくれないので、いつも旦那の動向を気にしながら緊張感を持って生活しなければならない。

⑩相手の生活態度等を注意すると逆ギレする、聞き入れてくれない(トイレのドアをいつも開けっ放しで出てくるため、注意すると「その方が喚起になって良いんだ」と強弁する等)

⑪友人や親戚の前でこちらの悪口を言う。

⑫子供の前でこちらの悪口を言う(通常はこちらにも聞こえるように言ってくる)

⑬一定期間意図的にこちらを無視してくる。

⑭こちらの行動を制限してくる(門限を23時と決めて、それ以降の帰宅を認めない、生活が苦しいのにパート勤務に出ることを許してくれない、毎日の食事の献立を事細かに指定してくる等々)

⑮気に入らないことがあると舌打ちやため息をついてくる。

⑯家庭の重要事項の決定(住居の購入、引越先の選定、自動車等の大きな買い物、子どもの進学や習い事等)をこちらに任せつつ、後から文句を言う

⑰性交渉の際の要望や要求が多い、性欲が旺盛であり対応に苦慮する。

⑱身内や友人を侮辱する(「お前の親は貧乏人だから価値観が合わない」「お前の友人は知識レベル低いよな」等々)

⑲異常なまでに話を誇張してくる、大げさに言う(風邪を引いただけなのに「俺はもう長くないかもしれないから、娘のことをよろしく頼む」と言ってくるとか、すれ違いで通行人の肩がぶつかっただけなのに「今殺されそうになった。この道は危ないから今後二度と通らない方が良い」と発言する等)

 

 

2.協議離婚とは


 

 協議離婚とは、ご夫婦が離婚届に署名押印して役所に届け出ることで離婚が成立することを言います。

 ご夫婦同士の話し合いで離婚に合意した場合はもちろん、ご夫婦同士の話し合いが難しく、間に弁護士が入って協議離婚が成立することもあります。

 

 協議離婚は、調停離婚、裁判離婚と対比した用語として用いられますが、一番のメリットは、時間をかけずに離婚できるという点かと思います。

 

 これに対して、調停離婚ですと、家庭裁判所における調停手続で離婚する手続きになりますので、どうしても一定期間を要してしまいます(調停申立の準備が必要になりますし、申立をしても調停期日は1ヵ月以上後になります。また、1回の調停期日で結論が出ないことも多いです)。

 

 

3.モラハラだから協議離婚できないということはない。


 

 モラハラのケースですと、モラハラ被害者側が協議離婚を最初から諦めているケースも多くあります。

 

 「夫は自分の意見を絶対に曲げないので、こちらから離婚を言い出すと、絶対に反対してくると思います」とか「何度か離婚を切り出したことがあるのですが、その都度、激しく暴言を受けてきましたので協議離婚は難しいと思います」といった形で諦めてしまっているのです。

 しかし、弁護士が間に入ることで、相手が態度を軟化させてくることはあります。弁護士を立てるということは、「本気で離婚したいと思っている」ということを直接相手に伝える効果がありますし、弁護士まで出てくることで観念して、モラハラ夫も離婚も致し方ないと考えるのです。

 

 私が担当した事件でも、当初は協議離婚が難しいと思われても、実際ねばり強くモラハラ夫と話をしたところ協議離婚が成立したケースは何件もあります。

 

>>「DV夫とスピード離婚(2ヵ月で離婚成立)」

このケースはDVのケースですが、暴言もひどく、モラハラ離婚にも通じるものがあると思います。

 

 

4.協議離婚のために弁護士として心がけていること


 

(1)離婚原因の詳細を確認する

 モラハラ被害者の方から詳しい離婚原因の聞き取りを致します。多くの場合は、モラハラ被害の詳細になりますが、このような被害内容を共有することで、被害者の方に目線を近づけた上で弁護活動を行うことができると考えています。

 また、モラハラ加害者である夫側と直接話をする際には、「嫁はどうして離婚したいと言っているんですか?」という質問が必ず出ますので、それに回答する準備としての意味合いもあります。

 

(2)モラハラ夫に対してメリハリを付けて対応する

 モラハラ夫と話をする際に一番心がけているのはメリハリを付けるという点です。絶対に応じられない点については断固応じられない旨を明確に伝えますが、他方できめ細かく対応した方が良い点についてはきめ細かく対応すると言うことです。

 

 奥様が所在を明らかにせずに別居を開始した場合、モラハラ夫からは「嫁がどこにいるのか教えろ」とか「嫁と直接会って話をしないと離婚を決められない」という話が必ず出ます。これに対しては、居場所は絶対に教えられない、直接会うことも絶対にできないと回答し毅然と対応することになります。

 これに対して、詳しく奥様が離婚したい理由を知りたいという要望が出された場合には、その理由を細かめに説明して行くことになります。

 

 

5.調停に切り替えた方が良いケースでは早めに切り替える


 

 私が交渉に当たる場合、できる限り早めに離婚できるようにモラハラ夫と粘り強く話をして協議離婚を目指しますが、夫側が離婚を拒絶する姿勢が強固な場合、早めに調停離婚に切り替えた方がよいということもあります(交渉がずるずると延びてしまうよりも、調停に切り替えた方が結果的に早いということもあるのです)。

 私がモラハラ夫と直接話をしておりますと、協議離婚での解決が難しいという判断はできますので、その見極めができ次第調停離婚の手続きを取ることになります。

 

 

6.親権獲得が絡む場合


 

 特にお子様の親権について激しい意見対立があるようなケースですと、仮にモラハラ夫が離婚に応じたとしても、親権を譲らないと言うことも想定されますので、その場合には、早めに調停に切り替えた方が良いケースが多いと言えます。

 

 なお、たまに「早く離婚したいので親権は諦めた方が良いでしょうか?」とご質問される奥様がいらっしゃいますが、こちらについては、絶対に親権は諦めない方が良いという回答になります。

 今は一刻も早く離婚したいでしょうけれども、親権を渡してしまいますと、今後お子様と会うことにも不便を来す可能性がありますので、2年後、3年後には「親権を渡すべきではなかった」と思われる方が多いからです。

 

 

7.慰謝料請求とのバランス感覚


 

 特に深刻なモラハラ被害を受けているケースですと、モラハラ夫に何のお咎めもなく離婚することには納得できないということも多いと思います。これまで長い期間に亘ってモラハラ被害を受けてきたのですから、その様に考えるのも当然だと思います。

 

 ただ、モラハラ夫は自分の暴言等が正当なものだと考えている人が非常に多いため、慰謝料を支払うことに強く抵抗してくるケースが多いのも事実です。

 そのため、ケースによっては、奥様の側で、慰謝料の金額を減額し、または慰謝料額をゼロにした上で、早期に離婚することを希望される方もいらっしゃいます。

 

 

8.金銭面の条件は公正証書にする


 

 協議離婚する場合、離婚そのものは離婚届を提出するだけで決着します。

 ただ、お子様がいる場合には、夫側から養育費を支払わせる必要がありますので、金銭面の条件については、公正証書を作成することが多いです。

 弁護士が間に入って離婚条件を固める場合には、最低限、離婚協議書を作成し、合意した内容を書面化するのですが、離婚協議書だけですと、夫側が養育費の支払いをしなくなってしまった場合に、強制執行の権限が付与されません。

 そのため、しっかりと養育費をもらい続けるために、協議離婚した場合にも、養育費といった金銭面は公正証書を作成しておくのです。 

 

 

9.まとめ


・モラハラであっても協議離婚できる。

・モラハラ離婚の場合、弁護士としては被害者の方から詳しく事情を確認し共感することが重要である。

・モラハラ離婚の場合、弁護士としてはモラハラ夫とメリハリを付けて話をする。

・調停に切り替えた方が結果的に早く離婚できるケースでは早めに調停に切り替える。

・早く離婚したいからと言って親権を手放してはいけない

・早期離婚と慰謝料獲得とのバランスを考えなければならないケースは多い。

・養育費等金銭面については公正証書を作成することが多い。

 

 

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