【絶対に離婚したくない(24)】離婚裁判は避けるべきか、立ち向かっていくべきか
2024.01.08更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後の最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。
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1.離婚調停と離婚裁判の関係
離婚裁判に対してどのように対応していくのかを解説する前に、離婚調停と離婚裁判の関係についてお話します。
(1)調停前置主義
現在の離婚事件については、調停前置主義が取られていますので、いきなり裁判を起こそうと思っても、認められません。
裁判を起こす前に必ず調停を経なければならないものとされています(このようなシステムを調停前置主義と言います)。
(2)離婚については自動で審判には移行しない
婚姻費用や面会交流についての調停は、調停で話し合いがつかない場合には、手続きは審判に移行します。審判手続きは調停手続きの延長なので、これまでに提出した資料はそのまま引き継がれて、調停委員長である裁判官がそのまま審理を担当することになります。
これに対して、離婚調停については、調停が不成立になっても自動で審判に移行することはありません。つまり、離婚調停が不成立になると、そこで一旦手続きは終了し、離婚を希望する側は、改めて離婚裁判を起こす必要があります。調停と裁判との間には連続性がありませんので、調停で提出した資料は引き継がれませんし、基本的に担当裁判官も変更になります。
2.結局、離婚裁判って何だ?
離婚裁判がどのような手続きなのかについては、下記のブログを参考にして下さい。
※離婚裁判って何だ?
抽象的に、「離婚裁判になると大ごとだ」とか「離婚裁判は大変な手続きだ」と考えている方は多いのですが、具体的なところはよく分かっていないという方も多いので、上記のブログをご覧になって、しっかりと離婚裁判がどのようなものなのかの理解を深めていただければと思います。
3.調停で事件を終わらせるか、裁判をするか
前述の解説で、離婚裁判がどのようなものなのかについてはある程度理解していただけたかと思います。
ただ、実際に離婚裁判に臨むとなると、事前に予測していた以上の精神的負荷もありますので、以下で、離婚裁判のメリットとデメリットについてお話しします。
(1)【離婚裁判のメリット①】はっきりと白黒つけられる
離婚裁判の一番のメリットは、「明確に結論が出る」ということかと思います。
要するにあなたのご夫婦で、法律上離婚しなければならないような理由があるのかないのかということが明確に判決に書かれます。
例えば、別居期間がまだ短いとか、相手が有責配偶者であるといった場合には、相手からの離婚請求に対して判決で「NO」と言ってもらえると、今後のこちらの動きに弾みがつく面もありますし、相手に対して「自分の行動が間違っていた」と自省を促すきっかけになることもあります。
(2)【離婚裁判のメリット②】相手の離婚理由が鮮明化する
離婚裁判になると、相手もあなたと離婚したい理由を「出し惜しみなく」すべて主張していくことになります。
離婚調停ですと時間に限界があることもあって、相手の本当の離婚理由がはっきりとしないとか、相手の離婚理由についてどのような証拠を保有しているのかが分からないというケースも往々にしてあります。
これに対して、離婚裁判になると、相手方は、離婚理由について「出し惜しみなく」全て主張してきますので、相手の正確な離婚理由を把握できることもあります。
(3)【離婚裁判のメリット③】あなた自身が裁判所に行かなくて良い
離婚調停の場合、調停期日には必ずあなたが出席していたと思います。
これに対して、離婚裁判の場合、書面や資料に基づく主張が中心になりますので、代理人弁護士のみが出席し、あなた自身が出席する必要はありません(但し、最後の尋問手続きだけはご出席いただく必要があります)。
私の依頼者の中には「調停の日が近くなると気が重くなります」とか「調停の前日はあまり良く眠れません」とおっしゃる方もいらっしゃって、調停に出席すること自体が大きな精神的負荷になっている方もいます。
離婚裁判の場合には、弁護士だけが出席すればよいので、そのような精神的負担はありません。
(4)【離婚裁判のデメリット①】誤解や誇張に基づく主張が多い
いざ離婚裁判に臨んだ場合に、私の依頼者がよく口になさるのが、「嘘ばかりが書かれている」ということです。
相手も離婚で勝訴するために必死に離婚理由を絞り出しますので、残念ながら、誤解や誇張に基づいて言い分を述べてくるケースはかなり多い印象です。
そうしますと、あなたとしては、相手のそのような誤解や誇張に基づく言い分を目にしなければならないものですから、それだけでも相当な精神的負荷になります。
(5)【離婚裁判のデメリット②】相手の言い分が書面化される
前述の通り、離婚裁判は、書面中心で審理が進んでいきますので、込み入った事情などについても全て書面化して提出していくことになります。
このことは、前述のように相手の主張する離婚理由が透明化されるというメリットがある反面、こちらも書面でしっかりと見せつけられるというデメリットもあります。
しかも、その書面が前述の通り誤解や誇張に基づく言い分も多いものですから、「見るのが嫌になる」とおっしゃる方も多いです。
(6)【離婚裁判のデメリット③】紛争の長期化が避けられない
離婚裁判終了までどの程度の期間がかかるのかについては、離婚の他の条件がどの程度争われるのかにもよるのですが、紛争がかなり長期化してしまうのは事実です。
もちろん、あなたの方で「絶対に離婚したくない」という強い決意があるのでしたら、裁判期間は「避けられない期間」という位置づけもできるのですが、前述の通り、離婚裁判中、相手方からは心無い言葉などが繰り返し主張されますので、精神的につらい期間が長期的に続くという側面は否定できません。
4.最終的にどうするかはあなた次第
これらのメリットとデメリットを総合的に考慮して、「やはり現状離婚には応じられない」とか「子どものためにも離婚に踏み切るべきではない」ということでしたら、離婚裁判に立ち向かっていくべきということになります。
逆に、「これ以上の長丁場は避けたい」ということでしたら、離婚裁判に立ち向かっていくのではなく、調停段階で離婚に応じたり、離婚裁判の早期の段階で離婚に応じるというスタンスを取ることになります。
もちろん、いずれの対応を取るのかについては、あなたの今後の人生にも関わる重大な決断ですので、じっくりと慎重に見極めて欲しいと思います。
5.いつ頃離婚裁判が起こされるか?
前述の通り、離婚調停と離婚裁判とは別の手続きなので、離婚調停が不成立になってもすぐに離婚裁判を起こしてこない人もいます。ある程度別居期間を稼いでから離婚裁判を起こした方が有利だと考えて、一定期間を置いてから離婚裁判を起こす人もいるのです。
なお、相手がいつ頃離婚裁判を起こすのかについては、離婚調停の終盤になると、先方の方から意見を言ってくるケースも多いです(このまま離婚調停が不成立になった場合には、即刻裁判を起こすということをアナウンスしてきたりするという意味です)
6.まとめ
・離婚調停と離婚裁判とは全く別の手続である(審判のように自動移行する手続きではない)。
・離婚裁判には以下のようなメリットがある。
① 明確に白黒つけることができる
② 相手の離婚理由が鮮明化する
③ あなた自身が裁判所に行かなくて良い(最終の尋問の際は別)
・離婚裁判には以下のようなデメリットもある。
① 誤解や誇張に基づく主張が多い
② 相手の言い分が書面化される
③ 紛争が長期化する
・今後どのように対応するかは慎重に検討した方が良い
・離婚調停が終わってもすぐに離婚裁判を起こさない人もいる。
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