【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(16)】別居にあたって事前にお子様にはどこまで話しておくべきか
2026.05.11更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。
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(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)
1.モラハラとは何だ?
「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。
モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。
今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。
2.改正民法施行
離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。
最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。
3.改正民法における転居の取り扱い
改正法では、①お子さんの居所指定(要するに引っ越すかどうか、引っ越し先をどこにするか)が共同親権の対象で、夫婦が共同で行使すべき内容だと明記されたこと、②夫婦間の人格尊重・協力義務の規定が設けられ、合理的理由もなく夫側に無断でお子さんの住所を変更する行為は同義務に違反するものと位置付けられました。
そのため、改正法の下では、モラハラ夫側に何も伝えずにお子さんと一緒に別居を開始してしまうと、①本来共同で行使すべき共同親権を単独で行使してしまった、②夫婦間の人格尊重・協力義務に違反する対応ということになってしまいますので、より一層慎重な対応が必要になってきます。
そして、このことは、あなたとお子さんとの関係でも配慮が必要なことを意味します。別居にあたって、お子さんに何も説明せず、お子さんの気持ちが調わない状況で別居を開始してしまうと、別居がお子さんの利益にかなうのかという問題が生じ得るのです。
4.お子様に別居のことをいつ、どこまで話すかは非常に悩ましい
お子様がまだ乳幼児で、自分の意思を示すことができないという年齢でしたら、別居のことを伝えても理解できませんので、悩む必要はありません。
他方で、お子様が自分の生活環境等を理解している場合、事前に何も伝えずに別居するというわけにもいかないでしょうから、いつ、どこまで話をするのかということは悩ましい問題になるケースも多いです。以下、詳しく解説していきます。
5.お子様が小学校高学年以上の年齢の場合、お子様の理解を得た上で別居するケースが大半
(1)お子様が小学校高学年以上の年齢の場合、お子様の理解を得た上で別居するケースが大半
お子様が小学校高学年以上の年齢の場合、かなり周りのことを理解できる年齢になっておりますので、別居すること、今住んでいる自宅には戻らないことについては事前に話をし、その理解を得ておくケースが大半かと思います(離婚まで言及するかは、お子様のご様子にもよるかと思います)。
特に、お子様が小学校高学年の場合、「別居は構わないけれども、小学校は変わりたくない」とか「今まで通り習い事は続けたい」もしくは「仲の良い友達とは引き続き会いたい」といった自分の意見が出てくることが多いため、その意見を無視して別居することは難しいと思います(お子様の意見を無視して別居すると、後から「自宅に帰りたい」といった意見が出て、親権争い等で不利になる可能性もあるという意味です)。
その際に、お子様にどこまでの話をするのかという点ですが、お子様が小学校高学年の場合、普段のモラハラ夫の行動や言動はしっかりと認識していますので、詳しく説明しなくとも「お母さんは、お父さんと一緒に暮らしていくことが難しいから、この家を出て暮らすけれど、一緒に来る?」といった簡単な説明で済むケースも多いかと思います。
なお、夫婦の紛争に関する話を事細かにお子様に話すのは好ましくないとされていますので、特に必要がない限り、あまり詳しい説明はしない方が良いと思います。
(2)別居の何週間前、何か月前くらいに話をするか
これは、ケースによって皆さんそれぞれなのですが、①お子様自身の口から「こんなお父さんと一緒に暮らしたくないから早く離婚して欲しい」とか「お母さんが可哀想だから、早く別れて欲しい」といった積極的な言葉が出ている場合には、別居の2,3か月前とか、比較的早い段階から別居のことを伝えているケースが多いように感じます。
逆に、別居のことをお子様に伝えるとお子様が頭を悩ませてしまいそうだとか、お子様は別居したくないという気持ちの方が強い場合には、いつ頃話をするかは悩ましい問題です。
このような場合には、お子様にじっくり考えてもらうために、早い段階で別居の話を伝えておいた方が良いケースもある反面、早めに伝えると、お子様を通してモラハラ夫に別居のことが伝わってしまうというリスクがあります(お子様の口から話が伝わると不正確な情報が伝わってモラハラ夫が感情的になるリスクがありますし、あなたがモラハラ夫にどう別居を切り出そうか悩んでいる段階で伝わると、話が混乱するおそれもあります)。
そのため、お子様の性格やお子様とモラハラ夫との関係性等も考慮して、お子様に話をするタイミングを検討すべきことになろうかと思います。
(3)お子様が15歳以上の場合、事前に説明をして理解を得ておくことはほぼ必須
前述の通り、お子様の年齢が小学校高学年以上の場合、お子様の理解を得た上で別居するケースが大半でしょうが、その中でも、特にお子様が15歳以上の場合には、その理解を得ておくことはほぼ必須になります。
と言いますのは、お子様が15歳以上の場合、裁判所が親権者を決めるにあたっても、お子様の意見を確認することが必須事項となっておりますので、別居に際しても、より一層慎重に対応したほうが良いということになるのです。
現実的にも、お子様が15歳以上の年齢ですと自分の意見が出てきますので、十分理解を得ておかないと、「自分はここに残る」という意思表示をしてくるケースも多いかと思います。
6.お子さんに説明する内容
モラハラ夫と離婚理由等について話をしながら、平行してお子さんに話をしなければならない関係で、お子さんに対する説明もどうして夫婦仲よくできないのかという話に目が行きがちです。
しかし、あまりご夫婦の問題ばかりをお子さんに話すと、ご夫婦の紛争にお子さんを巻き込んでしまうことになりますし、モラハラ夫への悪口になってしまう危険性があります。
そのため、仮にご夫婦の関係について説明するにしても「お父さんとお母さんは一緒にいると喧嘩になっちゃうから、別々に暮らすことにした。お父さんがあなたのことを好きなことは変わらないよ。」といった説明をすることが多いです。
むしろ、お子さんに対する説明として重要になるのは、引っ越し先がどのあたりになるのか、引越後の生活がどのようなものになるのかという点を説明し、お子さんの理解と納得を得ておくことです。引越という話をした場合の、お子さんの不安や関心は、お子さんごとに異なると思いますので、お子さんの気持ちに寄り添った説明を心がけて下さい。
7.お子様が小学校低学年以下の年齢の場合、お子様の理解力などに応じて検討する
お子様が小学校低学年以下の場合でも、小学生の場合には、おおよその環境等の理解は進んでいると思いますので、少なくとも事前に別居のことは伝えるべきかと思います。
ただ、小学校低学年以下の年齢ですと、お子様がモラハラ夫に別居のことなどを話してしまう危険性が高いので、(モラハラ夫に)不正確に話が伝わって混乱しそうだという場合には、あまり早い段階で話をしない方がよいかと思います。
お子様が小学生未満の場合には、お子様の理解力に応じて、事前に別居のことを伝えるかどうかも含めて検討していくことになろうかと思います。
8.別居や離婚は、お子様にとっても「自分事」だという認識を持つことが大事
別居や離婚は、あなたにとっても大きな不安事ですし、どうやったら円滑に離婚できるのかといったことで頭がいっぱいになってしまう方も多いと思います。
ただ、別居で生活環境が変わるのはあなただけではありません。
お子様も様々な悩みや不安を抱えることになると思いますので、別居や離婚は、あなた自身の「自分事」というだけではなく、お子様にとっても「自分事」なんだという気持ちをもって接するのが良いかと思います。
9.まとめ
・お子様が小学校高学年以上の年齢の場合、お子様の理解を得た上で別居するケースが大半である。
・お子様が小学校高学年以上の年齢の場合、(お子様自身が状況をよく理解しているので)別居にあたっての詳しい説明は不要なことも多い。
・お子様が別居や離婚に賛成派の場合、比較的早い段階から別居のことを伝えているケースが多い。
・お子様が15歳以上の場合、事前に説明をして理解を得ておくことはほぼ必須である。
・お子様が小学校低学年以下の年齢の場合、お子様の理解力などに応じて検討する必要がある。
・お子さんに対しては、離婚理由等の夫婦に関する話は、できる限り避けたほうが良い。
・別居や離婚は、お子様にとっても「自分事」だという認識を持つことが大事である。
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