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【改正民法施行!!どうなる!?これからのモラハラ離婚(23)】モラハラ夫が監護分掌(期間分掌)の申立てをしてきたが、その後の手続きは、どうなっていくのか?

2026.07.06更新

※監護分掌は改正民法で初めて明記された事件類型ですので、現時点で実務の対応が定着しているわけではありません。本記事は弁護士秦の私見に基づく解説ですので、そのような前提でお読み下さい※

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 今回は、このようなモラハラ夫と離婚することを考えている方を対象に、民法改正でどのように制度が変わったのかを解説していきます。

 

 

2.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 以下では、あなたがお子様と一緒に別居を開始した後に、モラハラ夫側が期間分掌等の申立てをしたというケースを前提として、期間分掌の詳細を解説していきます。

 

 

3.監護分掌の申立てって何だ?


 改正民法では、これまで定めがなかった監護の分掌について明文の規定が設けられました(改正民法766条1項)。

 監護の分掌と言うと馴染みがない表現ですが、「育児の分担」と言うと、イメージがつきやすいかもしれません。ただ、既にあなたが別居していますので、あなたが必要な範囲で手助けしてもらうというようなオーソドックスな「育児の分担」ではなく、大まかに言うと①あなたが普段の育児をしながら、モラハラ夫が医療や教育に関してのみお子さんのことを決定する権利を持つパターンと②一定の期間で区切って、あなたが育児をする日とモラハラ夫が育児をする日を決めるパターンとがあります。②については、例えば、月曜から金曜はあなたが育児を全面的に担って、土日はモラハラ夫が育児を全面的に担うというような形が想定されます。

 モラハラ夫は平日の仕事がない日であれば、お子さんの世話を全面的に担当できると言ってくる人物が多いと思いますので、②の形の分掌を要求してくることが多いと思います。

 

以下では、監護分掌の申立ての中でも期間分掌について詳しく解説していきます。

 

 

4.複数のバリエーションが考えられる


 期間分掌審判の申立ては、大きく分けて以下の3つのパターンが想定されます。

①パターン1

第1希望モラハラ夫の完全な監護権獲得、第2希望として期間分掌

②パターン2

第1希望として期間分掌、第2希望としてモラハラ夫の完全な監護権獲得

③パターン3

単純に期間分掌のみを申し立てる

 

 上記の3つのパターンのうちどちらのパターンで申し立てるかは、モラハラ夫が任意に選択可能です。このうちのどれを選択するかは、モラハラ夫があなたとの夫婦関係の修復をどこまで真剣に考えているかによって分かれると思います。夫婦関係の修復を強く希望する場合には、一緒に子供を育てていくという形(期間分掌)を第1希望にする「パターン2」か「パターン3」を選択するでしょうし、逆に、お子さんに強く関わりたいという気持ちが強いようでしたら、「パターン1」を選択すると思います。

 モラハラ夫は全体的に自信過剰な人物が多い印象でして、そのため、単純に期間分掌のみを申し立てる「パターン3」よりも、「妻が逆らうようなら俺が完全な監護者になる」というスタンスで「パターン1」や「パターン2」の形で申し立ててくることが多くなると見込まれます。

 

 

5.モラハラ夫の思惑は?


(1)モラハラ夫の思惑は?

 仮に、モラハラ夫が完全な監護者として指定された場合、基本的にモラハラ夫が365日24時間お子様の育児を担う必要があります。しかし、モラハラ夫が平日仕事をしている場合には、出勤中に子供の面倒を見ることができないというケースも多いと思います。

 その意味で、モラハラ夫が育児を担う曜日を仕事の休みの日に指定しておけば、仕事との両立を図ることが可能です。

 また、完全な監護者指定ですと、どうしても、あなたの育児への関わりを奪って、モラハラ夫の育児に移行するような手続になってしまいますので、期間分掌の方が、「夫婦で協力し合って育児を担う」というニュアンスを込めることが可能になります。

 

(2)なぜ親子交流ではないのか?

 素朴に疑問に感じるのは「土日会いたいだけなら、毎週土日に親子交流したいという申立てをすればよいのではないか?」という点です。

 ただ、親子交流の申立てですと、あなたの監護を許容した上で、お子さんに会わせてもらうというだけの申立てになってしまいます。モラハラ夫としては、①妻の側にそんなに強い権限を認めたくない、とか、②自分が納得しない形で別居を強行されており、子供が妻と暮らしていることそのものに異論があるといった発想を抱きそうです。

 また、今後の離婚時の親権紛争を視野に入れると、土日だけでも正当な監護者としての権限を獲得しておきたいという思惑もありそうです。

 さらに、監護分掌審判の申立てですと、後述のように保全事件も同時に申し立てますので、迅速に審理することが期待できます。

 これらの事情を考慮して、敢えて親子交流ではなく、期間分掌を申し立てているものと思われます。

 

 

6.どのような申立てになるか?


 多少、前述でも言及しましたが、基本的にはモラハラ夫の休日にお子さんの面倒を見るという形態になると想定されます。

 より具体的に言いますと、①月曜の朝から金曜の夕方までは妻が監護、②金曜夕方から月曜の朝まではモラハラ夫が監護というような申立になると見込まれます。

 また、毎年12月と1月がモラハラ夫の繁忙期だというような場合には、繁忙期は妻のみの監護、繁忙期を除いた期間について①月曜の朝から金曜の夕方までは妻が監護、②金曜夕方から月曜の朝まではモラハラ夫が監護、というような申立も想定されます。

 毎週毎週お子さんを行き来させるのはお子さんの負担になるという場合には、①毎月1日の朝から15日の夕方までは妻が監護、②毎月15日の夕方から翌月1日の朝まではモラハラ夫が監護という申立ても考えられます(ただ、この場合、モラハラ夫の仕事がある日もモラハラ夫がお子さんの面倒を見るということになりますので、在宅勤務で対応するとか、モラハラ夫の母親に来てもらって平日の面倒を見てもらうという想定になろうかと思います)。

 

 

7.期間分掌は3つの事件をセットにすることになるものと想定される。


 期間分掌申立ては、現状のあなたの監護に強い不満があることが前提になりますので、以下の事件を3つセットで申し立てるものと想定されます。

1)期間分掌

2)引渡し

3)保全処分

 

 以下それぞれについて概説します。

 1)は、前述で解説しました通り、妻が監護する期間とモラハラ夫が監護する期間を分担するという申立てになります。

 ただ、監護期間が決まっただけでは、相手が任意に引渡に応じないケースもあります。そのため、合法的にお子様をこちらに引き戻させるために、2)の「引渡し」も請求するのです。

 

 さらに、モラハラ夫としては至急期間分掌の形を整えたいので、保全処分、要するに緊急措置として暫定的に期間分掌を開始して欲しいという申請も出すのです。

 

 

8.監護期間分掌審判事件における手続の特徴は?


(1)調停前置ではない。

 例えば、離婚する際には、いきなり離婚裁判を起こすことはできず、必ず事前に調停を起こしておく必要があります。このようにすぐに裁判と言った手続をすることができず、その前に調停を起こさなければ行かないことを「調停前置主義」と呼びます。

 家庭生活に関わる問題は、裁判官が強制するよりも、夫婦が話し合って解決することが望ましいという考え方から、離婚等には調停前置主義が採用されています。

 

 これに対して、監護期間分掌事件には、調停前置主義が適用されませんので、調停を経ずにいきなり審判を起こすことができます。

 監護期間分掌事件は、前述のように妻のみの監護という状況を至急是正しなければならないと考えて、モラハラ夫が申し立てる事件ですので、調停手続きを経ることが要求されていない(調停前置主義が取られていない)のです。

 

(2)実際の手続の進行は?

 監護期間分掌審判事件の進行の特徴としましては、①迅速性、②第1回期日までにほぼ資料は出し切るべき、③調査官調査主体の手続であること、④調査報告書でほぼ結論が決まるといったことが言えるのではないかと思います。

 以下で詳しく説明していきます。

 

  • 迅速性

 前述の通り、監護期間分掌審判事件は、保全処分もセットで申立がなされます。

 そして、保全処分は緊急措置としてお子様の期間分掌を開始する手続と言うことになりますので、急ピッチで手続きが進められのが通例です(担当裁判部によっては多少スピード感が異なりますが)。

 即ち、保全事件では、第1回期日に調査命令が発令されることが多く、その後の調査も急ピッチで進められることが多いです。

 

 一般的な審判事件ですと、いきなり調査官を付けるのではなく、調査発令の前までにお互いの資料整理等を何度か行うことが多いのですが、保全事件では、第1回目から早速調査開始とすることが多いです。

 そして、調査を迅速に進めるため、調査官が複数名担当として付けられることもあります。

 調査官が複数名付けられることによって調査官の中でも作業の分担等を行うことができますので、手続の迅速化を図ることができるのです。

 

②第1回期日までにほぼ資料は出し切るべき

 前述の通り手続は急ピッチで進められますので、第1回期日までに資料等はほぼ全て出し切ってしまう必要があります。

 そのため、資料整理と裏付けの整理を急ピッチで進めることが非常に重要になります。

 特に、監護期間分掌事件では、これまでの監護状況が非常に重要なポイントになりますので、その裏付けとして保育園の連絡帳、母子手帳やお子様と撮影した写真等が客観的証拠として重視されやすいと見込まれます

 これらの証拠を準備しつつ、第1回期日までに陳述書も準備しなければなりませんので、忙しなく準備しなければならないことが多くなりそうです。

 

  • 調査官調査主体の手続である

 監護期間分掌審判事件において、ご夫婦は通常、過去のお子様との関わり方について、自身に有利なように主張を展開することが多いので、これまでの監護の状況については、調査官が裏付け資料等を見ながら慎重に判断していくことになります。

 調査官の調査は通常、①ご夫婦それぞれから提出された資料の検討、②ご夫婦双方との面接、③小学校や児童相談所等関係機関への訪問や問い合わせ、④自宅訪問の4部構成とすることが多いです(但し、通常は、①→②→③→④という順序で進行することが多いですが、事件によっては、順番が変わることも多いです)。

このようなお話しを致しますと、②の調査官との面接でしっかりと親としての活動をアピールしようと考える方も多いのですが、前述の通り、これまでのお子様との関わり方についてはどの程度の資料や証拠があるのかという点が非常に重要なポイントになりますので、上記①の資料提出の準備を怠ってはいけません。

 

④調査報告書でほぼ結論は決まる

 前述のような調査官の調査が完了しますと、調査官は調査報告書というものを作成します。要するに、実施した調査の概要を示すと共に、調査官として適切だと考える結論を報告書という形でまとめ上げるのです。

 この調査報告書は、実際に調査官のみでまとめ上げるのかというと、調査官が作成した叩き台に対して裁判官が意見を言うことの方が多いため、調査報告書には裁判官の意見が実質考慮されていることの方が多いです。

 そのため、調査報告書が出来上がりますと、実質的にそこで審判の結論は出てしまうことが多いです。

 このようなこともあって、裁判官は、審判廷において「裁判所の考え方は調査報告書の通りです」と発言することが多く、大半のケースでは調査報告書の内容通りの審判がおります。

 

 

9.まとめ


・一口に期間分掌と言っても、完全な監護者指定との掛け合わせで、全部で3つのバリエーションが考えられる。

・モラハラ夫が期間分掌を申し立ててきたのは、仕事があって完全にお子さんの面倒を自分だけで見ることが難しいといった理由が想定される。

・監護期間分掌審判事件は以下の3つの事件をセットで申し立ててくるものと想定される。

1)監護者指定

2)引渡し

3)保全処分

・監護者期間分掌審判事件の特徴としては、①迅速性、②第1回期日までにほぼ資料は出し切るべき、③調査官調査主体の手続であること、④調査報告書でほぼ結論が決まるという点が特徴的である。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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