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【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑱】どこまで昔のことを思い出す必要があるのでしょうか?

2025.03.10更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.どこまで昔のことを思い出す必要があるのでしょうか?


 「どうして離婚したいと思うようになったのか」という点について、より正確かつ詳細に話をするにあたっては、結婚当初に遡った出来事を思い出さないといけないと考えがちです。

 確かに、後述の通り、最終的には、結婚のときに遡って時系列的に出来事などを羅列するといった作業が必要になりますが、漫然とそれを思い出すということは非常に難しいと思います。特に婚姻期間が10年、20年、それ以上ともなると、「結婚した当初の時のことは思い出せない」「そんな10年以上前のことを正確に思い出すことは難しい」ということも多いと思います。

 今回は、今後の調停や裁判に向けて、「どのようなこと」を「どのような切り口」で思い出す必要があるのかという観点から解説していきます。

 

(1)まずは直近部分についてのエピソード

 この点は、一番大事で、調停などでも必ずと言ってよいほど調停委員から質問される事項なのですが、直近部分のエピソードをお話しいただく必要があります。

 要するに、今あなたが弁護士に相談をしたいと考えたり、別居したいと考えているのは、直近で「もうモラハラ夫とは一緒にやっていけない」と感じる大きな出来事があったからだと思います。

 それは、「これまでは汚い言葉で罵られるだけだったけれども、ついに手が出たのでもう無理だと思った」なのか「これまでは無視されるだけだったけれども、今回はこちらのこれまでの努力を完全に無にするようなひどい罵倒があった」なのか、出来事の内容は様々だとは思いますが、「これまでにない何か」があったのだと思いますので、その内容が何なのかをお話しいただくということになります。

 

  もちろんモラハラの場合には、「これまでの積み重ね」が大きく、直近で分かりやすい大きな出来事が発生していない場合もありますが、それでも、「モラハラ夫が帰ってくると動悸がしてしまって苦しくなってしまった」など、何らか別居・離婚を決意した理由等があると思いますので、そのような「直接のきっかけ」と一緒に、夫の何が嫌で、「どのような積み重ね」があったのかをお話しいただくことが重要になります。

 

(2)証拠という切り口

 前述のように直近の出来事に関しては、まだそれほど期間も空いていないため思い出すことが出来ると思いますが、数年前の出来事になりますと「こういうことがあったのは間違いないけれども、5年前のことだったか、7年前くらいだったかもよく思い出せない」ということもあろうかと思います。

 そもそも、モラハラ夫が「離婚したくない」と強く主張してくる可能性が高い事案では、早い段階からモラハラ証拠を確認しておくべき事案が多いです。

 

 モラハラ夫の言動を録音した音声があれば、それが良いのですが、それがない場合でも、モラハラ夫のLINEやメールなどがあれば、それが証拠になる場合もあります。

 LINEやメールで暴言や脅しまがいの文言などがある場合には、モラハラの証拠になりますし、LINE等の日付を見れば、何時の出来事なのかも分かります。

 このようにして証拠を振り返ることで、モラハラの時期を特定していくということもあります。

 

 もし、モラハラ夫がLINEやメールではモラハラ発言をしていないという場合には、時期の特定のために写真データなどを見返すということもあります。

 例えば、夫側の両親も交えて○○に旅行に行った時に、ひどい暴言被害を受けたという場合には、その旅行の時期が特定できれば良いので、その時の旅行の写真を探す、といった具合です。デジタルデータが残っていれば、写真撮影日イコール暴言被害の時期の特定につながると思います。

 

(3)「漏れなく伝える」というよりも「重要な出来事をしっかり伝える」ということの方が重要

 たまに、10ページ以上の文書で「これまでのモラハラ被害の全て」というような内容のものを詳細にまとめてきてくださるような方もいます。もちろん、このような文書があると、弁護士としては過去の経緯の確認をするにあたって作業がしやすいのは事実です。

 ただ、このような方々のお話を聞いていると、「結婚中のモラハラをほとんど網羅していると思います」とお話なさるのですが、今後の手続きに当たって重要になってくるのは、「全てを漏れなく」というよりも「重要な出来事に関しての詳細」という視点です。要するに「広く浅く」よりも(多少漏れがあったとしても)「重要な出来事に関しては深く」という視点が大事だということです。

 もちろん、そのような重要な出来事に関して証拠があれば、その方が有利に手続きを進めることが出来ます。

 

 例えば、「平成〇年〇月〇日に夫から『死ね』と言われた」というだけではなく、①どのような経緯でそのように言われたのか、②その声の大きさはどのくらいの声の大きさだったのか、③その時に言われたのは「死ね」だけだったのか、他にひどいことは言われていないのかといったことをしっかりと思い出す、という意味です。

 よく私の方からは、重要な出来事に関しては5W1Hもしっかりと思い出して下さい、とアドバイスすることが多いです。

 

(4)最終的には時系列化

 前述のように思い出していただき、最終的には時系列化できると良いです。

 ただ、結婚して数年など、古い出来事についてはどうしても思い出せないとか、特に大きなモラハラの出来事はないということもあると思います。

 そのような場合には「結婚して暫くは特に夫が暴言などを発することもなかったが、長男が生まれたあたりから、やつあたりがひどくなり…」というような説明の仕方になることも多いです。

 いずれにせよ、前述のように「全てを漏れなく」というよりも「重要な出来事に関しての詳細」という視点で思い出すことの方が重要性が高いです。

 

 

3.皆さんどうなさっているんでしょうか?


(1)調停手続きの途中の段階で詳しく整理することになるパターンが多い

 実際上、私が担当している事件を見ますと、当初の段階から詳しく時系列を整理しきれているというケースは稀で、調停手続きの途中の段階で詳しく整理することになるパターンが多いです。

 そもそも、調停委員も、調停の限られた話し合いの時間の中で結婚してから別居するまでの夫婦間のやり取りを「広く浅く」知りたがるかというと、どうして別居することになったのかどうして離婚したいのか、その引き金になった事情やそのように思い立つに至った重要な出来事の方に関心を持つことが多いです。

 残念ながら調停では、夫婦の言い分が大きく食い違うケースが多いです。そして、あまりにモラハラ夫側が「離婚されるような経緯に思い当たる節がない」と強く主張する場合に、こちらの方で離婚に至る経緯等を詳しく整理することになるというパターンが多いです(その段階になって、時系列を正式に整理するということ)。

 

(2)初回の相談時は?

 弁護士に初回相談をする際に、離婚の理由を詳細にまとめてきてくださる方もいますが、全体的には「ごく少数」というイメージです。

 このように初回相談の時から長文の出来事をまとめてきて下さるケースですと、残念ですが、「広く浅く」なってしまっていて、(多少漏れがあったとしても)「重要な出来事に関しては深く」という視点が欠けてしまっていることの方が多いです。

 そのようなこともあって、私の方からは「初回相談にあたって、特に私の方から準備をお願いすることはありません」とお伝えすることも多いです。

 もちろん、既にあなたの手元に資料などがあって、「ぜひその内容を見て欲しい」という事情があれば、それはお持ちいただきたいのですが(よくあるのは、このモラハラ夫の言い方はきついと思うのですが、実際に録音を聞いてみて欲しい、ということで、録音をお持ちになる方もいます)、事前にあまり詳しい準備をする必要はありません。

 

 

4.まとめ


・過去の経緯に関しては、まずは直近の出来事を詳しく思い出すことが重要である。

・過去の経緯を思い出すにあたっては、「広く浅く」よりも(多少漏れがあったとしても)「重要な出来事に関しては深く」という視点が大切である。

・証拠(LINEやメール、写真)を元に思い出すと正確な時期などを思い出せることが多い。

・最終的には時系列化する必要があるが、調停の途中段階で必要になるといったケースが多い。

・少なくとも初回相談の時に詳しく整理している方はごく少数である。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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