婚約者が浮気した!不倫相手に慰謝料請求できるか?
2018.09.04更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。
円満な婚約関係を続けていたつもりだったのに、婚約者が陰で浮気をしていたという場合には、大変な精神的ショックを受けると思います。浮気によってもう相手を信じることができなくなり、婚約解消に発展することも多くあります。その様な場合、浮気の問題は、慰謝料という形で金銭的に精算することになります。
今回は婚約相手に慰謝料を請求するかどうかはともかくとして、婚約相手が浮気をした相手(以下「不倫相手」と言います)に対しても慰謝料を請求できるのかといった問題を解説します。
1.まず始めに確認しなければいけないこと
結論から申しますと、婚約者が浮気した場合、その不倫相手に対する慰謝料請求も認められます。ただ、①不倫相手に対する慰謝料請求であること、②婚約関係であることと言った事情を考慮した注意点があります。
まず始めに確認しなければ行けない事項としては、大きく二つの問題があります。
具体的には、①不倫相手の住所などを調べられるのか、②不倫相手の住所などが分かっているとして不倫相手を巻き込むかの二つの問題です。
まず、一つめの問題ですが、弁護士の調査権限には限界も多いため、弁護士に相談すれば不倫相手の住所も調べてくれると考えないで頂いた方がよいと思います。もちろん、ご依頼がありましたら、調査を致しますが、不倫相手の住所を突き止められないと言うことも往々にしてあります。
次に、不倫相手まで巻き込むかという問題ですが、これは、婚約者への請求との兼ね合いで問題になります。
少し難しい話になりますが、不倫は、婚約者と不倫相手の共同加害行為と言うことになりますので、婚約者側から慰謝料全額を回収した場合、不倫相手には慰謝料請求できないという関係にあります。
簡単に言いますと、慰謝料の金額が、200万円が妥当であるというケースの場合、婚約者が200万円を支払ってきた場合、不倫相手からは慰謝料をもらえないと言うことになります。
慰謝料200万円が妥当という場合、婚約者側から200万円プラス不倫相手から200万円の合計400万円もらえると誤解されている方もいらっしゃいますが、そうではなく、どちらかから200万円ということになります。
ですので、不倫相手に請求するのは、婚約者が支払いを渋っているだとか、不倫を認めていないといった場合が多いと思います。
ただ、お金の問題はさることながら、不倫相手の女性が何事もなく生活して行くことは許せないと思いますので、不倫相手の女性への制裁の意味も込めて、慰謝料を請求するというケースもあります。詳しくは弁護士秦(はた)までご相談いただければと思います。
2.婚約の場合、婚約破棄に至っていることが前提
特に法律で、婚約が解消されていないと慰謝料を請求できないといった定めはありません。しかし、相手が浮気したのに、そのことを認識した上で婚約関係を続けると言うことになると、法律的には①浮気が婚約関係に与えた打撃は大きくなかった、もしくは、②まだ婚約していると言うことは相手のことをあなたも許していると評価される危険性が高いと言えます。
そのため、婚約を継続したまま相手に慰謝料を請求しても、慰謝料請求そのものが認められない(要するに慰謝料額はゼロ円でよい)と言われてしまうことが多い様に思われます。
夫婦間の不倫慰謝料の問題の場合、完全に離婚していなくとも慰謝料請求が認められますが、婚約の場合には、やはり正式な夫婦よりは法律的な保護が弱くなりますので、婚約が解消していないと慰謝料請求は一般的に難しいことになります。
なお、婚約破棄という事情を主張すると、婚約相手の方から、そもそも婚約などしていないとか、一旦は婚約したが自然消滅したといった言い分を述べてくる場合もありますので、当初の婚約成立の裏付けが必要になるケースもあります。
3. 不倫相手からのよくある反論と、それに対する準備
婚約のケースでの不倫相手からの言い分としては以下の様なものがよく主張されます。そのため、その裏付けについても検討すべき場合があります。
①【よくある反論1】婚約しているとは知らなかった
結婚していると夫婦で住んでいる家庭がありますし、お子様がいることもあるため、不倫相手から「夫婦だとは知らなかった」という言い分は通りにくいことも多いです
他方、婚約の場合、婚約相手と一緒に住んでいないというケースも多いですし、そもそも、入籍といった公的な手続きを経ていませんので、婚約しているのかどうかは、相手からすると「見えにくい」ということも多くあります。
そのため、相手からは、男性が婚約しているとは知らずにつきあっていたという反論が出されることが多くあります。仮に本当に不倫相手が、あなたの婚約関係について全く知らなかったという場合、不倫相手は、あなたの婚約関係を傷つけているという認識がありませんので、慰謝料請求は認められない可能性が高いと言えます。
なお、この場合の裏付けとしては、男性が不倫相手に対して婚約している旨を直接話して伝えていたといった証言が得られれば、証拠になると思います。
②【よくある反論2】一旦婚約したことは知っているが破断していると思っていた
婚約は正式な婚姻の様に離婚届等の公的手続がなくても解消することができますし、婚約男性側も不倫相手の気を引くために「かつて婚約している女性がいたが今は完全に切れている」と説明するケースも多く、その場合には不倫相手もそのように信じていたということもあり得ます。
仮に本当に不倫相手が、あなたの婚約関係が破断していると信じていた場合、不倫相手は、あなたの婚約関係を傷つけているという認識がありませんので、慰謝料請求は認められない可能性があります。ただ、その場合でも、婚約男性の説明があまりに不自然であったり、疑わしい場合には、【不倫相手が信用したということに落ち度がありますから)不倫相手に責任が認められることもあるかもしれません。
③【よくある反論3】婚約男性はプレイボーイであり自分も被害者の一人である
要するに婚約男性が複数女性と関係を持っており、真剣に交際していた自分も被害者の一人であるという言い分になります。
ただ、仮に本当に婚約男性が複数女性と関係を持っていたとしても、不倫相手自身、婚約者の存在を認識していた場合、慰謝料責任がゼロになる可能性は低いと思います(但し、支払う慰謝料額が少なくなる可能性はあります)。
4.現実的には婚約男性の協力がないと難しいケースが多い
これまで解説してきましたとおり、不倫相手に対して慰謝料請求していく場合、最初に不倫相手の住所を探り当てることから始まり、最終的には不倫相手から言われそうな反論を封じ込める様な裏付けの準備までしておいた方がベターなため、婚約男性から詳しい事情を聞くことができる環境が不可欠なことが多いです。
そのため、婚約男性の協力がほとんど得られないという場合には、婚約男性に対する婚約破棄の慰謝料請求に集中して取り組んだ方がよいケースも多いと思います。
5.まとめ
・法律上不倫相手にも慰謝料請求は可能だが、乗り越えるべきハードルは多い。
・まず、不倫相手の住所の把握、婚約男性と不倫相手どちらに焦点を絞るのかといった点は最初に検討する必要がある。
・婚約のケースでは婚約関係を維持しつつ慰謝料を請求すると言うことは難しいことが多い。
・不倫相手からは、婚約の存在を知らなかったとか、婚約は破断していると思ったといった反論が予想されるため、そのような反論にも準備しておく必要がある。
・不倫相手への慰謝料請求には婚約男性の協力が必要なことが多いため、婚約男性の協力を得にくい場合には、婚約不当破棄の問題のみに集中すべき場合も多い。
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雨宮眞也法律事務所
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