離婚問題

【弁護士が解説】婚約破棄で請求できる慰謝料額は?

2018.07.24更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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1.婚約って?


 

婚約とは男女間で将来婚姻することを約束することを言います。

 法律上正式に夫婦になる際には当然婚姻届を提出する必要がありますが、婚約そのものには何かの書面や手続は要求されません。

 婚約が成立しているためには、婚約指輪を購入しておく必要があるとか結納のやり取りが必要と誤解している人もいますが、その様な方式は要求されません。

 

 

2.婚約破棄の問題は最終的には慰謝料で調整せざるを得ない問題になってしまう。


 

 婚約が成立している場合、お互いに誠実交際義務が発生しますので、一方的に相手との連絡を絶ったり、一方的に交際中止を宣告すると、この誠実交際義務違反になります。

 このように相手の一方的な行動は「約束違反」にはなるのですが、法律で誠実に交際することを強制することはできません。交際は男女の自発的意志によって営まれるべきものであって、法律が強制することに馴染まないからです。

 従って、婚約破棄の問題は、最終的には慰謝料という金銭的な問題として解決するしかないと言うことになります。

 

 

3.では慰謝料はいくらもらえるの?


 

 婚約破棄のケースは、交際状況や破棄理由、経緯等を含めて多様ですので、一概にいくらぐらいという相場をお話しすることは難しいのが実情です。

 但し、相手に明らかな問題点(浮気や暴力)がないケースですと数十万円から100万円程度とされることが多いように思われます。繰り返しになりますが、婚約破棄の慰謝料額はケースによって千差万別ですので、「100万円程度はもらえる」と誤解しないようにして下さい。数十万円から100万円というのはあくまで目安の一つに過ぎないとお考え下さい。

 

 また、判例を見ておりますと、相手の浮気や暴力等大きな問題があるケースですと100万円以上の高額な慰謝料額を認めたものもあります。

 なお、たまに婚約関係は維持するけれども彼氏の浮気が許せないので慰謝料を要求したい、というご相談を受けることがありますが、法律的には婚約破棄に至った場合にしか慰謝料は発生しないケースが多いように思われます。そのため、相手が任意に慰謝料を払うのであれば別ですが、裁判なども視野に入れなければならないとすると、婚約関係を維持しつつ相手に慰謝料を請求するのは難しいかもしれません。

 

 

4.慰謝料の金額はどのような要素から決定するの?


 

 上記の通り、慰謝料の金額はケースによって様々ですが、判例上、どのような点が重視されるのかというポイントはあります。以下では、その様なポイントについて解説していきます。

 

(1)相手に重大な有責性があるかどうか

 この点はおそらく慰謝料額算出にあたって最も重視される項目ではないかと思います。

 なお、相手の行動や言動が原因で婚約解消になったというだけでは足らず、明らかに相手の行動に大きな問題がある必要があります。

 

 より分かりやすく言いますと、相手が浮気をしたとか相手が頻繁に暴力をふるってきて怪我させられたことがあるといったケースです。

 これらのケースですと明らかに相手に大きな問題点がありますので、婚約破棄の慰謝料増額の事情となります。

 

(2)妊娠等お子様に関連する事情

 あなたが相手男性との間で妊娠した場合や中絶・流産してしまったケース、出産したものの、それをきっかけに相手が疎遠になったというような場合、あなたには身体的な負担も生じておりますので、慰謝料増額事由になり得ます。

 

(3)婚約破棄によってあなたの体調に変化等があったかどうか

 相手からの一方的な婚約破棄によって、あなたもショックで体調を崩してしまうと言うこともあると思います。

 その様な場合に、あなたが心療内科等に通い始め、心療内科等から正式な診断を受けたという場合には、慰謝料増額事由になり得ます。

 

 なお、心理的な不調については、医学的には原因の特定が難しいと言われることもありますが、婚約破棄と時期を近くしてあなたが心療内科に通わざるを得なくなったといったケースでは、婚姻破棄が原因の可能性が高まると思います。

 

(4)結婚に向けての準備がどこまで進んでいたか

 結婚に向けては、結婚式の挙式や披露宴、結納の授受、婚約指輪の授受、お互いの両親への紹介や友人への紹介、新居の購入や賃貸借契約の締結、婚姻届の作成といった事が行われます。

 これらの行為のうちどれについてどの程度の準備が行われたかという点が慰謝料の考慮要素になります。

 

 例えば、既に先方も婚姻届にサインまで完了していたり、新居の賃貸借契約を締結し家具も既に購入していると行った場合には慰謝料増額事由になりやすいでしょう。

 

(5)交際期間等

 慰謝料の金額を決めるにあたって交際期間も考慮要素の一つにはなっているようですが、上記の(1)~(4)と比較すると考慮される程度は大きくないと思われます。

 なお、この交際期間には、半同棲期間や同居期間が含まれるのかどうかという点や婚約する前の交際期間がどの程度で婚約した後の期間がどの程度なのかという点も考慮されることがあります。

 

 

5.裁判も視野に入れるならば証拠が必要


 

 相手が過去の経緯等について自分に都合よく話してくる可能性があるようでしたら、こちらとしては裏付けを取っておく必要があります。

 婚約破棄の慰謝料で考慮すべき事情は上記の通りですので、それに沿うような資料を準備しておく必要があります。

 

 なお、相手男性との間のLINEのやり取りやメールも証拠になることがありますので、機種変更前の携帯電話のデータ等を確認する必要がでてくることもあります。

 

 

6.相手が婚約が成立していないと言ってきた場合の証拠の準備も


 

 また、婚約破棄のケースでは、相手から①そもそも婚約していない(通常の男女の交際の範囲である)とか、②一度は婚約したがこちらも同意して解消している、既に自然消滅しているといった反論が出されることがあります。

 そのため、婚約破棄の前提として、婚約が成立していること、その婚約関係が相手の破棄直前まで続いていたことを主張し、裏付けていく必要があります。

 

 

7.その他


 

 上記の通り、婚約破棄によってあなたが請求できる「慰謝料」の問題について解説してきましたが、慰謝料以外にも相手に損害賠償できるケースもあります。

 例えば、結婚式直前に相手の浮気が判明して破談になったというような場合には、結婚式のキャンセル料等も損害として相手に請求するといったケースです。このような挙式費用を損害として請求できるかは婚約破棄の時期や事情によるところが大きいと思います。

 

 また、婚約に伴って相手から強く退職を要請されたといった事情がある場合には、実際に再就職が成功する前の無職の期間の平均賃金を損害と認めたケースもあります。ただ、婚約に伴う退職については、昨今婚約・婚姻しても共働きをする夫婦が増えてきていることを踏まえ、男性側が強く退職を要求してきたといった事情がないと損害として考慮されにくいと思います。

 

 

8.まとめ


・婚約破棄で相手に請求できる慰謝料額に相場のようなものはない。

・慰謝料額決定にあたっては以下のような要素が考慮される。

 ①(暴力や浮気など)相手に重大な有責性があるかどうか

 ②妊娠等の事情があるかどうか

 ③婚約破棄によるあなたの体調変化

 ④結婚に向けた準備の程度

 ⑤交際期間等

・相手に慰謝料を請求して行くにあたっては、上記考慮要素についての裏付けを準備する必要がある。

 

 

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