離婚問題

【絶対に夫に親権を渡したくない(22)】尋問や調査官面接に対してどこまで対策しておくべきか

2023.01.09更新

弁護士秦

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

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1.離婚の際に親権のことが一番心配


 夫婦喧嘩の中などで離婚や別居を口走ったとき、旦那側から「お前ひとりで出ていけ」とか「親権は絶対渡さないからな」と言われる経験をしたことがある方も多いと思います。
 そうでなくとも、旦那側の普段の様子から、簡単に親権を諦めないと強く予想されることもあります。
 旦那との普段の生活を顧みるとこれ以上一緒に生活できない、離婚は覚悟しているという場合でも、親権のことが非常に心配に感じるという方は多いと思います。
 今回は親権のことで、特に、「尋問・調査官面接」という点にスポットライトを当てて解説していきます。

 

 

 

2.「尋問」・「調査官面接」って何?


 「尋問」や「調査官面接」と言われましても、ピンとこない方の方が多いと思いますので、ご説明しますと、「尋問」とは、裁判所の事件審理にあたって、当事者本人や証人から事情を聴くこと、などと言われます。
 よくドラマなどで、法廷の真ん中に証人等が座って、お互いの弁護士がそれぞれ証人等から話を聞く手続きがあると思いますが、それが正に「尋問」の手続きです。

 なお、「尋問」というと言葉の響きから、警察が行う「取調べ」似たものとイメージしがちですが、全く異なる手続きです。捜査官が取調室といういわば密室で行う「取調べ」ではなく、公開の法廷でお互いの当事者も参加して実施されるのが「尋問」なのです。

 この「尋問」は離婚裁判になった場合に行われる手続でして、離婚調停の中で「尋問」を行うことは基本的にありません。

 

 これに対して、調査官面接というのは、事件を担当する家庭裁判所調査官が、会議室のようなところで事情を確認する手続きです。
 「尋問」と「調査官面接」の大きな差は、①実施場所、②相手側当事者の手続参加、③所要時間、④代理人の関わり、⑤秘匿可否、⑥その結果がどのような書面に登載されるかという点ではないかと思います。

 詳しく整理しますと
① 実施場所…「尋問」は法廷、「調査官面接」は会議室のようなところ(面接室が多い)
② 相手当事者の手続参加…「尋問」は、相手当事者側が見ているところで実施、「調査官面接」は、相手当事者側が見ていないところで実施
③ 所要時間…「尋問」は短いことが多い(長くても通常は30分程度)「調査官面接」は長いことが多い(一般的には1時間半から2時間程度)
④ 代理人の関わり…「尋問」では、当事者の回答に対して、代理人がすぐに何か口を挟むことは基本的にできないのですが、「調査官面接」の場合、代理人もその場ですぐに意見を差し挟むことができます。
⑤ 秘匿の可否…「尋問」では基本的に秘匿不可、「調査官面接」では一部秘匿可
⑥ 結果として作成される書面…「尋問」では、その概要について尋問調書が作成され、「調査官面接」の結果は、調査報告書に登載されることになります。

 

 なお、「尋問」では、親権というテーマだけではなく、離婚に至る事情や慰謝料の当否など、離婚裁判の中で争点となっている様々なテーマが質問事項になるのですが、調査官面接の場合には、ほとんど親権のことしかテーマにはなりません。このように取り扱う「テーマ」という部分でも、「尋問」と「調査官面接」には大きな差があります。

 

 

3.離婚調停・裁判で実施されるのは?


(1)離婚調停の場合

 前述の通り、離婚調停の中で「尋問」を実施することは基本的にありません。

 これに対して、「調査官面接」は、離婚調停手続きの中で実施されることもあります。ただ、親権について夫婦の対立が激しい場合には、「調査官面接」を実施せずに調停を不成立(終了)させてしまうことの方が多いと思います。そのため、実際に「調査官面接」が行われるのは、面会交流のテーマについて行われることの方が圧倒的に多いです。

 

(2)離婚裁判の場合

 親権について夫婦が互いに妥協しないという場合には、「尋問」と「調査官面接」両方実施するのがオーソドックスだと思います。

 ただ、裁判の場合、「調査官面接」及びそれに続く調査実施の後に、裁判官が強く和解を勧めてくることもあり、和解が成立すれば、「尋問」はせずに事件が決着することもあります。

 

 

4.「尋問」または「調査官面接」は何時頃に実施されるか?


 まず、離婚調停の場合、前述の通り、親権というよりも面会交流のテーマについて「調査官面接」を実施することの方が多いのですが、タイミングとしては、調停のかなり終盤で行われることが多いです。調停はあくまでも両当事者の話し合いの手続ですので、裁判所側も、調査官による調査は極力避けたいと考えることが多いからです。

 次に、離婚裁判の場合も、「調査官面接」や「尋問」は、かなり終盤で行われることが多いです。なお、事案にもよりますが、一般的には、「調査官面接」や家庭訪問といった家庭裁判所調査官による一通りの調査がすべて終了し、調査報告書も出来上がった後に、「尋問」を実施することが多いと思います。

 

 

5.どこまで準備すべきか?


 率直に申しますと、「調査官面接」の場合には、その事件のポイント等を押さえておけばよく、そこまで詳しい準備まではしないことの方が多いです。調査官面接の場合には、あなたの横に弁護士が座って、適宜フォローすることができるからです(但し、あくまで調査官に対して主体的に話をするのは、あなた自身です)。

 なお、「面接」と聞くと、「面接試験」のように誤解してしまう方も多いのですが、「面接試験」とは全く異なります。調査官面接のときに、誤解して発言してしまったような場合には、「誤解してしまいました。実際にはこういうことでした」などと訂正することもできますし、そこまで堅苦しく考えなくても大丈夫です。

 
 これに対して、「尋問」は、あなたの弁護士がその場ですぐにフォローすることが難しいですし、話した内容をすぐに撤回することもできませんので、かなりの準備をして臨むことが多いです(通常は、弁護士事務所で事前にリハーサルなどを実施します)。

 

 

6.まとめ


・「尋問」と「調査官面接」とでは、様々な違いがある。
・離婚調停の中で「尋問」を行うことはないが、「調査官面接」を行うことはある。

・これに対して、離婚裁判の場合、「尋問」と「調査官面接」両方行うこともある。

・離婚調停・離婚裁判いずれについても、「調査官面接」等は最終盤で行われることが多い。
・「調査官面接」ではあまり事前準備はしないことも多いが、「尋問」はしっかり準備する。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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