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【改正民法施行!!今後モラハラ元夫は何をしてくるか!?】元夫が突然共同親権への親権者変更を申し立ててきた(4)―当初約束した面会交流の内容を守れていないが、どれほど不利になるか?

2026.08.24更新

※離婚後共同親権は改正民法で初めて明記された制度ですので、現時点で実務の対応が定着しているわけではありません。本記事は弁護士秦の私見に基づく解説ですので、そのような前提でお読み下さい※

 

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。これまで20年以上モラハラ離婚に携わってきた経験に基づき、本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

(この記事は、弁護士秦のオリジナルの記事です。無断転載・無断複製を禁止します)

 

 

1.改正民法施行


 離婚後共同親権等を主とした内容の民法改正は、法律そのものは令和6年5月17日に成立していたのですが、その施行(その法律が効力を発生すること)は令和8年とされていました。この改正は、離婚後単独親権のみとしていた民法の内容を大きく変更するものでしたので、その法律の内容を世間に広く周知し、また、実務的な対応を整備する観点から、法律の施行まで一定の期間を置くことになったのです。

 最終的に民法改正の施行日は令和8年4月1日に設定され、この日から効力が発生することになりました。

 

 

2.離婚後共同親権って何なんだ?


(1)「離婚後共同親権」の法律的な意味合い

仮に、離婚後共同親権を選択したとしても、①夫婦が一緒に住まないといけないというわけではありませんし、②お子さんに半々で関わる制度というわけでもありません。

 そもそも、離婚する際には、ご夫婦は別々に暮らすことを前提に、お子さんが夫婦のどちらと一緒に住むのかを決めると思います。そして、その様に決めると、お子さんの日常的なことは一緒に住んでいる親が決めるということになると思いますので、「共同親権」というのは、以下のような「お子さんにとって大事な事項を夫婦一緒に決める」という意味合いになります。

  • お子さんの転居(引っ越し先の決定)
  • 進路に影響する進学先の決定
  • 心身に重大な影響を与える医療行為の決定
  • 財産の管理(預金口座の開設等)
  • 15歳未満のお子さんの氏の変更
  • 15歳未満のお子さんの養子縁組の代諾

 

(2)緊急時は別扱い

 前述のように、お子さんにとって重要な事項は、共同親権の場合には、夫婦で話し合って決める必要があるのですが、緊急の場合には、別扱いになります。

 例えば、DVや虐待から避難する場合には、あなたの一存で避難及び避難先をどこにするかということを決めて良いということになります。また、お子さんが大きな怪我をしてすぐに医療処置が必要な場合にも、あなたの方で医療処置を受けさせて構いません。

 

 

3.今回の事案設定


今回は、以下のような事案を前提に解説していきます。

  • 離婚そのものは暫く前に成立している
  • 離婚のときの親権者については、妻であるあなたに指定されている
  • その後もあなたがお子さんを育てている
  • 元夫が突如、共同親権への親権者変更の手続きを取ってきた

 

 

4.共同親権への親権者変更ではどのような点が重要視されるのか?


共同親権への親権者変更においては、以下の9個の要素が重要な考慮要素になるものと思われます。

 ①当初あなたが単独親権者になった経緯・手続き

 ②その様に決まってからどれほどの年月が経過したか

 ③従前の父子関係

 ④従前の母子関係

 ⑤父母の関係性

 ⑥あなたの単独親権と決まった後の事情の変化の内容・程度

 ⑦父親が関わることがどれほど子の福祉・利益にかなうか

 ⑧子供の意思

 ⑨今回の親権者変更手続きに至る経緯

 

 

5.当初の約束を守れていないという点はあなたにとって不利な要素になってしまう。


 離婚当初あなたがモラハラ元夫と約束した面会交流の内容を守れていないということになりますと、残念ながら、一定の不利な要素になってしまうことは事実です。

 具体的には、①モラハラ元夫からすると、その様な面会交流条件が守られるからこそあなたの単独親権に合意したという場合には、単独親権にする経緯の部分で問題になり得ますし、②その後の父子関係や父母の関係性という観点からも、あなたの方から父子の信頼関係や父母の信頼関係に一定の悪影響を及ぼしているとも評価できるからです。

 ただ、このことがどの程度不利になるかは、以下のような要素を考慮して検討する必要があります。

 ①どのような形で当初の約束がなされたか

 ②その約束の内容

 ③その様な約束をするに至る経緯

 ④その約束を守れなくなった経緯

 ⑤約束を守らなくなった後のモラハラ元夫の対応 

 ⑥その後の約束違反の内容

 ⑦お子さんの希望

 ⑧今後の対応方針

以下でそれぞれについて解説していきます。

 

6.【ポイント①】どのような形で当初の約束がなされたか


 「どのような形で当初の約束がなされたか」というのは、それが①夫婦の話し合いの中で約束されたものなのか、②裁判所の調停手続きの中で約束されたものなのか、③裁判所の審判手続きの中で決まったものなのかという点と、④その約束内容について書面などがあるのか?ということです。

 上記の①から③で比較しますと、審判で決まった内容を守れていないという方が、責任が重いとみなされやすく、次に、調停、その次に、協議と責任が軽くなっていくイメージです。

 また、裁判所の手続きを利用していない場合には、面会交流の約束について当初から書面が作成されていなかったり、書面が作成されていても、不完全な内容の場合もあります。口頭約束であったり、不備のある書面の場合、「約束違反」とはならない可能性もあります。

 

 

7.【ポイント②】その約束の内容


 その約束の内容も、考慮要素の一つになります。

 調停や審判で面会交流の条件が定められた場合、その内容に不備があることは考えにくいのですが、元夫婦の話し合いで約束した内容には不備が含まれることもあると思います。

 例えば、毎週面会交流を実施するとか、モラハラ元夫側がお子さんといつでも自由にコンタクトをとって良いといった内容は、離婚後のお子様の生活などを考慮した時に、お子様にとって過剰なものと評価する余地があります。

 

 

8.【ポイント③】その様な約束をするに至る経緯


 そのような約束をするにあたって元夫婦でどのような話し合いがあったのか(経緯)は重要な考慮要素になります。

 例えば、モラハラ元夫側が当初単独親権を主張していたものの、あなたが毎月1回必ず合わせると約束するので、あなたに単独親権を譲ったというような事情がある場合、その内容を遵守していないというのは、それなりに大きな問題と評価されてしまう余地があります。

 逆に、モラハラ元夫は離婚のときには今後の面会交流についてほとんど関心を持っていなかったというような場合、形式的に約束に違反しているからと言って、そのことをあまり重大視すべきではないということになろうかと思います。

 

 

9.【ポイント④】その約束を守れなくなった経緯


 あなたが当初の約束を守れなくなったことには何か理由があると思いますので、そのような理由や経緯は重要な考慮要素になります。

 例えば、約束した交流日にお子さんが体調を崩して参加できなかったとか、習い事の都合でどうしても面会交流出来ない月が出てきてしまったといった場合には、やむを得ない事情で約束を守れなかったという評価になろうかと思います。

 逆に、離婚後元夫とお子さんとであまり接点を持ってほしくないと考えた、というような事情は、約束を守れなくなった合理的理由とは言いにくいと思います。

 なお、たまに、「元夫が養育費を払わなくなったので、子供に会わせないようにした」とおっしゃる方がいますが、養育費の支払いと面会交流は直接関係する内容ではありませんので、養育費が入ってこないからと言って面会交流させなくて良いということにはなりません。

 

 

10.【ポイント⑤】約束を守らなくなった後のモラハラ元夫の対応


 その後のモラハラ元夫側の対応も重要な考慮要素になります。

 例えば、モラハラ元夫側がしきりにあなたに電話連絡等をしているのに、あなたが放置してしまったという場合には、あなたにとって不利な要素になってしまいます。

 逆に、その後、モラハラ元夫側からあなたにほとんど連絡がなく、突如今回の共同親権への変更申立がなされたというような場合には、あなたにとってそれほど不利な事情にはならないと思います。

 

 

11.【ポイント⑥】その後の約束違反の内容


 約束を守れなかったとは言っても、毎月2時間の交流の約束が毎月1時間半になってしまっているという程度でしたら、そこまで大きな約束違反ではないと思います。

 他方で、モラハラ元夫からあなたにしきりに電話連絡が来ているのにそれを放置し続けて、2年間一切面会交流させなくした、というような場合には、重大な約束違反に該当してしまうと思います。

 このような約束違反の内容も重要な考慮要素になります。

 

 

12.【ポイント⑦】お子さんの希望


 お子さんの年齢にもよりますが、面会交流は、子の福祉の観点から実行されるものなので、お子さんの希望も重要な考慮要素になります。

 なお、お子さんが希望するのだから、毎日でも交流するなどと言い出すモラハラ元夫もいますが、交流はお子さんの安定した生活があってこそ実施できるものですので、あまり過剰な内容にはすべきでないと思います。

 

 

13.【ポイント⑧】今後の対応方針


 今後あなた自身が考える対応方針も重要な考慮要素になります。

 あなたとしては、モラハラ元夫とお子さんをあまり関わらせたくないと考えるかもしれませんが、少なくともお子さんが元夫と会うことを希望しているような場合に、それを妨げるような対応は望ましくないかと思います。

 

 

14.結局、共同親権にどれほど悪影響になるか?


 当初の面会交流の約束を守れなかったからと言って、直ちに共同親権が認められるといったほどの重大な悪影響は及びにくいと思います。

 ただ、約束を守れていないことは事実ですので、今後の対応方針についてはじっくりと検討して、こちらに不利にならないよう対応する必要が出てくると思います。

 

 

15.まとめ


・当初の面会交流約束を守れていないことがどの程度のインパクトを持つかは、以下のような要素を考慮して検討されることになる。

 ①どのような形で当初の約束がなされたか

 ②その約束の内容

 ③その様な約束をするに至る経緯

 ④その約束を守れなくなった経緯

 ⑤約束を守らなくなった後のモラハラ元夫の対応

 ⑥その後の約束違反の内容

 ⑦お子さんの希望

 ⑧今後の対応方針

・当初約束を守れていないからと言って、即共同親権になるわけではないが、今後のことは慎重に検討した方が良い。

 

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

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