【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑰】皆さんモラハラ夫に慰謝料を請求しているのでしょうか?
2025.02.24更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
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1.モラハラとは何だ?
「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。
モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。
2.皆さんモラハラ夫に慰謝料を請求しているのでしょうか?
(1)皆さんモラハラ夫に慰謝料を請求しているのでしょうか?
私が担当した事件の印象としましては、慰謝料を請求していない方の方が多少多い印象です。ただ、慰謝料を請求している方がすごく少ないのかと言いますと、「そこまで少なくはない」という印象です。
詳しくは後述しますが、少なくとも調停段階では、ご依頼者様が慰謝料を請求しておきたいと考えているようであれば、慰謝料は請求するようにしています。
(2)調停申立ての段階で思い悩むことが多い
慰謝料を請求するかどうかという点は、実際には離婚調停を起こす際に思い悩むことが多いです。
なぜなら、離婚調停申立書という申請書に、慰謝料を請求するかどうかのチェック欄が設けられていますので、申請の段階で、慰謝料を請求するかどうかを決断しなければならないからです。
(3)慰謝料を請求しない方がおっしゃっていること
私の方から慰謝料を請求しますか?と尋ねると、はっきりと「請求しない」とおっしゃる方も多いです。そのような方がよくおっしゃるのが「夫は自分が絶対正しいと思っているので、慰謝料を請求しても反発してくるだけだと思います」とか「どちらかと言うと、私は財産分与さえしっかりもらえれば、早めに離婚したいので、慰謝料の話をして話を長引かせたくないです」といったお話です。
(4)慰謝料を請求する方がおっしゃっていること
逆に、慰謝料を積極的に請求したい、という方もいます。
そのような方がおっしゃるのは「これだけのことをされて何もなしというのは納得できません」とか「最初から慰謝料を請求しないと相手になめられそうなので、一旦は慰謝料を請求して下さい」といったお話です。
(5)どのような点を考慮して請求するかどうかを決めるのか?
実際に調停を申し立てる際に、慰謝料を請求するかどうかは、以下のような点を考慮して決定することが多いです。
・早めに離婚したいかどうか
・モラハラ夫が反発するリスクをどう捉えるか
・あなた自身の心情的な問題
・最初から一切ナシとすることへの抵抗感
・調停委員から見た印象
・今後の裁判での見込み
それぞれ詳しく解説していきます。
ア)【考慮要素①】早めに離婚したいかどうか
「早めに離婚したいですか?」と質問された場合、ほとんどの人が「早めに離婚したいです」と回答すると思います。ここで問題となるのは「慰謝料を諦めてでも早く離婚したいですか?」という問題です。
確かに、あなたがこれまでにされたことを全て振り返ると、とても許せないということかもしれませんが、そのことを考慮しても「早く終わらせたいのか?」ということをお考えいただくようにしています。
イ)【考慮要素②】モラハラ夫が反発するリスクの評価
基本的にモラハラ夫は自分がこれまでしてきたことは「全て正しい」と考えていることが多いです。
そのため、慰謝料を請求すると「俺がそんなに悪いことをしたって言うのかよ」と強く反発してくることが多いのは事実です。
ただ、このように反発してくる場合の、具体的なモラハラ夫側の行動の内容に応じて、リスクの大きさを検討することもあります。
要するに、慰謝料と言うことに反発して、夫側が調停の手続きを完全にボイコットしてしまうとか、長文の反論文章が提出されて、手続きがあまりにも長期化しそうだというような場合には、慰謝料請求にはかなりの覚悟を持った方が良い気がします。
他方、調停の席で、夫側が反発してくるだろうが、そこまで極端なものではない、という場合には、慰謝料請求の余地があるかもしれません。
ウ)【考慮要素③】あなた自身の心情的な問題
要するに「どうしても許せない」という気持ちがどの程度あるのか、という問題です。
法律上、モラハラ夫に謝罪を要求するということは難しいので、モラハラに対して何か言うとなると「慰謝料請求という方法しかない」というのが実情ではあります。
そのため、夫のモラハラに対して「何も罰がないというのはおかしい」という場合には、慰謝料を請求すべきということになります。
エ)【考慮要素④】最初から一切ナシとすることへの抵抗感
調停申立書は、調停を申し立てる際の申請書であると同時に、調停の手続きをしている中で、調停委員が議論の柱を再確認書類でもあります。
そのため、調停申立書において慰謝料の欄に一切チェックをしておかないと、後から慰謝料を請求しても、調停委員から「本気度」を疑われるといったリスクがあります。
そのため、「ひとまず慰謝料を書いておくだけはしておく」ということで調停申立書の慰謝料欄にはチェックを入れるということもあります。
オ)【考慮要素⑤】調停委員から見た印象
調停委員は、全体的に、慰謝料の話題は避けたがることが多いです。
なぜなのかと言いますと、調停は、お互いが一定の譲歩をして解決を導く制度です。これに対して、慰謝料は、どちらか一方が「悪い」と認定した上で、お金を払わせるものですので、「お互いの譲歩」という考えと相いれない面があるのです。
調停委員を味方につけるという発想から、最初から慰謝料は請求しない、とおっしゃる方もいます。
カ)【考慮要素⑥】裁判の実情
後述のように、残念ながら、離婚裁判ですとモラハラのみを理由とする慰謝料は認められないことの方が多いです。
そのため、最初から慰謝料を請求しない、という方もいます。
(6)請求する場合、いくらと書くか?
離婚調停の場合、調停申立書の書式の中に「相当額」という印刷文字が入っていますので、申立段階では「相当額」にチェックを入れて、具体的な金額を入れないことが多いかと思います。
あまり高額を記載すると、相手が強く反発してくるでしょうし、あまり少額を書くと相手が変に安心するという心配もありますので、このように書くことが多いと思います。
3.裁判での実状
モラハラよりも悪化して、暴力に及ぶケースなどでは、離婚裁判でも慰謝料が認められることはありますが、モラハラだけを理由とした場合、残念ながら、慰謝料請求は認められないことの方が多いです。
4.まとめ
・私が担当したケースだと、慰謝料を請求しない方の方が多い印象である。
・慰謝料を請求するかどうかは以下のような要素を考慮して決定する。
①早めに離婚したいかどうか
②モラハラ夫が反発するリスクをどう捉えるか
③あなた自身の心情的な問題
④最初から一切ナシとすることへの抵抗感
⑤調停委員から見た印象
⑥今後の裁判での見込み
・仮に慰謝料を請求する場合、調停の申立て所の「相当額」にチェックを入れることが多い。
・仮に裁判になった場合、モラハラのみを理由とした慰謝料請求は認められにくい。
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