【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑦】モラハラ夫はどのくらい離婚に抵抗してくるのでしょうか?
2024.11.11更新
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。
神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。
1.モラハラとは何だ?
「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。
モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。
2.モラハラ夫は離婚にどこまで抵抗してくるのでしょうか?
念のため、弁護士が担当する事件で、事件がどのように推移するのかを解説しますと、以下のようになります。
①モラハラ夫に直接コンタクトを取って話し合いをするフェーズ
↓
②家庭裁判所の調停という手続きを利用するフェーズ
↓
③家庭裁判所の裁判という手続きを利用するフェーズ
あまり離婚問題を長引かせたいという方はいないと思いますので、上記の①の協議離婚のフェーズで決着させるのが利用です。
ただ、実際に私が担当した事件の傾向を見ますと、モラハラ夫を相手にした事件で①の協議離婚のフェーズで決着した事件はかなり少数です。
それでは、②の調停で解決したケースと、③の裁判にまで発展してしまったケースの割合がどうなのかと言いますと、私の印象としては五分五分というイメージです。
モラハラ夫はこだわりが強い人物が多く、離婚裁判にまで至ってしまうケースが相対的に多いと感じます。
3.なぜ抵抗してくるのか理解が難しいケースも多い
私が奥様と話をしておりますと、モラハラ夫側がなぜ離婚に抵抗してくるのか理解しがたいというケースも多いです。
例えば、以下のようなものがあります。
(1)同居中はモラハラ夫の方から「離婚だ」「出て行け」と言われることが多かったのに、こちらから離婚調停を起こしたら「離婚には応じられない」などと言ってくる。
(2)同居中あれだけ沢山ひどいことを言ってきたのに、調停の席では「夫婦としてはとても仲が良かった」とか「どうして離婚と言われるのか思い当たるところが何もない」などというので信じられない。
(3)離婚調停の中で、モラハラ夫が暴言などについて謝罪してくるならまだしも、こちらを「嘘つき」呼ばわりしたり、批判してきたりするので、「そんなに私のことが嫌いなら別れればいいのに」と思ってしまう。
(4)離婚調停の中で、調停委員がモラハラ夫に「何か改善するつもりはあるか?」と尋ねたところ、「妻が変われば丸く収まる」などと言っており、話にならない。
4.モラハラ夫はなぜ抵抗してくるのか?(その理由)
それでは、モラハラ夫はなぜ離婚にそこまで抵抗してくるのでしょうか?
(1)自分はひどいことをしていない
モラハラ夫側と離婚に関する話し合いをしていると、「あなたは奥さんにこんなひどい発言をしたでしょう?」と尋ねても「そんなことは言っていない」という返事が返ってくることが非常に多いです。
多少は自分のモラハラ発言を認めても、「怒らせる妻の方が悪い」とか「あまりに妻の家事が行き届いていないのだから怒って当たり前」とか、ひどいケースですと、「俺は妻のためを思って注意している。妻のやり方じゃあ社会で通じないに決まっているから、俺に感謝して欲しいくらいだ」とまで言ってきます。
このように「ひどいことを何一つしていないから、離婚と言われる理由がない」と主張してくるモラハラ夫はかなり多いです。
(2)夫婦の上下関係から反対してくる
モラハラ夫は妻側を下に見ていることが非常に多いです。
そのため、「俺の方から離婚というのは良くても、お前の方から離婚というのはまかりならん」という発想のモラハラ夫はかなりの数います。
モラハラ夫の目から見て、あなたからの離婚要求は、「下の立場の人間」が歯向かってきた、というように見えるので、とことん抵抗するとか反対するという反応になることが多いです。
(3)一度も直接の話し合いもできていないのに筋が通らない
あまりに夫からのモラハラがひどいケースなどでは、別居前に夫側と離婚や別居などの話を一切できずに家を出るというケースもあります。
このようなケースで夫側が主張してくることが多いのが、「妻と離婚について全く話ができていない」「弁護士に任せっきりで、直接話もせずに出ていくなんて筋が通っていない」「何も言わずに別居してさようならなんて、そんな勝手な話はない」と言ってくるモラハラ夫はかなり多いです。
(4)自分の正しさを証明したい
離婚裁判などで対立していますと、モラハラ夫側が「自分の正しさを証明したい」と考えているように感じるケースが相当数あります。
離婚裁判では、裁判の時点で、夫婦を離婚させるべきかどうかの決着が裁判官から示されますので、「そこで自分の正しさを証明したい」と考えるようです。
このようなタイプのモラハラ夫の場合、離婚裁判の結論を見ない限り離婚に応じないというスタンスのため、離婚紛争が長期化してしまうことが多いです。
(5)お子さんの親権や面会交流のことを考えて抵抗してくる
モラハラ夫も内心は離婚を視野に入れているように見えても、離婚になってしまうと妻側に親権を取られてしまうので、「離婚そのものに反対する」というスタンスを取るケースも相当数あります。
また、モラハラ夫なりに希望する面会交流の頻度などがあり、そのような面会交流が保証されない限り離婚に応じないというスタンスを取るモラハラ夫も相当数います。
(6)浮気や暴力でもないと家庭を守るのが妻の務めだという発想で反対してくる
特にご年配の方で、このようにおっしゃる方が多いのですが「こんなことを言うと考え方が昭和だって言われてしまうかもしれませんけども、私は浮気したり、妻に暴力ふるったこともないから、家庭を守るのが妻の務めだと思うんですけどね」とか「私も多少言い過ぎたことはあったと思いますけど、私の両親の時代は親父がお袋に手を上げるなんてことは日常茶飯事で、それでも離婚なんて話はありませんでしたからね」といったお話をなさる方もいます。
結婚した以上は、よほどのことがない限りは離婚なんてもってのほかだという考えで、離婚に抵抗してくるのです。
(7)単純に寂しい
特にお子さんがいるケースで多いのですが、妻と子供が出て行って寂しいということで離婚に反対してくるモラハラ夫もいます。
ただ、寂しいという理由ひとつだけで離婚に強く反対してくるかというと、実際には、前述の(1)から(6)の理由と合わせて反対してくるケースの方が多いかと思います。
5.まとめ
・モラハラ夫と協議離婚できたケースもあるが全体的には少数である。
・モラハラ夫と調停で離婚できるか裁判まで行ってしまうのかは、五分五分である。
・モラハラ夫は以下のような理由で抵抗してくる。
①自分はひどいことをしていない
②夫婦の上下関係から反対してくる
③一度も直接話し合う機会がなかった
④自分の正しさを証明したい
⑤お子様の親権や面会交流の観点から抵抗してくる
⑥浮気や暴力でもないと家庭を守るのが妻の務めだという発想で反対してくる
⑦単純に寂しい
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