実際の解決事例

モラハラ夫から突如起こされた監護者指定審判で勝訴したケース

2020.04.22更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。

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1.そもそも「監護者」って何だ?


 離婚する以前の夫婦は共にお子様の共同親権者で、離婚の際には(単独)親権者を決めなければならないというように、「親権者」というワードはよく出てくるのですが、「監護者」については、親権者ほどメジャーなワードではなく、よく分かりにくいという質問を受けることもあります。
 端的に言いますと、監護権とは、親権の一部と理解すると分かりやすいと思います。

 親権とひとくくりに申しましても、親権には①身上監護権(お子様の身の回りの世話(監護)や教育(主として進学や進級等)を決定する権利(責任を伴います)を主として、居所指定や職業の許可といった権利を含む権利です。)だけではなく、②お子様の財産管理権、③身分行為の代理権も含むとされています。
わかりやすく言いますと、監護権は、このような①から③の権利のうち、①だけを切り出した権利ということになります。

 

2.私が担当した事件         


① ご依頼者様 : 30代前半の女性(Aさんとします。)

② ご依頼内容 : 旦那様からの暴言・暴力に耐えかねて実家に避難したのですが、突如、夫側が監護者指定事件を起こしたということで裁判所からの連絡が来てしまいましたので、どう対応してよいか分からず相談に来ました。娘を夫に渡すことは絶対にできませんので対応をお願いします。

③ 関係者の概要等
この事件の相手方 : 30代後半の旦那様
お子様 : 小学校低学年の娘様お一人
婚姻期間 : およそ10年
家庭環境 : ご依頼時別居中

④ モラハラ・DVの概要
モラハラ)ほぼ毎日の様にこちらを侮辱する様な暴言、こちらを見下すような暴言も多い、娘に対する叱りつけ方が異常である等々
DV)一度首を絞められたことがあるほか、小物等を投げつけられたことが何回かある。

 

以下では、この事件に対して私が行った弁護活動の内容を解説していきます。

 

 

3.監護者指定事件はスピード勝負


 

 今回のケースもそうですが、監護者指定事件では、一般的に保全処分も同時に申し立てられます。保全処分とは、要するに緊急措置として暫定的に仮の監護者を定めて欲しい、暫定的に仮の引渡をして欲しいという申請ということです。
このような保全処分がありますと、手続きは、いわば「緊急事案」としてかなりスピーディーに進められます。

 

 そのため、こちらも迅速に資料の準備を進めていく必要があります。
 今回のケースでも、お子様の小学校の連絡帳、母子手帳といった最低限の資料準備はもちろん、「子の監護に関する陳述書」の準備に取り掛かりました。

 

 

4.第1回審判期日に調査命令が発令され、調査官の調査が開始


 

 事前にしっかりとした資料等を提出しておりましたので、第1回審判期日では、裁判官からの追加質問等も少なく、円滑に調査命令の発令がなされました。
 調査命令の対象事項は、①現在の監護状況と②子の意向調査ということになりました。
 なお、保全処分の申し立てもなされていましたので、今回のケースでも、担当調査官は3名の調査官が指名され、調査官も作業分担をしながら調査を進めました。

 

 

5.調査スケジュール


 今回のケースでは以下のようなスケジュールで調査が行われました。

① まず、東京家庭裁判所において夫側が調査官との面接

② 次に、(①とは別日に)東京家庭裁判所において、こちら側が調査官と面接(当職も同席)

③ その後、家庭裁判所調査官が娘様の通う小学校を訪問し、小学校での様子等を確認

④ こちら側の家への家庭訪問実施

⑤ ご依頼者様において娘様を東京家庭裁判所に連れてきてもらって、娘様と調査官のみで面接実施

 

 

6.調査に当たっての準備


(1)調査官面接への対応
①こちらの監護実績についてのしっかりとしたアピール
 調査官面接の前は、特に夫側からの主張に目が行きがちで、それに対する反論ばかりに気を取られがちですが、反論に終始してしまうのは危険です。
 調査官は、事前に提出された「子の監護に関する陳述書」の内容が実態に沿うものであるかをしっかりと確認したがりますので、まずは、こちら側の監護実績に偽りがないという点をしっかりと強調するようにしました。

②次いで、夫側の主張への反論
 今回、夫側からは大きなポイントとして、①娘様は体が弱いので、元気にしているかが心配である、②こちら側(奥様側)が育児や家事で憔悴しており、十分娘様の世話をできているか心配が強いというところでしたので、これらの点を重点的に反論準備しました。
 今回の夫側からの主張は、同居中奥様に対して発生ていた発言とは大きく矛盾するものでしたので、ご夫婦のLINEのやり取りなどを積極的に証拠提出して、夫側の主張を封じるようにしておりました。
 調査官面接でも、これらの点をしっかりと説明し、調査官の理解を得るように努めました。

(2)家庭訪問への準備
 家庭訪問を言いますと、皆さま室内の掃除・片づけはしっかりとしてくださるのですが、調査官は、お子様の身だしなみや躾が行き届いているのかといった点もしっかりと見極めようとしますので、あらかじめ注意すべき点などを洗い出して、家庭訪問に備えました。

 

 

7.奥様側を監護者にすべきとする調査報告(こちらの全面勝利)


 事前に入念に準備した甲斐があって、調査報告書の結果は、こちら側が娘様の監護者として相当であるという意見が付されていました。
 これを受けて、裁判官は、夫側に対して、事件申立の取下げを示唆していましたが、夫側は取り下げませんでしたので、最終的にはこちらが勝訴の審判が下りました。

 

 

8.面会交流について


娘様の調査官面接の際、娘様が父親である相手方との面会交流を希望したというところもありましたので、こちらも第三者機関を通じての面会交流に応じることにしました。

 

 

9.離婚調停等について


 この事件は、監護者指定事件と並行して、こちらから離婚調停と婚姻費用分担調停を申し立てていましたが、調停は夫側が復縁を強く希望したため難航しました。
 ただ、婚姻費用を支払い続けることの負担が大きいと感じたのか、最終的には夫側も離婚に応じたため、調停で離婚を成立させることが出来ました。

 

 

10.弁護士選びの注意点


 

 弁護士によっては、離婚問題は取り扱ったことがあるけれども、監護者指定事件の経験はほとんどないという弁護士も相当数います。

 特に監護者指定事件は、事件特有の特殊性もありますので、弁護士に依頼なさる際には、監護者指定事件に精通している弁護士を探すようにしてください。

 

 

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