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【こんな小さい子がいるから絶対離婚できない(22)】不倫夫がうやむやにしようとするのですが、このまま許して良いのでしょうか?

2025.09.15更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。諦めるのはまだ早い、最後まで離婚回避に尽力する弁護士の立場から詳しく解説していきます。

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【こんな小さい子がいるから、絶対に離婚できない】

私がご相談を受けておりますと、このようにおっしゃられる奥様は相当数いらっしゃいます。

それでは、どのような心境で、このようにおっしゃられるのでしょうか。私が直接お話を聞いている中でお聞きした内容は以下のようなものです。

 

①子供にとって両親が揃っていた方が良いに決まっている

②親の事情で片親というのは子供が不憫

③子供が成長した時に、友達から揶揄されたりいじめられたりと不利益が生じそう

④シングルマザーだと、私が体調を崩したときなどに大変

⑤片親だと将来の選択肢が狭まる(幼稚園入園や私立小学校への入学等)

⑥私の収入は少ないので、夫の収入なしでの生活は経済的に厳しい

⑦子供が生まれた途端に離婚なんて、夫は無責任

⑧子供のことを第1に考えられるなら簡単に「離婚」なんて言えないはず

⑨世間体、周囲の目が気になる

 

このようなご意見は、全てが法律上そのまま正しいというわけでもないのですが、「ご心情はお察しして余りある」というのが実情です。

 以下では、①お子様が乳幼児(概ね0歳から3歳)で、②あなたが奥様(旦那様側ではない)というケースを前提として、以下の通り解説していきます。

 

 

1.相手の浮気の話題が出ることは多い。


 弁護士にご相談されるケースでは、夫が突如家を出てしまったというケースが多いので、浮気を疑っている方も多いと思います。何も事情がなければ、あなたと直接話し合いをするはずなので、そのような話し合いを何もせずに出て行ったところから、「浮気しているんじゃないか?」と疑ってしまうのです。
 ただ、私が相談を受けたり、実際に担当したケースでは、相手が浮気している確たる証拠が得られないケースの方が大半です。
 パートナーが突然出て行ってしまったのですから、浮気を疑う気持ちもやむを得ないとは思いますが、浮気の確たる証拠がない状態で、夫側の浮気を責める戦い方は難しいのが実情です。

 

 

2.まずは浮気の証拠集め


 浮気の疑いがある場合、まずは、その証拠集めが非常に重要になります。
 なお、「浮気の証拠」というのは、俗な言い方になってしまいますが、パートナーが第三者と性交渉を持ったことの証拠でして、例えば、「第三者と二人で食事に行った」といった証拠ですと不十分ということになります。
 調査会社に依頼して調査してもらうという方法もありますが、かなりコストがかかってしまいますので、費用との相談ということになろうかと思います。

 また、夫側の了解を得た上で、携帯電話やクレジットカードの明細書などを見ることができれば、そこから、浮気の証拠を得られる場合もあります。
 更に、夫との会話を録音し、その中で浮気、すなわち第三者との性交渉を明確に自白した場合には、それも立派な証拠になります。
 このような証拠集めが重要になってくるのは、裁判などになった場合、夫や不倫相手が浮気の事実を否認してくるケースが多いからです。そうなった場合、こちらからしっかりとした証拠を突き付けないと、裁判所で浮気の事実を認めてもらうことができません。

 

 

3.夫が話しをうやむやにしようとしてくる


 あなたが夫に対して浮気の事実を突きつけた時、「別に肉体関係まではない」とか「別に本気で付き合ってたわけじゃなくて、もう別れた」とか「少しそういうお店に行っただけで、付き合ってない」などと言い放って、それ以上の話を遮ってくるということも多いです。

 その後、夫が夜出かけることもなくなったというような場合には、これ以上話を複雑にすることが得策ではないという判断もあり得なくはないと思います。ただ、何も痕跡を残しておきませんと、夫は暫く経った後に不倫を否定し始めたり、不倫を再開してしまうなどのリスクがあります。

 

4.極力不倫誓約書を作成した方が良い


 前述のように、一時不倫が収まったとしても、しっかりと対応しておかないと、また不倫が再燃するというケースもありますし、そもそも、浮気が発覚した際に、しっかりと対応しておかないと、後から夫が「あの時のことは妻も許してくれている」などと言い出しかねません。

 そのため、どこまでの内容を盛り込むのかは、ご夫婦での話し合いになると思いますが、極力不倫誓約書を作成することをオススメしています。

 

 以下では、不倫誓約書には一般的にどのようなことを書き、どのような点に工夫するのかについて説明していきます。

 

 なお、インターネット上には、不倫誓約書のひな型のようなものが掲載されているページもありますが、このようなひな型をあまり意味も分からないまま利用しますと、後で予測しないような結果を招いてしまうこともありますので、以下の記事も参考にして十分に文案を検討することをオススメします。

 

 誓約書はおおよそ8個のブロックに分けて記載することが多いので(端的に言いますと、1ブロックごとに第1条から第8条という形で作成すると簡便です)、そのブロックごとにご説明します。

 

(1)【第1ブロック】謝罪の条項

 例えば、「私は、平成○年○月から平成○年○月にかけて、職場で知り合った○○□子と○○回以上の不貞行為に及び、貴殿を深く傷つけたことに対して真摯に反省し、本書をもって謝罪致します。」

 といった書き方をします。

 

 不倫の期間や回数については、特定できるようであれば記載しておくと、後から夫側の説明が嘘だったことが分かった場合、問い詰めることが容易になりますので、可能な限り特定して下さい。

 なお、不倫の経過や交際の状況等について非常に事細かく全て自白させたい、その全てのことについて謝罪させたいという場合には、「私は、別紙の通り不貞行為に及び、貴殿を深く傷つけたことに対して…」という書き方にして、詳細な内容を全て別紙に綴じ込むという方法も考えられます。

 

 また、不倫以外に夫側の普段の生活での不満があれば、そのことについても、この条項に書き込むという方法もありますので、検討してみて下さい。

 例えば「私は、以下の①から④のことで貴殿を深く傷つけたことに対して真摯に反省し、本書をもって謝罪致します。

①平成○年○月から平成○年○月にかけて、職場で知り合った○○□子と○○回以上の不貞行為に及んだこと
②婚姻生活中、貴殿に対して頻繁に罵声を浴びせ、貴殿を怖がらせてしまったこと
③貴殿の家事・育児への協力が不十分であったこと
④……」

 

(2)【第2ブロック】慰謝料の条項

 例えば、「私は、本誓約書における誓約にもかかわらず、再び異性との不貞行為に及んだ場合、貴殿が受けた精神的苦痛を慰謝するため、慰謝料○○円をお支払い致します。」といった内容になります。

 今回慰謝料の支払いを求めるという方法もありますが、通常は、今回に限り夫を許し、その代わり、2回目の浮気があった場合には、慰謝料を支払わせるという形がオーソドックスなように思われます。

 

 なお、2回目の浮気があった場合の慰謝料については、抽象的に「貴殿の精神的苦痛を十分に考慮した慰謝料」といった書き方をしても良いですし、「慰謝料○○円以上」という書き方をしても結構かと思います。

 では、この慰謝料の金額は相手が合意すればいくらでも良いのかというと、あまり高額すぎる場合には、その効力が制限される可能性がありますので注意が必要です。

 例えば、「慰謝料1億円をお支払い致します」と書かれていても、その誓約書を盾に1億円を請求することは難しいように思われます。

 

(3)【第3ブロック】誓約条項

   例えば

「私は、以下の事項を誓約致します。
○○□子の情報・電話番号・メールアドレス・SNSのID等を全て消去済みであり、今後、電話・メール・LINEその他方法を問わず一切連絡を取らないこと
○○□子以外の異性との間で、貴殿との貞操義務に違反するような不貞行為及びこれに準ずる行為に及ばないこと」

   といった書き方をします。

 

 他にも不倫相手と接点を持つシチュエーションがあれば、それに対する誓約条項も盛り込んでおいた方が良いと思います。

 具体的には、不倫相手が近所に住んでいるという場合「偶然○○□子を見かけたとしても、自ら声をかけず、また、○○□子から声をかけられても返答をせず立ち去ること」といった条項を加えることも検討しなければなりません。

 また、浮気以外にも相手に改善を求めたい事項があれば、そちらについても誓約条項に加えておいた方が良いと思います。例えば、貴殿を罵るような言動に及ばないこと、家事・育児に積極的に協力すること、といった記述です。

 

(4)【第4ブロック】違反の場合のペナルティ条項

 例えば「前条の誓約条項に違反した場合、私は貴殿に対し、違反回数1回につき○万円を支払います」といった条項です。

 なお、この条項につきましては、条項通りに違約金を請求できるかというと、通常は夫が再度不倫をした際の慰謝料に含まれるものとして、別途違約金請求権は発生しないとされてしまう可能性も十分にあります。

 

 そのため、この条項は、相手に連絡等を取らないよう心理的プレッシャーをかけるという位置付けになろうかと思います。

 このように法律的効力に疑問もありますので、この「第4ブロック」については、弁護士が作成する誓約書などには記載しないことの方が多いように思われます。

 

(5)【第5ブロック】離婚の予約

 例えば「今後同様の行為が発覚した場合には無条件で離婚に応じることを承諾致します」といった内容の条項になります。

 なお、この条項については、一般的には法律的効力はないものと考えられています(心理的効果があるだけ)。

 

 つまり、法律上、こちらが離婚を強要することはできないと言うことです。

 このように「第5ブロック」については法律的効力はないのですが、こちらが真剣に離婚を考えたことの痕跡を残す意味でも、「第5ブロック」の条項は記載することの方が多いように思われます。

 

(6)【第6ブロック】秘密保持に関する条項

 特に夫の口が軽いとか、自身の女性関係を誇示する危険性がある様な場合には、秘密保持に関する条項も入れておく必要があります。

 例えば「○○○子との関係(不貞行為に及んでいたことを含む)、本誓約書の存在及び内容について、第三者に開示も漏洩も致しません」といった内容になります。

 

(7)【第7ブロック】不倫相手との関係に関する条項

 「今後同様の行為が発覚した場合には、不倫相手の情報開示その他不倫相手への慰謝料請求に積極的に協力致します」といった条項になります。

 この条項についても、法律上どこまでの強制力があるのかという問題はありますが、再度同じような問題が起きた際に、こちらから夫側を問い詰める根拠になりますので、不倫相手への責任追及も考えたいという場合には、記載しておいた方が良いと思います。

 

(8)【第8ブロック】今後の婚姻生活に関する条項

 「貴殿に対する愛情、感謝、思いやりを忘れず夫婦関係の修復に真摯に臨みます」といった条項です。夫側の今後の夫婦生活に対する向き合い方をきちんと示してもらう必要がありますので、このような記載をします。

 なお、現在夫婦が別居中という場合には、別居解消のために努力する旨及びその時期などについても明記することになります。

 

 

5.まとめ


・相手の浮気を疑われる方は多いが、実際にその証拠を掴むことができたケースは少ない印象である。
・浮気の疑いがある場合、まずはその証拠集めをする必要がある。
・浮気の件を突きつけても、夫がうやむやにしようとしてくることも多い。

・極力、不倫誓約書を作成しておいた方が良い。

・不倫誓約書には、大きく8個のブロックに分けた条項を盛り込むことが多い。

 

 

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