離婚問題

【面会交流調停の相手方にされてしまった方へ(主に女性側)】面会交流調停って何だ?

2020.12.21更新

弁護士秦
こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。本当に役に立つ詳しいブログ解説を目指して解説していきます。

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今回は、面会交流調停の相手方にされてしまった方を対象にして、面会交流調停がどのような手続きなのかを解説していきます。

 

 

1.面会交流調停って何だ?


 面会交流調停とは、一般的には、夫婦(元夫婦)が当人同士でお話し合うことが難しい時に、家庭裁判所の調停委員を間に入れて面会交流の当否、条件等について話し合いをする手続などと言われたりします。
 しかし、この説明だけでは漠然としていてイメージを掴むことは難しいと思いますので、できる限り具体的に面会交流調停というものがどのようなものなのかをご説明します。

 

2.そもそもこの調停は何を目指す調停なのか?


 通常この調停を起こす場合、夫(元夫)側が面会交流の頻度や条件に不満を持っているときに、その条件を拡張すべく申立を行うことが多いです。
 調停の席での話し合いが順調に進めば、面会交流の条件等を調えていくことになります。

 

 

3.そもそも調停に参加しなくてはいけないのか


(1)調停が不成立になると審判になってしまう
 このような調停は夫(元夫)側から突如として起こされるケースも多く、奥様の側としては調停に参加することに強い抵抗感を持つことも多いと思います。
 ただ、そのような反発心等から調停に欠席してしまいますと、調停自体は不成立で終了し、審判手続きに移行してしまう危険性が高いです。調停は裁判所で行うとは言いましても話し合いの手続きなのですが、審判では裁判官の判断で面会交流を強制される事態にもなりかねません。
 そのため不本意かもしれませんが、調停には参加したほうが良いと思います。

 

(2)答弁書等を提出すれば、第1回調停期日は欠席できる
 前述のように調停を全て欠席するということは得策ではありません。
 他方で、第1回調停期日に限って言いますと、こちらの都合を聞かずに設定された期日ですから、仕事の都合やお子様の行事の都合等で出席できないときには、第1回調停期日に限り、欠席しても問題ありません。
 ただ、事前に何も断らずに欠席してしまいますと、調停そのものをボイコットしていると評価されてしまう危険性がありますので、必ず第1回期日の1週間前までには、答弁書と進行照会回答書等を裁判所に提出するようにしておいてください。

4.結局会わせなくてはいけないのか?


 

調停は話し合いの手続きですので、その手続きの中で何かの結論を強制されるということはありません。
 ただ、裁判所は基本邸に面会交流に対して積極姿勢ですので、こちらから面会交流を拒否するだけの十分な理由を述べないと、面会交流実施に向けて話が進んでいくケースは多いです。

 そのため、あなたが、面会交流実施に強い不安を持っているようでしたら、事前に面会交流を拒否すべきとする理由をしっかりとまとめ、調停の場で意見表明していく必要があります。

 なお、離婚の際に面会交流の条件について一旦合意している場合、その条件を事後的に変更していくことは難しいケースが多いです。例えば、離婚のときには月1回会わせると約束したけれども、その後あなたの仕事が忙しくなり対応が難しくなったといったケースでは、一度約束してしまっていますので、月1回という頻度で面会交流調停が進んでいくケースが多いです(離婚の際の約束が口約束だという場合には、別の対応があり得ますが)。

 

5.調停委員ってどんな人?


 面会交流調停は、裁判官1名と調停委員2名(男性1名、女性1名)の合計3名が間に入って執り行われます。と言っても、裁判官は複数の事件を担当していますので、実際に調停室で直接話をするのは基本的に調停委員2名と言うことになります。また、これは裁判官の裁量によりますが、家庭裁判所調査官が調停の席に加わって手続を進めるケースもあります(本格的な調査実施前までには必ず調査官が立ち会うのですが、初回や2回目から調査官が立ち会うかは裁判官の裁量・調査官の都合(要するに調査官が抱える別事件の期日出頭の必要があるかどうか)によって決められます)。

では、この調停委員というのはどういう人なのかと言うことですが、原則として40歳以上70歳未満の人で、社会生活上の豊富な知識経験や専門的知識を有する裁判所職員になります。弁護士、大学教授や裁判所書記官OBなどが調停委員になるなどしています。

6.面会交流調停ってどこで行うの?


 面会交流調停は家庭裁判所の建物内の一室で行われます。調停委員に、こちらの自宅などに出向いてもらって話し合いをするということはできません。

 テレビのドラマなどを見ていますと、いわゆる裁判所の法廷の場面が映し出されていますが、調停が行われるのは一般的な法廷ではなく、イメージとしては会議室のような場所で行われます。
 会議室と言っても何十人も座れるような広い会議室ではなく、6人掛け(いわゆる誕生日席2席を加えると8名が座れる程度)のテーブルが入って多少余裕がある程度の部屋とイメージしていただければ分かりやすいと思います。

7.面会交流調停って何時行うの?


 調停が開催される期日は完全事前予約制なので、予め日時を決定しておき、その日に裁判所に足を運ぶという方式になります。
 調停が行われるのは平日の日中ということになりますので、土日祝日や夜間に調停を行うことはできません。そのため、平日お仕事をされている方は、調停の日はお仕事を休むか早退するなどして出席することになります。

 この調停期日は一方的に裁判所から決められることはなく、基本的にはご本人の都合を聞いて日時が決定されます(但し、第1回調停期日については、相手方の都合は聞かずに日時が決定されます)。

 ただ、担当調停委員によって担当曜日が決まっているのが一般的ですので、その曜日の中から日時を選択するという形式が一般的です。つまり、担当曜日が月曜日と木曜日というように決まっているという場合、月曜日か木曜日の中から期日を選択して行くことになります(逆に言うと水曜日を希望しても水曜日に調停を開催することは難しいということになります)。

8.1回の調停はどのくらいの時間がかかるの?


 1回の調停は2時間程度で終わります。ただ、話し合いの状況に応じて2時間よりも長くなったり短くなったりすることもありますので、2時間というのは一つの目安だと考えて下さい。

 

9.当日の調停の流れは?


 調停の流れは裁判所や調停委員によって差があるので画一的ではないのですが、一般的には以下のような流れで進むケースが多いです。
①夫婦(元夫婦)はそれぞれ別々の待合室で待機
        ↓
②調停委員に事件番号(またはお名前)を呼ばれるので、調停委員の案内で調停室に入室
        ↓
③夫婦双方が揃った調停室にて調停委員から調停手続の概要を説明(第2回目の場合、前回の調停での話し合いのおさらい及びその日の調停での目標等の確認)(弁護士を立てている場合は、夫婦双方ではなく、別々に入室する形になります)
        ↓
④申立人のみが調停室に残って調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑤申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑥相手方が調停室を退室し、入れ替わりで申立人が調停室に入室、申立人のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(相手方は待合室で待機)
        ↓
⑦申立人が調停室を退室し、入れ替わりで相手方が調停室に入室、相手方のみが調停委員と話し合い(30分程度が目安)(申立人は待合室で待機)
        ↓
⑧夫婦双方が揃った調停室にて調停委員と次の調停の日時を決定し、同時に次回までの宿題などの確認をする。(弁護士を立てている場合は、夫婦双方ではなく、別々に入室する形になります)

 

10.調停室内に入れるのは誰?


 よく自分一人で調停室に入っても上手に話ができるか不安があるので、ご自身のお兄様やお母様も同席させて欲しいとおっしゃる方もいます。
 しかし、調停の手続は非公開の手続(御本人以外の方の傍聴などが認められていないということです)ですので御本人以外が入室することはできません。
 なお、弁護士に事件を依頼した場合には、弁護士も調停室に同席することができますので、その点では安心です。

 

11.調停が開催される頻度は


 調停の期日の間隔は1か月程度になります。ただ、夏期や年末年始は調停を行わない時期がある関係で、この時期の調停の間隔は1か月以上空くことが多いです。

 

12.調停が成立した場合の拘束力は?


 よく「調停が成立すると判決と同様の拘束力がある」と言われたりします。
ただ、面会交流については、法律的に強制することに馴染みませんので、ルールが守られなかったりしたとしても、強制執行等は難しいことが多いです(そのような場合には履行勧告等でルールに沿った面会交流を実現していくことになります)。

 

 もちろん、強制執行等が難しいとは言っても、一度調停で約束した内容を反故にしますと、今後の別の手続き等に大きな悪影響を及ぼす危険性がありますので、調停内容はしっかりと順守していくべきことになります。

13.まとめ


・面会交流調停は、面会交流の条件等を取り決めるための手続である。
・調停委員は40歳以上70歳以下の学識経験者等が就任する。
・面会交流調停は、裁判所建物の中の会議室のような場所で行われる。
・調停は平日の午前または日中に行われる。
・1回の調停は合計2時間程度で終わる。
・2時間の調停では最初に手続の説明、その後交互に調停委員が本人から話を聞くなどし、最後に次回までの宿題等の確認を行うという手順で進むことが多い。
・調停室には本人しか入れない(弁護士が就いている場合は弁護士も入れる)
・調停は1か月に1回程度の頻度で開催される。
・相手は調停の席に出席する義務はないが、大体の人は出席してくることが多い。
・調停が成立した場合には判決と同じ効力が認められる。

 

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投稿者: 弁護士秦真太郎

面会交流審判って何だ?

2020.12.14更新

弁護士秦
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1.いきなり面会交流審判を起こしても、調停に戻されるケースが大半である。


 離婚について調べていると、手続のステップは、①協議→②調停→③裁判の3つ手続きを経るという記事を見かけることもあるのではないでしょうか。
 そして、離婚の場合、いきなり離婚裁判を起こすことはできず、必ず事前に調停を起こしておく必要があります(これを「調停前置主義」と呼びます)。

 これに対して、面会交流事件には、調停前置主義が適用されませんので、調停を経ずにいきなり審判を起こすことができます。

 それでは、いきなり面会交流審判を起こした場合、裁判所はどのように対応するのでしょうか。
 面会交流の事件は、これまでのご夫婦のお子様に対する関わり方なども問題になりますし、実際に面会交流を実施するにあたっても、今後トラブルが発生しないように慎重に進めるべき場合もあります。
 そのため、裁判所としては、いきなり審判で強制的に行わせるよりも、まずは裁判所での話し合いをすべきとして、調停に戻して話し合うよう要求されるケースが大半です。

 結局、法律上はいきなり審判を申し立てられるとしても、実際の裁判所の運用上、調停を経ずにいきなり審判を行うということは難しいのが実態です。

 いずれにせよ、面会交流調停を経ても話し合いがうまくいかない場合には、手続きは審判手続きに移行しますので、この「審判」という手続がどのようなものなのか、調停と比較しながら解説していきます。

 

2.審判と調停の違い


 審判と調停との間にはいくつもの違いがあるのですが、大きな違いとしては以下のような点が挙げられます。

①審判手続は審判を目指すものであるのに対して、調停は当事者間の合意を目指す。

②審判は原則法廷で行われますが、調停は調停室(会議室)で行われます。

③審判には即時抗告という不服申立ができますが、成立した調停に対する不服申立はできません。

④審判は書類の提出をメインで行い、調停のような口頭での説明がメインではありません。

⑤審判では当事者本人の出席が不要な場合もありますが、調停では基本的に当事者本人が出席する必要があります。

 それぞれについて具体的に説明して行きます。

 

(1)審判手続は審判を目指す
 冒頭でも説明しましたとおり、審判手続は審判を得ることを目的としており、審判が言い渡されて、その内容が確定すると、不満のある当事者も審判の内容に従わざるを得なくなります(そのため、イメージとしては「判決」に近いです)。
 調停の場合には、相手の提案に納得が行かない場合には、納得いかない旨を述べれば調停は成立しませんので、相手の言い分を強要されることはありませんので、この点が審判と調停の一番大きな違いと言えます。

(2)審判は原則法廷で行われる
 調停は調停室という会議室のような部屋で行われるのですが、審判は原則として法廷(テレビドラマなどに出てくるのは通常この「法廷」になります)で行われます。
 そのため、調停室(イメージとしては打合室に近いです)よりも厳粛なムードで行われます。

(3)審判に対しては即時抗告という不服申立ができる
 審判手続の結論として審判が言い渡された場合でも、その審判内容に不満がある当事者は、即時抗告をして、その内容を争うことができます。
 これに対して、調停が成立した場合、後で気持ちが変わったとしても調停の内容を覆すことはできません(不服申立手段がありません)。
 なお、審判手続の中で当事者間の話し合いが上手くいった場合には、裁判官が審判手続きを調停手続に変更した上で、調停が成立することがありますが、この調停に対しても不服申立ができませんので、注意が必要です。

(4)審判では書類のやり取りが中心になる
 審判では、最終的には裁判官が審判を書くことになりますので、当事者の言い分が不正確にならないように、お互いの言い分は主張書面といった書面に書き起こして主張してゆくことになります。
 面会交流調停の場合には、特に調停委員が希望する場合を除いて、言い分は調停室内で口頭にて述べられますので、この点も審判との違いになります。
 このように審判では本人の言い分が裁判官にきちんと届くように書面をまとめることが非常に重要になりますので、審判期日当日というよりも当日よりも前の主張書面の準備が重要になります。

 なお、面会交流審判事件では、最終的には調査官の調査報告書が作成されますので、書面提出のみではなく、調査報告書の内容、調査報告作成に当たって調査官が確認した内容も重要なポイントになります。
 ただ、このような調査官調査に入る前に、しっかりとこちらの言い分を裁判官や調査官にぶつけ、必要な裏付け資料は全て提出しておくことが最重要になりますので、いずれにしましても、口頭のやり取りではなく、書類のやり取り、特に裏付けのやり取りが重要であるという点は調停との大きな違いです。

(5)審判には本人は出席しなくて良い場合もあります
 調停手続の場合、仮に弁護士が代理人に就いたとしても、本人が調停手続に出席する必要があります(弁護士も同席します)。
 これに対して、面会交流審判の場合も、本人の出席が必要なときもありますが、不要とされるケースもあります(ただ、面会交流審判のケースですと、実際のところは、審問を行うなどの理由から、裁判所から、本人の出席を求められるケースも多いです)。

3.審判の具体的イメージは?


 審判というと、よくドラマでやる様な相手を証言台に立たせて尋問することをイメージする方も多いと思いますが、実際の審判は大きく異なります。
 面会交流審判においては、家庭裁判所調査官の調査結果が、重要な意味を持ちますので、こちらに有利な調査報告を得られるように、お互いのが書面や資料を提出するという形が多いです。
 また、裁判官が必要な審問(当事者に直接質問をする手続き)を行う場合もありますが、一般の証人尋問のように代理人弁護士には質問権がありません。

 

 

4.まとめ


・審判手続は調停と比較してみてみると分かりやすい。

・比較の結果の大きな相違点は以下のようなものである。

①審判手続は審判を目指すものであるのに対して、調停は当事者間の合意を目指す。

②審判は原則法廷で行われますが、調停は調停室(打ち合わせ室)で行われます。

③審判には即時抗告という不服申立ができますが、成立した調停に対する不服申立はできません。

④審判は書類の提出をメインで行い、調停のような口頭での説明がメインではありません。

⑤審判では当事者本人の出席が不要とされるケースもあるのに対し、調停では基本的に当事者本人が出席する必要があります。

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