ブログ

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?㉓】弁護士に依頼した場合に弁護士が登場するタイミング等は?

2025.04.28更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.弁護士が登場するタイミングは?


 弁護士が登場するタイミングとしては、①あなたの別居開始の前から登場する、②あなたの別居とほぼ同時に登場する、③あなたの別居後暫くしてから登場するという3パターンがあると思います。

 結論から言いますと、上記の「②あなたの別居とほぼ同時に登場する」というのが圧倒的多数と言えます。

 上記①の場合、あなたはモラハラ夫と同居しながら弁護士を通じて離婚協議等を行わなければならなくなりますが、モラハラ夫は弁護士よりもあなたと直接話をしたがることが多いですし、日常生活の中で嫌がらせを受けることも多いです。

 そのため、モラハラ離婚の場合には、①のタイミングで弁護士が登場することは少数派だと思います。

 

 また、上記③については、別居後も引き続きあなたの方でモラハラ夫と離婚協議を目指し、話し合いが難航した段階で弁護士を立てるというケースになりますが、そもそも、あなたの別居先を知らせないまま交渉するということが難しいケースが多いです。そして、あなた個人で交渉を行うと不利な離婚条件に陥ってしまうというリスクもあります。

 この点、②のタイミングで弁護士を登場させる場合、別居後の交渉はあなたが直接行う必要がなくなり安心ですし、不利な条件に陥るリスクがありません。そのため、②のタイミングで弁護士を登場させる方が圧倒的多数なのです。

 

 

3.弁護士の登場のし方は?


 今は振り込め詐欺などで、裁判所や弁護士の名を騙って電話をかけてくるような犯罪者もいるような時代ですので、弁護士からいきなりモラハラ夫に電話をかけるということはしないことが多いと思います。

 そのため、まずは、書面でモラハラ夫宛に連絡を取るケースが圧倒的多数ではないかと思います。

 なお、文書を送る場合、内容証明郵便を送るケースもありますが、私が担当する場合には、普通郵便で郵送する形を取っています。いきなり内容証明郵便を送ると、不用意にモラハラ夫を刺激してしまうケースが多いからです。

 モラハラ夫宛の文章の文案は、別居前までに調整しておいて、別居直後に発送する形を取ります。

 

 

4.その後の流れは?


 前述のように初回は文章の連絡をし、その後は、私の方で、モラハラ夫と直接会って話ができるようであれば、1度は会って話をするようにしています。

 弁護士として何人ものモラハラ夫と会話をしてきた経験から、実際にモラハラ夫に会って話ができると、一定の傾向や対応方法が見えてくることも多いからです。

 ただ、モラハラ夫がすぐに弁護士を立ててきた場合には、モラハラ夫の弁護士との交渉になってしまいますので、モラハラ夫と直接会って話をすることはできなくなります。逆に、モラハラ夫が私からの連絡を無視し続けるような場合にも、直接会って話をすることは難しいです(その場合には、早めに離婚調停を起こすケースが多いです)。

 

 

5.結局いつ頃までには依頼しておいた方が良いか?


 私の方からは、「正式な別居日が決まった場合、遅くともその2週間前までにはご依頼ください」とお伝えすることが多いです。

 別居までの準備の中で、あなたが自宅に残す置手紙の準備、私がモラハラ夫に送る文章の準備などの期間を考慮すると、2週間程度の期間は欲しいと感じるからです。

 

 

6.まとめ


・弁護士の登場タイミングは、あなたの別居直後にするケースが圧倒的多数である。

・弁護士の登場方法は、私の場合、普通郵便をモラハラ夫宛に送るという方法を取る。

・その後の流れは、私の場合、モラハラ夫と直接会って話ができるようなら直接会って話をするようにしている。

・別居までの準備のことも考えると、ご依頼は別居日の2週間前までということでお願いすることが多い。

 

 

関連記事


>弁護士秦のモラハラDV総合サイトはこちら!

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょう?①】何がきっかけで別居・離婚を決意したのか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?②】何がきっかけでモラハラに気付いたのか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?③】モラハラする人って皆こんな感じなんでしょうか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑥】結局モラハラ夫は何がきっかけで離婚に応じたのでしょうか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑧】別居や離婚のことをどのように夫側に伝えているか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているのでしょうか?⑩】別居や離婚を切り出したときの夫側の反応は?

 

 

 >>このブログを書いた弁護士秦(はた)に直接会って相談したい方はこちら!

(事前予約があれば平日夜間22時まで相談可能 : 相談予約は入力フォームで簡単日程調整)

 

雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

TEL03-3666-1838|9:30~18:00

東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 【アクセス】
5路線直結で便利です。
<東京メトロ>
・東西線 「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょう?㉒】何人くらいの弁護士に相談して、依頼する弁護士を決めるのでしょうか?

2025.04.21更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.これまで弁護士に頼んだことなんて一度もないからこそ…


 おそらく私のところにご相談に来られる方々は「これまで弁護士に頼んだことなんて一度もない」という方ばかりだと思います。

 そのため、実際にご自身のモラハラ離婚の問題をどの弁護士に依頼するのが良いか思い悩む方も相当数いらっしゃいます。

 このような観点から、実際に皆さんは何人くらいの弁護士に相談した上で弁護士を決めているのか、またポイントなどがあるのかについて解説していきます。

 

 

3.皆さん何人くらいの弁護士に相談して、依頼する弁護士を決めるのでしょうか?


 私がご相談を受けておりますと、「最初から秦弁護士にお願いするつもりできました」ということで、他の弁護士には一切相談したことがない、という方もいます。

 ただ、大半の方は、「実は他の弁護士にも相談しています」とか「これから他の弁護士さんにも相談してみようと思っています」とおっしゃることが多いです。

 離婚の問題は、解決までに時間がかかることも多いですし、弁護士費用は決して安くないので、私の方からも、「弁護士を比較検討してみる方が良いかもしれない」とアドバイスすることも多いです。

 

 それでは、実際には何人くらいの弁護士に相談する方が多いのでしょうか?

 これは、私がご相談を受けている際のご様子と印象という側面が強いのですが、4,5人の弁護士に相談して決めるという方が相対的に多いと思います。非常に思い悩んでいて10名以上の弁護士に相談したという方もたまに見かけますが、お話を聞いていると、あまりに相談し過ぎていて、どの弁護士がどのように話していたか少し混乱している様子がありましたので、あまり相談し過ぎるのも良くないと感じました。

 

 

4.弁護士選びのコツ


 弁護士選びのコツと言いますか、どのような切り口で検討するのが良いのかという点について、以下解説していきます。

 

(1)女性弁護士の方が良いか男性弁護士の方が良いか

 特に女性の方で多いのですが、女性弁護士にご相談されるか男性弁護士にご相談されるかで悩んでいらっしゃる方もいます。

 弁護活動の「質」というと表現が適切なのかという問題もありますが、男性弁護士と女性弁護士とで「質」という意味での差はないと思います。

 

 ただ、女性の方がよくおっしゃるのが、離婚の問題となりますと家庭内の機敏な話題も出てきますので、女性弁護士の方が相談しやすい、話しやすいという方はいます。

 他方で、モラハラのケースですと、モラハラ夫と交渉しなければなりませんので、女性弁護士では言い負けてしまうのではないかと心配される方もいます。

 

 しかし、上記の点は弁護士に対する一般的なイメージですので、逆に男性弁護士でも非常に話しやすいという先生もいれば、女性弁護士でもかなり力強く先方と交渉してくれる先生もいます。

 そのため、「女性弁護士が良い」とか「男性弁護士が良い」と間口を狭めてしまうのではなく、以下のような要素を考慮して検討してみるのがよいと思います。

 

(2)モラハラ離婚に精通しているか

 モラハラ離婚問題に関する弁護士選びにおいて一番重要なのは、モラハラ離婚問題に精通している弁護士かどうかという点ではないかと思います。要するに、これまでにモラハラ離婚の事件の取扱件数がどの程度あるのかという点が非常に重要な判断要素になると思います。

 ここで注意して頂きたいのが、この事件取扱実績の判断において、単純に離婚問題の実績というのではなく「モラハラ」離婚の実績がどの程度あるのかという点です。

 

 モラハラのケースですとモラハラ夫が法律事務所に乗り込んできたり、罵声を浴びせられたりと、普段の離婚事件とは異なる特殊性があります。また、電話口での対応一つ取っても、モラハラ離婚を取り扱ったことのない弁護士ですと相手を不用意に怒らせてしまい、そのことが早期離婚の妨げになることもあります。

 

 ただ、弁護士に相談した際に、その弁護士に対して「こういうケースって多いんですか?」とか「先生はこういうケースを何件ぐらい取り扱っていますか?」と面と向かって質問しても、(実際取り扱ったことがないとしても)「1件もやったことはありません」という返事は返ってこないと思います。おそらく「モラハラのケースはよく取り扱いますよ」とか「離婚全体の相談件数が多いですから」といったお茶を濁した返答が返ってくると思います。

 

 そのため、その弁護士のホームページを見てモラハラ事案の取扱実績がどの程度あるのか、モラハラ問題に力を入れているのかは把握しておいた方が良いと思います。その際、DVのケースは、モラハラのケースの発展型とも言えますので、DVの取扱件数が多い様でしたら、信頼性は高いと思われます。また、友人や知人から「以前モラハラ離婚でお世話になったことがある」といった理由で紹介を受けた弁護士であれば、実績としては申し分ないかと思います。

 

(3)直接会って相性の確認

 上記の通り、モラハラ問題に詳しい弁護士が見つかった場合、実際その弁護士に会って話をしてみるのがよいと思います。

 直接会って話をすると、多少なりとも弁護士の人となり、対応の仕方が分かってくるからです。

なお、複数人の弁護士が所属する法律事務所の場合には、「その法律事務所の弁護士ならだれでも良い」という姿勢はあまり感心しません。実際に直接話をした弁護士が担当してくれるのか、もしくは、インターネットの記事を実際に執筆した弁護士が担当してくれるのか、といった点はしっかりと確認した方が良いと思います。

 

(4)やっぱり気になる弁護士費用

 皆様は弁護士費用が高額に感じることが多いと思いますので、弁護士費用がいくらになるのかという点も重要な判断要素になります。

 

 ただ、弁護士費用が安ければ安いほど良いというわけでもないと思いますので、弁護士選びの優先順位としては、前述の①モラハラ離婚に対する専門性、②直接会って話してみた相性を優先して弁護士選びをした方が良いと思います。

 また、弁護士費用を確認するにあたっては、①事件ごとに弁護士費用が発生するのかどうか、②日当などが発生する可能性がないのか、③今は協議離婚・調停離婚の段階なので良いが、裁判離婚の場合いくらぐらいになるのかといったことも確認すると、より安心できると思います。

 補足しますと、上記の①につきましては、一口に離婚事件と言いましても、婚姻費用(離婚までの生活費)の問題や面会交流の問題など派生する問題が発生することが多くあります。それらの事件一つ一つについて追加の弁護士費用が発生する場合にはコストも高くなってしまいますので、最初に払う弁護士費用でどこまでカバーしているのかについてはしっかりと確認した方が良いです。

 上記の②につきましては、調停をする裁判所が少し離れている、ということもあります。その場合、調停期日に足を運ぶたびに弁護士の日当がかかるケースも多いです。日当がいくらなのかを把握しておくと弁護士費用のイメージがより透明化されると思います。

 

(5)弁護士事務所のロケーション

 あと私が相談を受けていて依頼者の方がよくおっしゃるのが、弁護士事務所のロケーションでしょうか。ご自宅の近く、職場の近くなど、弁護士事務所の近さも一つの考慮要素になると思います。

 

 特に、何か問題が起きた際には、できるだけ弁護士に直接会って面談をしたいと考えている方は、ご自宅又は職場の近くの弁護士事務所にご相談になるのが良いと思います。

 ただ、モラハラのケースですと、モラハラ夫は、あなたが弁護士事務所周辺を生活圏にしているのではないかと疑ってくることも多いため、あまりあなたの住居に近い場所の弁護士事務所に相談をすることは得策ではないかも知れません。

 

 
(6)できれば、弁護士の忙しさの確認も

 最後になりましたが、弁護士の忙しさも確認できるようなら確認してみると良いと思います。ただ、単純に弁護士に対して「お忙しいですか?」と質問すると、ほとんどの弁護士は「忙しいです」と回答すると思いますので、その様な質問の仕方はあまり良くないと思います。

 

 オススメなのは、「先生にお願いした場合、相手に送る内容証明郵便の文案が出来上がるのにどれくらい日数がかかりますか?」という質問です。この回答が「1ヵ月くらいはかかります」という内容ですと、相当忙しいことが予想されますので、ご留意した方が良いかもしれません。

 

 

5.まとめ


・私が相談を受けていると、4,5人の弁護士に相談した上で依頼する弁護士を決めている方が相対的に多いように感じる。

・弁護士選びは男性・女性という枠を決めずに選んだ方が良いことが多い。

・モラハラ離婚は特殊性が強いので、モラハラ問題に精通した弁護士に依頼した方が良い。

・その弁護士に直接会って相性を確認した方が良い。

・弁護士費用も気にする必要があるが、優先順位を高めに考えるべきではない。

・弁護士事務所のロケーションも一つの考慮要素になりうる

・弁護士の忙しさも確認できるようなら確認した方が良い。

 

 

関連記事


>弁護士秦のモラハラDV総合サイトはこちら!

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょう?①】何がきっかけで別居・離婚を決意したのか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?②】何がきっかけでモラハラに気付いたのか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?③】モラハラする人って皆こんな感じなんでしょうか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑥】結局モラハラ夫は何がきっかけで離婚に応じたのでしょうか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑧】別居や離婚のことをどのように夫側に伝えているか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているのでしょうか?⑩】別居や離婚を切り出したときの夫側の反応は?

 

 

 >>このブログを書いた弁護士秦(はた)に直接会って相談したい方はこちら!

(事前予約があれば平日夜間22時まで相談可能 : 相談予約は入力フォームで簡単日程調整)

 

雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

TEL03-3666-1838|9:30~18:00

東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 【アクセス】
5路線直結で便利です。
<東京メトロ>
・東西線 「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?㉑】離婚解決まで長引くことが多いんでしょうか?

2025.04.07更新

こんにちは、東京・日本橋の弁護士秦(はた)です。「しっかり戦って、しっかりと勝つ」をモットーに詳しく解説していきます。

神田駅から2駅、銀座駅から2駅、秋葉原駅から3駅の事務所です。夜間対応が充実しています。

1.モラハラとは何だ?


 「モラハラ」最近よく耳にするようになった用語のため、モラハラとは何なのか分かったような分からないようなぼんやりとしたイメージでこの用語を使っている方も多いと思います。

 モラハラとは、一般的には「言葉、態度、文書などによって継続的に相手の人格や尊厳を傷つける精神的な虐待行為」などと言われます。「暴言」が典型例ですが、「暴言」に限らず、精神的虐待と言える行為は広くモラハラ行為に含まれます。

 

 

2.全体的な傾向は…


はじめに、私が数々のモラハラ案件を処理している中で感じるのは、「なかなか早期解決が難しい」という点です。

 モラハラ夫が相手なので、些細なところにこだわって離婚の話が進まないとか、同居中ほとんど子供の面倒を見ていなかったのに親権に強くこだわり始めるなど、こちらがあまり予想していなかった部分で時間がかかってしまうということも往々にしてあるのです。

 あまり抽象的に話をしていても、分かりにくくなってしまうと思いますので、離婚の手続きの段階に応じて整理します。

 即ち、離婚の問題は、①協議離婚→協議離婚が上手く行かない場合に②調停離婚→どうしても調停離婚が上手く行かない場合に③裁判離婚という流れをたどりますので、最終解決が協議離婚で済むのか、調停離婚での解決なのか等手続がどこまで進むかに応じて、要する期間も異なってきます。

 

 このような期間はケースによって様々なので一概には申し上げにくいのですが、各手続に応じてどの程度の期間を要するのかの目安と、どのような問題が争点になると長期化しやすいのかについて解説します。

 

 

3.協議離婚で解決する場合


 協議離婚というのは、離婚届を役所に提出して解決する場合を言います。

 たまに依頼者の中には、弁護士が間に入る場合には、協議離婚にはならない(調停離婚で手続を進める)と誤解されている方もいらっしゃいますが、基本的には、弁護士が間に入った場合にも、協議離婚による解決を目指すことが多いです。

 

 では、協議離婚の場合、解決までにどの程度の期間を要するかというと、おおよそ2か月から6か月程度というのが一つの目安かと思われます。ただ、これもケースによりけりですので、一つの目安と考えて頂ければと思います。

 

 通常、協議離婚で解決したという場合には、離婚条件について大きな対立はないことが多いのですが、協議離婚が長期化する傾向があるのは、①緻密な離婚協議書を作成する場合や②財産分与の対象が多くて整理に時間がかかる場合、③公正証書を作成する場合ではないかと思います。

 補足しますと、「①緻密な離婚協議書を作成する場合」というのは、特にお子様との関わりが問題になることが多いのですが、例えば、離婚後のお子様と夫との交流について、直接会う頻度は2か月に一回までしか認めないけれども、メールのやり取りは週1回まで認める等々何をどこまで認めるのかについてきめ細かく記載する場合などが代表例です。きめ細かく離婚協議書の内容を詰めていかなければならなくなりますので、交渉に期間を要することが多いです。

 ③はどのようなケースなのかといいますと、特に養育費などの金銭の支払いに強制力を持たせたい場合が代表例です。その場合、公正証書を実際に作成するのは公証人になります。そのため、公正証書を作成する場合には、公証人との折衝や公証人に提出する資料なども必要になってくる関係で最終解決までの期間が延びる傾向にあります。

 

 なお、モラハラ夫との離婚協議の場合、相手が自分の考え方に強く固執している場合も多く、協議離婚での解決は難しいケースも多いように思われます。

 

 

4.調停離婚で解決する場合


 前述の協議離婚が上手く行かない場合、調停手続で離婚を目指すことになります。

 特に相手がモラハラ夫で、離婚協議をしていても、話がうまく進展しない場合には、早期に調停を申し立てることが多いです。

 

 調停での解決にどの程度の期間を要するかですが、これもケースによって千差万別なのですが、一般的にはどんなに早くとも調停がスタートしてから3か月、長い場合には1年、または1年を超えることもあるという回答になると思います。

 それでは、モラハラ離婚の調停の場合、どのような問題で長期化しやすいのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

 

①離婚するかどうかの部分、または離婚原因の部分で対立が激しい場合

 特に深刻なモラハラ夫のケースで多いのですが、モラハラ夫は基本的に自分が悪いことをしてきたという認識が薄いです。

 そのため、こちらからモラハラを離婚原因に掲げると、モラハラ夫側からは、以下のような反発を受けることが多くあります。例えば以下のようなものです。

・妻の我慢が足りない。

・モラハラの原因を作ったのは妻の方である。

・そこまでひどいことをしていない。

・暴力をふるったわけではないから問題ない。

 果ては、離婚調停の申立書の書き方が悪いとか、事細かに揚げ足を取ってくる場合もあります。

 このようにモラハラ離婚そのものを争ってきたり、その詳しい離婚原因に強く反発してくる場合には、詳しい離婚条件を話し合う前の段階で調停手続がストップしてしまいますので、時間を費やしてしまう原因になりかねません。

 なお、離婚する・離婚しないというところでお互いが意見を譲らない場合には、調停委員から早めに調停打ち切りを伝えられてしまうケースも多いです。調停打ち切りになってしまいますと、一旦調停の場での議論はできなくなってしまいますので、次は裁判を起こすという手順に進んでいくことになります。

 

②お子さんとの関係で嫌がらせをしてくる場合

 モラハラ夫が離婚には応じたとしても、渋々合意したと言うことが多いため、何かしらの形で嫌がらせをしたいと考えてくる人もいます。例えば、以下のような形になります。

・実際自分では育てられないと分かっているのに親権獲得を希望してくる。

・親権は争わないが、今後の監護計画を事細かに聞いてくる。

・頻繁な面会交流を要求してくる。

・しきりに学校行事や習い事の発表会への参加を要求してくる。

・養育費を出し渋る。

 モラハラ夫から上記のような要望が出された場合には、長期化要因になりますが、どの程度期間が延びるかは、夫側がどこまで執着してくるのかによっても大きく左右されます。

 

③財産分与の対象財産が多い場合、争点が多い場合

 財産分与の対象財産が比較的少ない場合や、そもそも婚姻期間が短く財産分与の必要がない場合には、その分短期決着が見込めます。

 他方で、財産が多い場合や、特有の争点が生じる場合には長期化要因になります。財産分与で争点となるケースというのは、①自宅購入時の頭金の金額・性質等に争いがある場合、②相手が一部の財産しか開示しない場合(対象財産の範囲に争いがある場合)、③婚姻前の財産の範囲や額に争いがある場合等になります。

 特にモラハラ夫は、離婚する妻に対しては極力金銭を渡したがらないことが多いため、財産分与が大きな争いになるケースも多くあります。

 

④慰謝料が争点になる場合

 モラハラも深刻な内容の場合には、相手に慰謝料を請求すべき場合もあります。

 ただ、モラハラ夫は通常自身の行動を正当化してくることが多いため、慰謝料を支払わないばかりか、こちらが慰謝料を請求してきたことそのものに不満をぶつけてくることもあります。

 この慰謝料の問題で対立する場合も紛争が長期化する要因になります。

 

 

5.裁判離婚で解決する場合


 上記のような調停手続でも離婚が成立しない場合には、やむを得ず裁判を選択せざるを得なくなります。

 

 裁判に要する期間については、それこそ千差万別であって一概に申し上げることは非常に困難です。

 ただ、裁判を申し立てる前に、既に離婚協議、離婚調停を経ているため、訴訟提起の段階で数か月は経っていることが多いと思います。そして、裁判そのものがスタートしても、さらに1年近い期間が経過することは覚悟しなければならないと思います。そのため、弁護士が事件に着手してからのトータル期間で見ますと、①裁判の申立前に既に数か月、②裁判スタート後に1年というイメージですと、トータル期間として最低でも1年数か月は覚悟しなければならないというイメージになると思います。

 

 なお、離婚訴訟を起こすとなると、裁判で勝てるだけの離婚原因があるのかという点の検討も必要になります。

 具体的には、モラハラの証拠を精査・整理することはもちろんですが、ある程度別居期間を稼ぐという観点から、多少訴訟提起の時期を遅らせるという場合もあります。そのため、調停が成立してからすぐに裁判を起こすのではなく、調停終了から裁判の申立までに一定期間を空ける場合もあります。

 

 裁判離婚の場合、原則として相手も徹底的に争ってくるケースが多いため、各離婚条件について反論や証拠集めの労を要するというように考えた方が良いと思います。

 

 

6.スピードよりも、「より良い解決」を!


 たまに弁護士が間に入ったのだから早急に解決して欲しいという要望をお持ちの方もいらっしゃいますが、結論を急ぐあまりに十分納得できない内容で解決してしまうのでは本末転倒だと思います。

 

 もちろん、離婚という問題を長期間抱えることは、それだけで心理的ストレスになると思いますので、早急な解決が望ましいことは間違いありません。

 ただ、結論を急ぐあまりに不十分な内容で解決してしまうと、2年後、3年後に振り返ったときに後悔してしまうのではないかと思います。

 

 そのため、解決を急ぎつつも、ご自身が納得いく解決を目指すことができればと考えております。

 

 

7.まとめ


・モラハラ夫が相手なのでモラハラ離婚は解決までに時間がかかるケースが相対的に多い。

・協議離婚はあまり長期化せずに解決できるケースが多い。

・ただ、協議離婚でも、離婚協議書に細かな内容を盛り込む場合や公正証書を作成する場合、長期化要因になることがある。

・調停離婚はいくつか長期化する項目があり、モラハラ夫の態度が大きく影響する。

・裁判離婚に発展した場合には、それなりの期間かかることを覚悟する必要がある。

・迅速な解決が望ましいが、迅速性よりも「より良い解決」の方が大事である。

 

 

関連記事


>弁護士秦のモラハラDV総合サイトはこちら!

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょう?①】何がきっかけで別居・離婚を決意したのか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?②】何がきっかけでモラハラに気付いたのか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?③】モラハラする人って皆こんな感じなんでしょうか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑥】結局モラハラ夫は何がきっかけで離婚に応じたのでしょうか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているんでしょうか?⑧】別居や離婚のことをどのように夫側に伝えているか?

>【モラハラ離婚で皆さんどうなさっているのでしょうか?⑩】別居や離婚を切り出したときの夫側の反応は?

 

 >>このブログを書いた弁護士秦(はた)に直接会って相談したい方はこちら!

(事前予約があれば平日夜間22時まで相談可能 : 相談予約は入力フォームで簡単日程調整)

 

雨宮眞也法律事務所

弁護士 秦(はた) 真太郎

TEL03-3666-1838|9:30~18:00

東京都中央区日本橋兜町1-10日証館305号

 【アクセス】
5路線直結で便利です。
<東京メトロ>
・東西線 「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・日比谷線「茅場町」駅(11番出口)より徒歩5分
・銀座線「日本橋」駅(C5出口)より徒歩6分
・半蔵門線 「三越前」駅(B6出口)より徒歩7分
<都営地下鉄>
浅草線 「日本橋」駅(D2出口)より徒歩5分

 

 

 

 

 

投稿者: 弁護士秦真太郎

entryの検索

カテゴリ

弁護士 秦真太郎 -雨宮眞也法律事務所- 受付時間 9:30~18:00 定休日 土日・祝日 住所 東京都中央区日本橋兜町1-10日証館3階

※事前予約があれば平日夜間(22時まで)も対応可能です。